男の作法 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156224

感想・レビュー・書評

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  •  粋な振る舞い、というのは、粋な人に教えてもらうしかありません。

     例えば寿司屋で「しゃり」だの「がり」だのと言う人がいますが、こういう符丁は店の者が使うものであり、客が粋がって使うのは粋の対極、野暮の極みだったりします。当人は大将の使う符丁を一緒になって使い、なじみヅラしてるんでしょうが、これは閉店になった後のスナックのカウンターに入り込み、嬉々としてコップを洗ったりして常連面する変ななじみ客とその精神は一緒です。

     本書を読んでいくとわかるのですが、実は著者は別に「粋」を語っているわけではありません。むしろ、その場に合わせた常識的な振る舞いについて語っているだけです。
     だけど、そこに著者の生き方や美学が反映されています。寿司屋でもう一つ言うと、著者はやたらトロを食う奴に眉をしかめてます。「金があるからとバクバク食うもんじゃない、他の客が食えなくなるから一つ二つ食ったらおしまいにするべきだ」と店や他の客のことを考えて振る舞えと説くわけですが、そういうところに本当の美学が宿っているように思います。
     男の美学、そして人間的な余裕、そういうものがダンディズムの重要な構成要素なんでしょうね。僕に足りないものばっかりです…

     ただ、読み進めると「アレ?」と思うような記述に出合ったりもします。

     74頁以下では「浮気」という項目で、浮気について語っていたりします。うん、ここはさすがに作法もクソもないですよね(笑)

     天ぷらの項では、「天ぷらは揚げたてが美味いのだから、親の敵に会ったようにかぶりつけ」とあり、店の親父だって一番美味しい時を狙って出してんだから…と料理人に敬意を払う話に納得します。「腹を空かせて行くのが料理屋に対する礼儀なんだよ」というのは、仰るとおりです。続いて、料亭でも出されたものはすぐ食べろ、そういうタイミングで向こうは出してんだ、という話に。
     ここまではわかるのですが、雲行きが怪しくなるのは、その料亭の名前が「吉兆」だということ。

    《どうしても腹がすかせないで、おつき合いで行って食べられそうもないという場合は、むしろ手を付けないほうがいいんだよ。
     仲居に、
    「あと、何が出るの?」
     と、聞いてもいいんだな。で、仲居が何と何ですと教えてくれるから、
    「それならぼくは、あとのそれを食べるから、いまちょっとおなかいっぱいだからこれは結構です」
     と言って、手をつけずに最後きれいなまま下げてもらう。そうしたら、せっかくのものが無駄にならないでしょう。だれが食べたっていいわけだから。》(83頁)

     い、池波先生…実はそれで「船場吉兆」という料亭がつぶれるくらいの大問題になったんです…


     ま、そういうのもありますが(笑)、飯の食い方、酒の飲み方、着るものに人生諸事全般について粋とは何かを教えてくれる人が身近に居ない方は、是非本書をひもといて下さい。池波正太郎大先生が粋な口調で教えてくれます。

  • すかっとするなぁこの人の生き方というか性格。

  • 昭和の時代に書かれたものだし、池波正太郎先生の生きてきた時代背景を考えれば古臭いところがあるのは否めない。
    しかし、それを差し引いてもこの本からは学ぶべきところは沢山ある。
    特に共感したのは「日記」「万年筆」なんかである。
    若い人は読んでおいたほうが絶対いい!

  • 池波先生の人やモノをみる視点が堪らないね!
    もう何度、読み返したことか・・・

  • 自分で考えて、判断する。それが男だ。


    「他人に時間の上において迷惑をかけることは非常に恥ずべきことなんだ。」

  • 2回目。箸休め的につい読んでしまう。古い本なので、もちろん時代錯誤な所もあるが、今読んでも粋だなぁと思う。また数年後に、きっと読み返すと思う。

  • ひとつのことをやりながらつねに他のことにもきをくばる
    神経の回り方、体で覚える
    同じ時間に二つのことをやる、パット感覚で反射的にできるように日常のつまんないことで肉体を訓練する
    仕事のやり方が違ってくる

    理屈だけでは世の中わたっていけない
    人間そのものが理論てきに成立してない

    異論なめんで客観視するくんれん、色の感覚をみがく
    じぶんにあうきちょうのいろというのをいめる
    靴とネクタイは色をあわせないとおかしい
    おしゃれは自分のためにやる、じぶんのきぶんをひきしめる
    自分はどういう形のものを主張するのかを決める
    指の先を引っ掻ける

    ぶんそうおう、そのときの自分にあわせて、そもそもなんのためにそのものをもつのかを基準にする
    20さい、ライターカルティエ
    一転豪華主義はおかしい
    時計がおかしい、
    読み方が会得できる
    新しい時代感覚、
    ななめよみ
    熟読本
    日本人は感覚のこくみん、りくつでない
    わかいじだいにいろんなことをくびをつっこむ
    きぶんてんかんがうまくできないとだめ
    しんけいふといとばか
    すみからすみまでよく回る細かい神経と同時にそれをすぐ転換できてそういうことを忘れる太い神経ももってないと、両方をあわせもってないとにんげんはだめ
    英雄は神経細かい、英雄豪傑。
    自分にあったやり方でかいたくする
    気分転換のケースをたくさんもつために首を突っ込む
    麻雀は時間かかりすぎる
    絵描きになるつもりはないけどたのしみにかく、
    美術の本を見る、そのことだけでもきぶんてんかんできる
    貪欲にいろんなものを吸収しようとする
    いろんなものに応用できる
    どういうえをおあつめか
    銀行かとえ

    男の維持夢ロマン、だれにも真似のできない特技を身に付ける

    休まず遅れずははたらかず

    自分をみがく

    大勢の人を使ってひとつのことをまとめあげていく、そして初日の幕をあける

    一人で旅にいくと自分がわかる
    旅に出ることのひとつ

    演出をやることは自分を知る非常にいい機会

    すべてごぶごぶ、一日だけでも余裕をもって
    あまり期待しないで最悪の場合を想定しながらやる
    人間の予測が全く宛にならない
    落ちることを考える、最悪の場合を想定しながら自分のやるべきことはやる
    いつもごぶごぶ、はいるかもおちるかもごぶごぶ、戦士も五分五分
    その日から仕事ができる、時間のロス

    チップをやる、100えん、タクシー
    サービス料
    自分も世の中から恩恵をうけている、自分の世の中にできる限りは報いなければならないのが男をみがく
    形に出さないとわからないんだよ気持ちというのは
    ありがとうなんて安売りできるんだから
    100円は身銭を切ってだしたもの、気持ちが通じる

    おくりもの
    ネクタイ送るときはスーツしってないと
    ふろおけ
    ステッキ
    手紙を送る
    気持ちを率直にだす
    年賀状、絵を描く
    カレンダー
    時間の活用むずかしい
    3ヶ月単位、3か月先を見越したうえで現在の時間を使っていく、全て前もって前もってことを進めていくのが時間の使い方の根本
    時間の余裕をたえず使っておく
    まとめてたばこを買っておく

    他人に時間のうえにおいて迷惑をかけることは非常に恥ずべきこと

    男にとって結婚とはなにか

    自己本意の考え方が強い女!女の見分け方
    自分の女房にするかまず考えるとき女のなかでは他のことにも割合気が回る女かどうかということ


    はなしがおわるとがちゃんはだめなおんな

    電話のかけ方

    自分本意
    神経の回り方
    神経をはたらかせる訓練
    機会が麻痺させる
    家でごろごろ
    シーズンオフ
    京都は12月
    2.12.6月が旅行の楽しみかた

    たえずきゅうしんりょく、たえずそのことをおもってたら段取り、しぜんにそうなる

    結婚式と新婚がゴール?

    新婚旅行は水入らず観光シーズンはずして、落ち着いて水入らず
    人生の最大のハイライト
    新婚は一ヶ所か二ヶ所か
    これじゃ思い出にならない
    結婚したときに、いわなきゃ、母親をしかる
    ひとつのことをやるとき、どうせやるなら自分だけじゃなくてもっと色々な人に利益になるようなことはないか
    女の力女の責任
    浮気とは、
    おんながいっしょならおならだめ
    恋人ならあばたもえくぼがまんしちゃう
    30前に結婚、40暗いに女ができる
    はりあう、
    この人の女房になれなくていい人はいない
    あえるときにあいたいひとはいない、けんびきょう
    はりあう、男が苦しむ

    浮気のテクニック、あくまで浮気にとどめる
    いつだれにとられるかも

    女の肉体の方が強い、肉体的なもの
    アダムとイブ以来
    女がいかに恐るべき生き物であるか


    男の運を落とすのは女、女の運を落とす男もいる
    男の運を落とすのは女の責任

    男はわかれるつもりはない、女は浮気とは見ないのが女の気持ち、男は悪妻でないかぎりもどらないわかれることはありえない
    夫と年が違う

    夫婦もドラマチッスでない、顔まで画一化されてる

    いきる
    楽しみとしてやらなきゃ続かない
    人のいやがる仕事を進んでやる
    そのときの仕事をたのしむ
    さしおさえたのしむ
    仕事に身銭を切る!お茶くれる人に心付けをする、気分が違う
    若いうちにしかできないことやる
    自分にたいして将来役に立つ投資をする時代
    映画キチガイのほうがいい
    芝居の配役が人事
     おとこのみがきどきというものがある、苦境にたったとき、安穏なときにこそじぶんはなにしなきゃならない、70まで36年
    自分が死ぬということをしっかり考えろ
    自分は死ぬことに向かって生きているんだ

    忘れるように生きている
    いきているうちに

    幼児体験によってきまる、男をみがく
    人間一生は半分は運命的に決まっているかもしれない、だけど残り半分はやっぱりその人自身のもんだい、磨くときに男をみがくかぎ肝心、男はなんで自分をみがくのか、人間は死ぬというかんめいなじじつをできるだけ若い頃から意識する
    自分のまわりのすべてのものが自分をみがくためのみがき砂だということがわかる
    みがき砂としていかそうというきもち
    あさきがついたらいきがとまっていた大往生
    苦しみが少なくて眠ったように大往生

  • 昭和世代、こうありたい、しかし叶わぬ令和時代。学ぶところ多々あり、実行出来ぬ事ほとんど、でも夫婦と親子の関係は同じはず。作法を心得にして暮らしてみよう。

  • 大好きな池波先生のエッセイである。

  • 男の作法ってより池波正太郎さんの作法だな

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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