吉里吉里人 (下巻) (新潮文庫)

  • 493人登録
  • 3.60評価
    • (31)
    • (41)
    • (73)
    • (7)
    • (2)
  • 34レビュー
著者 : 井上ひさし
  • 新潮社 (1985年9月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101168180

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島 由紀夫
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印

吉里吉里人 (下巻) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 面白い、の一言。
    あまり小説らしくないといえばそうだけど、紙面を利用した空間表現の独特さや詩の多用、そして鋭い社会批判など舞台的なエッセンスが随所にちりばめられていて、そこが素敵。それゆえ、その主張には全面的に同感できるのでした。戦争の必要がない平和な国を実現し、かつ他国から認められること、それは自らの国を立派な国にせしめること。いつの時代だって、これが理想でしょう。そう自信を持って言い切りたいものです。

  • 再読。と言っても、あらかた話は覚えてなかったので新鮮な気持ちで読めた。改めて、一流の作家の先進性、世の中を見る慧眼に驚かされた。

    細部では今となっては、古臭く効果を減じている部分もあるが、物語が提起している話題は全く古びていない。逆に言えば世の中変わっているようで変わってないわけだが・・・

    個人的には、余りにしつこい下ネタに辟易するところもあったり、現実離れした人物設定、饒舌すぎて読むのに苦労した点はあったが、概ね楽しめた。東京で育った私には農家の苦労も怨念も分からないが、元は両親の出は農家である。遺伝的には、多くの日本人同様百姓である。仕事で、東北に行くと、荒れ果てた休耕田を見て心が痛むこともある。井上氏の想像した「ユートピア」の実現は困難だろうが、生きるために一番大事なものが農業である事も間違いない。

  • 2016.1.14(木)¥100+税。
    2016.5.13(金)。

  • 上巻までは良かったけども、残念ながら中弛みしてそのまま失速…あっけなくおしまい。という印象が残った。
    無駄な下ネタが多すぎて、本筋が盛り上がらない作品でした。

    吉里吉里国の独立というストーリーの中で、日本社会のおかしなところを批判的に述べていくところは、確かにそうだなと共感するところもあった。そういうところは学びになったかな?

  • 井上ひさしの博識と問題の切り口、設定の仕方の巧みさにただただ脱帽だった。
    本書を著したのが1985年と自分が生まれる前年にも拘わらずテーマとしている問題意識が全く古めかしく思えない。
    期せずして安保関連法が物議を醸した正に同じタイミングで読んだことで井上ひさしの訴えようとしている課題の一端を強く共有することが出来たと思う。

    個別には特効薬、特に虫歯(および歯医者)に関する論点が素敵だった。
    虫歯の特効薬が発明される。
    すると「全世界の歯科医師や歯科技工士が失業しますよ。残るのはごく一部の、美容師まがいの歯科医師。つまり細々と派の手入れをさせてもらうしかなくなります。歯科用の医療機器商も潰れましょう。世界的な社会問題になりますよ。」(pg.55)と厚生省の役人が嘆く。
    特定分野の技術開発がもたらす社会的な影響に考えを巡らせてくれるきっかけを与えてくれる。ラングドンウィナーの「技術の政治性」を日本的視点から論じているようだ。この視点は「組織の自己保存」にも繋がるのではないか。歩留まりの改善を主業務にしている技術者が、仮に100%の歩留まりを達成する技術を開発したら自分の職を潰すことになるその技術を果たして公にするのだろうか。また、そのような技術を開発するインセンティブは発生するのだろうか。

    率直に面白かったのは以下の記述。
    「わたしはね、七十や八十の老人がマラソンなんかして体を鍛えているのを見るとぞっとするんだ。薄みっともない、恥を知りなさいってんだ。いったい、いくつまで生きてりゃ気が済むのか。自分と同じ世代の人間で、戦争や病気で早死にした人たちのこともちっとは考えてみるがいい。また自分より若い人たちの邪魔をしていないだろうか、たえずそう反省して、ひそかに余生を送ってはどうなのだ。」(pg.68)
    こんなこと、空気を読むことが絶対の今の世の中では思っていたとしても口になんてできやしない。それを小説の中で痛快に言い放ってしまうあけすけなこの小説は読んでいてとても楽しかった。
     ※ちなみに★三つ評価は少々長すぎて読みつかれてしまったから…。

  • 吉里吉里国に移民した古橋健二の身に、さらなる椿事が出来します。吉里吉里国で開発されたという新薬を争奪しようとする争いに巻き込まれたかと思えば、吉里吉里国に新設された文学賞を次々に獲得し、新大統領の地位に就き、ついには脳移植手術の第一号患者となって、美女の殺し屋ベルゴ・セブンティーンの身体に脳を移植されてしまいます。

    一方、吉里吉里国の独立を阻止しようとする日本国は、吉里吉里国の最大の切り札である4万トンの埋蔵金の隠し場所を突き止めようとします。古橋はふとした偶然から、埋蔵金の在り処を知ることになります。そして、この軽率な男に金の在り処を知られてしまったために、吉里吉里国独立という夢は空しく潰えることとなります。

    著者の筆の勢いは最後まで衰えませんが、読者としてはさすがにちょっと飽きてしまった感もあります。が、いずれにしても、全編に渡って著者のエネルギーの横溢を見ることのできる、快著にして怪著だと思います。

  • ラストがいやにあっけなかったのだが、物事というのはそういうものなのだろう。
    最後の最後に明かされる吉里吉里人と吉里吉里国の真実を知ると、もうテーマが深すぎて……。

    終盤まではドタバタ小説だと思っていたら、何とも悲哀のこもった、そしてしたたかでギラギラした小説でありました。

    ひとことで言えば面白いです。通しで読んでよかった。

  • やっと終わった( ´ ▽ ` )ノ。
    ひょうたん島や猫じゃら市みたいな行き当たりばったり型の展開はいいんだけど、いくら何でも余談と下ネタが多すぎた(>_<)。
    古橋はじめタヘだのミドリだの、ヤな奴ばっかりだから、ずっと「さっさと吉里吉里国なんか自衛隊に潰されちゃえ」と思いながら読んでいた( ´ ▽ ` )ノ。ゆえ、ラストはスッキリ爽快( ´ ▽ ` )ノ。
    むかし話題になったから一度は読んでみたいと思っていたし、部分部分見れば面白かったんだけど、たぶん今後読み返すことはないし、人に勧めることもないな( ´ ▽ ` )ノ。
    「ネタバレ」なんて物ともしない何とか君美なる人の解説文が、むしろ清々しい( ´ ▽ ` )ノ。
    解説を先に読むなんて、やっぱり邪道だよね( ´ ▽ ` )ノ。
    2015/07/08

  • 古橋先生…
    面白いキャラです。
    設定から面白かったです。
    馬鹿馬鹿しい感じで終始ニヤついて読んでいました。

  • 上中下と読み進めていくうちに、さえなすぎるおっさん主人公・古橋と吉里吉里国の未来を本気で応援してしまっていたので、ラストが残念すぎた。記録係(わたし)の独白?種明かし?で終わらせる構成はかっこいいんだけど、この時代のラストとしてはちょっと残念な。それと、まだ映画化されてないから、園子温が映画化すればいいと思ったんだけれども。『地獄でなぜ悪い』思い出したんですよね、ラストの印象として。
    それにしても、読者の時間と作中時間を一致させた実験小説的な手法だったとしても、やっぱちょっと長過ぎるよと、ため息ひとつ。達成感というよりも「やれやれ」といった感。このタイミングじゃないと一生読めなかったと思うので、無事読み終われて安心してます。

  • 壮大な一夜の夢物語でした…。
    切ない。

  • ネットオフで購入して読み。

    終盤、女性になってしまった古橋。いろいろ驚きの展開だった。結局の話、口の軽さが災いして建国がぽしゃってしまったわけだけど、吉里吉里国の脇の甘さもあったんだろうなー。
    冗長で途中で読むのやめようかなーと思ったけど、この最終巻は展開が面白くて一気に読めた。

    カバー絵が安野光雅。眺めてると楽しい。

  • 東北の一村落が経済立国、工業立国への道をひたすら歩む日本に反旗を翻し、農業立国、医学立国、好色立国として独立を目指すブラックユーモア満載のSFストーリーです。

    たった一日半の出来事にこれだけのページ数。とにかくながく、そしてくだらない。しかし時折やって来る目から鱗の名台詞。憲法第九条、農業政策、医療政策等、30年前の著作とは思えない程にタイムリーなテーマが沢山散りばめられています。また、それと同じくらいに下ネタもたっぷり放り込まれています。

    最後の予想外の展開も、ものすごく考えさせられるテーマでした。

  • 流れが破天荒でよくわからない。
    終わり方もなんだか今一ピンとこなかった。

  • 何十年も前に今、問題になっていることが書かれていたのは素直に驚いたけれど、終わり方が煮え切らなかった

  • 2013/03/10完讀

    進入吉里吉里國立醫院工作的古橋,發現這裡有人類器官移植的人類溫室。ゼンタザエモン老人透過媒體像全國講解吉里吉里國的醫學政策,也尖銳地指出日本醫學的問題。在這裡的醫學以人為本,讓醫學生學的是人類,而不只是人體。讓他們學習能夠「患者自身にははっきりとは掴めていない病気のもだえを、きちんとコトバにしてあげる」。推行醫療助手制,讓每個家庭都有瞭解初級醫學的人,小病的患者就不必去大醫院,也不會迷信藥物,或者亂檢查。器官移植人體溫室,都是自願自殺者甚至還有ゼンタザエモン老人的兒子,真正願意為醫學貢獻心力。

    但是醫院裡面有一大堆奇怪的人潛入,例如ベルコ17,還有厚生省事務官,還有暗殺特種部隊。ゼンタザエモン老人成為第一個犧牲者,接下來十愚人中的針生也罹難了。古橋受到波及被炸到,但是和清醒之後的タロー吉里吉里(其實是發明黃金數量公式的前高中老師高木二郎),偷偷溜出醫院想去找黃金。

    兩人離開醫院後,遇到反文明運動的自由脫糞運動,還有國會議事堂。古橋獲得吉里吉里各種的文學賞,還成為國民桂冠詩人,寫了更多令人哭笑不得的劣文,也見證邊界的國際婚姻論戰。但又受到炸彈攻擊,吉里吉里國總統也被炸,在混亂之間就把下一任的重荷交給古橋了。古橋被炸之後,吉里吉里醫院的動員進行最尖端手術,把他的大腦進行腦移植進入女殺手ベルコ17的身體裡。在醫院廁所裡,古橋意外發現原來這個國家的金塊收藏在哪裡。之後吉里吉里國進行總統就任的實況轉播,想要用他們的醫學訴諸全世界的合作。不過古橋把吉里吉里國聯合其他各國少數民族、協助他們蓋醫院發展的事情,還有金塊所藏之處說溜嘴,各大國派來的精銳特種部隊就把吉里吉里國要人一網打盡…

    --
    這本書的結局其實讓人有些難過。前面看著吉里吉里人努力地進行獨立事業,看他們把日本國玩弄於掌中,小蝦米鬥大鯨魚令人痛快。眼看他們就要更加獲得世界的認同了,但是最後竟然因為古橋的愚行,讓一切化為烏有。世界各大國都盯著注意看,害怕會造成骨牌效應,因此吉里吉里國獨立事件就很驟然地在屠殺中劃下了句點。沈浸在吉里吉里國好一陣子,讓我突然覺得很落寞。閱讀的過程,太過厚實享受,對於結局的到來感到有些措手不及,。

    這卷裡面,還是有很多很值得深思的想法。尤其是關於醫學的那一段,我覺得寫得非常好。都已經過了三十年,但是這本書提出的大哉問,一樣都沒有過時,國家應該是什麼樣子?應該作什麼努力?什麼事是應該好好仔細思考的?一本了不起的國家小說。嬉笑戲謔,文字遊戲,黃色笑話連發,但是又拋出一個一個嚴肅的命題。無比地輕快,但又無比地沈重。娛樂性,厚實度,意義性滿點!!!最近好一陣子沒有讀到傑作了,這本書又讓我感受到和傑作久違的歡愉。就我目前讀過的小說家來說,或許除了隆慶一郎,沒有人能給我這麼強烈的獨特感。有獨特的個性,在我看來是藝術最重要的要素吧!這是一本其他人都沒有辦法寫出來的作品,也是令我五體投地的作品!

    此外,我雖然很喜歡方言的小說,但獨獨東北方言我不是那麼喜歡。但這本書,井上さん對自己母語的愛透過了書籍,讓我感受到了那語言的溫度和生命力。而且,書中對東北方言的用法,也帶著諷刺權威的反骨精神,讓人漸漸地對著這個語言開始有親近感,從一開始的「只要帶著自卑感就可以說得很好」的偏僻方言,搖身一變成為具有尊嚴的堂堂國語,讓我也開始對東北方言的小說有了興趣。

    不只是東北語,井上さん對日本語的掌握也是超凡無比。輕快的語言遊戲背後是紮實無比的造詣。讀著讀著不禁想著,這個人應該得諾貝爾獎啊!!!但是他應該永遠拿不到。因為他使用這個語言,精妙到不懂這個語言的人永遠無法體會。因為他瞭解這個語言最美好的部分,和這個語言的強項ー那是源自於該語言的獨特性。而這些連神仙都沒辦法翻譯,就像唐詩永遠無法翻譯成其他文字一樣,因為那正是該種語言獨一無二的語感,也是... 続きを読む

  • 夏休みにどうしても読みたくなって、再読。学生以来。
    途中やや間延びしたものの、日本の抱える農業問題や医療問題など、問題提起は多岐にわたるし、適度にエッチ(エロい、ではなくエッチ)だし、何より面白く読める。
    映画化して欲しくない作品の一つ。

  • 2011年11月16日読み始め 2011年11月20日読了。
    長い長いお話ですが、物語の時間は正味2日です。
    最後にはびっくりしましたねー。語り手のオチにも驚きました。
    なんとなくシュールなユートピア物だったのだなあと最後まで読んで気が付きました。ここまでぶっとんだ話を書ける井上ひさしすごいです。

  • 読み終わりました。救いのない形にしないと終われないのかもしれません。「地域」自治、食料、医療、平和、国際関係、ほんとうに詰めていくと傷があるのかもしれませんが、思想(理想)は、そうあってよいのではないか。考えさせられる本でした。井上ひさしさんの、虐げられる人たちへの優しい視点も感じさせます。それにしても、古橋・・・。

  • 十数年ぶりの再読完了。吉里吉里国独立の理由の1つに日本の農業政策批判があるのですが、その議論は現在のTPPを巡る議論と同じことを言っており、作者の先見の明には恐れ入りました。あと「~してけろ」っていう東北弁も「あまちゃん」を思い出し、妙に2013年とシンクロしてますw

    全編通して繰り広げられる過剰なドタバタも井上ひさしらしくて好きなのですが、古橋の脳をベルゴ・セブンティーンの体に移植して別人となってしまう展開は、さすがにやりすぎだろうと。独立計画が失敗に帰する原因となる「秘密」もそれほどのものか?と疑問。

    なんだかラストが締まらなかったのが残念ですが、ルビという日本語独特の表現技法を極限家した文体芸と鋭い社会批評は大いに堪能しました。

  • 東北、仙台などを舞台とした作品です。

  • 大作。面白い。

    但し正直下巻についてはあれ?と思うことも多かった。種明かしが次々されていく。それは痛快なのだけれど、古橋という主人公に筋を集めようとして、ご都合主義にもとれた。
    尻切れとんぼ、な。

    それにしたって、この上中下巻の魅力は否定しようがないけれど。

    私としては前大統領たるカツぞー小笠原にもう一席ぶつ活躍をしてほしかった。

全34件中 1 - 25件を表示

吉里吉里人 (下巻) (新潮文庫)に関連するまとめ

吉里吉里人 (下巻) (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

吉里吉里人 (下巻) (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

吉里吉里人 (下巻) (新潮文庫)のKindle版

ツイートする