父と暮せば (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101168289

感想・レビュー・書評

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  • 映像版も、こちらも、よかった。

  • 演劇の情景がありありと浮かんだ。それにしてもこの話のモチーフは切ない。戦争は二度と起こしてはいけないと思う。なのに安保成立する世の中だよ。どうして国が異なるだけで戦争を念頭に置かないといけないんだろう。隣の県と戦争するなんて思わないのと同じように、隣国と戦争することなんて想定しない世界がくればいい。

  • 戯曲形式は久しぶりで、広島弁の台詞が最初は少し読みにくかったが、最後は涙無くして読み進められなかった。劇場の機知は本の中にも残っているようだ。父竹造はユーモアに溢れ、娘美津江とのテンポ良いやりとりの中にも当時の様子や心情が巧みに織り込まれている。せっかく図書館にいるので、戦後70年の特集コーナーを利用してみよう。

  • 2014/03/20完讀

    女兒美津江在喜歡上青年木下之後,在原爆死去三年的父親竹造就出現了。美津江對活著感到歉疚,認為自己不配擁有幸福,竹造(其實是美津江渴望幸福的那一面)則不斷地鼓勵她。親子之間的感情寫得很感人,對於原爆的寫作也非常地發人深省。讀到後面就忍不住鼻酸。這是一篇短短的傑作,也誠如井上氏所言,廣島的故事,還是應該用廣島腔流傳下來。

    ・一人二役
    ・生きている死者・死者との共生の感覚
    ・和光同塵
    ・「あよなむごい別れがまこと何万もあったちゅうことを覚えてもろうために生かされとるじゃ」
    ・(解説)かなしかったこと、つらかったことをちゃんと記憶し伝えてこそはじめてほんとうの「自由」であり、「しあわせ」である。…かなしみを深めて生きていく以外に人間の生き方の深まりは知れない。闇に光が、かなしみのあるところに喜びがもたらされる。

  • 優しい言葉で訴えられるヒロシマ。私たちは向き合わなくてはならない。

    原爆の事実に「知らないふり」をするのではなく、きちんと向き合うために読むべき本だと思います。父娘の愛情にも感動します。

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 演劇は見たことがあるのだが、今回あらためて原作の戯曲を読んだ。読了した今、しみじみとした感動と余韻に浸ることになった。舞台には2人しか登場しないし派手さもないのだが、この2人の内面の葛藤が見事に演劇空間を作り上げていくのである。作者自身の「あとがき」によれば、主人公の美津江が「いましめる娘」を、そして父の竹造が「願う娘」を表象するというのだが、そうとばかりも言えないように思う。なぜなら、娘の美津江自身の中に大きな葛藤があることこそが、この劇のドラマトゥルギーを構成しているからだ。ほんとうに素晴らしい戯曲。

  • 井上ひさしの言う「一人二役」に感心させられた。
    広島の爆弾がいかに凄かったか文章から伝わってきた。ただ、2人のやり取りがコミカルで、全体として重くならず読みやすく面白かった。

  • 2013.1.26~2.2 読了
    原爆から生き残った罪悪感と人間本来の生きようとする本能がせめぎあって父親の亡霊を作り出す・・・か。人間、早々割り切っては生きられない、特に苛酷な人生体験の後では、ということかな。戦争の罪深さがしみわたる。

  • おもしろい。りくつぬきに、おもしろい。何なんだろう。すべての登場人物がすべてやさしいからだ。美津江さん、おしあわせに。明日は私の娘の彼があいさつに来る。どうやっていじめたろうか?!

  • 昭和23年の広島を舞台とした劇脚本。映画も舞台も観ていないため、字面だけで筋だけを追ったということになる。しかし、それだけでもテーマの重さと筋の上手さが伝わってきた。亡き人との対話という奇跡を扱っているが、不自然さは皆無。幸せになることを止めてしまった娘が、一瞬に覚えた「ときめき」「ためいき」「願い」から父親の幽霊が「恋の応援団長」として登場。この登場の理由と、ラストシーンが同期しているような気がして、印象的。。字面だけだが、日本語、広島弁の響きが良い。読み終わってから、グーグルで映画版の配役を知った。観たくなった。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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