- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101157528
感想・レビュー・書評
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本当は『鬼平犯科帳』とかメジャーな作品から攻めなきゃダメなんだろうけど、タイトルの茶目っ気ぶりにしてやられた。
一番にお金をかけるべきは食だという考えにシフトしつつある。お金があればまずは美味いものでも食いに行くというのが理想だけど、写真にでも残さない限り食べたものの記憶は簡単に残ってくれないのが現状。最近食べたなかで一番美味しかったものですら即座に出てこない…
その点池波さんの食の記憶は味も思い出も鮮明で、話だけで空腹になってくる。鮮明なのは時代的なものもあると思うけど、食べるとは本来噛み締めることなんだと実感した。
プロの料理人との対談は勉強になるし食べるということへの教訓にもなる。
それにしても偏食気味な幼少期から、のちにメディアが注目するレベルの食通にまでなったきっかけが太平洋戦争なのは意外というか、皮肉というか。
後半はエッセイや短編小説がパラパラと。
全体的に好きなものを寄せ集めた仕上がりで、前に聞いたエピソードが2−3回再登場することも。
小説はご自身の体験を思いっきりベースにされていた。代表作とも言える時代小説群は悲しきかな読んだことがないけど、何だか景色が心に沁み渡りもっと読んでいたくなる。
「死ぬために食べる」
佐藤隆介氏が綴ったあとがきで知った池波さんのその理念と自分が感じた「食べる=噛みしめる」がリンクしたように思えた。
自分は恥ずべき食べ方をしていないか。
今一度胸に手を当てて考えると、「そんなんじゃいけねぇよ」って声がこだました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初めて池波正太郎の本
時代ものではないけど、飲み食い好きとしては楽しめる1冊やった -
果たして本書のタイトルが相応であったかは疑問であるが、久しぶりに池波氏の文章を楽しんだ。味の歳時記では、江戸から東京へと引き継がれ、そして今は味わえないような食材の話も交えて四季が語られる妙味。第二部の対談では江戸っ子の会話の雰囲気を堪能。第三部ではフランスが舞台となっていたが、エッセイ、語り下ろし、小説と同じ素材を使い回したような構成だったが、これも絶筆を盛り上げんがための趣向なのだろう。
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この一冊は「味の歳時記」、「江戸の味、東京の粋」、「パリで見つけた江戸の味」の三部で作られている。「人は死ぬために食べている。しかも明日が最後の日ではないという保証はない。だから、今日の一食一飲が大事」という池波氏の死生感が本の根底に。
歳時記に書かれている「小鍋立て」今や我が家の冬の定番です。豆腐、油揚げ、大根、浅蜊、今晩は何にしましょうか? -
「昔は食べものと季節が、ぬきさしならぬものになっていた」との言葉にハッとする。
旬の食材を年中 食べられる時代になったけど、そのせいで旬の食材を味わう楽しみがなくなってしまった。
昭和時代の方が、旬の食材を味わう楽しみと豊かさがあったとは、なんたる皮肉。 -
久しぶりの池波本、年末年始にしみじみと読んでおります。池波さんの語る古き江戸の味は、奥が深い。
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グ、グルメレポート!なんて美味しそうなんだ!小鍋だてとかたまらないです。
私のような現代人は、戦前というとろくな食べ物なかっただろうし今と全然違ったんだろうな、と思いがちですが、そんなことないんですよね。池波さんは戦前の東京で普通に枝豆をツマミにビール飲んだりしている。今と全く変わらない。
というか若いうちから金使って遊んでます、池波さん。その最たるは吉原!戦前が青春だと最後の吉原を知ってる世代なんですねぇ…。 -
『グレーテルのかまど』で紹介されてて、ずっと気になっていた。日本の味とフランスの味が紹介されている。どちらも失われた、もしくは失われそうになっている風景なのだなぁ。古きよき時代というもの。
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随筆集ですが、いろいろ混じっています。好きな方はどうぞ。って感じですが、結構焼きまわしのがありますが、作者さんが、なくなっていますので、仕方ないかと。
個人的には底本ほしいんですが、高価だし、それよりも見かけない。う~ん、ちょくちょく検索しているんですけどね。