真田太平記(九)二条城 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156422

感想・レビュー・書評

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  • 最初の章が「料理人・永井養順」でどうした?とはなるよね。
    そして、もうほぼほぼ真田太平記最後まで読んでるんだけど、未だにこのタイトルは不思議だわ。梅春が章のタイトルになるならまだしも。

    そんな不思議体験の始まりから清正の話になり、秀頼と家康のくっついたり離れたりの微妙なカップルの話みたいなのを読まされる。
    長政からピタゴラスイッチ的にパタパタと死んで急に寂しくなるし。

    そして、もう角の振れ幅がオンとオフしかなくなったかの様な事になって可哀想だな。

  • 第九巻「二条城」

    関ヶ原敗戦後、命を取り留め流刑地紀州で大人しく暮らす真田昌幸・幸村親子。
    幸村は子供も増えました。
    便宜上この小説では娘二人と息子一人を子供としていますが…もっと沢山いたようですね。暇だったんだろうなあ(苦笑)

    さて、作者はこの時代の武将では加藤清正を評価しています。
    若いころは武力だけの人だったのが、その後の経験が彼を育てた、知力、交渉力、築城に経済、すべてにおいて才能を磨いていった…と褒めています。
    そして加藤清正は、自分こそが豊臣と徳川の橋渡しになると覚悟を持ちます。

    豊臣の主は大阪城にいる秀吉の遺児の豊臣秀頼。
    作者は「母の淀殿が秀頼が家康に暗殺されるのではないかと心配するがあまり広大な大阪城敷地内から出さず、そのために若いのに肥満気味なのが残念だが、
    顔立ちは端正、体格は立派で、立ち居振る舞いは貴公子、書物の才能も優れている」としています。
    それまで大阪城に引き籠りだった秀頼ですが、清正が強引に対面すると、天下の情勢を悟ります。
    加藤清正や浅野幸長の必死の仲立ちにより、二条城にて家康と秀頼の対面が叶います。
    京都に入った秀頼は、民衆から熱烈な歓迎を受けます!
    もともとの秀吉人気のうえに、秀頼の立派な風貌にすっかり民衆は大喜び!

    …それなら大阪城に引き籠らせてなくて、民衆に自己アピールしておけば民衆を味方につけられただろうに…。

    家康は威風堂々たる豊臣に危機感を募らせます。

    九度山の昌幸・幸村は、いつか大阪と関東の戦が起こる、その時は九度山を抜けて駆けつけよう…それを励みに生きていますが…

    ほぼ立て続けに加藤清正、真田昌幸、浅野幸長が死去。
    こうなると豊臣秀頼を世間と結ぶ者たちがいなくなり、そして結局大阪城引き籠りに。

    真田の草の者たちも、家康を暗殺するか、戦場での正面対決を待つか意見が分かれ…
    全国の忍びたちの在り方も変わりつつあります。
    真田の草の者たちは息を潜めつつ力は蓄えていますが、他国には時代遅れになって老いていく忍びたちも。
    この巻では料理人として入り込んでいる忍びたちが暗躍します。
    普段は完全に料理人となり主君に仕えているけれど、実際の主君はまた他家の武将であり、命令がくれば忍びとして働きます。
    そしてその命令を果たした後はまた料理人としての日々を過ごします。

    この時代のいくつかの不審な死を作者は「忍びの仕業」としてうまく物語化しています。

  • ほぼ全国は徳川の手に握られている様な現状で、それでも家康に屈したくはない淀君と秀頼の大阪方。
    対してなんとしても徳川政権を後顧の憂いなき様にと目論む家康。
    方広寺の梵鐘に刻まれた文字を反徳川とこじつけにして家康は力ずくで無理矢理の豊臣潰しにかかる。
    本巻は大坂冬の陣突入直前まで。

  • 真田太平記このシリーズの面白さ醍醐味が押し寄せてくる想いで読ませていただく。善と悪?弱者が強者に立ち向かう日本人特有の判官贔屓、という展開で物語は進んでいくのかと思っていたが、私の取り方ですが、現時点で真田父子に感情移入が仕切れない出来ない。真田父子(草の者も含め)が望む戦の先にある「大義」は何であろう?自分達の死に場所を見つける事?歴史に名を轟かせる事?家康を徳川を倒して創りたい世の中の構想があるか?ついつい考えてしまう。逆に徳川家康の「大義」は?戦の無い国を創る!富国泰平の世!私利私欲にまみれての「大義」で無いとすれば、立派な民が喜ぶ大願では無いだろうか?このシリーズの良いなと思う所の一つは読者が考え楽しめる事では無いだろうか!現時点で徹底的に家康を悪にしない事が良い意味で読者の試行錯誤を招いている、つくづく感じた九巻であった。
     更に言うと私自身、徳川家康のファンでは無いが天下人豊臣秀吉の愛息、秀頼を討つ事が家康の恩知らず、欲望の塊!どうしても良く観られない傾向?他の物語でも悪として描かれる事が多いと思うが、このシリーズでは秀吉はどうであったか?織田信長の息子(一族)をどのように扱ったか?という秀吉に対する疑問も投げかけている気がした。残り少なくなったシリーズであるがしっかりとこの後の展開楽しみたい!
     

  • 家康も必死だなぁ

  • これまで不満だったことの一つが解消。
    食べ物の描写がここにきてようやく読めた。
    シンプルな料理を美味そうに描いてくれる、たまりません。
    池波作品はこれがないと物足りないね。

    ささ次巻へ。

  • 2011.9.12

  • 主要人物である父・昌幸が世を去り、ついに真田幸村が世に出る大戦の時が近づく!

    淀君、秀頼の立場からすると、ここは彼我の実力の違いを測って、誇りや不安はさておき、国替えを飲むのが正解だったのだろう。
    家康の、政略で相手を追い詰め、暴発した相手を戦争で潰す、というムーブは、関ヶ原の再現。
    戦国武将としては、定石の一つなのかもしれない。

    池波正太郎は、現実を見る信之と、浪漫を追う幸村を描き分け、どちらかと言うと、信之に肩入れしているようにも見える。
    次の2巻はいよいよクライマックス!
    一気に読みたい。

  • 昌幸や清正、キーマンの死。
    関ケ原以来静かに燃えていた埋み火がいよいよ再燃。
    次回は大坂の陣。
    歴史が大きく動き出す。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=39376

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA87460568

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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