おせん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.63
  • (12)
  • (32)
  • (26)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 253
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156262

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 昭和40年代に雑誌に掲載された13の短編集。女性が主人公の作品ばかり。その頃の女性を横目で見ながら、江戸の市井の女性を登場させているであろうから、その頃の読者に伝わるのだが、現代の読者、特に若い女性が、読んで共感できるであろうか。興味深い。2018.8.20

  • 女の業の深さは江戸も今も変わらない。

  • 短編集としては、まあまあ楽しんだ。しかし、男性の筆者目線による「女というのはこういうもの」というネガティブな決めつけが地の文で堂々と語られるのは正直気分が良くない。解説で好意的に説明されている筆者の「(特に若い)女性への厳しい眼」とやらにもマンスプレイニング的なものを感じ、萎えた。

  • 茶屋の客に身請けされたおせんが別の客(こっちは評判も良くなかったしちっともいい思いをしなかった)のお母さんを押し付けられる話(いや、こんな雑な設定じゃないけれど)
    意外に上手くいくのは凸と凹が嚙み合ったからか、相手を尊重し合えるふたりだったからか。。。

  • どの短編も意外性のある展開で人物たちにも説得力があって、読み応えがあった。
    さすが名人。

  • 今まで読んできて「これは面白い!」と思った小説の基礎みたいな話のオンパレードでした。
    昨今流行りの小説家は、池波正太郎さんの小説から着想を得ている作者が多いんだと分かりました。

  •  自堕落な生活をしていたおせんは、島流しになった男の老母おみねを押し付けられる。しかし、おみねは。 
     という表題作を含む13作の短編集。いろいろな意味で強い12人の女性と1匹の雌猫が主人公。朗らか、壮絶、痛快、ほろりと結末も様々で、どれも面白い。女性が読んだらどう思うのかな。

  • 女性が主人公の短編13編。この時代、女性が生きていくのは大変だったんだなー。

  •  池波正太郎さんの女性を主人公にした短編13話、どれも読み応えがあり面白かったです。「おせん」、1985.9発行。蕎麦切お園のプライドや良し。陰謀により殺された父の仇を討ち見事切腹したりつ23歳の男顔負けの潔さ。おせんと老婆おみねの二人の関係、一番のお気に入りです。夫金之助の仇である剣の達人弥十郎を捨て身で討ち取った八千代の心意気、それを黙認した佐々木瑠伊の心や良し。お千代(猫)と白狐の話も魅力たっぷり。虚弱な美女おきぬと健康な大女お道の話は味わい深いものがあります。池波正太郎の「おせん」、気に入りました。

  • なかなか愉快に読んだ。肩の凝らないさらりと短編でした。特に表題の「おせん」が良い。全ての人が幸せなハッピーエンドだから。まさか人間万事塞翁が馬?

  • 江戸時代の女性たちを堪能いたしました。
    いい女、悪女、お話毎に個性豊かな女性たちでしたが
    みなさん共通して強か!!
    そして色っぽい。

    最初のおはなし、蕎麦切りおそのさんはついついお蕎麦が食べたくなるし、
    お千代ではおかかおにぎりが恋しくなる、そして猫と生活したくなる。(怖いけど)

    きっとふとしたときに読み返したくなる作品です。

  • 最高。江戸時代の生活様式の中での激しい女性感が素晴らしく良かった。

  • 主に女性を主人公にした十三篇の物語。

    「三河屋お長」の「それが男の口ぐせとも知らず“不作の生大根”という罵言にかっとなり、思わず殺してしまった世間知らずの娘」というあらすじに既視感を覚え、でも読んだ記憶は全くなく?と思って本棚を漁ってみたら、鬼平番外編の『乳房』のあらすじとほぼ同じであった。

    女のバックボーンも人生も全く違うのだが、“不作の生大根”呼ばわりした男を殺してしまい、その後色々あって大店のお内儀となった女の前に老婆が現れ、その老婆がかつて殺した男と関係があり、男が誰にでも“不作の生大根”と言っていたことを知る、という流れは一緒。

    「三河屋お長」の初出は昭和四十四年とあり、『乳房』は昭和59年の発刊であるから、筆者はかつて書いた作品をベースにアレンジを加え『乳房』を執筆したのであろうか。

    確かにここに収められている短編はどれも、いくらでも話を膨らませて長編にできるほどの秀作・名作ばかりだった。

  • この「おせん」は13編の短編小説でつくられている。そのいずれも、主人公は女性である。善良な女性もいれば、性悪な女性も登場する。その一人一人を短編小説の名手・池波正太郎氏が完璧に描き出す。難しい5,60枚の短編小説が命を持って歩みだしている。

  • 13の短編が。
    オンナのすごさを 痛感させる。
    池波正太郎は やはり、オンナのキレがいい。

    蕎麦切おその
    そばしか食べることができない おその。
    おそのの そばで 店が繁盛するが、
    店の旦那と つきあったと勘違いされて。
    おそのは,いいわけもしなかった。

    烈女切腹
    りつは 評判の悪い 側用人 渡辺茂太夫とその息子を 切り捨てた。
    それは、父親の仇だけでなく、ある想いがあった。
    御家の大事と保身に走るサムライを尻目に 道を通す。

    おせん
    おせんは 弥四郎というオトコとつきあったことがある。
    弥四郎の妻は おせんのお陰で 生活ができなくなったと
    弥四郎の母親を おせんにおしつけるのである。
    おせんは 最初は いやがったが 
    弥四郎の母親に興味を抱くのだった。

    力婦伝
    さつは 人並みはずれた 力を持っていた。
    それで、嫁に行く先もないが、武家奉公することになった。
    道女はいじめられてばかりいたが、さつは それをかばった。

    御菓子所・壺屋火事
    惣次郎は 気だてのいいオトコでよく働く。
    そんな惣次郎に対して 冗談を言うやつがいたのだが
    それを真に受けた 旦那がいた。
    そのことで、牢屋に送られるのだった。
    それを慕う お伝は。

    女の血
    八千代は 貧乏な食い扶持の金之助と結婚できたが、
    横恋慕した弥十郎に 金之助が殺されてしまう。
    八千代は 女だてらに 仇をとろうとする。
    それで,道場に 剣術を習いにいくが。
    その道場主に手込めにされる。

    三河屋お長
    不作の生大根と言われた お長は そのことが気にかかっていた。

    あいびき
    お徳はものたらない生活に、はけ口をもとめた。
    それを 文吉にみつかって、25両を要求された。

    お千代
    大工職人松五郎は、お千代という猫をかっていた。
    嫁なんかいらないと思っていたが 棟梁から結婚しろと勧められる。

    梅屋のおしげ
    おしげは 顔一面のあばたができていた。
    そのことで、辛い想いをしたが お姉さんが励ましてくれていたのだが。

    平松屋おみつ
    おみつは キセル職人の父親と暮らしていたが、
    父親が 斬殺された。
    そして奉公にでて おりんと言うしつけの厳しいおかみさんに
    教育を受けて、りっぱに 成長する。

    おきぬとお道
    オンナは 顔だけで判断してはいけないのだ。

    狐の嫁入り
    枕元に キツネがでて,結婚ができないので
    おいておくれと懇願された弥次郎は、承知したが。

    いずれにしても オンナが 生き生きとしているのだ。

  • 江戸の女たちの生きざま、あれこれ。

    抜群に文章が巧ぇ。
    平伏したくなる構成力・表現力。
    無駄がなく、淡々としているのに、
    色気や情緒はある。

    「こう読んでほしい」という嫌らしさは感じないのに、
    知らん間にエスコートされている。
    簡単に読める。でも、簡単に書けない。

    まさに、粋人・池波正太郎だぜ。


    池波の書く女は、本当に格好いい。
    じめじめしたところや危うさなど、女性性は十分にあるのだけれど、
    それがあるゆえに、たくましく美しい。
    とりあえず、読んだ後モヤモヤは残りません。

  • 池波正太郎の小説は、日本語が綺麗で、人や風景の描写が丁寧。ストーリーも現実味たっぷりで、変な甘さがない。久しぶりの池波ワールドを堪能しました。

  • 全て、女性が主人公の13編。
    しっかり者、性悪女、美人、不器量…様々な女性たちがでてきます。
    学ぶところはいっぱいありそう…。
    それにしても女というのは不思議で恐ろしい生き物だ。

  • 短編十三話がギュッと詰まった一冊。どれも女性がテーマ、池波正太郎の理想の女性像らしいですょ。

    中には日本昔話大人版、そして江戸時代だけではなく幕末から明治にかけての時代背景のお話もあり。

    どれもこれも時代劇にしてもおかしくないお話ばかりで、とても楽しく読めました。

  • 2009/12/10完讀

    全以女性為主角之短篇小說集

  • 歴史小説ブーム

    メインが侍小説ならサブは市井もの
    娯楽小説として充分とてもおもしろいんだけど、女性観ひっかかるので風呂ドボンしたい(読み返すのでやんなかった;

  • 090228(n 090411)

  • したたかでずるくてあたたかい女たち

  • 全13編の短編を収録した作品。女性を主人公にしているんですが、女性はよく分かりません。言い意味で。(笑)

全26件中 1 - 26件を表示

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池波正太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×