黒白 上巻―剣客商売 番外編 新装版 (新潮文庫 い 17-17)

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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101157474

感想・レビュー・書評

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  • 上巻読了。

    剣客商売シリーズの番外編という事で、主人公は波切八郎ですが、若き頃(30歳台)の秋山小兵衛さんも登場します。
    小野派一刀流道場の道場主として順調だった波切八郎が、あることをきっかけにして、人生が狂いはじめ、流転していく展開です。
    この波切さんと、小兵衛さんは真剣勝負をする約束をしていてのですが、勝負相手の思わぬ変転を知らぬまま、約束の場所で波切さんを待つ小兵衛さん・・。
    この、二人の剣客の人生の進み方が対照的なのですね。
    裏がありそうな人達に囲まれて、よくわからんままに転々とせざるを得なくなっている波切さんの行く末がどうなっていくのか、そして彼と小兵衛さんと交差することはあるのか・・・下巻の展開に期待です。

  • 何か一筋に打ち込むとそれが崩れた時のもろさ。悲劇的な結末が予想されるが、展開がまだ見えてこない。政治の状況も見え隠れする。面白い。

  • 剣客商売シリーズの番外編で秋山小兵衛がまだ自分の道場を建てようとしていた時期のもう一つの物語。
    この話の小兵衛以上に主役となっているのが波切八郎という剣客で、御前試合の決戦で秋山小兵衛に敗れたことにより、はたしてこの勝負が真剣であったら!?そして秋山小兵衛という剣客と戦ったからこそそれを試したいと剣客ならではの思いがあり、その勝負を申し入れる。
    秋山小兵衛は快くその申し入れを受け入れるが、道場を起こしたりの事情もあり一年後にその約束の日時を指定して挑むことに決める。
    その間波切八郎の弟子が辻斬りをするのでそれを止めようとするが抵抗され切り殺す事に成った事などもあり、一旦波切八郎は修業も考え道場を出て行く。
    波切八郎は一旦知り合いの宿に滞在するがそこで女中の信という女性と情を通わせ信の仇討ちを手伝うことに。
    波切八郎と信の繋がりにそして、仇討ちによってまたも逃亡しなければいけなくなったのを助けてくれる岡本という剣客と流浪の旅に。
    秋山小兵衛との真剣勝負は下巻に。
    波切八郎の一途な剣への思いと信への思い、そして真剣で人を切ることに徐々に取りつかれて行く波切八郎が気になりながらの下巻突入となる。

    この物語についてはほぼ主役は波切八郎という剣に一途な剣客の揺れ動く人生の物語と言っていいでしょう。

  • <目次>


    <内容>
    秋山小兵衛の若い日の話だが、前後編の前編なので、まだ話が見えないまま終わった…。

  • 秋山小兵衛の若かりし日を描いた番外編。とはいっても主人公は小兵衛ではなく、彼と真剣での勝負を約束するも、数奇な運命に見舞われていく剣客・波切八郎の立場から見る場面がほとんど。シリーズにはかつて小兵衛と関わり、その後驚くような変貌を遂げてしまった人物が何人も登場するが、まさに八郎もそうした人物。若く生真面目な剣士が偶然の積み重ねによって変わっていき、戸惑いとともに闇の世界へ足を踏み入れていく過程には読んでいるこちらも魅入られてしまう。謎めいた人物が何人も現れるのになかなか先が見えない展開はもどかしいが、それだけに緊張感たっぷりで、小兵衛の登場シーンになるとほっとする。

  • 祖父の代から目黒に道場を構えていた小野派一刀流の剣客・波切八郎は、御前試合の決勝で敗れた秋山小兵衛に真剣勝負を挑み、小兵衛は二年後の勝負を約した。それを待つ身でありながら八郎は、辻斬り魔に堕ちた門弟に自首を促すことができずに成敗してしまう。道場を出奔し浪々の身となった八郎は、想いを通じた座敷女中のお信にそそのかされるまま、お信の敵、高木勘蔵を討つ。

  •  池波正太郎 著「剣客商売 番外編 黒白(上)」、2003.5発行。無外流達人秋山小兵衛32歳、小野派一刀流達人波切八郎28歳、二人の剣客の数奇な人生。小兵衛とお貞、八郎とお信のなれそめ。愚直に剣に生きる男と男、そしてそんな不器用な男に寄りそう女。上巻543頁を一気に読了しました。下巻に移ります。

  • 剣客商売番外編。

    小兵衛さんと真剣試合をする予定だった波切八郎がメインのストーリー。
    出る人出る人が、謎めいていて、怪しさ満点。
    小兵衛さんとお貞さんの夫婦時代も描かれていて、とても楽しい。
    個人的には、市蔵がお気に入りキャラクターです。

  • 若い道場主がちょっとした事からどんどん人生を狂わせていく。秘密のある登場人物が多く、常に振り回されている。
    アラサーの小兵衛もちょこちょこ出る。

  • 波切八郎を中心に、謎めいた人物が多く登場する物語だった。小兵衛と妻・お貞の夫婦になるまでと、夫婦になって後の息の合った姿が読者には嬉しい。八郎に関わる人物として、橘屋忠兵衛、お信、岡本弥助などは、八郎にしてみればまさに得体の知れない者たちだ。それぞれが自身の真の姿を隠し、表面だけで繋がっている。読者には、場面転換をし、時間軸を遡りしながら少しずつ彼らの正体を教えてくれる、そんな楽しみのある時代小説である。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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