吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)

  • 841人登録
  • 3.69評価
    • (55)
    • (61)
    • (107)
    • (7)
    • (2)
  • 68レビュー
著者 : 井上ひさし
  • 新潮社 (1985年9月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (501ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101168166

吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 面白い!! 物凄く面白い!!
    最初の吉里吉里語講座も熱心に読んだので、その後の吉里吉里語の会話もバッチグーで読める。

    ただあまりに熱心にやったお陰で、時々普通の会話中に”今のを吉里吉里語で言うと○○だな”と頭の中で翻訳してしまうのが、ちょっと…ね…笑

  •  3月11日の大震災以後,というよりそれに引き続いて起こった福島第一原発の事故以後,ちょっと話題になっていた本です。
     東北地方の一寒村・吉里吉里村が,ある日突如として日本国からの分離独立を宣言し,「吉里吉里国」を作る,というお話。吉里吉里国は独自の国政方式を敷き,これまで「ズーズー弁」と蔑まれてきた東北方言を「吉里吉里語」として公用語に定め,金本位制の独自通貨「イエン」を導入し,次々に新国家としての体制を整えていきます。機動隊か自衛隊を投入すれば瞬時に片が付く,と高をくくっていた日本側も,吉里吉里国が次々に繰り出してくる「切り札」を前になすすべもなく翻弄されます。騒動に偶然巻き込まれた三流作家・古橋健二を中心に,吉里吉里国の分離独立闘争を描いた作品です。
     「独立闘争」などと書くと重苦しい感じがしますが,作品は全編にわたって明るくのんきな感じです。吉里吉里人たちの繰り出す「切り札」が,例えば自衛隊の介入に対する切り札が参加人数わずか3名の国際卓球大会だったりして(なぜこれで自衛隊を追い返せるのかは作品をお読みいただきたい),真正面からの力押しで独立を勝ち得るのではなく,知恵を使った戦い方にうならされます。
     しかしその背景にあるのは,これまで長きにわたって虐げられてきた東北地方の現状です。日本の工業化・高度成長の陰で常に泣かされてきた東北の人々の不満が,吉里吉里村を分離独立に踏み切らせたのです。食料自給率は100%,電力も地熱発電で賄え,小国家ゆえに自転車で事足りるため石油燃料に頼る必要もない。自分たちの手ですべてをうまく回していけるのに,なぜ日本政府の命令に従って苦しい生活をしなければならないのか…という言い分です。
     この作品が書かれたのは1981年,今から30年も前のことですが,東北の受難は今もって変わりがありません。日本の農政は30年前から今に至るまでずっと,東北の農村に農業の単一化・機械化を推し進め,機械代と化学肥料代で農村を借金漬けにしました。減反政策は深刻な農業離れを生み,若者は農業と故郷を捨てて都会へ出,税収の減った地方自治体の財政は破綻し,そこへ莫大な補助金を伴って原発がやって来たのでした。そう考えると,井上ひさし氏が東北の怒りを『吉里吉里人』にぶつけた30年前から(作品を読むとわかりますが,実は30年どころではなく300年前から受難は続いているのですが),現状は変わっていないどころかより深刻化していると言えます。東北の一寒村の独立という冗談のような物語をハラハラしながら読みながら,そういう視点を持つことができたのが良かったです。
     作品の半分ぐらいはそういう真面目な話で,もう半分はほとんど下ネタなので,誰にでもお勧めできるというわけではありません。性的な話題にそれほど嫌悪感がないという方はどうぞ。

  • 下巻に

  • 初めての井上ひさし。間の抜けたような登場人物が面白いし、それでいて妙に説得力のある描写が物語にリアリティを与えている。吉里吉里語とドイツ語の親和性に笑ってしまった。続きが楽しみである。

  • 面白い上に、内容が濃いです。余計な話がたくさん出てきますが、全く飽きさせません。上中下巻で1,500ページほど有りますが、あと二冊、楽しんで読めそうです。

  • 2016.1.14(木)¥100+税。
    2016.1.31(日)。

  • 東北の小さな村、吉里吉里が日本からの独立を宣言!吉里吉里国を名乗る。馬鹿げた話なんだけど、あの手この手に手が凝っていて面白い。
    無駄な会話、話の本筋には不要な余計な描写が数多くあるのだけど、ユーモアのセンスに富んでいてかなり笑えて嫌に感じない。
    この吉里吉里国独立宣言時にたまたま居合わせた、売れないダメ作家の古橋。この人のエピソードがまた非常に笑えた。本筋には全くもって不要だと思うけど(笑)

    上巻だけでさえもかなり長かったけど、ただ長いだけじゃなく面白い。引き続き中下巻も楽しみです。
    敢えてジャンル分けするなら、「SFコメディ」でしょうか(笑)

  • 1989年 読了

  • 吉里吉里語版の宣戦詔書で天皇の一人称が朕コになるとこめっちゃ笑った。日本の中心と辺境の関係性を笑いながらひっくり返そうという試み。長いけど続きも頑張って読みたい。

  • 売れない小説家の古橋健二は、雑誌『旅と歴史』の編集者である佐藤久夫と取材旅行のため、上野発青森行きの旧交十和田3号に乗っていました。ところがとつぜん、ライフルを手にした少年が、列車を停止させます。東北の一寒村が「吉里吉里国」として日本からの独立を宣言し、古橋らは外国人として検問所へ連れて行かれることになったのです。こうして、偶然にも吉里吉里国独立運動の渦中に投げ出されることになった古橋は、そこで次々に驚くべき体験をすることになります。

    筒井康隆の作品のようなパロディやブラック・ユーモアに、宗田理の作品のような痛快無比なストーリー、若干イデオロギー色が強めですが、これも冗談でくるんでいるのでけっして鬱陶しいとは感じません。

    夏目漱石の『坊っちゃん』や川端康成の『雪国』、小林秀雄の『モオツァルト』の「吉里吉里語」訳や、ユーイチ小松という人物の手になる『吉里吉里語四時間・吉日、日吉辞典つき』など、「ズーズー弁」と蔑まれてきた東北の方言が立派な国語になるというパロディ設定で、徹底的に遊びのめしています。

全68件中 1 - 10件を表示

井上ひさしの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヘミングウェイ
三島 由紀夫
宮部 みゆき
フランツ・カフカ
有効な右矢印 無効な右矢印

吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)に関連するまとめ

吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)のKindle版

ツイートする