ふむふむ: おしえて、お仕事! (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167633

作品紹介・あらすじ

あなたがなりたかった職業は何ですか。靴職人、お土産屋、動物園飼育係、フィギュア企画開発、漫画アシスタントにフラワーデザイナー。夢を叶え、技能と情熱をもって働く15職種16人の女性に、作家が直撃インタビュー。時に持ち前の妄想力を炸裂させ、時にキレキレの自己ツッコミを展開し、時に物欲の鬼と化しながら、聞き取った素晴らしき人生の物語。さあ皆でレッツ“ふむふむ”!

感想・レビュー・書評

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  • 残暑お見舞い申し上げマ━(*ゝωб*)b━ス!!!!

    ✧ド(*,,ÒㅅÓ,,)ャ✧

    はい、もうたまらなく暑いですよねー、毎日!もう、なんなんでしょ、この暑さ。

    (Q(´▽`。)あおいであげりゅ♪”

    あ、ありがとうございます…って、あんた誰?

    (⌒,_ゝ⌒)誰やねんお前!(^‹_,^ )

    いや、一人でつっこんでボケてる場合じゃないですね。失礼しましたーって、言ってる場合じゃなくって、そう、そう、そう、そう、そうー!

    キタ━━━━━━━━m9( ゚∀゚)━━━━━━━━!!

    …という、このテンションMaxなノリから始まるのがこのレビュー、皆さんもうお分かりですよね、そう、よくお分かりで。このノリはさてさてが三浦しをんさんのエッセイのレビューを書く時のノリなんだよー、キ・ミー!わっかるかなぁー?

    (・Д・)oO(・・・え、知らない)

    ダメだねー、あなたは自分がブクログのもぐりだと白状しているのとイコールなんだよ。ハハハハ、って、ヤバイレビューを開いてしまった!と、こら、そこのあなた、画面を閉じてはいけません!そのような行為は禁止されています。いや、ここは日本なので、じ、自粛してください!

    ΣΣ≡Σ(/*゚∩゚*)/脱走開始

    ダメっ、ゼッタイ!はい、ちょっと我慢しましょう。こんなの書いてる本人が一番恥ずかしいんだからね、我慢してるんだから、ね!わかった?

    ( ・ω・)⊃-[二> >二]-⊂(´∀` ) 半分コ♪

    あ、ありがとっ!ってそうじゃなくって!、わたしゃあこれからこのクソ暑いのにレビューを書こうってんだから、ね。こんなことしてたらいつまで経っても進まないから、ね。で、で、だよ。これから始めようってのは、三浦しをんさんの「ふむふむ おしえて、お仕事!」という作品のレビューなんですよ。ね。わかりますか?いつもは超真面目でうっとりするようなカッコいいレビューばかり書いてる、あの さてさて氏 が、

    【*意味不明*】´∀`)ゞドーューコト?

    しをんさんのエッセイの時には、こ、こんな壊れてしまったようなレビューを書かなきゃならないんですよ。やりだしたからにはやる度にエスカレートしないとみなさんに許してもらえないのではないか?、という不安な感情に支配されたこの辛さ。だから、最近はしをんさんの作品を読むのが怖くって、手に取れなくなってしまって…って、

    ┐(´ー`)┌ さっぱりわかんないよ

    と、やっていても長くなるだけなので、いい加減に始めてちょんまげ!

    ╭( ・ㅂ・)وえいえいおー!

    ようやく始まったよ、なんだこのレビューは、ということで、とにかくです、この作品は、天下の直木賞作家の三浦しをん大先生が、『職業って、仕事って、なんなのだろう。十五種類の職業について、十六人にお話しをうかがった』というインタビュー企画で出来上がった作品なんですよ。目次を見ても『靴職人』『活版技師』『漫画アシスタント』『フラワーデザイナー』『現場監督』『お土産屋』とインタビューした方の職業も実に多彩です。まあ、この世の中にはこんなにも色んなお仕事があるんだねーといきなり目次だけで関心してしまいましたよ、私。

    φ(・ω・ )ヵキヵキ『なるへそねぇ~』

    どの方のお話もとっても興味深いんですが、レビューの行数との兼ね合いがあるので、その中から断腸の思いで、三人の方についてご紹介しましょう。

    ("`д´)ゞラジャ!!

    まずお一人目は『私にとって憧れの職業のひとつである』としをんさんが語る『動物園の飼育係』の高橋さんのご登場です。しをんさんが『動物飼育係』が憧れの職業だなんて、なんだか餌の時間とか内容とかグダグダになりそうだけど…。

    Σ( ̄Д ̄;)ヤバッ

    そんでもって、『幼いころからの夢をかなえて、なじみのある動物園でペンギンの飼育係』をされているという高橋さんは興味深いことを教えてくださいます。ペンギンは『一生つがいは一緒です』。そうなんだ、なるほど、と思ったら、それに『浮気はないんですか?』と訊くしをんさん。なんと、『雌がほかの雄にアピールしに行くんですよね』『そこの奥さんがいない隙に』と淡々と語る高橋さん。それを『見てるだけで、止めないんですか』『関係が泥沼になったりは』と詰め寄るしをんさん。それにあくまで冷静に『三角関係でケンカしたり。本当に人間と変わらないです』と答える高橋さん。動物の命を預かる飼育員さんには、やはり、この冷静さがなきゃダメなんですよ、しをんさん。

    (人′∀`)ダヨネ!

    そんな高橋さんは『趾瘤症(しりゅうしょう)という、人間でいうとウオノメみたいなもの』にペンギンが悩まされているとおっしゃいます。これには、『ペンギンにウオノメができるんだ!』とビックリなしをんさん。『床面が平らだからとか、密集しすぎだ』という理由が有力というその病気には、なんと『イボコロリ』のような薬を塗るんだそうです。そんな色んなお話を聞いて『大勢のペンギンに囲まれ、注意深く彼らを見守る髙橋さん』のことを『ペンギンの神さまが、髙橋さんを選んだ。そうとしか思えない』とまとめるしをんさん。動物園の裏側の面白さと大変さがとてもよくわかったインタビューでした。

    (^L^) ふーむ、なるほどねぇ~・・・。

    そんでもってお次は『オタクの例に漏れず(?)、フィギュアや食玩が好きだ』というしをんさんが訪れた『株式会社バンダイ』で『フィギュア企画開発』を務める澤山さんです。『もともとオタクで、キャラクターが好きだったんです』と語る澤山さんに『おおっ、オタクでしたか!(←激しい食いつきを見せる三浦面接官)』とノリノリなしをんさん。

    =ε=(۶`∀´)۶ ヒャッハー!!

    『「いまどきの若者は、まだまだ甘い。かつての私の(オタク的)熱情とは、質量からしてちがう」と感じたりしますか』と、どこまでもオタクにこだわるしをんさんに、『社会性のあるオタクの女性が、非常に増えたのではないかなと思います』、『日常生活と、キャラクターを好きな気持ちとを、きちんと切りわけていらっしゃる』とあくまで冷静に答える澤山さん。流石、東証一部上場企業であるバンダイの看板を背負ってらっしゃる方は違いますね!そして、しをんさんの『女性も男性も、商品を買うかたの数は増えていますか?』というなるほどな質問に『増えていますね』と返す澤山さん。『大人もたくさん買うから、少子化の影響はないのかな』とさらに畳み掛けるしをんさんに『オタクのかたは、卒業しないので』と説得力満載な澤山さんの答え。それに『我が身を顧みれば、明らかなことでした。オタクは一生、オタクのままです(笑)』と納得のしをんさん。『好きな分野を仕事にするのは、楽しくもあるけれど、つらかったり、やりにくかったりすることも多いと思うのだ』と語るしをんさんは、『ものを作る情熱と、商品として多くのひとに愛されるための戦略とを、見事に両立なさっている』と澤山さんの仕事ぶりを絶賛されます。いやー、会社員といっても本当に色々あるんだなあと感心しきりのインタビューでした。

    (★`・Д・´)ノノすごぃゾォ!

    そして最後は『あわよくば試飲できないかなあなんて、いやいや、なんでもない』と期待感満載で『サントリー武蔵野ビール工場』へと訪れたしをんさん。そこには、『ビール職人』とも言われ『新しい商品の開発と、現在流通している商品の市場品質の管理と向上に、鋭い舌と豊富な知識で取り組』んでいらっしゃる真野さんが働いていらっしゃいました。

    ヽ(๑⁼̴̀д⁼̴́๑)ノ彡☆ 酒持ッテコーイクゥーッ!!

    『ビールの官能検査は喉ごしもチェックするんで、やっぱり飲まないといけない』というそのお仕事。『真野さんは平気そうですね』と訊くしをんさんに『まあ割合。ふふふ。人並みです(笑)』と答える真野さん。思わず『便利な答えですね(笑)』と突っ込むしをんさん。『他社製品との飲み比べもします』と続ける真野さんに『目隠ししても…わかるものですか?』と興味深々なしをんさん。『同じ銘柄でもつくった工場までわかってきますよ』と余裕の真野さんに『「TVチャンピオン」に出場したら、優勝できますね!』とベタなノリのしをんさん。それを『まあ仕事ですもん(笑)』とさらっと答える真野さん。う〜ん、かっこいいなあ。これぞ職人だよー!と思いました。

    |__|c(´ω`。) 一杯ドウゾ

    そしてインタビューの最後に『できたてのビールをいただける運びとなった』とご満悦なしをんさん。『きれいだ!金色の細かい泡が輝きながら無数に立ちのぼり、白い泡のなかに吸収されていく。雲のまにまに遊ぶ自由な魂のようだ』って、流石、天下の直木賞作家様、ビール一杯の観察表現も一味違いますねー。

    ∀( ̄▽ ̄)∀ のむぞーっ♪

    でも、『耐えきれずに観察を切りあげ、早速飲む。もうこのへんから、取材の体をなさなくなってきた』と、結局はグダグダになっていくしをんさん。でも、しをんさんのこんなところが大好きなんですよねー、私♡

    ┌ (┌ ๏ω๏)┐カサカサ  ♡酒♡

    ということで、そんなこんなで『私が好奇心の赴くままに白羽の矢を立てた』という十六人の女性が順番に登場するこの作品。そんな女性たちにインタビューして『ひとつだけ言えるのは、どんな職業にも苦しみと喜びがある』とおっしゃるしをんさん。『生きることはなんらかの仕事につながっており、職業はそのひとの本質の部分となんらかの形でつながっている』という私たち。そして、私たちが日々働くということ。私たちはこの世の職業の全てを知っているわけではありません。また、そんな職業の全てを経験できるものでもありません。仕事というものを思い浮かべた時、そこにはしをんさんのおっしゃる通り『苦しみと喜びがある』ように思います。外からは大変さしか、苦労しか見えないような職業にも必ず喜びというものは存在します。その一方で、夢のような職業と外から見えるものであっても、実は日々苦労が絶えないという職業だってあるのだと思います。いずれか一方ではなく、その両面があってこその職業、そしてそこに人が働くことの意義があるのだと思います。この作品を読んで私は改めてそのことに気付かされました。

    (๑⁼̴̀д⁼̴́๑)ドヤッ!!

    『私はこれまで、職業にまつわる小説をいくつか書いてきた。これからもたぶん書くだろう』と語るしをんさん。そのことに『なぜ、職業を主な題材にした小説を書くんですか』という質問に今まで『自分でも不思議だった』と語るしをんさん。そんなしをんさんは、この企画で多くの人にインタビューする中で気づいたこと、それが『個人と社会が絶妙に織りあわさった「仕事」という事象を通じ、ひととひととがつながりあうさまを見たい』という思いだったと語ります。『とても楽しく実り多き体験でもあった』とまとめるしをんさんの強い熱意を感じたこの作品。しをんさんならではの視点満載な作品世界に、私も視野を大きく広げる機会をいただけたように思いました。

    よかた♪よかたー٩(๑´ ∀`๑)۶♪

    普通のエッセイももちろんいいけど、こんな切り口の作品もとても面白い!しをんさんならではの色んな企画が今後もとても楽しみになりました。

    ウキウキ♪o(^-^ o )(o ^-^)oワクワク♪

    はい…と、なんだか最後はまたまたど真面目にまとめてしまいましたね。最初のバカ騒ぎなあのノリは一体なんだったのでしょうか?でもね、仕方ないヨー。真面目人間がそんなに簡単に変われるわけないヨー。わたしゃあ、根が真面目なんだヨー。

    (๑•̀ω•́๑)b キッパリ

    ということで、流石に長くなりましたので、これにて今回もお開きにしたいと思います。

    ヽ( *・∀・)ノ はぁぃ

    みなさん、またの機会にお会いしましょう!

    (*´∇`)ノシ さようならぁ~。

    って、さてさての週三回のレビュー更新はもちろんこれからも続きますからね。

    (。-ω-。)ヾ(・ω・*) エライエライ

    月曜朝、水曜夕、土曜朝の週三回の更新!良い子は覚えておくように!!

    ヨシヨシ( *´`)ノ(´˘`*)イイコイイコ♡

    では、みなさん、これからもよろしくお願いします!

    ヾ(*´▽`)ノ"ほな サイナラっ☆;:*:;☆;:

    またね~(●•ω•●)ノ"

  • 三浦しをんさんが15職種16人の女性に直撃インタビュー!

    ゆるゆるとお話されているようで、どの方のお話も仕事への情熱と愛に溢れていて、何より自分の仕事に誇りを持っていらっしゃった。みなさんパワフルで行動的!
    そして「好き」の原動力たるや!

    しをんさんいわく、社会と個人が絶妙に混ざり合った「仕事」をする人にはそれぞれ物語がある、とのこと。
    ふむふむ。
    仕事に対する想いの度合いによって、その物語のおもしろさや輝きは変わってくるのかもしれません。
    私は自分の仕事についてみなさんのように語ることができるだろうか。
    どうして今の仕事をしたいと思ったのか、初心に帰ろうと少し気の引き締まる思いです。

    しをんさんのおもしろおかしいインタビューのおかげで、想像のつきにくいお仕事もわかりやすく楽しく読めました。

  • 著者が、16人の「特殊技能を活かして仕事をしている女性」職業人にインタビューした内容を纏めた書。16人の職業は、靴職人、ビール職人、染織家、活版技師、女流義太夫三味線、漫画アシスタント、フラワーデザイナー、コーディネーター、大学研究員、フィギュア企画開発、現場監督、ウエイトリフティング選手、お土産屋、編集者と多岐にわたる。著者に対して、仕事を選んだ動機ややりがい等を自然体で語る女性達。

    やはり、著者の得意分野の義太夫、漫画、フィギュア、書籍編集について、特に内容が充実しているような気がした。また、対談そのものよりも、対談の間や終わりに挿入されている著者のコメントが光っているように感じた。

  •  三浦しをんさんが,様々な職業の女性にインタビューをした本。

     三浦さんは「仏果を得ず」で文楽の太夫,「舟を編む」で辞書の編纂者,「神去なあなあ日常」で林業など,様々な職業の人を主人公にした小説を書かれています。
     そんな三浦さんの興味のままに,様々な人から仕事の楽しみ,苦労,生きがいなどをインタビューなさっていて,それらをまとめたもの。

     漫画のプロアシスタント,靴職人,動物園飼育係,フィギュア企画開発,女流義太夫三味線,こんな仕事があるんだなあっていうのを改めて教えてくれた本。インタビューした三浦さんの人柄もあるんでしょうけれど,苦労したことよりも,楽しいこと,仕事で充実していること,など,ものすごくポジティブに読みました。

    • やまさん
      よぴ吉さん
      こんばんは。
      やま
      よぴ吉さん
      こんばんは。
      やま
      2019/11/09
    • よぴ吉さん
      やまさん,コメントありがとうございます
      やまさん,コメントありがとうございます
      2019/11/16
  • 最近真面目に転職を考えていたのだけれど(まだ辞表は書いていない)履歴書や職務経歴書を作る過程でおのずと自分の半生を振り返るはめになり、結果、とっちらかった自分の職歴を見直して、私今まで何やってきたんだろう、私の人生って一体・・・とネガティブモードに突入。ちょっとポジティブな気持ちを持ちなおさなきゃ!と思っていたら、しをんさんのお仕事インタビュー本が出ていたので早速購入。お仕事頑張ってる人のインタビューを読んで自分もやる気を出すのだ!と思っていたのだけれど、こういうインタビュー受ける立場になってる時点でこの人たちは選ばれた人間なんだし、私の人生とは雲泥の差・・・と、なんか逆にちょっと凹みました・・・(ダメじゃん)

    そんな私事はさておき、読み物としてはとても面白かったです。知らないお仕事を知る面白さもあり、あとやはり漫画家アシスタントとかフィギュアの企画とかっていうオタクごとになると、インタビュアーのしをんさんが俄然いきいきしてくるところもわかりやすい(笑)フィギュア企画の方の「オタクは卒業しないから購買者層は拡大していくのみ」という見方はすごい炯眼ですね。


    靴職人:中村民/ビール職人:真野由利香/染織家:清水(藤井)繭子/活版技師:大石薫/女流義太夫三味線:鶴澤寛也/漫画アシスタント:萩原優子/フラワーデザイナー:田中真紀代/コーディネーター:オカマイ/動物園飼育係:高橋誠子/大学研究員:中谷友紀/フィギュア企画開発:澤山みを/現場監督:亀田真加/ウェイトリフティング選手:松本萌波/お土産屋:小松安友子・コーカン智子/編集者:国田昌子
    表紙イラスト:えすとえむ

  • 明確な信念があってその職業に就いたというより、皆さん、時の巡り合わせや人との出会いの中で決まっていくのだな。ウェイトリフティングと漫画アシスタントの方が個人的にはグッときた。全体的にダメな人はいない。仕事ってどれも奥が深い。

  • 想像よりとても面白かった!
    しをん先生がいい感じにインタビュイーの方々の魅力を引き出していた。

  • さまざまなところで働く女性16人に三浦しおん氏がインタビューする構成。

    2011年刊行なので、時折時代の変化を感じるところはあるが、それぞれの方の仕事に対する情熱や面白みが感じられる。三浦氏のインタビューもいい意味で真面目ではなくて、旧友にカフェで話を聞くような雰囲気で良い。

    なんであれ、極めることができれば職業になるのかも。。と自分のやる気も刺激されたのであった。

  • 女性人気作家が、様々な分野で活躍する女性たちを取材・インタヴューした一冊であります。
    靴職人・染織家・活版技師・女流義太夫三味線・漫画アシスタント・フラワーデザイナー.....15の職業に携はる16名の女性が登場します。
    三浦しをんさんは、自分の興味のある仕事の内幕を聞き、「ふむふむ」と相槌を打ち納得する事が目的でこのタイトルとしたさうです。

    なぜ女性か。作者によると、自分自身が女なので、他の女性はどんなんかなと、好奇心を満足させる為だとか。まあ商業的にもその方が良いのでせうね。これが男ばかりのインタヴュー集だつたら、面白さは半減と想像されます。
    かかる事をいふと、お前も下劣なマスコミと同じだなあと思はれるでせう。半分さうですが。
    何しろ今だに男性社会であります。例へば「女性初の〇〇が誕生しました」なんてのがニュウスになる間はダメだね、なんて意見をよく聞きます。

    まあ余計な事はよろしい。本書を読むのに何も鯱張ることはありません。わたくしが気になつた「お仕事」.....あ、サブタイトルに「おしえて、お仕事!」とありましたので、それを踏襲しただけで、本来わたくしは仕事に「お」を付けません。芸能人なんかは自分の事なのに「今からお仕事でーす」などと、自らを尊敬したりしますが。「お」を付ければ丁寧だと思つてゐるのか。
    話は逸れますが、外国の人の中には、「〇〇さん」といふ呼称を敬称ではなく単なる丁寧言葉だと思つてゐる人が多いですな。だから自分の事を「ハイ、わたしはマイケルさんです」なんてね。
    丁寧といへば、更に話は逸れますが、元卓球世界女王の丁寧選手の最近の調子が気になるところです。佐藤瞳選手に連敗を許したり、伊藤美誠選手にはラブゲームを含む完敗を喫したり。以前の彼女には見られなかつた光景でした。

    話が逸れ過ぎましたか。わたくしが気になつた「お仕事」の話でした。
    例へばサントリー武蔵野ビール工場の真野さん。エンジニアとして入社したのに、商品開発に回されてしまつたさうです。しかし優秀な人は何処へ行つても優秀ですな。テイスティングの事を「官能検査」といふさうで、そのネイミングに三浦さんは喜んでゐました。真野さんはビールの味に関して、銘柄の違ひは勿論、同じ銘柄でも製造工場の相違まで分かるさうです。「仕事だから」と、当然のやうな顔をしてすましてゐるのがカッコイイ。想像以上に味を追究し、安全に気を配つてゐるのも分かりました。実はわたくしもドリンク類はサントリー派であります。

    一見本書は素人が単純に仕事についていろいろ質問してゐるだけのやうに見えます。しかし、三浦さんの無防備で天真爛漫な質問振りに、職人たちが「ポツリ」と本音を漏らすのが面白い。他の四角四面なインタヴュアーなら、やはり通り一遍の内容になりさうであります。仕事の内容は理解できても、その彼女の人となりや背後にあるものはつひに解らないでせう。だから「ふむふむ」も出来ない。質問者によつて、同じ対象者でも詰らない人物に思へたり、逆に実に愉快なキャラクタアを有してゐたり。その印象は相当変る。
    その意味では本書は三浦しをんさんは小説の作り手として以外にも、話術によつて人を誑す才能もありさうです。まあ悪いことはしないでせうが。

    「この人にして、この仕事あり」を実感させてくれる一冊と申せませう。そして読後は、皆で「レッツふむふむ」ですね。

  • 仕事だけでなく、様々な女性について知ることができた。
    知らない仕事がたくさんあったし、それぞれがそれぞれの価値観や考えを持って生き生きと楽しそうに仕事をしているように感じられた。
    誇りを持って仕事するってきっととても大事。

    16人の女性たちのその後の人生もおもしろかった。
    本文からあとがきまでふむふむだった。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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