剣客商売 十五 二十番斬り (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.86
  • (45)
  • (65)
  • (70)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 665
感想 : 35
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101157450

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 剣客商売 十五

    今回は短編「おたま」特別長編「二十番斬り」の二本立てとなっております。
    「おたま」は小兵衛さんが猫の“おたま”に導かれて行った場所での出来事がサクッと描かれています(勿論ちゃんと味わいあります)。
    「二十番斬り」は小兵衛さんが謎の目眩で倒れてしまうという、心配な場面から入ったのですが、その後小兵衛さんの元門人・井関助太郎と彼が連れていた豊松という男の子を匿ったことから、ガッツリ騒動に巻き込まれていくという、いつもの小兵衛さんに戻り、探索もさることながら、終盤では圧巻の二十人を相手にした大立ち回りを見せてくれます。
    中盤で三冬の父・田沼老中の子息が城中で襲撃されて、田沼老中が窮地に追い込まれつつあるという時世に、小兵衛さんが“武士の世は終わった”と憂うのが、寂寥感を誘いました。
    楽しく読んでいた、このシリーズも残すところあと一冊となりました。ずっと読んでいたいのに、寂しいですね。

  • 二十番斬りというタイトルから予測していたものの、小兵衛66歳にして、しかもたった一人で一度に19人斬りとは凄すぎる。果たして二十番目は?

  • 途中まで筋が読めなかった。最後、すべて明らかになると思ったがそうでもなかった。ミステリーの要素がある作品。豊松がこのまま静かに暮らせますように。

  • 〈目次〉


    〈内容〉
    短いネコの話を巻頭において、そこから「二十番斬り」の長編で終わる。意次の息子が殺され、いよいよ『剣客商売』も終わりである…

  • 短編+特別長編からなる。短編「おたま」はこれまでと一風変わった猫の話。特別長編「二十番斬り」はぎょっとするような幕開けとクライマックスの展開とのコントラストが凄まじかった。田沼時代の終焉を予感させる歴史上の出来事と絡んだ展開ながら、井関助太郎の負った使命と彼の謎めいた過去がいまいち結びつかず、長編としてはやや物足りなかったのが残念。

  • 得体の知れぬ目眩(めまい)に襲われたその日、小兵衛は、恩師・辻平右衛門ゆかりの侍・井関助太郎を匿うことになる。井関は手負いで、しかも曰くありげな小さな男の子を連れていた。小兵衛にすら多くを語らぬ井関に、忍びよる刺客の群れ。小兵衛は久しぶりに全身に力の漲るのを感じるのだった。一方、江戸城内では、三冬の父・田沼意次が窮地に……。
    表題の特別長編に、短編「おたま」を併録。シリーズ第15弾。

  • 池波正太郎 著「二十番斬り」、剣客商売(十五)、2003.2発行。「おたま」と特別長編6話。「おたま」はとても賢い猫の話。もっと登場して欲しかったですw。特別長編は、66歳小兵衛の立ち眩みから始まり、最後は二十番斬りの立ち回りに。剣客商売シリーズもそろそろ完結が近づいたようです。

  • 剣客商売15作目。

    小兵衛さんが、身体的にもメンタル的にも老いてきた感じがして、とても寂しくなるスタート。
    次の作品が最終話だと分かっているので、もしや。。。と、心配をしながら読んでいたが、途中から、いつもの小兵衛さんになったので、安心した。
    と言っても、1桁台の作とは違うけど。。
    作を重ねる毎に、侍の時代の終焉が顕著になってくる。
    それに伴い、小兵衛さんの憂いも深まる。

    さあ、次作は最終巻。

  • いつになく弱気の小兵衛で始まったが、最後はいつもの小兵衛であった。

  • おたま 猫かわいい
    二十番斬り 長編。最終回っぽい雰囲気。以下二十番斬り
    目眩の日
    皆川石見守屋敷
    誘拐
    その前夜
    流星
    卯の花腐し

全35件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池波正太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×