メタモルフォセス群島 (新潮文庫 つ 4-12)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171128

感想・レビュー・書評

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  • 解説でも注視されていた「走る取的」はとても印象的でずっと記憶に残っていた。妄想や猟奇的な短編が並ぶ中、「母親さがし」という新作落語、「こちら一の谷」の時代ドタバタ小説が混ざる。表題作は生物学的知識があると、より一層楽しめる。もっとも21世紀となった今もそうだが、学術的な若しくは国際的な話題を日本人同士で話すときも外国語であるカタカナ語で話すのが鼻持ちならなく感じてしまう。

  • 筒井康隆の短編で“怖い作品”と言うと必ず名前の挙がる一作が「走る取的」。これを読んでみたいがために購読。

    友人と共に延々力士に追いかけられる主人公。しかもどれだけ逃げようがうまく撒こうが隠れようが、はたまた心底詫びようが相手は一向に意に介さない。ひたすら「腹と顎を突き出した例のスタイルで」追いかけてくるのだ。理由はわからない。ただ「自分が侮辱されたと思い込んでいる」らしい、それだけである。助けを求めることも出来ずに逃げ回る様は滑稽だが、読後にじわじわ怖さが沁みてくるような作品。

    その他、放射能の影響で生物が全てミュータントと化した島を描いた表題作(途中までは大笑いできる作品と思ってしまうのだが、終盤で背筋が一気に寒くなる)等、幻想と強迫観念、狂気に満ちた11編収録。

    【感想は読了当時のもの】

  • 内容紹介
    足のはえてくる果実。木の枝に寄生している小動物。人間を食べて首に似た果実をつける植物。放射能の影響であらゆる生物が突然変異体(ミュータント)と化した不気味な世界を描いた『メタモルフォセス群島』。妻子を脱獄囚に人質にとられたサラリーマンが、脱獄囚の家にのり込んで脅迫のエスカレーションを企てる『毟りあい』。ほかに『五郎八航空』『定年食』など幻想と恐怖の突然変異的作品群。

  • 高校生以来、何度か繰り返し読んでいるが色褪せない面白さ。筒井作品のなかでも代表作のひとつだろう。ただし、万人に勧められるかというとそうではない。

  • 基本的に「これはひどい」という話が並んだ短編集。ブラックユーモアと言えなくもないが、「うわぁ」以外の感想が出てこない話もあり、よくぞここまでとも思う。

  • 「引用」をご覧いただければと思います。

  • 素晴らしい悪趣味
    『走る取的』『老境のターザン』『毟りあい』が特に好き。

  • 2012.3.4(日)¥73。
    2012.8.8(水)。

  • あまり覚えてないけれど、また読めば楽しめるに違いない。

  • 人間が本来もつ不安や恐怖が異常にリアル。グロテスクですらある描写が随所にみられるにも関わらず、読み始めたら止まらない。人間の本質、社会の本質がさらりと書かれている印象。
    特にメタモルフォセス群島においては、昭和56年に発行されたこの本に、平成23年にキーワード化した言葉が散らばっているのが印象的。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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