こんなに変わった歴史教科書 (新潮文庫)

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著者 : 山本博文
  • 新潮社 (2011年9月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101164465

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こんなに変わった歴史教科書 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 長年歴史教科書を執筆してきた著者が、中学校における昭和47年(1972)の教科書と平成18年(2006)の教科書との違いを比較すると共に、現在でもドンドン更新されている最新の歴史の見直しの一端を披露することにより、教科書の簡単な記述の中に込めた多くの思いを語った本である。

    最近時々TVでも紹介されているように「聖徳太子」「源頼朝」「足利尊氏」らの画像は「・・・と伝えられる肖像画」と、特定を避けた記述になっていたり、「島原の乱」は「島原・天草一揆」、「西南の役」は「西南戦争」と変化している。

    幾つかの具体例を上げると、
    人類の出現⇒人類登場の年代はドンドンさかのぼる
    昭和の教科書:「よくわからない」
    平成の教科書:「400万年前」
    化石の新発見とともに、人類の出現はドンドン遡っており、近年では700万年前まで遡っている。
    百万年単位で動くのが凄い。

    大和朝廷⇒ヤマト政権・ヤマト王権
    まず「朝廷」には天皇が政治を行う場所という意味があり、天皇を中心とした国家が成立していない時期の用語としては不適当という考えから「朝廷」という文字が消えた。
    また「大和」は8世紀頃の行政区画名で、それ以前には「倭」「大倭」の文字が使われていた。4~5世紀の政治勢力の中心範囲と異なることから、最近では「ヤマト政権」や「ヤマト王権」と表記されるのが、一般的になりつつある。

    私の世代では「ヤマト」と書くと、「宇宙戦艦ヤマト」や「クロネコヤマト」を連想してしまう。

    また、私の棲む「彩の国」は江戸時代以前は、歴史の不毛の地かと思っていたら、「さきたま古墳群」の中の稲荷山古墳出土の鉄剣に金象嵌の銘文が発見された。この発見により、5世紀後半にはヤマトの大王を中心とした政治連合に関東から九州までが参加していたことが分かったそうだ。まさに世紀の大発見だった。

    長篠の戦い⇒武田騎馬隊は存在したのか
    昭和の教科書:「織田・徳川の連合軍の鉄砲隊は武田の騎馬隊を狙い撃って大勝利を得た」
    平成の教科書:「鉄砲を有効に使った戦法により、武田氏を長篠の戦いで破り」
    と、鉄砲隊に関してはグーンとトーンダウンしている。これは近年の研究成果により、「鉄砲三千挺、三段撃ち」も「武田の騎馬隊」のいずれも存在しなかったとの説が有力になっているのだそうです。
    また当時の日本の軍馬の体高(首の付け根までの高さ)が126cmと「ポニー」並みの小ささで、人が騎乗したままの戦いは無理で、闘う時は馬から降りたそうだ。

    第33回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した黒澤明監督、仲代達也主演の映画「影武者」のラストでの織田・徳川連合軍と戦う武田軍の壮絶な騎馬隊の戦闘シーンはどうなるのでしょう。
    因みにこの映画の撮影には体高が170cmもあるサブレッドが使われたそうだ。

    ああ! 夢がドンドン壊れて行く・・・

  • 年号の暗記を要する歴史が苦手だった。だから教科書は無味乾燥なものであった。史料を基にした歴史小説を読んできた今、日本の歴史にいくらかでも馴染んだ気がする。昭和と平成の歴史教科書を対比させながらの記述はたいへん興味深い。しかし、古代から近代まで納めなければならない制約から、例えば坂本龍馬などは本書では一切触れられていない。教科書に+αの話を盛り込んでくれる教師がいたら歴史が最初から好きになっていたかな~?

  • <内容紹介より>
    昔、お札で見慣れたあの絵の人物は聖徳太子でなく、鎌倉幕府が開かれたのも1192年ではなかった?昭和生まれの歴史知識は、平成の世にあっては通用しない。歴史の基礎中の基礎、中学校教科書は、この三十年の間に、驚くほど多くの記述が書き改められている。それはなぜなのか?昭和と平成、新旧二つの歴史教科書を比較しながら、その変化の理由=私学研究の成果を楽しく学ぶ。


    東京書籍が刊行した中学校用教科書のうち、『新訂 新しい社会【歴史的分野】(昭和47年)』と、『新訂 新しい社会【歴史】(平成18年)』を比較。
    私学研究がどのように進み、その成果がどのように教科書に反映されてきたか、という話。
    平成29年現在で考えると、すでに新たな研究成果もあり、少しずつ情報が古くなっている部分もあるが、歴史教科書の変遷をとらえる、という意味では悪くない本だと思う。


    p.65
    「蝦夷」と「エミシ」
    『宋書』倭国伝にある倭王武の上表文に「東は毛人征すること五十五国」とみえるが、…「毛人」は、おそらく「毛の国の人」の意味で、現在の北関東に勢力を持っていた毛の国(上毛野(カミツケノ)下毛野(シモツケノ))を指すと考えられる。「毛人」は「エミシ」とも呼ばれたが、これは「弓師」の転訛で武人を示すとする説が最有力で、「東国の武者」といった意味合いが強く、蘇我蝦夷や佐伯今毛人などの人名にも用いられた。

  • 昭和と平成の歴史教科書の差異を見る。かつて習った「日本史」との比較が可能な大人に向けられた内容だが、可笑しく感じられたのは、中高の歴史の授業同様、近現代史の取り扱いが極端に少なかったこと(日露戦争で終了)。30年前と中身が依然変わってないのか、紹介する程のトピックが無かったのかは分からないが、日本の歴史教育の弱点まで反映されているようではあった。

  • 東京書籍の1972年と2006年の教科書を比較し、記述がどのように変わったか、その背景にどのような研究の進展があったかを考える一書。よく知られている話が多いが、こうやってまとまった記述になっていると、改めて面白いと思う。

    ただ、不満もある。それも大きな不満。

    (1)扱っているのが東京書籍だけであること。他社の教科書はどうなのだろうか。東京書籍に限定せず、他社の教科書も取り入れるともっと変化の様子がよくわかったのではないかと思う。

    (2)教科書の執筆者について触れていない。といっても教科書のどの部分を誰が書いたのかは公開されていないので、せめて1972年と2006年の執筆陣は掲載してもよかったのではないか。教科書の巻末に執筆者は載っているのだから。

    (3)これが最大の問題なのだが、近代の記述が日露戦争で終わっている。これでは竜頭蛇尾と言わざるをえないだろう。というか、意図的に避けたのだろうな、という気すらしてくる。しかし1990年代から教科書にとってもっとも問題になっているのが近代史、とりわけアジア太平洋戦争近辺であるのだから、そこの変化を追わないというのは残念である。この本が単なる「一般の面白い本」で止まってしまい、歴史学・教育学として意味のある本にもう一歩なりきれていないのではないだろうか。

  • 分かりやすい!
    節ごとに同時代の世界史をまとめてくれるのは便利。

  •  平成の教科書と昭和の教科書の記述の違いと、その変遷の経緯や理由を述べた本である。歴史認識の難しさを感じるとともに、知らない歴史が多々ある自身の反省に繋がる書であった。

  • 私は昭和生まれで青春時代を平成で過ごした勢ですが、この本に比較されている「昭和の教科書」に載っていたことを学んでいた気がします(うろ覚えですが、ところどころ「ああ、これ授業でやったな、試験で覚えたな」という懐かしさがありました)。大学生の時でさえ「今は教科書でこう書かれている」という変化に驚いたものですので、今はまた全然違うのでしょうね。思うことは、教科書に載せる…以前に、歴史を「~であった」と説明できるようになるまでには、とてつもない労力が必要だと言うこと。別の本で見た「~である、と言うのは簡単だが、~でなかった、と証明するのは難しい」と言う言葉を思い出しました。私が現役だったころは近代史など駆け足で殆どやりませんでしたが今もそうなのでしょうか?これに出ていた例えば徴兵拒否の話や反対運動などは、恥ずかしい話、この本で知りました。「知らなかった、教えて貰ってない」などと情けない言い訳をするのは嫌ですが、こういうの、もうちょっと自分でも興味を持って勉強してれば良かったなーと思いました。私の子供達が中学生になったときに、教科書を見せて貰うのが楽しみになりました。私まで使っていた教科書も見せねば(笑)。ひとつ。わからない単語(忘れているだけなのかな?)の解説がもう少し欲しかったです…

  • 2015新潮文庫の100冊

  • 歳を取るにつれて歴史は連綿と続いていて、今自分の見る世界の複雑さと同じなんだなという気づきがありました。
    本書を読んで、教科書という小さな枠の中に複雑な世界を切り取るのは、やはり難しいんだなと思いました。歴史教科書に人間味を感じられます。
    また教科書を作成するのにすごく苦労されていて、であれば歴史教科書は単に記号を学ぶだけのものではなく、もっと日本人の教養の入り口になるようなモノになっていったらいいのにと思いました。

  • 平成生まれの自分としては変わってしまったあとの歴史を学んだため特に目新しいものはなかったけれど、昭和から平成にかけてどのように研究が行われてきたのかはなかなか興味深かった。文体がちょっと硬くて読みづらく感じた。もう少し軽い文体で書いて欲しかったかな

  • 教科書というとなんとなく味気ないもののように思うかもしれないが、実は、その一言一句には、多くの史実と学説に基づく蘊蓄が込められているし、長い年月を経れば史実に対するその評価、記述は変化する。本書は、1972年の昭和教科書とほぼ30年後の2006年の平成の教科書を比較しながら、その間の記述の変化を追う。それはたとえば縄文時代が意外に弥生と重なる時期があったとか、稲が朝鮮半島だけでなく、大陸からも伝わったとか、旧一万円札の聖徳太子像は別人かもしれないとか、元寇では2度も神風が吹いたのかとか、長篠の戦いで武田騎馬隊は存在したか、信長の鉄砲三段打ちはありえたかとか、多少はテレビや本で聞いていることもあるが、こんなに歴史事実の評価が変わったのかと驚くことばかり。「踏絵」も「絵踏」に変わったそうだ。「踏絵」は絵であり、本当は「絵踏」でないといけないからだそうだ。たしかに、「踏み絵を行う」は漢語ではなく和語表現ではあるが、「読書をする」と同じように、動詞+目的語構造と考えられているのではないだろうか。ぼくはそれほど違和感を覚えなかった。

  • 昭和四十七年と平成十八年の歴史教科書を比べて…という本。
    随時記述が変わっていることがよく分かる。

  • 士農工商、踏み絵、鎖国、田沼意次の賄賂等々我々の頃の常識はみんなウソっぱちだったのね。

  • おお、そうだったのか! といっぱい言いたかったけれど・・・。
    こちらが散漫な読書をしたせいか、意外と驚けなかった。
    鎌倉幕府の成立が1192でないかもしれない、という話は、昭和の教科書で育った私も、いつの間にか知っていたことだったし・・・。
    そもそも、昭和(末だけど)の教科書で育った世代だけれど、その昭和の教科書をそれほど覚えていないということもあるのかも。
    他の方なら楽しめるかもしれない。

  • 東京書籍の昭和47年と平成18年の歴史教科書を比較しながら歴史学の進歩を検証していく書。聖徳太子や源頼朝、足利尊氏の肖像画が実は別人だったり、「士農工商」、とくに農工商の身分差が無かったり、西南の役から西南戦争への呼称の変更など、確かに昔習ったことが今の教科書では微妙に違っている。ただ、その差は歴史が遡れば遡るほど大きいみたい。古代の解釈は遺跡の発掘などによりこれからも大きく塗り替えられていくんだろうなあ。

  • 昭和47年と平成18年の中学の教科書を比較したとのこと。僅かの間に試験の解答が変わる。まる暗記ではなく、歴史って時代が変われば解釈が変わる、悪人とされた人物の評価は変わることがあることを授業で教えれば、楽しいと感じる子がもっと増えるだろう。13.12.15

  • 一つ一つの記述が短いので、なんとなく歴史を学び直そうかな、程度の人向け。
    淡々と書かれているので、楽しく学び直すと言うよりは、教科書を読み直している感じ。

  • テレビの時代劇を見てなんか昔と違う気がしてたのが、ちょっとすっきりしました。

  • 1972年の中学歴史教科書と2006年の中学歴史教科書を対比。島原の乱→島原・天草一揆、セポイの反乱→インド大反乱、西南の役→西南戦争、東学党の乱→甲午農民戦争など、歴史的用語の変化とその理由を紹介。「戦後歴史学が民衆闘争の歴史を高く評価」、「欧米から東アジアへと経済的、文化的関心を移行」など。歴史学界では新説が通説となるのに30年かかるとの由。そのタイムラグが一律的にあらわないこともあるような。本書のなかでも歴史のとらえかたとして相反するトピックも。とにもかくにも、「こんなに」は変わってなかった印象。もちろん「変わった」とは思うけど。

  • 20130316
    歴史 とは何なのか、
    何が歴史をつくるのか。ということを読みながら考える。

  • 昭和と平成でこれほど歴史教科書の内容が変わっているとは驚きでした。
    歴史の見方というのは、時間がそうとう経たなければ確立されないものだなと痛感しました。

  • 教科書に書かれていることは、絶対不変の真実ではない。そんな思いを新たにした歴史エッセイ。考古学、歴史学の研究成果により次々と覆される歴史常識、歴史は面白い。

  • 歴史の描かれ方は時代と共に変化する。それは、研究成果然り、また時代のニーズによるもの又然り。

    本書は、歴史の「昭和教科書」と「平成教科書」の内容の違いを踏まえて、近年までの研究成果を一般の人にも分かるように解説されている。

    また、「教科書」は検定を受けているものであるため、例えばその時代のニーズや関心を踏まえた解説も所々見られた。

    近年の歴史教科書を研究成果と合わせて学べる一冊。

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昔、お札で見慣れたあの絵の人物は聖徳太子ではなく、鎌倉幕府が開かれたのも1192年ではなかった?昭和生れの歴史知識は、平成の世にあっては通用しない。歴史の基礎中の基礎、中学校教科書は、この三十年の間に、驚くほど多くの記述が書き改められている。それはなぜなのか?昭和と平成、新旧二つの歴史教科書を比較しながら、その変化の理由=史学研究の成果を楽しく学ぶ。

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