人斬り半次郎(賊将編) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156798

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  • 維新の際の功績を認められて新政府陸軍少将に任じられた中村半次郎あらため桐野利秋。薩摩の下級武士から数年でここまで出世したのだが、それゆえに次第に増長していく。

    西郷隆盛は広い視野を持って動いているのだが、桐野ら妄信的な側近には理解が及ばず、徐々に暴走して西南戦争に向かっていく様は歯がゆい思いがした。

    この巻の桐野は成り上がりですっかり俗っぽくなってしまうのだが、それと対比させた西郷の清廉な人物が際立っていた。もし西郷が朝鮮に使節として渡っていたら、その後の日本はどうなっていたのかなぁ。

  • 薩摩の極貧武士の幕末、維新の活躍と凋落を通して、この激動の時代の流れを感じ、雰囲気を垣間見れる、とても面白い作品。
    今の大河ドラマでやってる西郷どんと被る所があるので、より一層面白く感じます。
    西郷隆盛はその人望の厚さが納得できるくらい、度量の大きい人なんだなと思いました。

  • 維新成った後の半次郎改め桐野利秋の激動の時代の後半生が描かれる。利秋が惚れ、従った西郷隆盛も時代の混乱と維新後の国づくりの中で薩摩隼人としての描かれ方がイイ。
    作品の最後で佐土原英助が言う一言がまたイイ。「桐野どん。おはんな、この世に遅く生まれすぎた人でごわすなあ・・・おはんな、豪傑ごわす。もしも秀吉や信長の世に生まれちょったら、賊将の汚名も着ずにすんだろうに・・・・・」

  • 維新のなった後、中村半次郎が桐野利秋になるあたりからのお話。ジャンプマンガなら生き残るんだろうキャラクター。豪傑である。

  • 幕末編に比べてしまえば
    明るさや素直さがなくなり、
    また、死へと知らず知らずに突き進んでいく様は
    悲しかったが、陰鬱な様子はなく
    淡々と物語が進む

  • 時代は変わり、中村半次郎は桐野利秋と名前を改め、陸軍少将となった。しかし高い理想を抱く西郷は、新政府のやり方に納得できない。ついに征韓論争に敗れ、桐野たちを連れて帰郷。桐野たちは必ず戻ってくると信じて帰郷し、やがて西郷とともに乱を起こして、ついには城山に追い詰められる。<br>
    桐野の過信などから城山で最期を迎えることになった西郷。桐野は西郷のことを慕い、考えているのに、西郷の考えを理解できていなくて、ああいう結果になってしまって切ない。そんな西郷と桐野の最期の会話がなんだかよかった。桐野は追い詰められてもやっぱり桐野。最期まで自分らしく生きている桐野はやっぱり格好良かった。<br>
    恋愛のほうは、おたみは何だったの?って言うくらいあっさりしていて。尼を辞めて太った法秀尼改めお秀と再会。しばらくまた求め合ったけど会わなくなって。女中を抱いちゃったりもして、帰郷の時その子がついてきたいと言うのを必死で説得したりして。帰郷したら幸江が出戻ってて一緒に住むようになって。最後、城山に立て篭もってた時は幸江のもとに法秀尼が現れたりして。ホント、困った男だ。なんだかんだいって、そんな桐野が好きなんだけどね。

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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