真田太平記(十二)雲の峰 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (573ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156453

感想・レビュー・書評

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  • 処分

  • 事後処理・その後・ミニエピソード。

  • 小野お通の格別の配慮で信之に届けられた幸村の遺髪。/長年、信之を庇護してくれた大御所家康の死。/樋口角兵衛の尾張家出仕と喧嘩の末の逐電、上田に突如あらわれ、意外やその後おだやかな余生をおくったこと/幕府からの真田家取潰しの陰謀を、お江からの通報により察知し、「わしの不明であった」とお江に率直に詫つつ(お江も信之への認識を改めつつ)、いち早く大御所からの書状という伝家の宝刀を準備し、完膚なきまでに叩き潰し、禍根となる馬場彦四郎を碁狂いの性質を利用しておびき出して誘殺。松代転封については、ありがたきしあわせ、光栄なことと即答し、先祖伝来守り抜いてきた土地、父や祖父への思い、怒りをぐっとこらえて。最後は、転封を惜しむ領民に見送られ、またその中にいたお江と住吉慶春見にも身送られつつ、出発する信之(完)といったところ。「悪しきことは、なかなかに、かたちとなってあらわれぬ。これが困りものじゃ」と信之が鈴木右近へつくづくと漏らした言葉が、後半部のベースとなっていることを感じつつ。

  • 長編小説堂々の完結。

    真田丸が放映中の頃から読み始め、
    五年もかけてようやく読み終わった。
    表の主人公幸村も影の主人公佐平治も既に亡く、
    一巻まるまるエピローグである。

    巻末に載っていたあらすじを読んで
    源次郎への義理だけでお江が一人で
    守る価値も無い真田家を守る話かと思えば、
    ここに来て何を考えているのか分からなかった
    兄信之の器の大きさがこれでもかと描かれる。

    父のような策略を使わず弟のように戦上手でもないが、
    裏表無く誠実かつ寛大に人に接する信之。
    この小説は史実を元に描かれたフィクションだが、
    最後に勝つのはこういう人なのかも知れない。

  • 長い物語であったが、不思議と飽きずに最終巻まで読み終えることができた。いつか、上田城を訪れたいと思う。

  • 今年の1月から読み始め、6ヵ月半かけて全12巻読了。最後まで生き延びた伊豆守信之が、将軍秀忠からの国替え申し渡しにより,上田城を追い出される。何ともやるせないラスト。

  • 全ては、この十二巻の為に描かれてきた物語。
    信之は、父や弟、妻などに次々と先立たれ孤独になっていってしまう。
    真田家のため、天下泰平のために生きた信之。
    本当にこれで良かったのか。
    『おもしろいほどに、人の一生は呆気ないものじゃ』
    これこそが、本当の信之の本心であっただろう。

  • 大坂夏の陣の後の話であり、真田昌幸も幸村も既に世を去っているため、読む前はエピローグ的な内容になっているのかと思った。

    確かにそういう側面もあるが、しかし物語はまだ続いていた。つまり真田vs徳川の闘いは終わっていなかったということである。

    前巻までは真田昌幸・幸村vs徳川家康だったのが、この最終巻では真田信之vs徳川秀忠になっている。もちろん、互いに武器をとってのドンパチというわけではないが。

    信之が松代に移るところで話が終わっているため、信之と秀忠のどちらが勝ったのかは定かではないが、松代藩は明治維新まで生き残ったわけだから、その意味では信之の勝ちではないかと思う。

  • 幸村が死んだのに、まだ話は続くのかと驚きを持って読んだ。主人公は一人というわけではなく、真田一族と草の者の物語のような印象を受けた。この書き方は珍しい。

    作者は9年間もかけてこの本を連載したという。それにしては、物語の繋がりの破綻もなく、伏線もあったりして、よく出来ているなと思った。

  • 2017.5.25
    いい小説。忍者が小説に入り込むことで、敵味方を俯瞰できたきがする。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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