- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101157368
感想・レビュー・書評
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渡部甚之介は将棋好きの剣客。ある日、秋山小兵衛の家で将棋を指し続けて、果し合いの約定を失念してしまう「鷲鼻の武士」
佐々木三冬は根岸の寮に帰るさなか、一人の女性を助ける。女性は絶命するが、抜荷の証拠を託した「品川お匙屋敷」
秋山大次郎は佐々木三冬と無事結婚。小兵衛と三冬は親子となる。そんな中、小兵衛はかつて道場に来ていた美男子を町中で見かける「川越中納言」
大阪へ、修行時代の恩師の墓参りに行った大次郎は帰途に同姓同名の人物に出会い、その苦境を救う為に尽力する「新妻」
小兵衛が料理屋•元長で見かけたのは品の良い老人。老人は行方不明になった娘の行方を探していた「金貸し幸右衛門」
植村友之助は、病を得るまでは小兵衛の高弟だった。そんな彼が、偶然拾った畳針で人助けをする「いのちの畳針」
金杉新田に住む鷲巣見平助は道場破り。日本橋の間宮道場に訪れると、その日、道場に来ていた大次郎と戦う。大次郎と真剣で立会いたいと望む平助だったが「道場破り」
ついに結ばれた大次郎と三冬。大次郎の道場で修行していた飯田粂太郎も元服し、小兵衛は63歳•おはるも23歳になった。(「金貸し幸右衛門」冒頭に記述あり)
「解説」によると、著者は67歳で亡くなったそうだが、著作は驚くほど多い。本作は著者が50代の作品だそうだが、脂がのりきっている感じがする。
つい先日見に行った映画館では、「鬼平犯科帳」の新シリーズ予告をやっていた。私が子どもの頃、父が、松本幸四郎主演のテレビシリーズを熱心に見ていたが、ついに孫が同じ役を演じる時代になったのだ。池波正太郎の作品は、ある意味で時代を超えて残るのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
▼収録されているのは以下です。
鷲鼻の武士
品川お匙屋敷
川越中納言
新妻
金貸し幸右衛門
いのちの畳針
道場破り
この中で「品川お匙屋敷」が、以下の内容。密貿易をめぐる犯罪事件に佐々木三冬が巻き込まれる。悪人に捕まってしまう。それを大治郎が助ける。三冬の父である田沼の言い出しで、ふたりは結婚することになる。祝言を上げる。
▼なかなか急展開ではありますが、その脱力さも池波節かな、と。
▼印象深いのは「川越中納言」。川越中納言の名で呼ばれる悪党を、小兵衛が成敗する。というそれだけの話なんですが、かつて被害にあった娘が、無事に幸せに市井で暮らしている。最後に小兵衛に赤ちゃんを見せに来る。小兵衛は赤ちゃんを見て、自分の子が、大治郎が、赤ちゃんの頃を思い出す。それだけの一幕が、素晴らしい。
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剣客商売 六
「品川お匙屋敷」では、密貿易に関わる一味に三冬が攫われてしまいます。必死に探し回る大治郎。“愛しい人を助けに行く殿方の図”というのは、鉄板でカッコイイものです。
何とか無事に三冬を救出した大治郎に、三冬の父・田沼老中から三冬を嫁に貰ってほしいとの申し出があり、めでたく二人は結婚する事に。本当に、お似合いのカップルです。
晴れて大治郎の妻となった三冬が、慣れない家事に奮闘する姿も微笑ましいです。登場当初は権高なところもあった三冬ですが、すっかり女性らしくなってきて、変われば変わるものですね。 -
2019年8月27日、読み始め。
●人物メモ
・永山精之助---町奉行所の同心。弥七の直属先。
・弥七---四谷・伝馬町の御用聞き。
・徳次郎---内藤新宿の下町に住む。女房は、おせき。
・又六---深川・島田町の裏長屋に住む、鰻売り。
・小川宗哲---亀沢町の町医者。小兵衛の碁がたき。小兵衛より10歳位年長。
・文吉(ぶんきち)・おしん---鬼熊酒屋の亭主と女房。前亭主は、熊五郎。文吉・おしんは養子夫婦。
・長次・おもと---浅草駒形堂裏の河岸の料理屋「元長(もとちょう)」をひらいている。
・牛掘九万之助(うしぼりくまのすけ)---浅草・元鳥越町に奥山念流の道場をかまえる。
・金子孫十郎信任(のぶとう)---湯島5丁目に道場をもつ。60歳をこえている。門人は300人以上。
・杉本又太郎---団子坂の無外流・杉本道場の当主で、秋山親子とも顔見知りの剣客であった父親を1年前に亡くしている。 -
鷲鼻の武士 渡部甚之助、理不尽に巻き込まれる
品川お匙屋敷 抜け荷と三冬の拉致
川越中納言 淫乱犯罪
新妻 大治郎、同姓同名で人間違いされる
金貸し幸右衛門 小兵衛小金持ちになる
いのちの畳針 板挟みの御用聞き
道場破り 鷲巣見が不憫
やっと結婚します -
とうとう結婚したぁー。
ふたりのうぶな感じがほほえましい。
相変わらず絶好調な物語。
俯瞰的→個人への視点の移り変わりも絶妙で、つい引き込まれる。
正義だからといって助からないことがはがゆいけど、
そういったことも小兵衛と大治郎がすっぱりと成敗してくれて
おおかたすっきり。
こんなはまったシリーズは始めてかもしれないー -
シリーズ第6弾。「剣客商売」の六冊目にあたるこの『新妻』に収められた7編は作家・池波正太郎が元気そのものだった頃の作品である。なかでも、「品川お匙屋敷」で秋山大治郎と佐々木三冬は結ばれるのである。世間を知らぬ、微笑ましほどに初心なカップルの誕生だ。
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<目次>
略
<内容>
大治郎と三冬が結婚した(ただし、第4巻はまだ未読)。最後の道場やぶりはドラマで見た記憶がないが、やっているだろうな…。 -
大治郎がどんどん逞しく、立ち回りも巧みになっていく。そして「火加減もわからぬし、水加減もわからぬ」な三冬の初々しいこと。二人がこの先、どのように描かれていくのかますます楽しみになる。最後の2編「いのちの畳針」「道場破り」が特によかった。