暗殺者: 剣客商売 (新潮文庫 い 16-74)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156743

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第十四作、二作目の長編。展開が読めず、最後までドキドキハラハラ。波川周蔵が妻子のもとへ戻れて良かった。取り乱す小兵衛、小兵衛の老いが気になる。

  • 珍しく、長編である。
    波川周蔵という男。この男が主人公である。
    無口で余分なことを言わない。
    家庭においても、そのことを貫き通す。
    腕前は 秋山小兵衛が 驚くほどの巧みさ。
    どの流派かがわからぬが、自らのものとしている。

    浪人であるが故に 仕掛人のような仕事をしている。
    そして 妻子を愛して、危害が及ばぬように苦慮する。
    安全を期して 引っ越しを重ねる。

    松平伊勢守が 周蔵をかわいがっていた。
    が ひょんなことから 二人の侍を殺害することになり
    遁走した。そして母が。

    小田切平七郎の命により、周蔵は。
    秋山大治郎を討つことを、依頼される。
    その目的は。

    あぁ。
    大治郎と波川周蔵と 闘わせて見たかった。

  • 大治朗の落ち着きぶりが頼もしい。そしてスーパーマンの小兵衛が歳をとったなぁと寂しくなる部分と、それでも尚剣術使いとして衰えが見えない所がすごい。重要登場人物である波川周蔵の、黙して語らずとも真実に生きる、その姿勢に、男としての魅力を感じる。

  • 「春の嵐」同様、長編作品の第十四作目。

    この二作を読み比べるなら、
    自分は「春の嵐」よりもこちら「暗殺者」の方が好き。

    その理由は、今回秋山親子と深く関わる事となる
    浪川周蔵という名の浪人が、謎も多いが、
    それと共に大変魅力的な人物であることが大きい。

    浪川周蔵は、残虐非道、傍若無人な行いをする、
    いかにも主人公の敵役となりそうな無頼浪人達とは違い、
    家族を大切にし、病気になった知人を見舞う。

    物静かだが、相当に剣を使い、人には言えぬ
    何か複雑な事情を抱えていそうな男なのである。

    このミステリアスな人物が、最後には秋山父子の敵となり、
    命がけの死闘を繰り広げることになるのか・・・。

    最後まで展開が読めず、
    久しぶりに夢中で読み進めてしまった。

  • 小兵衛はおじいちゃんになり小心に、大治郎はますます大物になりつつあり、三冬は良妻賢母に。
    時間とともに人は変っていくもの。
    浪人やら旗本やら登場人物も皆変わっていく。十年二十年たてば別の人物かというくらいに変わる人もいる。
    その変化の書き込みが面白い、と解説に書かれてありましたが、その通りかと。

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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