真田太平記(六)家康東下 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156392

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  • 6巻家康東下

    秀吉の死後着々と力を付ける徳川家康。
    昌幸は秀吉贔屓ですが、ところどころで秀吉の采配に疑問を持つところもありました。
    家康に対しては、気に入らないけれどその采配や覚悟に感服するところもあるようです。

    上杉景勝と、石田三成はそれぞれ家康を排除しようと動きます。
    家康は上杉景勝に対して兵を挙げ、さらにその家康に対して三成が兵を挙げます。
    関ヶ原の合戦と言うのは後世から見ると家康楽勝で三成無謀として描かれることもありますが、ここでは家康はかなり決死の決意と大胆かつ綿密な計略をたて己の一心の決意で事の準備を進めていきます。

    そして三成は事前にだれにも相談せず己の信念で誰も巻き込まず準備を進めて実行しました。
    いよいよことを起こし、そこで初めて全国の武将たちに使者を出します。

    時代劇なんかでは、三成に味方になってほしいと言われた大谷吉継(幸村の妻の父にあたる)はしばし考えるがその場で決意したように描かれますが…実際は3,4日かけて三成を説得して説得して説得してそれでも決意が変わらないので味方に付いたということのようです。

    真田家はどちらに味方に付くかの決断を迫られます。

    昌幸は嘆きます「事前に打ち明けてくれれば!」

    そして真田家大イベント「犬伏の別れ」に。
    真田がメインでない歴史ものでも「父と弟が西軍につき、兄は東軍につく」という場面は取り上げられますね。

    こちらの小説では、昌幸、信幸、幸村は語らいも不要でお互いの態度や目が語ることから、お互いに相手を説得することを諦めそれぞれ自分の道へ進みます。


    昌幸が三成に着いたのは、家康キライ(ただしこの度の挙兵の見事さには感服)、三成にはまあ好意(ただし家康側の居城をまとも射落とせない三成川の武将たちに今後の不安を感じてはいる)、そして景勝に将来秀頼の筆頭家老として天下人の補佐役をやってもらいたい…という思いがあったようです。
    す。
    そして当時の武将たちの考えとしてはあくまでも豊臣家家臣として家康と三成が争うというものであり、家康が勝ったからと言ってすぐに家康の天下になるなどとは思っていなかったようです。

    しかし豊臣家の家臣同士の争いと言うなら、五大老と五奉行の大半は三成側なんですよね。五大老のうち毛利、上杉、宇喜多、小早川。つまり家康以外のみなさま。
    五奉行のうち三成の味方は増田、長束。他に前田玄以は両方に良い顔で、浅野長政は家康側。
    この秀吉が直接「秀頼をお頼み申す~~」と遺言したメンバーの大半が三成側で、家康に味方した大名方は「徳川さまは秀頼公のために三成を討とうとしているのだ」って本当に思っていたのか?

    まあそんなこんなで日本全国東軍西軍に分かれそれぞれがそれぞれの思惑を巡らせて第6巻終わり。

  • 関ヶ原前夜。というよりも、実質的に「関ヶ原」は始まっている。さらに言えば、この時点で西軍は既に負けているということが、本巻の終盤から読み取れる。原因は、言うまでもなく石田三成その人のパーソナリティにある。

    本巻は関ヶ原本戦前夜の話が中心なので、所謂「犬伏の別れ」ももちろん出てくる。ただ、真田家の今後を左右する重要な出来事であるにも関わらず、割とあっさり書かれている。おそらく、昌幸・幸村と信幸とも意を固めていて、犬伏はそれを確認する場に過ぎないという池波の意図があるのだろう。

    あくまでも物語からだが、徳川家康という人物は相当な勝負師である。もっとも、稀代の勝負師だからこそ、江戸幕府を築くことができたのだろうが。

    家康と三成との差は勝負師であったかどうかだろう。

  • やっと読み終えた第6巻。
    手こずった。
    三成VS家康開戦までの盛り上がるところなのにこのところテレビドラマにばかり目がいってしまって。
    次巻からはついに関ヶ原、真田親子の戦いがどうなるかこれこそこの作品の山なのだからテレビに負けないように頑張って読み進めよう!

  • ついに徳川家康と石田三成・上杉景勝らの対決は避けられぬものとなった!
    徳川の天下を見通した兄・信幸と、上杉景勝に恩義を感じる父・昌幸、弟・幸村は、真田家の未来について決するべく一堂に会する!!

    戦国の世を生き抜いた武将たちと、豊臣天下の官僚である石田三成の、戦時における判断力の差が描かれ、後の関ヶ原の結果を暗示する。

    池波正太郎の描く犬伏の別れの情景は、情感深く、絶品だ。

  • 犬伏の別れや小山評定など、見どころいっぱいの巻。
    結末は分かっていても関ケ原へのボルテージが高まる。
    又五郎と佐平次・佐助の関係は、これまで伏線があったので「やっぱり」という感じであったが、表に現れるとそれでも面白い。
    この巻から登場の滝川三九郎、物語とどの様に関わってくるのか、これも楽しみ。

  • いよいよ家康が動き始め、真田家が二つに割れる。
    関ヶ原に至る前哨戦で三成の欠点が露見する。自分の身の回りにも三成はたくさんいる気がする

  • 【読了メモ】真田父子の分かれ道…ここで泣かずしていつ泣くのか(※通勤途中の電車)

  • いよいよ関ヶ原へ。

  • 秀吉死後に着々と勢力を広げる徳川と三成たちに決定的な溝が生まれ、どちらに付くのか決断が迫られ真田は遂に2つに分かれる。関ヶ原前までの両陣営が各大名への働きかけや生き残りへの思惑などの駆け引きが面白い。もっともらしい大儀が空しくなる大名たちの思惑や徳川軍と西軍の人身把握の違いも顕著な描き方がされ、三成の人望と現場を知らない決断力の無さを強調している筆者である。やはり分かれてしまう真田家家中のやり取りは武人らしいというか爽やかというか何とも言えない趣があり読み応えがある。小競り合いをしつつ関ヶ原へ。

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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