- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101156743
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
珍しく、長編である。
波川周蔵という男。この男が主人公である。
無口で余分なことを言わない。
家庭においても、そのことを貫き通す。
腕前は 秋山小兵衛が 驚くほどの巧みさ。
どの流派かがわからぬが、自らのものとしている。
浪人であるが故に 仕掛人のような仕事をしている。
そして 妻子を愛して、危害が及ばぬように苦慮する。
安全を期して 引っ越しを重ねる。
松平伊勢守が 周蔵をかわいがっていた。
が ひょんなことから 二人の侍を殺害することになり
遁走した。そして母が。
小田切平七郎の命により、周蔵は。
秋山大治郎を討つことを、依頼される。
その目的は。
あぁ。
大治郎と波川周蔵と 闘わせて見たかった。 -
大治朗の落ち着きぶりが頼もしい。そしてスーパーマンの小兵衛が歳をとったなぁと寂しくなる部分と、それでも尚剣術使いとして衰えが見えない所がすごい。重要登場人物である波川周蔵の、黙して語らずとも真実に生きる、その姿勢に、男としての魅力を感じる。
-
「春の嵐」同様、長編作品の第十四作目。
この二作を読み比べるなら、
自分は「春の嵐」よりもこちら「暗殺者」の方が好き。
その理由は、今回秋山親子と深く関わる事となる
浪川周蔵という名の浪人が、謎も多いが、
それと共に大変魅力的な人物であることが大きい。
浪川周蔵は、残虐非道、傍若無人な行いをする、
いかにも主人公の敵役となりそうな無頼浪人達とは違い、
家族を大切にし、病気になった知人を見舞う。
物静かだが、相当に剣を使い、人には言えぬ
何か複雑な事情を抱えていそうな男なのである。
このミステリアスな人物が、最後には秋山父子の敵となり、
命がけの死闘を繰り広げることになるのか・・・。
最後まで展開が読めず、
久しぶりに夢中で読み進めてしまった。 -
小兵衛はおじいちゃんになり小心に、大治郎はますます大物になりつつあり、三冬は良妻賢母に。
時間とともに人は変っていくもの。
浪人やら旗本やら登場人物も皆変わっていく。十年二十年たてば別の人物かというくらいに変わる人もいる。
その変化の書き込みが面白い、と解説に書かれてありましたが、その通りかと。