男の作法 (新潮文庫)

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著者 : 池波正太郎
  • 新潮社 (1984年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156224

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男の作法 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  •  お恥ずかしい話、普段から服にはあまりこだわりがありません。普段着はもとより、最近ではスーツもあまり新調しておらず、メンテナンスができていなかったりします。そんな中、久々にこちらを読んで、新調等々いろいろと考えないとなぁと思いました。、、自省も込めて。

     洋装・和装のどちらとをも問わず、池波さんのブレない“流儀”が感じられて、スルッと入ってきました。自分に似合ってるかどうかは自分で決めないとね、、とは、なるほどと。

     私の普段使いのスーツは、ほとんどがセミオーダーであつらえています。背の割に肩幅があり、服を肩で着ているのが理由なんですが、それなりに長持ちするためここ数年は後回し気味になっていました、、ネクタイとかシャツは定期的に買っていたのですが。ちなみに靴は、成人式の時に買ってもらった“リーガル”が妙にフィットしたのに感動して以来一辺倒ですが、こちらもここ1-2年は、、どちらもさぼり気味でしたので、これを機に見直していかないとなぁ、、と、あらためて。

     それで思い出したのが、並行して読んでいた『ぼくらの頭脳の鍛え方』の中での「雨宮処凛さんの服装は彼女の鎧なんです」とのくだり。雨宮さんはお名前くらいしか存じ上げないのですが、“外界”と向き合うための、“戦闘服”として位置付けるのであれば、そうそうに手を抜いていいわけもなく、、仕事に対する姿勢ともリンクしていきそうで。

     楽しむにせよ、戦うにせよ、まずは自分が納得しないと感じたあたり、意外なつながりが感じられて面白かったです。

     ちなみに、クールビズの時でも“ジャケット”は羽織るようにしているのですが、こちらは実は、塩野七生さんのエッセイの影響だったりします、、どのエッセイかは忘れてしまったのですが、自分でも不思議なくらいに“ルール化”しています、、こういうのは“こだわり”とも言えるのでしょうか。

     本書では「服装」に限らず、食事の仕方や所作、結婚観、死生観など、非常に幅広い話題がとりあげられています。対談形式でサラッと読めて、“イイ男”ってのはこういうことを言うのかな、とも。成功も失敗も、糧にして磨いていきたいものです、なんて。

     なんにせよ、こういった“作法”を身にまとうように精進したいものです、、教養と言う“知の衣”もともに、そんな風に感じた一冊です。

  • 生まれた瞬間から人間は死に向けてつっぱしっている。だから死ぬことを想定して逆算して、その時、その場所、その状態で今何をするのかが作法なのだ。著者の行き方は「引き算の美学→マイナスの作法」、つまり「死-(マイナス)現在=残りの人生」の式がベース。だから美味しいものはその素材を上手に引き出し美味しく、美しいものは美しく、そして調和を大切にし、シンプルに呼び名など細かいことはかまいはしない。それはものだけにとらわれず、人の付き合い、家族との関係などにも適用される。
    明日死ぬかもしれないという気持ちを常に持ち続けて、明日死ぬとするなら今日何をするか、常に心の隅においておくだけで人生は考えていない人と時間が経った時大きく変わる。また、やりたいことを願うことを求心力とし、思えば自然と行動はそちらにむかうのだから、いつか時間がかかってもその道に進むことが出来るという。一種引き寄せの法則だが妙に説得力がある。
    そしてこの引き算の美学の究極は、死が結びつける「繋がり」だ。万人に平等に訪れる死は、生命・物体の概念を超えた共通項だ。そのうっすらと見える死を媒体して、全てのものはエネルギーを伝えるのかもしれない。あなたが今、良くしてもらっているのは昔名前も知らない誰かがしてくれたことの結果かもしれないし、あなたがしたことは関係の無い次の人の幸せになるかもしれない。
    著者は古い人なので男尊女卑のところは致し方ないと思うけど(本人は時代が変わったことを認識している)、as is, to be, to do,how to do とか言っている前に、as is, to die, fun to doが大切なんですよ、ということをちょっと乱暴に、人生の先輩として教えてくれる良著。少しずつで良いから「明日死んでも良い覚悟」をもって毎日を過ごすように心を整理し、活動し、寝て、また明日を迎えたい。人生には限りがある。けど人を磨くものはたくさん存在する。たくさん転んで失敗して、起き上がって、また転んでの繰り返しで摩擦が増えれば増えるほどその人の人生は磨きがかかって輝く。棘がなくなるとかではなく、文字通り丸くなる。自分だけの「本当のこと」を知って、求めている人に見返りなく伝えて、あとの人に迷惑を極力かけずひっそりと元気にぽっくり逝く。これこそが男だけでなく女も、つまり人の生きる作法の理想形の一つなんじゃないかと思う。

  • 最近通っている神楽坂の日本酒の店の主人に教わった池波正太郎の
    「男のたしなみ集」。こういう本に惹かれる時点で歳食った証拠や。

     やっぱり、池波正太郎は「食」。章ごとの頭に、寿司、天ぷら、すき焼き、そば、酒のたしなみ方がのっている。

     こういう文章を読んでいると、江戸前の老舗の伝統の重みを実感するし、行きつけの一店を作りたい衝動にかられる。特に天ぷら。
     天ぷらは腹をすかして食いにいくべし。油の温度を調整しながら出しているんだから、出されたらすぐに食うべし。やっぱりカウンターなんだねえ。春の食材を求めて船橋屋に行こう。

  • 死ぬときを常に意識して生きること、その事で他人への気配りや時間の大切さに気づくこと、こういった筋を通すこと。さすれば顔に出てくると。時代背景の違いを差し引いても首肯できる部分は多々あり。そうでないところもまたしかりだが。

  • そない沢山は、新しい!
    と思うことは書いてなかった。
    けど、むかーしの人に
    良いお説教をうけたようで
    気が引き締まる思いだった。

    いつかは死ぬ
    これを意識して生きるべきだ
    漠然とでいいから

    そうすれば
    一個一個すべてが変わってくる

    チップは世の中を平和にする的な話も、うん。そうだろなぁ思った。
    ありがとうの気持ちを形で表すのは、言葉だけとは大きく違うと。それで運転手の一日が良いものになれば、事故減るやろ?平和やんけ!


    嫁さんと姑を両方たてろとか
    夫婦の喧嘩とちっぽけな意地の張り合いに気をつけろとか
    なんというか、昔も今もかわらんなぁ!という、そこも勉強になったかなぁ。そう変わるもんじゃないんだってことが。

    あ、あとね

    天ぷらの食い方を知れただけでも
    すごく価値のある本だと思ったね。

    親の仇だと思ってかぶりつけ!

    うん。これだね一番は。これは深い。

  • 自分が何か指摘されたときの受け止め方がいい人だなぁと思った。卑下せず、でも素直に心で受け止めるというか。

    あとは人はいつか死んでしまうのだ。。という話も印象的だったなぁ。

    親孝行にもこの人なりの持論がある訳だけれど、私もそれが全部正しいとは思わない箇所があるにせよ、思いやりや気配りというのか、様々な方向に想像力を伸ばしていらっしゃる様が素敵だなと。

    知識や能力よりも、そういった人間同士でうまくやっていくような知恵というのは大切なんだなぁ。

  • 知ったかぶるな、通ぶるな
    いつ死んでもいいように生きろ
    仕事を楽しめ

    人生を豊かにする生き方を提示してくれる作品。

  • 男の生き方、男のダンディズムを追求したい人は必読。読み返すたびに味が出る。「その人の生き様が顔に出る」と説く池波正太郎の名台詞、あなたはどう答える?

  • 帯広に向かう特急の中で斜め読み。
    時代背景が発刊時の昭和59年とは若干ズレているのは否めないけれども、読み物としては面白かった。
    刺身の食べ方、寿司の食べ方、持ち物に関するスタンスは勉強になる。
    池波正太郎のエッセイはもう少し読んでみようと思う。

  • インターネットが標準となった現代でも、なかなかこういう知識・作法は知ることができない。その意味でも貴重な一冊。
    何十年も前の本なのに今読んでも非常に感銘を受けるのは、それだけストレートに本質をついているからであろう。

  • 池波正太郎氏が語る自身の経験を踏まえた男の作法。
    独特の文化を持つ日本における伝統を継ぐダンディズムを紹介している。
    企業のエグゼクティブと接する機会のある若者にとってはオヤジ達に気に入られる為の教科書かと思う。
    ・ちゃんとした寿司屋は通ぶる客を軽蔑する
    ・とうがらしは、そばそのものの上に振っておく
    ・てんぷら屋にいくときは腹をすかして行って、親の敵にでもあったように揚げるそばからかぶりつく
    ・わさびは、醤油に溶かさずに、刺身の上に乗せる
    ・万年筆は男の武器
    ・自分の人生が一つであると同時に他人の人生も一つである
    ・いつまで生きられるかを という事をまず考える

  • 寿司屋、天ぷら屋、蕎麦屋での振る舞い方など、ダンディズムが詰まってます。

  • もう少し若い時、20代前半ぐらいにこの本に出会っておきたかったな。

    感銘を受けた言葉をいくつか。

    「寿司屋に行ったときはシャリだなんていわないで普通にご飯といえばいいんですよ。」

    「旅の目的は1つだけにしたほうがいい。」

    「和服だけは何十万円もする結城紬を着て、羽織の紐はデパートで買ってきたんじゃ、その結城紬が死んでしまうわけですよ。」

    「万年筆だけは、いくら高級なものを持っていてもいい。」

    「自分が死ぬということを、若いうちから考えないといけない。」

  • ・男の顔をいい顔に変えていくことが男を磨くこと
    ・さしみの食べるときはさしみの上にちょこっとわさびを乗せ、その上にちょっこと醤油をたらすと風味がなくならない
    ★手紙はあくまでも相手に対面している気持ちで書く
    ・結婚する女は他のことにも気が回る女かどうか
    ・日本で引き戸が発達したのは狭い土地でいかに狭くならないか考えて生まれた
    ・夏はギムレットがうまい

  • 池波正太郎のエッセイというか、語り下ろし本。まさにタイトルの通りだが、なかなか良いこと言ってらっしゃる。昭和の粋人の注意はどれも的を得ていて心地よいのだ。

  • 大先生が自らの経験を語りかけてくれる。これほどありがたいことはない。

  • 小生、粋な生き方としては、山口瞳さんの「礼儀作法入門」を教科書としているのだけれど、この本も大いに共感する内容。(もちろん小生全然実践はできてないけど)で、共通するような内容もあって、要するに、寿司屋で、アガリとかムラサキとか通ぶって言うのは、本当はみっともないんだって、まぁそういうことです。

  • 昭和のダンディズム。景気がよくていい時代だったんだな。

  • 毎日一話ずつ超スローペースで読んでみました。噂通りの秀逸なエッセイです。人生の教科書にしてみるのも良いかも。

  • 肩肘貼らない等身大の人生のための副読本。

  • 人間とか人生とかの味わいというものは、理屈では決められない中間色にあるんだ。つまり白と黒の取りなしに。その最も肝心な部分をそっくり捨てちゃって、白か黒かだけですべてを決めてしまう時代だからね、いまは。

  • 息子に読ませたい

  • 女性観についてはさすがに同意しかねる部分があるが、「男をみがく」ということについては、共感できた。
    人生も折り返し地点を過ぎ、自分の残り時間が有限であることは常に意識しておかねば。

  • テレビで紹介され気になり
    手に取った作品。
    天麩羅の食べ方、寿司屋での立ち振る舞い。
    池波氏の独自の考え方であるが、妙に納得する部分もある。
    見習えるべきところは、参考にできればと思う本となった。

  •  粋な振る舞い、というのは、粋な人に教えてもらうしかありません。

     例えば寿司屋で「しゃり」だの「がり」だのと言う人がいますが、こういう符丁は店の者が使うものであり、客が粋がって使うのは粋の対極、野暮の極みだったりします。当人は大将の使う符丁を一緒になって使い、なじみヅラしてるんでしょうが、これは閉店になった後のスナックのカウンターに入り込み、嬉々としてコップを洗ったりして常連面する変ななじみ客とその精神は一緒です。

     本書を読んでいくとわかるのですが、実は著者は別に「粋」を語っているわけではありません。むしろ、その場に合わせた常識的な振る舞いについて語っているだけです。
     だけど、そこに著者の生き方や美学が反映されています。寿司屋でもう一つ言うと、著者はやたらトロを食う奴に眉をしかめてます。「金があるからとバクバク食うもんじゃない、他の客が食えなくなるから一つ二つ食ったらおしまいにするべきだ」と店や他の客のことを考えて振る舞えと説くわけですが、そういうところに本当の美学が宿っているように思います。
     男の美学、そして人間的な余裕、そういうものがダンディズムの重要な構成要素なんでしょうね。僕に足りないものばっかりです…

     ただ、読み進めると「アレ?」と思うような記述に出合ったりもします。

     74頁以下では「浮気」という項目で、浮気について語っていたりします。うん、ここはさすがに作法もクソもないですよね(笑)

     天ぷらの項では、「天ぷらは揚げたてが美味いのだから、親の敵に会ったようにかぶりつけ」とあり、店の親父だって一番美味しい時を狙って出してんだから…と料理人に敬意を払う話に納得します。「腹を空かせて行くのが料理屋に対する礼儀なんだよ」というのは、仰るとおりです。続いて、料亭でも出されたものはすぐ食べろ、そういうタイミングで向こうは出してんだ、という話に。
     ここまではわかるのですが、雲行きが怪しくなるのは、その料亭の名前が「吉兆」だということ。

    《どうしても腹がすかせないで、おつき合いで行って食べられそうもないという場合は、むしろ手を付けないほうがいいんだよ。
     仲居に、
    「あと、何が出るの?」
     と、聞いてもいいんだな。で、仲居が何と何ですと教えてくれるから、
    「それならぼくは、あとのそれを食べるから、いまちょっとおなかいっぱいだからこれは結構です」
     と言って、手をつけずに最後きれいなまま下げてもらう。そうしたら、せっかくのものが無駄にならないでしょう。だれが食べたっていいわけだから。》(83頁)

     い、池波先生…実はそれで「船場吉兆」という料亭がつぶれるくらいの大問題になったんです…


     ま、そういうのもありますが(笑)、飯の食い方、酒の飲み方、着るものに人生諸事全般について粋とは何かを教えてくれる人が身近に居ない方は、是非本書をひもといて下さい。池波正太郎大先生が粋な口調で教えてくれます。

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てんぷら屋に行くときは腹をすかして行って、親の敵にでも会ったように揚げるそばからかぶりつくようにして食べなきゃ…。勘定、人事、組織、ネクタイ、日記、贈り物、小遣い、家具、酒、月給袋など百般にわたって、豊富な人生経験をもつ著者が、時代を超えた"男の常識"を語り、さりげなく"男の生き方"を説く。

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