剣客商売 九 待ち伏せ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101157399

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  • ▼収録作は以下▼待ち伏せ▼小さな茄子二つ▼ある日の小兵衛▼秘密▼討たれ庄三郎 ▼冬木立▼剣の命脈

    ▼「ある日の小兵衛」小兵衛が、幽霊を見る。厳密に言うと、旧知のヒトのマボロシを見る。ということは、相手は死んだと思いこむ。確かめに会いに行ってみる。ところが間違っていて、生きていた。相手は若き日に情を交わした女性で、色々思い出す。ちなみにその日いろんなことが起こる。

    ▼‥‥それだけの話。この、「間違う」ってところが気が利いてます。小粋なモノクロのフランス映画を見るようです。

    ▼悪い詐欺師をやっつけるんだけど、犯人が昔馴染みだったという「茄子二つ」。

    ▼死病にあえぎ、最期に大治郎と戦いたい剣士が、ぎりぎりそれを果たせぬまま死んでしまうという「剣の命脈」。

    どれも池波節、ちょっと皮肉でちょっと肩透かしな味わい。

  • 剣客商売 九

    「待ち伏せ」「討たれ庄三郎」は、どちらも仇討ち(果し合い)の話で、共通しているのは、仇とされている人が本当は違うのに自分から“討たれてあげる”事です。
    どちらも清廉な人が理不尽な目に合う哀しい結末です。
    「秘密」も理不尽&哀しい結末という部分では上記2話と繋がる部分を感じます。
    「或る日の小兵衛」は、小兵衛さんが行く先々で災難に遭う“小兵衛受難の巻”です。ラストの“人違い”まで含めてここまで小兵衛さんがトホホな回は珍しいかも。

  • 討たれ庄三郎と秘密が良かった。

  • 若先生もだいぶ剣客になってきました。
    ほんとスゴい父息子です。

  • 「待ち伏せ」「秘密」、二話とも仇討の話。そして静かな切ない話。藤沢周平の世界を思わせるような。二面性、それどころが人は多くの顔を持っている。大治郎、三冬のような時々一つの顔しかもっていない人に出くわす。すごいと思う。

  • <目次>


    <内容>
    相変わらずだが、小兵衛の一日とか、冬木立とか、正統派ではない話も…

  • 討つ側討たれる側の苦悩を描いた話が目立つ九巻。冒頭の「待ち伏せ」が秋山家の変化も絡めた満足な内容であっただけに、それぞれの内容は悪くなかったものの少し食傷気味。「小さな茄子二つ」は傘徳が潜入捜査で活躍。「或る日の小兵衛」は小兵衛の過去を中心に据えながらも妙に密度の濃い一日で、小兵衛の災難と意外な人間臭さがおもしろかった。小兵衛もだんだん老いを実感し始めているのか。

  • 「親の敵……」夜の闇につつまれた猿子橋のたもとで、秋山大治郎は凄まじい一刀をあびせられた。曲者はすぐに逃げ去り人違いだったことがわかるが、後日、当の人物を突き止めたところ、秋山父子と因縁浅からぬ男の醜い過去が浮かび上がってくる「待ち伏せ」。
    小兵衛が初めて女の肌身を抱いた、その相手との四十年後の奇妙な機縁を物語る「或る日の小兵衛」など、シリーズ第9弾。

  • 「鬼平犯科帳」を始めて4年、昭和47年、池波正太郎49歳のとき、「剣客商売」がスタートしたそうです。「待ち伏せ」、剣客商売(九)、2003.1発行。待ち伏せ、小さな茄子二つ、或る日の小兵衛、秘密、討たれ庄三郎、冬木立。剣の命脈 の7話。本巻は、ずしりと心に重く響く、哀しみの7話です。読後感はとても辛いですが、一方で、ある種潔さの美を感じました。

  • 剣客商売9作目。

    「待ち伏せ」は、おりくさんのその後が読みたいなー。。

    「或る日の小兵衛」は、行く先々で騒動にぶちあたる小兵衛さん。
    男性は、過去のことに拘るのですね。
    女性は、そんなことないかも。。

    「秘密」「討たれ庄三郎」「冬木立」は、なんとも言えぬ人間模様。
    複雑な中に悲しい結末。

    待ち伏せ
    小さな茄子二つ
    或る日の小兵衛
    秘密
    討たれ庄三郎
    冬木立
    剣の命脈

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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