波紋: 剣客商売 (新潮文庫 い 16-72)

著者 :
  • 新潮社
3.75
  • (28)
  • (17)
  • (45)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 314
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156729

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 誰の子供か、誰の孫か、家系図書きたくなる。旧友の老い、そして急死、誰にも泣きつけない小兵衛。

  • 剣客商売も すこしづつ たそがれる。
    小兵衛が だんだんと 歳をとっていくさまが 寂しく感じる。
    小兵衛は65歳となっている。
    冬は コタツがあるが 夏は 裸になるだけで 暑さはしのげない。
    小兵衛は 意外と身近で 手をつけたがる・・・
    そこに 小兵衛らしさが あるのかもしれない。

    女との関係で 身を滅ぼす もしくは 苦悩を背負うのは
    現在だけではなく 昔から そうだったのだろうね。
    内山文太の物語は 10歳年上で 小兵衛よりさらに老いて
    その老いを 小兵衛自身が 感じ取る。
    内山のしられざる 過去が 老いを さらに進める。
    横山正元 が 意外と頼もしいのだ。

    剣の修行とは厳しいものだ。
    老いることで 剣の技術も低下していく
    そのなかで 以下に自分を律するのか。
    そのことが 小兵衛の目を通じて 物語られる。

  • 小兵衛がだんだん自分の歳を感じ始めてきてる(実際はもっと前の巻からそうなんだけど、さらに涙もろくなったりとか、顕著になっている気がする)、そんなシリーズ終盤。小兵衛本人だけじゃなくて、読んでるこちらもどきっとしたりする。ラストに入ってる「夕紅大川橋」に、そのあたりが一番出てるのかも。

  • ひたすら面白い

  • オレンジ色に輝いている空に、段々と灰色の闇が溶け込み、
    薄暗くなっていく夕暮れのように、
    シリーズ第十三作目となるこの作品では、
    このシリーズの持ち味である、明るさの中にも、
    文章のところどころに、時代の闇や老いた主人公の
    不安、寂しさが滲んでいる。
    そして主人公同様に、筆者の老いも感じさせられる作品。

  • 小兵衛の剣友を見舞った帰途、大治郎の頭上を一条の矢が疾った。心当たりはなかったが、これも剣客商売ゆえの宿命か。「お前が家を出るときから見張られていたのではないか」小兵衛の一言で大治郎は、次の襲撃を呼び寄せるように、下帯ひとつの裸身で泰然と水浴びをはじめた―「波紋」。旧友内山文太を想う小兵衛の心情を描き格別の余韻を残す「夕紅大川橋」など全5編。第13弾。
    <br>
    【感想】
    http://blog.livedoor.jp/nahomaru/archives/50631592.html

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池波正太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×