和菓子屋の息子: ある自伝的試み (新潮文庫 こ 10-35)

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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101158358

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  • 東京市日本橋区、両国のすずらん通りにその店はあった。立花屋本店。
    9代続く老舗の和菓子屋。10代目になるはずだったのが、本書の
    著者である。

    著者の記憶と、母方の祖父が残してくれた資料を基に、昭和20年
    3月10日の大空襲で失わてしまった東京の下町を綴っている。

    味噌や醤油がなかったら、隣の家に借りに行く。そんな「下町」は
    テレビ・ドラマや映画に描かれた嘘っぱちの下町人情なのだそうだ。

    少し分かるような気がする。ほら、「昭和レトロ」を売りした店舗
    があるでしょう。絶対に平成に出来たお店なのに、わざと昭和っぽく
    してるようなところ。

    昭和生まれの私にゃ「けっ、こんなのしょうわじゃねぇよ」って感じ
    てしまうのよ。それに通じるものがあるんじゃないのかな。

    関東大震災と、東京大空襲で、東京の下町は2回破壊されているの
    だが、関東大震災後に後藤新平が行った復興計画を著者は大いに
    評価している。そして、戦後復興が東京の下町を殺した…とも。

    これも分かる。今だって、防災対策の名の下、東京から路地をなく
    そうとしているものね。

    まぁ、こんな話ばかりではなく、著者が子供の頃に通った映画や
    寄席の話、かなりモダンな建物だった立花屋本店の話、戦時色が
    強まって行く世相など、戦前・戦中・戦後の下町の変遷が描かれ
    ている。

    『日本橋バビロン』もいい作品だったが、本書も下町言葉が収録
    されていていて面白い。あとは『東京少年』を読めば、三部作
    を読んだことになるのかな。

    尚、所々で著者の弟・泰彦氏のイラストが掲載されている。

  • 12/20

  • 小林信彦さんの半自叙伝。

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著者プロフィール

小林信彦 昭和7(1932)年、東京生れ。早稲田大学文学部英文科卒業。翻訳雑誌編集長から作家になる。昭和48(1973)年、「日本の喜劇人」で芸術選奨新人賞受賞。平成18(2006)年、「うらなり」で第54回菊池寛賞受賞。

「2019年 『大統領の密使/大統領の晩餐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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