真田太平記(九)二条城 (新潮文庫)

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著者 : 池波正太郎
  • 新潮社 (1988年1月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156422

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真田太平記(九)二条城 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 第九巻「二条城」

    関ヶ原敗戦後、命を取り留め流刑地紀州で大人しく暮らす真田昌幸・幸村親子。
    幸村は子供も増えました。
    便宜上この小説では娘二人と息子一人を子供としていますが…もっと沢山いたようですね。暇だったんだろうなあ(苦笑)

    さて、作者はこの時代の武将では加藤清正を評価しています。
    若いころは武力だけの人だったのが、その後の経験が彼を育てた、知力、交渉力、築城に経済、すべてにおいて才能を磨いていった…と褒めています。
    そして加藤清正は、自分こそが豊臣と徳川の橋渡しになると覚悟を持ちます。

    豊臣の主は大阪城にいる秀吉の遺児の豊臣秀頼。
    作者は「母の淀殿が秀頼が家康に暗殺されるのではないかと心配するがあまり広大な大阪城敷地内から出さず、そのために若いのに肥満気味なのが残念だが、
    顔立ちは端正、体格は立派で、立ち居振る舞いは貴公子、書物の才能も優れている」としています。
    それまで大阪城に引き籠りだった秀頼ですが、清正が強引に対面すると、天下の情勢を悟ります。
    加藤清正や浅野幸長の必死の仲立ちにより、二条城にて家康と秀頼の対面が叶います。
    京都に入った秀頼は、民衆から熱烈な歓迎を受けます!
    もともとの秀吉人気のうえに、秀頼の立派な風貌にすっかり民衆は大喜び!

    …それなら大阪城に引き籠らせてなくて、民衆に自己アピールしておけば民衆を味方につけられただろうに…。

    家康は威風堂々たる豊臣に危機感を募らせます。

    九度山の昌幸・幸村は、いつか大阪と関東の戦が起こる、その時は九度山を抜けて駆けつけよう…それを励みに生きていますが…

    ほぼ立て続けに加藤清正、真田昌幸、浅野幸長が死去。
    こうなると豊臣秀頼を世間と結ぶ者たちがいなくなり、そして結局大阪城引き籠りに。

    真田の草の者たちも、家康を暗殺するか、戦場での正面対決を待つか意見が分かれ…
    全国の忍びたちの在り方も変わりつつあります。
    真田の草の者たちは息を潜めつつ力は蓄えていますが、他国には時代遅れになって老いていく忍びたちも。
    この巻では料理人として入り込んでいる忍びたちが暗躍します。
    普段は完全に料理人となり主君に仕えているけれど、実際の主君はまた他家の武将であり、命令がくれば忍びとして働きます。
    そしてその命令を果たした後はまた料理人としての日々を過ごします。

    この時代のいくつかの不審な死を作者は「忍びの仕業」としてうまく物語化しています。

  • 20170210
    加藤清正、浅野幸長が相次いで暗殺され、家康による豊臣家壊滅の野望が愈々最終章: 方広寺梵鐘事件へと急転する。平和裡の均衡から一転、再び関ヶ原のリベンジ戦へ。牢人の蠢動、忍びの暗闘、今ふたたびの機運の中、無念、昌幸がこの世を去る。滅びゆく人々の愚かさと、ねじ伏せる人間の醜さ。それでも尚、正義に生きようとする者たちの煌めき。人間に対するあらゆる絶望の中に、一筋の希望を見る。

    ー淀の方をはじめ、豊臣家の人びとも且元同様に、(こたびも、いつしか無事にすぎていく、、、)ことを期待しながら、その期待を実現するための行動にはおもいおよばぬ。一時は繁栄をほしいままにした一団体、一組織の衰弱が此処に在る。本能的におのれの衰弱をさとっているがため、行動ができぬ。なにをしようとしても、不安がつきまとう。だれもが責任を逃れようとし、今日いちにちの無事に、辛うじてすがりついているのみとなるのだ。

    ーこの時代の、日本の武士たちは、余分の言葉を吐かぬ。言葉にして、口に出してしまうと、かえって胸中のおもいを言いつくせぬような習慣というか、無意識の感覚があった。

    ー「父上。かくなれば、迂闊にあの世へはまいれますまい」(秀頼の家康二条城謁見の堂々たる立ち振る舞いを知り、幸村が昌幸に)

  • これまで不満だったことの一つが解消。
    食べ物の描写がここにきてようやく読めた。
    シンプルな料理を美味そうに描いてくれる、たまりません。
    池波作品はこれがないと物足りないね。

    ささ次巻へ。

  • 奥村弥五兵衛の死、家康と秀頼の対面、浅野長政・加藤清正・真田昌幸の死、方広寺鐘銘事件。

  •  方広寺の鐘銘事件に代表される容赦のなさ、全力で権力を保持・安定化しようとする様が、家康の長所・短所を雄弁に語っているかのよう。

     そして、加藤清正・浅野幸長の突然の死を、家康側による暗殺として展開する描写が、これを助長する。

     司馬「関ヶ原」「城塞」でもそうであるが、淀君ら秀頼周辺の愚劣さ、無知蒙昧さ(というより悪しきロマンティスト)をこれでもか、と抉り出すが、本巻もそれに漏れない。

     そして、サイドストーリーの核を構成していた猫田与助のお江への執着。その訳が明かされる…。ああ、男とはなんと愚かでバカなのだろうか。

  • 甲賀の暗躍により清正暗殺。
    大阪方と関東の手切れも決定的となる。真田の草の者も弥五兵衛が倒れる。ここへ来て猫田与助がカッコ良く思えてきた。人の執念は偉大だ。

  • 九度山に移ってからは、幸村の話は少なくなってしまった。その代わりにと、京や上田の状況をつかもうと命がけになる草の者たち。
    さすがに年月が経ち、お江も若い頃のようには動けず瀕死の傷を負う。
    大坂城からほとんど出たことのなかった19歳の秀頼は、たいそう立派な体躯で家康を脅かす聡明さだった。
    片桐且元の描写は、読んでいるだけでいらいらしたりはらはらしたりで、決断力のある有能な側近がいれば豊臣側の態度も変わったのにと感じた。
    昌幸は九度山で静かに亡くなっていた。
    いよいよ冬の陣へと向かっていく。

  • 最後まで豊臣家を支えようとした加藤清正の死はショッキングだった。しかし、加藤清正の娘が紀州藩に嫁ぎ、その血が八代将軍吉宗につながっていると知って、歴史の皮肉だと感じた。

  • この巻では加藤清正の毒殺や真田昌幸の永眠等大物が亡くなってる。しかし家康の動きはあまり無い。真田にとっては次の家康打倒に向けて策を練っているのか?自分の境遇を知ってしまった樋口角兵衛は真田とどう接していくのか。人間模様がとても面白い。次に淀君は秀頼とどう滅亡していくのか、興味が尽きない。やはり人間 徳が大事だと思う。

  • 人生は限りあるもの

  • 関ヶ原に勝利した家康が、天下取りの為に豊臣側に策を次々に打つ。加藤清正、浅野幸長は暗殺の匂いが。方広寺の鐘楼文字のこじ付け、大蔵卿局と片桐且元への対応。勝利が正義の歴史がここにも。2016.2.7

  • いろんな人が鬼籍に入る巻。主要人物も老いていき、ひとつの時代が終わったという感じが濃厚になる。一瞬輝いたかに見えた秀頼も、そのまま光を失っていく。どのように一生を終えるか、という局面に誰もが立たされている。難しいけれど、人間にとって究極の問題なのだよなあ。

  • 池波さんの真田太平記のなかではちょっと展開がお休みな所だが、よくよく考えるとここがポイント。
    家康、秀頼と淀君、そして真田の考え方の推移。楽しくて仕方ない。

  • 久々に読んだので、人間関係を思い出しながら、だった。
    大坂の陣にだんだん近づいていく予感。
    楽しみ!

  • 秀頼が貧弱で取るに足りない子供と、家康が伏見の会見で思っていたら・・・。そうだとしても、家康は豊臣家を放置はしないだろう。幸村は予想通りになりつつある状況に備える。角兵衛の動きが気にいらないね。

  • 加藤清正も真田昌幸も死亡。。豊臣家を必死に守ってきた清正、無念。

  • 最後に勝つのは長寿と子だくさんなのか.
    加藤清正については,朝鮮出兵,虎退治,熊本城,ぐらいのイメージしかなかったが,恐れ入りました.戦のない世界を築くために徳川と豊臣の仲を取り持つことに腐心する清正と浅野幸長.しかし,真田昌幸,浅野長政,清正と幸長が相次いで亡くなり,いよいよ方広寺事件がおこる.
    関白になるって言うことは,そういうことなのか.

  • 二条城。加藤清正がカッコイイ

  • 豊臣秀頼が歴史の表舞台に現れ始めるころを描く巻。

    戦国時代の武将が、病み衰え、亡くなる場面が描かれる。
    その中にあって、徳川家康一人健在を誇る。
    偶然なのか、必然なのか。
    この本にあっては、それは「忍び」による必然として描かれる。

    歴史の檜舞台の役者を引き摺り下ろす力を持つ「忍び」。
    にもかかわらず、表だって報われることはない。
    ではなぜ、そんな力を持ちつつ、報われず大きな役割を、命を的にかけつつ果たすのか。

    そこが判然としない。

  • 二条城で対面した秀頼に不安を感じた家康は強引に豊臣を滅ぼす施策を徐々に進めていった。徳川の諜報網の分厚さと凄まじさが如実に表れた巻。草の者たちの諜報や逃避行もスリリングに描かれるがちょっと影が薄くなるほど凄まじい。重要な人物の死と強引かつ綿密なシナリオで追い詰めていく家康のまえに豊臣側はあまりにも無策だった。城の中で引きこもり物言わぬ側近ばかりで固めては世情が見えない。真田も大きな支柱を失いながらも堪え忍ぶ日々も終わりに近づく。不思議キャラの角兵衛が不穏な動きをみせ相変わらず訳の分らんキャラだ。

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