死の棘 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.50
  • (68)
  • (87)
  • (167)
  • (24)
  • (11)
本棚登録 : 1773
感想 : 140
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101164038

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読んでる途中憂鬱で憂鬱で仕方なかった。

  • 名作です。

  • 夫の浮気を知った妻は次第に精神のバランスを崩していき、夫婦と幼い子供達の生活は破綻していく…。
    筆者の実体験を元に書かれたもの。
    身勝手な夫は張り倒してやりたいくらいだし(その勝手さが自分にないとは言えないのだけど)、ピアノ線の上を歩くような妻の危なげな様にはキリキリし、荒れていく子供達には胸が痛んだ。
    けれど…面白い。
    実際の悲劇の上に成り立ったものを面白いと言ってしまうことに後ろめたさを覚えるが、認めざるを得ない。
    ここから回復していったとはいえ、これを作品にしたことに、作家の性を感じた。

  • 有名な死の棘。
    なかなか読む機会がなかったが、作者生誕100年、「狂う人」の出版などなり、書店で目立つところにおいてあり、手に取ってみた。
    妻ミホが統合失調症を発症したところから始まる。
    今まで恐らく、敏雄のする事に意見や文句、異論を唱えることをしてこなかったであろうミホのいきなりの発症。
    これは敏雄もびっくりだろうね。
    だけど、日々の積み重ねがミホの心を蝕んでいった。
    10年に及ぶ夫の不貞。
    しかも多数!
    今とは時代が違って離婚と言うのは難しかったんであろう。
    こんなになってまで敏雄を愛している、もっと自分だけを愛してと体中で叫んでるミホがいじらしい。
    いじらしいけれど、二人の子供が不憫で仕方なかった。
    発症から精神科入院までの経緯が書いてあるけど、その後がとても気になる。

  • 恐ろしいほど打ちのめされて一気に読んでしまった。壮絶な心だ。壮絶を通り越して美しくも見える。哀れで、悲しくて、美しい。

  • 夫の浮気が原因で発狂した妻。その介護をする夫もしだいに疲弊し伝染するかのように狂言自殺したり逆ギレしたり。えんえんと、不毛で終わりのない夫婦喧嘩が続くだけなのだけど、なぜか引き込まれる。基本的には自分が女性なので奥さんのほうに同情してしまう。次々と暴かれる夫の過去のろくでもない所業に、そらめっちゃ腹立つわ、復讐のひとつやふたつ、してやりたくもなるわ、と共感するのだけど、だんだんあまりにも奥さんがしつこいので、これは流石にキツイよなあと旦那に同情も湧いてくるのだけど、でもやっぱりまだ写真を隠していたり、愛人が乗り込んで来たときに、まるで被害者ぶったり傍観者ぶったりするうえ、八つ当たりで子供に暴力をふるうにいたっては、こいつ全然反省してない(怒)と奥さんと一緒に腹を立ててしまう。なにより両親の狂気を目の当たりにして歪んでゆく子供が可哀想。

    小説の中では妻は回復せず、入院するところで終わるのだけれど、治る経過も知りたかったなあ。現実のミホさんは一応回復されたわけですし。あと浮気相手の女性については、全く心理描写などはないので、こちらもどういうつもりだったんだろうかとモヤモヤしました。解説で「王女メディア」と比較されてたのは面白かったです。なるほど確かに、夫に裏切られて復讐する女の話として共通点が多い。ただミホさんは結局それでもトシオを愛していて、ばっさり切り捨てるという選択肢がなかったんでしょうね。悲しい。

  • 2016/2/25

  • 【諦めなよ、もう全部。切っても切っても自分だからさ】

    壊れたふりも、狂ったふりも疲れてしまったから、もう壊れて狂ってしまうね。あなたは私で変わらないから、私が変わってしまうね。

    そんなに睨まないでよ。結局は同じことでしょうよ。無関心でいればいいじゃないの。そうやって生きてきたんだから。今更、原発だとか排気機ガスだとか汚染水だとか、馬鹿馬鹿しい。いつまでもそこで強がってなさいよ。格好、つけてさ。

    逃げられないよ。変わらないよ。動かないよ。なにも。希望はもう、売り切れ。どんなに遅くなっても、最初からジェンガは崩れるものでしょうが?

  • 141224

  • わりと有名な本ですよね。
    でも、最初の数頁でギブアップ。

    夫の浮気に対して妻がくどくどくどくど言っていて、背表紙によるとそれにより精神を患っていくようなので、この先希望的展開は望めないと思って。

    読み続けるとくどくどが伝染っちゃいそうでオソロシイ。
    子供がかわいそう。。。

全140件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

1917-1986。作家。長篇『死の棘』で読売文学賞、日本文学大賞、『日の移ろい』で谷崎潤一郎賞、『魚雷艇学生』で野間文芸賞、他に日本芸術院賞などを受賞。

「2017年 『死の棘 短篇連作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島尾敏雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×