まんぞく まんぞく (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156552

作品紹介・あらすじ

深夜、覆面をして、酒に酔った侍に喧嘩をしかけては、髷を切ったり川に投げ込んだりして楽しんでいる男装の女剣士。それは、十六歳の時、浪人者に犯されそうになり、家来を殺された堀真琴の、九年後の姿であった。真琴は、敵討ちを心に誓って剣術の稽古に励んだ結果、剣を使うことが面白くて仕方なくなったのだが…。女剣士の成長の様を、絶妙の筋立てで描く長編時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 家人が「池波正太郎を読んだら」というので読んでみたものです.
    面白かったのですが,通常読んでいるものと毛色が違うので,平均的な評価になりました.特に優れていると感じたのは文章の書き方です.それに対してストーリーのプロットはイマイチの感じでした.

  • 随分と以前に出版されたもののようだけど、ある日突然本屋さんの平積みに現れて、あらすじを読んでみたら女の子の復讐劇!忠臣蔵とかが大好きな性分なので面白そうだなと思ったのだけど、思っていたほどでもなかった。主題が途中ブレたな、という印象。出だしがピークという感じ。

  • 男装の女剣士、堀真琴の幼少期から結婚までの物語。主人公を取り巻く人々との関わり合いが楽しく読める。

  • <目次>

    <内容>
    主人公、堀真琴は『剣客商売』の佐々木三冬のような感じかな?と思ったが、ちょっと違った。関口元道も秋山小兵衛とはだいぶ違った。話は複雑だったが、最後まで一気に読み通せる面白さだった。山崎金吾も万右衛門も死んでしまうが、織田平太郎がいいところをみんな持っていった気がする。

  • 時は1766年とその9年後、1775年と翌年の話。ある事件をきっかけに女剣士の道を歩むが精神的にも若く自分の思う通りに行動していた。それを許す環境にあったのだが、やがて成長につれ心の葛藤を経ながらも目覚めたことで満足感を得、生活も落ち着くとういうハッピーエンド。著者の作品はどれも読みやすい。2023.6.19

  • 深川あたりの描写はいかにも魅力的で、風情では現在とは比べようがない。
    —————————
    「人柄と人柄が、ぴたりと合えば、おもいもかけぬ結果が生ずる。人柄が、合わぬときは、まとまるものも、まとまらなくなとてしまう。」

  • 剣術に没頭する女剣士の話。剣客商売の佐々木三冬のように最後は女の幸せを掴む。今の時代、これを女の幸せと言ってはいけないのかな。

  • あまりまんぞくしなかった。
    ジェンダー問題はともかく、真琴のキャラは都合により変えられてのキャラは都合により変わるし、平太郎の扱いは雑で薄く好感を持ちにくい。

  • 男らしさ、女らしさ、今は禁句なのかもしれません。私は、男は男らしく、女は女らしく、それが自然と思っていますが。ただ、その前に人間性が大事だとは思いますw。池波正太郎 著「まんぞく まんぞく」、1990.6発行。男装の剣士、堀真琴の生き様を通して、男らしさ、女らしさを描いた名作と思います。

  • 時代小説
    子供時代に暴漢に襲われ、父とも慕っていた家来を殺された旗本の娘は、成人すると深夜に覆面をかぶって武士にいたずらをするようになりました
    そして襲われたり襲ったりして、最後は女に戻る話

  • ちょっとした出来事が、波を呼び、それが大波になって押し寄せてきて逃げられなくなる。さらにその余波がまた繋がりあって翻弄される。この先どうなってしまうのだろうと楽しく読ませてもらった。
    直接的ではないけれど自分が原因で、父のように慕っていた人を暴漢から殺された真琴。仇を打とうと始めた剣術が、めきめきと頭角を表していき、次第に剣術そのものに魅了される。旗本の後継ぎという自分に与えられた立場も省みず、我が儘に暮らす。無礼な侍との出会い、信頼する恩人からの優しい説教のお陰で心境に変化が。
    主人公がいい人ではなく、壊れている。お鳥見女房の「主要人物がみんないい人」を読んだ直後なのでそれがまた良い。
    女々しい女と男らしい男たちが出てくるのも珍しいなあ。
    最後の急展開で「?」となってしまったけれど、落ち着くところに落ち着いたので読後感はさっぱりしている。この作家の別の作品も読んでみたい。

  • L

    作家が大御所。この手の読み手語りかけ文は個人的に興ざめなのだけれど、まぁまぁすんなり。
    真琴が曲がった剣の道と曲がった性格を突然180度変わっちゃうところが、なんていうか乙女というか可愛いというか、所詮おこぼだな、的な。
    平太郎の良きオトコぶりもいまいち端的すぎて伝わってこなかったかな。

  • まんぞくです!

  • 一気読みでした。

  • 十六で浪人に襲われ家来を殺された真琴は、それをきっかけに女剣士となる。
    道場に通い腕を上げ、ただの敵討ちのためでなく剣の道が面白くなり、養女となった叔父の苦労も知らず、自由気まま。
    だが、叔父の病状が進むにつれ真琴を取り巻く状況にも変化が訪れる。
    最後はまんぞく、まんぞく?

    2014.6.30

  • 家来を殺され、自らも暴行されそうになった女剣士の成長を描く長編。女剣士といえば池波作品の「剣客商売」に登場する佐々木三冬を思い出すがこの作品の主人公「堀真琴」もゾクゾクする魅力を秘めた姿に描かれている。圧巻池波正太郎。

  • 二人の無頼浪人に暴行されかかり、腹心の家来を惨殺された堀真琴が、剣の道に入り、男装の麗人として生きていく様を描いた物語。

    一人の人間として、そして心根はあくまでも女性として、細やかな女心の機微も描いた筆致は流石の一言。

    平成の世で、仕事に生きつつも己の生き方に迷う女性は大いに共感できると思う。

    たった一行だが、剣客商売の佐々木美冬が登場するのがちょっと嬉しい。
    ぜひ、二人を出会わせてほしかった。

  • まずまず面白い。
    こんなものを読んでないで、早く〆切のせまった原稿を書かねばならないのだが・・・

  • 名前につられて購入。ちびちび読みます

  • 男勝りの女剣術使い、真琴の物語。

    16の頃、無頼浪人に襲われそうになった真琴を助けたのが関口元道。しかし一緒にいた山崎金吾は殺された。
    仇討ちをしようと剣術に励む真琴だが、そのうち剣術自体が面白くなっていく。
    そして闇夜に侍の髷を切ったりするようにもなる。
    真琴を養女に迎えた伯父、堀内に「自分に剣の試合で勝てる相手となら夫婦になる」といい、困らせていた。
    そんな真琴を狙う者、そしてそれを救ってくれたのは・・。

    作者の著書は剣客商売ばかり読んでいるのですが、この話にも佐々木三冬その他の人物の名前が出てくる。
    特に真琴と佐々木三冬は「女剣客」として共通するものがあり、読むとつい比べてしまう。

    同じようなタイトル「ないしょないしょ」の方が主人公の性格が好みだった。
    しかし実際には色々な人間がいるので、これはこれで、まんぞくまんぞく。

  • 池波正太郎先生の作品です
    独りの女剣士が生まれた理由を
    過不足なく語り、師やが狭い未熟さでさえ
    ゆとりや愛情を感じさせる筆致で一気に
    読ませる

    佐々木美冬のコトがチラリと書いてあるのが
    面白かった♪

  • 強姦されそうになった真琴が、男を見下すようになったのは仕方がないことでしょう。
    でも、憂さ晴らしに、髷狩りをする真琴の成長した姿には感情移入できなかった。酷い目にあっても、自分を律した行動が取れる人物こそ、本当に強い人物の筈。理想論かも知れませんが、そんな格好いい人間でいて欲しかった。

  • 完本 池波正太郎大成23にて読了

    幼い時に母を亡くし、父に至っては名前しか知らない真琴。そして、16の時に、無頼浪人たちに襲われ、父親のように慕っていた奉公人を失ってしまう。
    その奉公人の敵を撃ちたいと、女剣士となった。
    育ての親である伯父との確執。
    お家の安泰か、女剣士としての自由な生き方か。

  • 昭和62年に発行された作品の文庫化。

    主人公は七千石の旗本、掘家の養女である真琴。
    16歳の時、自分を育ててくれた家臣を殺され暴行されかかったところを、偶然居合わせた老人たちに助けられる。

    時は過ぎ、九年後。
    真琴は敵討ちの目的で剣の腕を磨き、なみいる男など歯牙にも掛けぬ剣士に成長していた。

    剣の腕がたつためにしでかしたいたずらが、真琴に九年前の仇を打たせる運命へと引きずり込む。

    真琴は自分を助けてくれた老人たちの手を借り、復讐を遂げようとするが、掘家に一大事が起き、七千石の家を継ぐため、婿養子をもらわねばならぬ。

    時が差し迫る中、真琴と、真琴に気付いた仇の勝負がじりじりと近づくのであった。

    ーーー

    池波先生の、緊張感溢れる描写と、相変わらずおいしそうな食べ物の描写に(笑)、楽しく読み進めていきました。
    真琴の微妙なおんなごころの変化も、どうなるのかなと探りながらで面白かったです。

  • 池波氏の作品は、同じ舞台の異なる人々にスポットを当てているので、どこかでひょこり別の作品の登場人物を見かけるのではないかという気になることが多いのですが、この作品も『剣客商売』の「佐々木三冬」が文字の上で出てくる。また主人公の堀真琴も彼女のように剣術に秀でた男装の麗人であり、二人が出会ったらどんな感じになるのか、なんて期待してしまった。
    また真琴を助ける関口元道の姿は先日読んだ『旅路』の「堀本伯道」と重なってしまう。でも別人であり、全く違った運命に操られて物語を織りなしている。ただいずれも人間味ある人物を書いてあるため、その場面に参加したくなる気持ちはどれも同じです。

  • 初、池波作品。
    楽しく読めた。読後も後味が良い。

    千代ちゃんがすき。

  • なんか好きでした。

  • 同日、山口直友が主役の短編「黒幕」も読みました。満足満足。

  • 独特の語り口。江戸のちょっとした薀蓄。
    やはり池波正太郎はいいなあ。
    日本を離れると読みたくなる作家の1人だ。
    ラストがハッピーエンドなのも安心できる。

  • ラノベ感覚で読みやすい時代小説。十六歳の時復讐を決意した乙女が、九年後、宝塚の男役のような女剣士になっている。読後感が爽快で気持ち良い。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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