死の棘 (新潮文庫)

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著者 : 島尾敏雄
  • 新潮社 (1981年1月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (620ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101164038

死の棘 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 度重なる夫の不貞により頭がおかしくなってしまった妻、その妻を支え共に生活を立て直そうと必至に妻の病的な追求や発作に耐え、夫もついに神経を病み投げやりになり心中を図ろうとしたり、そんな夫婦を見て子供が健やかに育つ筈もなく子供も子供なりに鬱憤をため病みや反抗の様相が強く出る。いつ終わるとも始まるとも知れない妻の発作、打ち打たれる妻、夫。妻は自分の激しく純粋な嫉妬で、谷底から、あんたもしっかりここまで降りて来なと手招いている様子と心がうまく運ばずに困憊している様子が綯い交ぜになっている。許しは状態ではなく、行為。愛は生活なんだなあとしみじみ感じた。

  • ☆4つか5つかの葛藤…。なんせ話が長い。
    ただ長いのではない、しんどい箇所が長くずーっと続くのだ。先が見えないどんどん状況が悪化していく。終盤に来るまで挫折しまくって読了するのに5ヶ月かかった笑
    たった1年間の話とは思えないほど長く苦しいのだけれど、それが真実なんだろうと思う。
    周りから見れば、客観的に見ればたった1年のこと。でも当事者からしたら長く、辛く、重い毎日のことだ。ということに気付いてこの話の長さは有りだなと5つ星にした。夫婦がとんでもなく愛し合っている(屈折しまくってるけど)のは、はいはい勝手にやってくれという感じだが、やはり子供は可哀想。大人に巻き込まれてしまって性格、生活に支障が出てしまっているのが不憫でならない。今の時代なら大問題作だろうけれど、この時代こんな家族結構いたんだろうなと思う。

  •  いや、日本初のヤンデレ小説がここまで凄いとは思わなかった。
     この600ページほどの本書に書かれているのは、嫁と子供をほっぽりだして放蕩生活を送ってきた著者が、結婚10年目にして遂に妻が発狂してしまいひたすらそれに翻弄されていくザ・出口無しの日常。夫婦喧嘩は犬も喰わぬとはよく言うが、延々とそれに向かい合わさせられる読者にとってはさぞぐったりすること請け合いでしょう。
     でも、ある意味どこの家庭も今時どっか壊れているものじゃないの?所謂「幸せな家庭」なんて20世紀末の高度経済成長にしか成り立たない幻想みたいなもんじゃなかったの?わかんないけどさ、自分とかは親父が欝で両親が一時期変な宗教にはまってたり、兄貴とそりが合わなくてひたすらに虐められてたりして家庭に居場所なんか全くなかったりしたけどさ、それでも何とかこーやって生きている訳で。はは。逆に一見問題なんか何もない家庭に生まれていてもその子供が健全にすくすく育つ訳でもないんだからさ。
     閑話休題。本書で何より凄いのは、著者が罪悪感に自覚的で在るが故に、自分自身を徹底的に貶めて書いていること。たぶん、読んだ人の殆どはこの著者である夫にいい思いはしないだろう。でも、著者はそれを省みずに、そう思われることを承知の上で徹底的に書いた。普通、吐く。にも拘らず書いた。何のために?贖罪として?
     読んでいて、ああ、宗教というのが何故必要とされるのかがちょっとだけわかった気がした。(著者はこの体験の後キリスト教の洗礼を受けている)科学では救われない、それが嘘だとしても構わないようなどうにもならない心というのも確かにあるんだよ。君や僕の様にね!

  • 全然良くなってないし、何にも解決しないまま終わって、笑った

  • これまたしんどい話で、夫のほうに誠意もこころもないので本当に救いがない。なぜこの奥さんはこんな男に十年以上も我慢しているんだろう。今だったら速攻で離婚になるだろうと思われるけれども、意外とそうでもなく、今時ゆえくるってしまうまで男性に執着していく女性も多いのかもわからない。

  • 読んでてこれほどしんどい本はない。あぁしんどい、つらい、苦しい…。
    死の棘の前に、島尾敏雄の小説やミホの小説を読んでいて、そのおおらかな作風に魅了されていただけに、死の棘を読み始めたときのダメージは大きかった。なんか裏切られた感じ。

  • 「死の棘」島尾敏雄著、新潮文庫、1981.01.25
    515p ¥600 C0193 (2017.09.12読了)(2008.10.30購入)(1991.06.30/26刷)
    著者の島尾敏雄さんは。1917年4月18日に横浜市で生まれています。(父母の出身地は、福島県相馬郡小高町です。)ということで、今年2017年は、生誕100年に当たります。そのため、新聞等で話題に取り上げられているので、便乗して、代表作の『死の棘』を読んでみました。
    以下は読書メモです。

    それでは読み始めます。
    夫婦間のどろどろした話と思われますので、世の中にはこのような世界もあるのか、と物語の世界で体験してみたいと思います。

    三章まで読み終わりました。主な登場人物は、
    夫 トシオ、作家、非常勤講師
    妻 ミホ
    子供 伸一、6歳 マヤ、4歳
    飼い猫 玉
    定期収入がないし、妻子を養わないといけないし、単独行動をすると疑われるし、妻をちゃんと見てないとどこかへ行ってしまうか、自殺してしまうかと心配だし、なんとも大変です。
    人生、耐えるしかない時もありますので、読みながら耐えましょう。

    読み終わりました。
    よくいろいろと変化がつけられたものと感心しました。
    福島県の相馬へ行ったり、精神科へ行ったり、先生を変えたり、トシオの女が現れたり、佐倉に移転したり。
    ミホが死ぬといえば、トシオも負けずにおれが死ぬと言ったり、一緒に死ぬことにしたり、小指を詰めることになったり、…。
    子どもたちも大変でした。伸一君はかなりストレスを受けているようです。心配ではありますが、息子の島尾伸三さんが親について書いた本があるようです。
    機会があれば、読んでみましょうかね。

    【目次】
    第一章 離脱      5頁
    第二章 死の棘     32頁
    第三章 崖のふち    101頁
    第四章 日は日に    144頁
    第五章 流棄      205頁
    第六章 日々の例    236頁
    第七章 日のちぢまり  282頁
    第八章 子と共に    315頁
    第九章 過ぎ越し    344頁
    第十章 日を繋けて   374頁
    第十一章 引っ越し   441頁
    第十二章 入院まで   467頁
    解説  山本健吉    506頁

    ●誓います(16頁)
    「今までの女との関係を続けないこと、自殺は絶対しないこと、子供の養育に責任を持つこと、それが誓えるかしら?」
    「誓います」
    ●直します(95頁)
    あたしのどこが気に入らなかったのか、あなたの本心を言ってください。それがわからなければ、これから先、一日もあなたと一緒に暮らすことはできません。あたしのどこが不満だったか教えてちょうだい。直せるものなら直します。
    ●一人の旅行の自由さ(228頁)
    幼い日から度々経験してきた一人の旅行の自由さ、殊に後先の煩瑣から切り離された車中の閉じ込められた開放を、またこうして体ごと浴びることができようとは、考えてもみなかった。間をおいて襲う生活費の不安が、妻にこれほどの譲歩をさせたのか。しかし妻や子供らのそばを離れるとすぐ肝の底の方に吹き上がってくる後ろめたさが、時がたつにつれ胸元に固まってくる。留守の間に不吉な事故が起こっていないか。帰ってみて、取り返しのつかぬことになっていたら、この先自分に生きてゆくどんな理由が見出せるか。でも妻が納得して出かけさせたのだから、自分だけに責任をかぶらなくてもいいぞとどす黒い声も聞こえる。妻も子供も一緒に取り返しのつかぬことになれば、かえって好都合ではないか。
    ●過去を忘れさせないしるし(338頁)
    夫の過去の行為の尋問をはじめ、予期した返答を耳にすると逆上して平手打ちを加えた。逃げずにいる私は、いつも左の耳を叩かれ、鼓膜が内側に突っ込んで痛みが取れなくなったが、、それは過去を忘れさせないしるしだと思えないこともない。
    ●独りっ子(473頁)
    独りっ子で育った幼少時に、妻には嫉妬や憎悪の訓練が欠落した。

    ☆関連図書(既読)
    「魚雷艇学生」島尾敏雄著、新潮文庫、1989.07.25
    (2017年9月28日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    思いやりの深かった妻が、夫の「情事」のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻、ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?―ぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。

  • 「おぞましい」「無能」「自己愛と無関心」
    読み進めて頭に浮かぶ言葉は救いのないものばかり。
    途中からはこれが夫婦の「プレイ」なんだと気づいても嫌悪感は増すばかり。
    献身に名を借りた妻の自己愛、執着、夫の無関心と共依存。
    ひとつひとつの出来事、心の動き、機微には馴染みがあって理解できるのに
    これらのパーツを組みあわせたときなぜこれほど悲惨なモンスターが出現するのか。
    解説では「愛」ともち上げられていたが、こんなものが愛であるはずがない。
    描かれているのはどこまでも醜悪な執着と自己愛と無関心だ。

  • 読めば読むほど気持ち暗くなる内容だった。返却期限も過ぎたので、本当に久々に読了しないで返却。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784101164038

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思いやりの深かった妻が、夫の「情事」のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻、ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?-ぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。

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