江戸の味を食べたくなって (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101157528

感想・レビュー・書評

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  • この本に限らず、池波さんの食に関するエッセイを愛読しています。池波さんの「おいしい」の基準が好きで好きで……。ただ単に味が好みってだけじゃなく、料理人さんの考え方・お店の人たちの人柄・お店が背負ってきた歴史すべてひっくるめて好きだから、「おいしい」。『鬼平犯科帳』の食事シーンが活き活きしてる理由がわかります。

  • 過日、書生だった佐藤隆介さんが亡き師を思い、味を再確認するエッセイを書かれた本を読んだ。
    これは、池波正太郎氏がエッセイを書き、まとめたものです。

    第一部 味の歳時記
    タイトル通り、一月から十二月までの、旬のものを扱ってまとめたもの。読みながら、その料理を思い描き、口中に唾が出る。

    第二部 江戸の味、東京の粋
    食を通しての書く著名人との対談をまとめたもの。
    作家の山口瞳氏との対談は、考えさせられるものがある。122ページの、池波氏の言葉が忘れられない。

    第三部 パリで見つけた江戸の味
    パリへ取材を兼ねた旅行でのあれこれ。同行者や、パリ在住の日本人写真家とのやりとりが楽しい。中でも、写真家が紹介してくれた酒場〔B・O・F〕のことが多く語られる。
    老亭主と奥さんとで切り盛りする酒場を、池波氏は『まるで、むかしの東京の下町になったような』と表現する。それほど、気に入ってしまい、パリ滞在中に四度ほど訪れている。
     最後に、この酒場をモチーフにした短編小説と絶筆小説が掲載されている。愛していた酒場〔B・O・F〕は、読んだものに強い印象を残してしまう。

     この酒場名は『忘れられたる佳きフランス』というような意味だと、作中に書かれているのもまた、印象深い。

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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