春の数えかた (新潮文庫)

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著者 : 日高敏隆
  • 新潮社 (2005年1月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101164717

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春の数えかた (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 動物行動学者の好奇心にあふれたエッセイ集。
    身のまわりの植物や昆虫に対する、著者の眼差しのあたたかさと鋭さを両方とも感じることができます。

    特に印象的だったのは「自然との共生」についての文章です。(「幻想の標語」「人里とエコトーン」)
    そもそも自然とは果てしない競争と闘いの場である。
    人間は住みやすい環境を守るために雑草や虫を追い払うけれど、植物や虫は子孫を残すため追い払われてもまた巻き返してくる。
    そのように、人間のロジックと自然のロジックがせめぎ合うところが人里であり、その状態こそ「自然との共生」なのではないか、と著者は述べています。
    そう考えると、里山の景色がなんだか違ったように見えてくるから不思議です。

    また、表題作にもなっている「春の数えかた」もおもしろかったです。
    生物はどのようにして春が来たことを知るのだろう?
    たった5ページのエッセイとは思えない、わくわく感を味わうことができました。

  • 春の数えかたというタイトルに魅せられました。
    同じ高さにそろえて咲かせている花たち、鳥や虫たちが季節を知る方法、自然界の不思議がいっぱいつまった素敵な作品です。
    著者の作品にこれからも、触れて行こうと思います。

  • 人の世に疲れたときは、こういった生物学方面の本を読むとほっとする。
    人間以外の生物は、厳しく荒々しくむきつけに生きている。
    人間は簡単に「動物を見習うべき」なんてことを言うけれど、とうてい無理だと思う。まあだいたいそういうことを言う時は、人間に都合のいい面だけを取り上げているものなのだけれども。
    この本はエッセイなので、いろんな事象についての日高先生の思いが書かれているにとどまっている。ここから先が面白いんだよなあ。
    それにしても、植物と昆虫のせめぎあいは実に凄まじい。

    もう亡くなってしまったのが改めて残念だ。

  • 昆虫や植物がとても好きなんだなと感じるエッセイ。見つめる目は、とても温かい。鳥たちが家に帰りたくなった時は、まずある一匹が家に帰りたいとされる鳴き声を出して、最初は何匹かがその鳴き声を出しているだけだが、だんだんその数が増えていくと、全員で家に帰り出すと書かれていて、さすが群れの生き物だなと感心した。一人だけで帰るのでもなく、無理やり連れていくのでもなく、みんなをその気持ちにさせるまで待つ、というところが何とも集団行動的。

  • 内容紹介
    春が来れば花が咲き虫が集う──当たり前? でもどうやって彼らは春を知るのでしょう? 鳥も植物も虫も、生き物たちは皆それぞれの方法で三寒四温を積算し、季節を計っています。そして植物は毎年ほぼ同じ高さに花をつけ、虫は時期を合わせて目を覚まし、それを見つけます。自然界の不思議には驚くばかりです。日本を代表する動物行動学者による、発見に充ちたエッセイ集。

    これは興味深い学者の視線で、僕らの目線迄降りてきてくれている本です。自然との共生というよりも、そもそも自然もお互いを熾烈に喰いあって成立しているのをじっくりと語ってくれています。

  • 動植物に対するあたたかい目線が心地よいエッセイ。

  • 自然の生物多様性とは生きものたちの果てしない競争とせめぎあいの結果。
    調和の上に成り立っているわけではないのだ。
    もちろん人間も含めた生きものたちの。


    僕の思い描いていた自然の風景には
    すべて人のロジックがあった事を知れた。

  • 植物、昆虫、、、、、いきものはどのように時間を感じるのか?
    著者の思索がいい具合に述べられている。
    読者はごく自然に生物学の一分野の最先端まで導かれていく。何が明らかになっていないのか?
    おそらく、今後解決される課題もあるだろう。
    面白い。

  • この本を読んで生物たちが身近に愛おしく感じられるのは、解説の椎名誠さんがおっしゃるように、視点が学者のそれではなく「人間の視線」であるからだろうと思う。

  • 植物や生きものを見つめることが心から好きなのだなとわかるあたたかい視点で描かれているエッセイです。生きものの行動にかくされた意味などに驚かされます。

  • 【本の内容】
    春が来れば花が咲き虫が集う―当たり前?

    でもどうやって彼らは春を知るのでしょう?

    鳥も植物も虫も、生き物たちは皆それぞれの方法で三寒四温を積算し、季節を計っています。

    そして植物は毎年ほぼ同じ高さに花をつけ、虫は時期を合わせて目を覚まし、それを見つけます。

    自然界の不思議には驚くばかりです。

    日本を代表する動物行動学者による、発見に充ちたエッセイ集。

    [ 目次 ]
    春を探しに
    赤の女王
    動物行動学としてのファッション
    ボディーガードを呼ぶ植物
    カタクリとギフチョウ
    ホタル
    夏のコオロギ
    植物と虫の闘い
    八月のモンゴルにて
    シャワー〔ほか〕

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 鋭くも暖かい、小さい生き物たちへのまなざし。

  • 眠いのは春のせいだけかな

  • 動物行動学者と聞き、全て動物の話かと思っていたが、生きもの全般の話であり非常に楽しめた。
    花の高さが同じ理由やセミの鳴き方、そして、人里・自然と人間の共生の意味など見過ごしてしまっている身近な疑問を追求し、楽しませてくれる。
    私も様々なものに好奇心を持ち続けていきたい。

  • 昆虫が、採集の対象でも、はたまた見て楽しむ目的でもなくなって久しいけど、こういう作品を読むと、ちょっと童心がくすぐられる。かといって、また図鑑を引っくり返して色々調べてみようとか、何なら飼ってみようかなとか、そこまでは思えない自分が悲しいけど、ほんの少し、自然に注意を向けてみようってきっかけにはなった気がする。どのジャンルもそうだけど、昆虫たちにしても、まだまだ意味不明な行動、たくさんとってるんですね。

  • 動物行動学者、日高敏隆(1930-2009) が1995年ごろに『波』に書いたエッセイ集である。日高氏は鱗翅類の専門家で蝶や蛾の話もいくつかある。蝶は昼行性で眼で後尾の相手をみつけるが、蛾は昼行性もいるものの基本は夜行性でフェロモンで後尾の相手をさがす。蝶の筋肉がもっとも動くのは30度〜35度くらい。20度くらいの気温でも羽根をひらいて、胴体を太陽にあてて温め、動いていくうちに筋肉の運動で温度をあげていくとのこと、気温が30度くらいあると、逆に動くと熱くて死んでしまうので、木陰で休むのだそうだ。ほかには、カマキリが秋に冬の降雪量を予測して、雪をかぶらないように卵をうみつけるとか、魚は体を左右にふって泳ぐのであって、ひれは安定装置でしかないとか、ペンギンは水深100mから急浮上しても、血液に気泡ができないとか、セミの鳴き声が打楽器と同じしくみだとか、戦中にカイコの変態をつかさどる前胸腺ホルモンを発見した福田宗一の話とか、とても興味深いものばかりだ。動物の性行動と人間のファッションの共通性(その種の範囲にはいること、異性からみて魅力があること、同性との競争に勝てること)などを指摘していたり、日本のスリッパ文化を指摘したりと人間行動も論じている。バヌアツやモンゴル、ボルネオのジャングルの描写などもある。諫早問題や、「人里」=「エコトーン」(人間の論理と自然の論理が双方圧倒的にならずにせめぎあう空間)について提唱していたり、自然に調和はなく、激烈な闘争があって、「調和」しているようにみえること(ドーキンス『利己的な遺伝子』に依拠)など、環境問題も論じている。表題作は変温動物が孵化する条件である有効積算温量を述べたものである。

  • 本著者の植物、奥本大三郎の昆虫、このような理科系の学問に携わっている人の中で、時折、見事なエッセイストが現れる。一昔前なら、中谷宇吉郎か。矢張り、自然と言う不可解なものを静かに見続けている人間の眼差しであろう。

  • 自然環境の中で、人間や生物がどうやって季節を感じ、それに合わせて活動をしているのか、をメインのテーマとして、「利己的な遺伝子」「ソロモンの指環」の訳者である日高敏孝氏が、コラムとして書かれたものをまとめた一冊です。

    一話完結型の比較的コンパクトなコラムを集めたもので、文章も非常に丁寧なので、読みやすいです。
    まったく日本とは気候条件の異なる地域に旅行に行った際もあり、本当に広い視点から「自然」というものを見つめていると感じます。
    些細なことが、生物学者の鋭い視点にはこのように映るのだ、と驚きました。

    気温を感じて発育するチョウと、日長を測っているチョウがいる話が印象に残りました。
    生態系や自然保護に関するテーマでは、われわれの「自然観」を問い直されます。疑似自然、という表現も強烈でした。

    とても興味深かったです。

  • 夕刊の書評で見つけた本。ロングセラーとのこと。全然知らなかった。カバー裏にある著作の「人間はどこまで動物か」は本屋で見かけたかな。
    蝶や蛾などの鱗翅類、植物が1年の時間をどうやって測っているかという話題が多いかな。スリッパ論など全然関係ない話もある。

    コム・デ・ギャルソンは自分の女という性を隠したい人が好むという担当者の発言の後、「これで、よくわかったような気がした。魚でもそういうことがある。」と続く。平然と書いているけれど、このつながりは普通じゃないよね。
    専門に偏り過ぎず、動植物の色々の話題に触れる。ゆっくり読むべきエッセイだと思うが、つい一気に読んでしまった。

  • 面白い!いままでと違う視点から自然界を観察、勉強になった!

  • 竹内久美子さんの師匠。日高さんはもう鬼籍に入っているのだな。滋賀県立大学学長の時のもの。日本エッセイスト・クラブ大賞受賞作。

    生き物と季節の関係に関する話が多い。
    生態系の話は面白かった。何がベストの生態系かなどは定まらない。人間がいることで生きていける生物もいる。それが田であったり里山であったりする。諸悪の根源は人間とする考えは小さなフレームでの思考なんだなぁ。大きなフレームでみれば全て道理なんだろう。かといって現実を生きている人間やその他生き物にとっては環境が変わることによって被る利益や不利益がダイレクトに現れるから問題なんだろう。

  • 「春の数えかた」5

    著者 日高敏隆
    出版 新潮社

    p185より引用
    “いずれにせよ、世界自然遺産指定以来、観光客はぐっと増えた。
    しかしそれに伴って自然は荒れる。世界遺産に指定された世界の
    各所でおこっていることである。”

     動物行動学者である著者による、自然と人間の関わり等につい
    て書かれたエッセイ集。
    真冬に探す春の気配の話から海外での体験談まで、穏やかでやわ
    らかい文章で綴られています。

     上記の引用は、屋久島について書かれた話での一文。
    世界遺産に成る程貴重な自然であるのなら、観光に使ってお金を
    稼ぐより、人が近づかないように保護する方向に動いてもいいの
    かも知れません。過ぎた好奇心をお金があるに任せて満たす事で、
    大切な物を壊してしまわないようにしたいものです。

    ーーーーー

  • こないだ手話サークルで、本の話題になったときに、この本を読んでるという人がいて、図書館で借りてみた。

    ▼生きものの種がちがえば、春のくる日もちがうのである。(p.222)

    生きものたちは、それぞれの手だてで季節をはかり、時をあわせて姿をあらわす。そのことを、「遠くまで開けた感じ」の滋賀で、ぐるりの観察から書きとめている。自然界と人里との関係、人の社会がつくりだしてきたものと生きものの行動との齟齬、そんなことも書かれている。

    この本を読んで、『私たちは"99%"だ』のまえがきに、レベッカ・ソルニットの詩的な表現が引かれていたのを思い出した。

    ▼花を引き抜くことはできても、春の到来は止められない。(p.vi)

    生きものの話はおもしろかったのだが、ときどき出てくる人間の表現、とりわけ女性を書くときに「キュート」というようなマクラがやたらつくのは、なんかなーとも思ったのだった。

    (5/27了)

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春が来れば花が咲き虫が集う-当たり前?でもどうやって彼らは春を知るのでしょう?鳥も植物も虫も、生き物たちは皆それぞれの方法で三寒四温を積算し、季節を計っています。そして植物は毎年ほぼ同じ高さに花をつけ、虫は時期を合わせて目を覚まし、それを見つけます。自然界の不思議には驚くばかりです。日本を代表する動物行動学者による、発見に充ちたエッセイ集。

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