吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)

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著者 : 井上ひさし
  • 新潮社 (1985年9月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (501ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101168166

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吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 面白い!! 物凄く面白い!!
    最初の吉里吉里語講座も熱心に読んだので、その後の吉里吉里語の会話もバッチグーで読める。

    ただあまりに熱心にやったお陰で、時々普通の会話中に”今のを吉里吉里語で言うと○○だな”と頭の中で翻訳してしまうのが、ちょっと…ね…笑

  •  3月11日の大震災以後,というよりそれに引き続いて起こった福島第一原発の事故以後,ちょっと話題になっていた本です。
     東北地方の一寒村・吉里吉里村が,ある日突如として日本国からの分離独立を宣言し,「吉里吉里国」を作る,というお話。吉里吉里国は独自の国政方式を敷き,これまで「ズーズー弁」と蔑まれてきた東北方言を「吉里吉里語」として公用語に定め,金本位制の独自通貨「イエン」を導入し,次々に新国家としての体制を整えていきます。機動隊か自衛隊を投入すれば瞬時に片が付く,と高をくくっていた日本側も,吉里吉里国が次々に繰り出してくる「切り札」を前になすすべもなく翻弄されます。騒動に偶然巻き込まれた三流作家・古橋健二を中心に,吉里吉里国の分離独立闘争を描いた作品です。
     「独立闘争」などと書くと重苦しい感じがしますが,作品は全編にわたって明るくのんきな感じです。吉里吉里人たちの繰り出す「切り札」が,例えば自衛隊の介入に対する切り札が参加人数わずか3名の国際卓球大会だったりして(なぜこれで自衛隊を追い返せるのかは作品をお読みいただきたい),真正面からの力押しで独立を勝ち得るのではなく,知恵を使った戦い方にうならされます。
     しかしその背景にあるのは,これまで長きにわたって虐げられてきた東北地方の現状です。日本の工業化・高度成長の陰で常に泣かされてきた東北の人々の不満が,吉里吉里村を分離独立に踏み切らせたのです。食料自給率は100%,電力も地熱発電で賄え,小国家ゆえに自転車で事足りるため石油燃料に頼る必要もない。自分たちの手ですべてをうまく回していけるのに,なぜ日本政府の命令に従って苦しい生活をしなければならないのか…という言い分です。
     この作品が書かれたのは1981年,今から30年も前のことですが,東北の受難は今もって変わりがありません。日本の農政は30年前から今に至るまでずっと,東北の農村に農業の単一化・機械化を推し進め,機械代と化学肥料代で農村を借金漬けにしました。減反政策は深刻な農業離れを生み,若者は農業と故郷を捨てて都会へ出,税収の減った地方自治体の財政は破綻し,そこへ莫大な補助金を伴って原発がやって来たのでした。そう考えると,井上ひさし氏が東北の怒りを『吉里吉里人』にぶつけた30年前から(作品を読むとわかりますが,実は30年どころではなく300年前から受難は続いているのですが),現状は変わっていないどころかより深刻化していると言えます。東北の一寒村の独立という冗談のような物語をハラハラしながら読みながら,そういう視点を持つことができたのが良かったです。
     作品の半分ぐらいはそういう真面目な話で,もう半分はほとんど下ネタなので,誰にでもお勧めできるというわけではありません。性的な話題にそれほど嫌悪感がないという方はどうぞ。

  • 初めての井上ひさし。間の抜けたような登場人物が面白いし、それでいて妙に説得力のある描写が物語にリアリティを与えている。吉里吉里語とドイツ語の親和性に笑ってしまった。続きが楽しみである。

  • 面白い上に、内容が濃いです。余計な話がたくさん出てきますが、全く飽きさせません。上中下巻で1,500ページほど有りますが、あと二冊、楽しんで読めそうです。

  • 2016.1.14(木)¥100+税。
    2016.1.31(日)。

  • 東北の小さな村、吉里吉里が日本からの独立を宣言!吉里吉里国を名乗る。馬鹿げた話なんだけど、あの手この手に手が凝っていて面白い。
    無駄な会話、話の本筋には不要な余計な描写が数多くあるのだけど、ユーモアのセンスに富んでいてかなり笑えて嫌に感じない。
    この吉里吉里国独立宣言時にたまたま居合わせた、売れないダメ作家の古橋。この人のエピソードがまた非常に笑えた。本筋には全くもって不要だと思うけど(笑)

    上巻だけでさえもかなり長かったけど、ただ長いだけじゃなく面白い。引き続き中下巻も楽しみです。
    敢えてジャンル分けするなら、「SFコメディ」でしょうか(笑)

  • 吉里吉里語版の宣戦詔書で天皇の一人称が朕コになるとこめっちゃ笑った。日本の中心と辺境の関係性を笑いながらひっくり返そうという試み。長いけど続きも頑張って読みたい。

  • 売れない小説家の古橋健二は、雑誌『旅と歴史』の編集者である佐藤久夫と取材旅行のため、上野発青森行きの旧交十和田3号に乗っていました。ところがとつぜん、ライフルを手にした少年が、列車を停止させます。東北の一寒村が「吉里吉里国」として日本からの独立を宣言し、古橋らは外国人として検問所へ連れて行かれることになったのです。こうして、偶然にも吉里吉里国独立運動の渦中に投げ出されることになった古橋は、そこで次々に驚くべき体験をすることになります。

    筒井康隆の作品のようなパロディやブラック・ユーモアに、宗田理の作品のような痛快無比なストーリー、若干イデオロギー色が強めですが、これも冗談でくるんでいるのでけっして鬱陶しいとは感じません。

    夏目漱石の『坊っちゃん』や川端康成の『雪国』、小林秀雄の『モオツァルト』の「吉里吉里語」訳や、ユーイチ小松という人物の手になる『吉里吉里語四時間・吉日、日吉辞典つき』など、「ズーズー弁」と蔑まれてきた東北の方言が立派な国語になるというパロディ設定で、徹底的に遊びのめしています。

  • 吉里吉里人 上

    もうね、馬鹿げた話です!
    ある東北の村が日本から独立して一つの国になるという(笑)

    東北なんで訛りがひどすぎる!笑える!!
    読むのなかなか大変だけど、ぜんぶ読み終わったら立派に東北訛りをゲットできるかも!

    話は右に左に斜めに逸れてなかなか進まないけど、これまたのんびりした感じで楽しい!!

  • 井上ひさしが博学すぎて引く。

    とんでもなく冗長でまだるっこい展開は、筒井康隆の「虚人たち」に近いものを感じる。まだるっこいのに、ページをめくる指が止まらないあたりも似ているぞ。

    てなわけで、中・下巻もひと思いに読みます。

  • いずれいずれと思いつつ、やっと読み出したのは刊行後34年目か......(>_<)。
    頭のいい人が徹底的におふざけすると、こんなのができるんだね( ´ ▽ ` )ノ。筒井康隆がよくやるやつだ( ´ ▽ ` )ノ。
    俺ぁ東北人だがら大体のとごぁ分がっけど、よそのすとだづにはこれ、本当読みづれぇべな( ´ ▽ ` )ノ。
    にしても、内容の割に長すぎるな(>_<)。
    筋を無視して突然主人公のバックストーリーが何十ページも挿入されたり(なんと、アルジャーノンのパロディー!)、テーマと関係のない感想や連想がダラダラ続いたり......(>_<)。
    東日本大震災がらみで再注目されたらしいけど、そういうシリアスなものを求めて読んだ人はガッカリするだろうね( ´ ▽ ` )ノ。
    まあ、中巻以降どうなるか、お楽しみ( ´ ▽ ` )ノ。
    2015/06/29

  • 日本からの分離独立を宣言した、東北のとある村、吉里吉里。ちょうどそこを走っていた電車に乗っていた古橋は他の乗客らと共に不法入国で捕らえられ…。

    東北の言葉を文字にしたものを読むことが今までなかったので、すごく面白かった。吉里吉里語の解説本の章は特に。主人公はしょうもないキャラクターだし、話の寄り道も多い。作者の遊び心が満載。

    面白いんだけど読むのにだいぶ時間がかかってしまった。あと2冊あるので、最後まで気持ちを保てるか?!

  • 『吉里吉里人』は、中学だったか高校だったかのときに友人に強くおすすめされたものの、結局読まずじまいだった大長編。今回は長門有希の100冊に入っていたのを機に読了。

    東北のある農村が突如として独立を宣言、著述はおもしろおかしくも、経済、医療、税制、農政、国防など様々な側面から国のあるべき姿を問うた傑作…という評価もあるようだが、個人的には今一。アイデア自体は秀逸だが、無駄に長いだけという印象で、悪ふざけも過ぎる。

  • あまりにも退屈で、残念ながら途中で断念。吉里吉里村が独立したことはわかった。ただ、あとは読みにくい文章、「これ必要?」というような意味不明な設定・描写が延々と続く。最後まで読めば良さがわかるのだろうか?そこまで我慢できなかった。「小説」というよりは「娯楽小説風な企画モノ」といったところ。

  • 設定が面白い。
    昔の作品だが楽しく読める。

  • 2012年の11月に買ったまま、あんまり長いので途中で放ってしまっていた本書。ついに腰を入れて読み始めることができました。

    これでもかこれでもか、って程、ネタをぶっこんでくる作歌魂に驚嘆。細部の演出がすごい。吉里吉里語の説明箇所とか。描写が映像的で、読みながら吉里吉里国を頭の中で作っていける感じ。主人公・古橋の汚いおっさんぶりのキャラ立ちの良さ、汚いおっさんなのに読み手の同情を誘うような、憎めなさ。

    どのシーンから書き出すべきかを延々説明する冒頭の書き出しから、上巻ラストまで、ページをめくる手を止めさせないエンタメ小説。しかも、ただのエンタメじゃないのがすごいよなあ、1973年から一部を執筆、1981年単行本化とのこと。自分が生まれる前の作品とは思えないくらい、今読んでも吉里吉里人の根底にある問題意識を含めて、リアリティ感じる。

    P106 「わたしたちはもう東京からの言葉で指図をされるのはことわる。わたしたちの言葉でものを考え、仕事をし、生きていきたい。わたしたちがこの地で百姓として生きるかぎり、吉里吉里語はわたしたちの皮膚であり、肉であり、血であり、骨であり、つまりはわたしたち自身なのだ。わたしたちがわたしたちの言葉でものを考えはじめるとき、中央の指図とはまっこうからぶつかる。そのようなとき、これまでわたしたちは泣く泣く標準語や共通語に自分の頭を切りかえたのだった。しかしそれはもはや過去の語り草となった。百姓は百姓語によって生きていかねばならない、学者が舶来の横文字を支えに生きているように。…」

  • ネットオフで購入して読み。
    きっかけは、東日本大震災後、東北の文学や言葉を特集したテレビ番組で取り上げられたから。

    荒唐無稽なのか、計算された設定なのかよくわからん。
    言葉の軽妙さが読んでて楽しい。吉里吉里語講座も面白かった。

    これから吉里吉里国はどうなるのかしら。
    早く続きを読みたい。

  • ある村が日本から独立し一つの国家となる。
    ハチャメチャな設定です。

    それにしても、この人の話は独特です。文脈から余分なものを削ぎ落としていったものを鋭い文章と言いますかが、この小説はその逆。
    文脈に余分なものをどんどんつけることにより、それが独特のリズムを呼ぶ。

    日本刀の鋭さはないもののの、鈍器のように破壊力は抜群。

    いつの間にか引き込まれます。

  • 十数年ぶりの再読を開始。「ふりがな」という日本語特有の表現方法の可能性をとことん追究する井上ひさしの超絶芸を堪能しています。

  • 上中下巻読了。東北地方の一村が、ある日突然日本からの独立を宣言するという荒唐無稽な物語。新国「吉里吉里国」の国策をもって現代日本の問題点を浮き彫りにする。こう書くと崇高だが、進行はまるでドリフのコント調。上中下3巻ずっとコントはチト辛い。短編なら良かったのに。

  • 2012.10月刷ということは東北地震で再読されてるんだろう おもしろい

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