一週間 (新潮文庫)

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著者 : 井上ひさし
  • 新潮社 (2013年3月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (662ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101168326

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一週間 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 月曜日、火曜日・・・と章立てされてて、日曜日まで。
    一週間かけて読むのもオツだったかも。
    ・・・いや、日曜日にキレてたかも。
    作者最期の作品だそうで仕方ないのかもしれないけど、
    散々ひっぱってきて、この幕切れはあっけなさすぎる
    ><。。

    しかしまー、「シベリア抑留」って、我ながら全然知らないのに、今更ながら気付いた。

    例えば、ホロコーストなら「アンネの日記」なり「夜と霧」なり、そのた諸々、国産ミステリでも枠取りしてたりするしでそれなりのインフラがあるんだけど・・・
    「シベリア抑留」のほうが、日本人にとってはよっぽど
    かかわりのある話なのに。
    ここで社会科教育のせいにしてはいかんな。

    ”レーニン”や”大連”が実在の人名や地名なのはわかるけど、
    どこまでが史実に基づいていて、どこからが作者の世界かがわからない。
    なんか勿体ないことした気分。

    戦時国際法の話なんて出てきて、社会科学科卒には懐かしい響き〜

  • ショーシャンクの空に、を思い出させる脱獄部分。映像が浮ぶ表現には感動。

  • ソ連の捕虜となった主人公がどうにかして日本へ帰ろうとするはなし。歴史の題材はとても深刻なものを扱っているのに、ユーモアがあって面白い。全体を笑いのオブラートで包み込んでいるような感触。最後の終わり方が唐突であるように感じたが、落とすところは何気なく落としておいて、笑わせるところは笑わせるような語り口にいつのまにかはまってしまっていた。結局Mは誰だったんだろうか。当時の歴史的背景を知らなくても、分かりやすかった。むしろ、背景を知ることができる。もっと周辺知識があればもっと面白そう。中国語やロシア語がわかれば尚更。WWⅡ後の裏歴史も盛りだくさん。知らなかったことが多すぎる。学校ではこんな切り口で学ばなかった。知らなかった。主人公の人生は当時の大きな出来事も余波を大きく受けている。そのためか、個人の視点から歴史の流れをリアルタイムで見ている感覚もあった。戦争文学読みたいな。参考文献の量と、著者の博識に頭が下がるばかりだった。自分の知識の薄っぺらさを思い知る。もっと学ばなきゃ。

  • 今年の4月に亡くなった井上ひさし氏最後の長編小説。場所は昭和21年のシベリア。ソ連極東赤軍の捕虜となった元共産党員小松修吉は、その過去を買われて日本軍捕虜の思想教育の一環として発行されている新聞社に協力を要請される。そこで取材するうちに、収容所から脱走し3千キロ逃走の末、捕まった入江軍医将校からレーニン直筆の手紙を入手する。この手紙にはソ連の体制を根底から揺るがすような秘密が書かれており、小松はこの手紙を武器に極東赤軍と闘争を開始する。入江の脱走劇も小松と赤軍高級将校らとの戦い、レーニンの手紙の行く末は如何にと、ハラハラドキドキの実に面白い冒険活劇となっている。登場する日本人捕虜、赤軍幹部、女性将校らが実際そこに居るかのように生き生きと浮かび上がっている様がすばらしい。また、シベリア抑留は悲惨な話であるが、ドイツ人捕虜には、あのように壮絶な話は無かったことが不思議であったが、その理由の一面もまた理解出来て大変勉強になった。本来はこの連載に加筆され単行本になる筈だったが、作者が亡くなられてかなわなかった。実に残念である。今年一番面白かった小説である。

  • かなりいろいろなものが詰まった作品。戦争を起こした人たちの愚かさ、俘虜のつらさなど詳細に語っている。

  • シベリア抑留、戦争、駆け引き‥フィクションの中に事実もあるんだろうなあ。実に面白い!

  • 書評などでさかんに引用されている「レーニンの手紙」は物語の半ばにならないと出てこない。しかしそれまでだって(いやむしろそれまでが)十分に面白い。シベリヤの厳しい寒さのリアリティ、旧日本軍の上下関係をそのまま持ち込んだ収容所の理不尽さや、戦陣訓を国際法に優先させて部下の待遇をソ連任せにする関東軍トップへの痛烈な批判、戦前の地下共産党伝説のスパイMの行方など、夢中で読ませる。さあそれらが後半でどう本筋に絡まっていくのか、という期待は、しかし残念ながらやや未消化のまま終わってしまう感がある。それでも悪役含め人間存在に対する著者の暖かいまなざしがいたるところユーモア溢れる描写に現れていて、プロットを読まされるのではなく、小説を読んでいるという実感を与えてくれた。

  • 読み終わった日が、ソチ五輪の開会式。かの日のソ連と今日のロシアでは大きく異なるのは承知。あの頃、ソ連がなくなるなんて思ってもいなかったなあと感慨。大きくなりすぎた国のひずみと、それを塗りこめる強引な手法は、現代の隣国を見るに必然なのか。その適応力と厚顔無恥は、小さな島国に閉じこもる我々には見習うべきなのかもしれない。ただし作中では、当時の日本の愚かさが繰り返し語られ、公平さにおいて抜群のバランスを保つ。著者の見識の賜物だろう。
    理想主義な自己中男はどうなろうが知ったことかと思うのだが、周囲の人物たちが魅力的で、その運命にはらはらさせられる。教養に裏打ちされた、極上のエンターテイメント。

  • 井上ひさしさんの遺作。連載小説であったとのこと。戦時中共産党員出会った主人公が、自分を陥れようとしたスパイMを追ってロシア二割ったところ終戦を迎え捕虜となる。捕虜となったある日呼び出されると、捕虜向けのプロパガンダとして作っている『日本新聞』なるものの編集室で働かないかと呼び出されるところから物語は始まる。そこを監修するロシアの将校たちがまた日本語が達者という設定でやり取りに引き込まれ思わず笑ってしまう部分も多い。遠くまで脱走したが残念ながら捕まった従軍医師の取材を命じられたところから物語が大きく展開をみせる。荒唐無稽なお話の展開なのだが、あっという間に引き込まれた。日本語が美しいです。こんなに力がはいっていなくて美しい文章はなかなかないかも知れない。名作だと思います。

  • 共産党員として地下活動を続けていた主人公は、スパイMの奸計により逮捕され、日本の地下組織も壊滅状態となる。その後、スパイMを追って満州に渡るも戦争は終わり、シベリアでの抑留生活を送ることとなる…。

    極東赤軍と旧関東軍による二重支配、バーグ陸戦法規の不履行、レーニンの秘密の手紙。やがて主人公は「わたしたちを棄民同様の扱いにしている祖国と、そのわたしたちを牛馬よろしく扱き使っているあなたがたのお国(ソ連)を等しく信じていない。つまり今のところ、思想というものは一切信じていません」と言い切るようになる。

    過去を美化するでもなく、かと言って自虐史観でもなく、勝者も敗者も等しく悪とする。戦争とはそういうものであると言わんばかりの、渾身の遺作です。

  • もう少しロシアの事、戦時の日本について勉強して読んだら更に面白いのではないか。
    登場人物のキャラが非常に分かりやすく、その掛け合いも見事。
    いつの間にか引き込まれていた。

  • 息もつかせぬどんでん返しの連続。
    故井上ひさしの連載小説をまとめたもの。

    井上ひさしは通常、連載小説が一冊の本として刊行される際には修正、書き下ろし作業を行なったそうだが、
    本作は遺作のため連載時のまま。
    ラストがあっさりしているのは、そのせいかもしれない。
    もし彼の寿命が伸びていたら、と考えざるを得ない。
    しかしその悔しさを抜きにしても、非常に面白い物語である。

    第二次大戦後の日ソ関係について興味がある人は必見。ところどころ物語を面白くするための誇張やお遊びはあるが、その隙間に垣間見えるリアルさが印象に残る。

  • 井上ひさし最後の長編小説である。舞台設定が何ともユニークである。後半、息詰まるようなどんでん返しの連続で、ジェフリー・ディーヴァーも真っ青である。ちょっとした、お色気もあり、ユーモアもあり、歴史や政治の勉強にもなる。最後は拍子抜けであるが、何か意図があるのだろう。

  • 井上ひさしの遺作

     終戦後ロシアの捕虜となった元共産党員の小松がハバロフスクの日本新聞社に移送される。そこで取材する内に、偶然手に入ったレーニンの手紙を武器に、収容所から自由を得るため知恵を絞り、ソ連軍将校と渡り合う。その知恵比べが面白い。

     そして、その過程で、捕虜たちの生活の悲惨さ、戦争末期から終戦直後の国・軍幹部による棄民政策、ソ連の捕虜によるシベリア開発、日本共産党を壊滅させた特高のスパイMなど、重苦しい歴史的事実が、軽妙な語り口で、明らかされてゆく。

  • 世の中は村上春樹さんですが、私は井上ひさしさんを読んでいます。
    関東軍60万人ものシベリア抑留のからくりが独特のユーモアある文体で暴かれます。
    就寝前の良質の読者で良い眠り。ゆっくり読み進めます。

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一週間 (新潮文庫)の作品紹介

スパイMの奸計により逮捕され共産党から転向した小松修吉は、Mを追って満洲に渡り、終戦後、捕虜となる。昭和21年早春。ハバロフスクの日本新聞社に移送された修吉は、脱走に失敗した軍医の手記を書くよう命じられた。そこで彼から託されたのは、レーニンの裏切と革命の堕落を明かす手紙だった。修吉はこれを切り札にたった一人の反乱を始める。著者の集大成。遺作にして最高傑作。

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