- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101156668
作品紹介・あらすじ
「親の敵…」夜の闇につつまれた猿子橋のたもとで、秋山大治郎は凄まじい一刀をあびせられた。曲者はすぐに逃げ去り、人違いだったことがわかるが、後日、当の人物を突き止めたところ、秋山父子と因縁浅からぬ男の醜い過去が浮かび上がってくる「待ち伏せ」。小兵衛が初めて女の肌身を抱いた、その相手との四十年後の奇妙な機縁を物語る「或る日の小兵衛」など、シリーズ第9弾。
感想・レビュー・書評
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シリーズ第九作。三冬の懐妊が判明。『秘密』『討たれ庄三郎』は仇討ち話、仇討ちってお互い大変だったんだなー。
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今回のは、従容と運命に従う高潔な剣士が何人か登場。少し重い感じだが読後感はもちろん悪くない。何もかも受け止めてわかった上で吹っ切れたように振る舞う小兵衛であるからだ。
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今回もまた読みごたえ十分、しかし悲しい男の人たちが多く出てきました。
侍の世界とはこういうものかとも思いつつ、、
そういえば、最初の「待ち伏せ」では、小兵衛さんにしても悪人?の隠れた顔に気づかないこともあるのかと思いましたが、そのほうが人間らしくもあるかなと思ってみたり。
とにかくこのシリーズは楽しませてくれます。 -
例によって面白い。
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シリーズ第九作目にもなると、正直、
似たようなお話が多い。
秋山父子が敵持ちの人間と交流する話や、
主人公小兵衛と昔、親交や交流のあった者達が、
長い年月を得て、数奇な運命を辿り、
再び主人公と巡り会った時、その身の上や心の様は
大きく変わっていた、といった話とか。
しかし、それでも面白く読めてしまうのは、
作者の優れた筆の力によることはもちろん、
主人公の父子がどんな切ない、哀しい場面に出会っても、
窮屈な武家社会の矛盾が存在し、江戸の一庶民である
彼らが怒りを感じていても、そんな彼らには、
お互いを温かく思い合う、家族や仲間達が周囲にいて、
そんな彼らの姿が生き生きと描かれているからだろう。
私達「剣客ファン」は、主人公やその周りの人間達に
会いたい故に、何冊も続く決して
短いとは言えないこのシリーズを最後まで読み通し、
その後も、何度も何度も繰り返し読み続けて、
気がつけば著者の忠実な読者となっており、
この作品を何度も繰り返し愛読してしまうのである。 -
94年7刷本