旅のラゴス (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171319

感想・レビュー・書評

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  • 旅先での出会いや不思議な体験が、奇想天外で楽しめた。ラゴスの旅の目的は結局、あまり分からなかったな〜でも世界観は好きだった。

  • ラゴス、デキる男。
    筆者は彼に、理想の生き方を、はたまたロマンを追求させている?
    とくに心にのこったのは、ラゴスが5年もの間、ドームで寝食を忘れ書物に読み耽るところ。培った「知」こそが彼の財産で、金や名誉はどうでもいい。「知りたい」が続くかぎりラゴスの旅は終わらない。かっこいいね。

    でも結局、ラゴスって女には淡白だった(笑)愛の讃歌というより、知の讃歌ととったけれど、どうだろう。

  • 内容とは関係ないけど、ブックカバーのイラストが良い!
    これは、SFなん?確かに転移とか出てくるんで、そうなんやけど、SF感はない。
    但し、内容は、好きな感じ。ラゴスの生き方に憧れる。
    「人間はただ一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。」
    ※ただし、イケメンに限る(^^;;

    • ultraman719さん
      魔法の薬屋 魔法の小瓶さん!

      お〜!赤川次郎さん!めっちゃメジャーどころですね!
      でも、読んでない…食わず嫌いやったんかな?
      この機会に読...
      魔法の薬屋 魔法の小瓶さん!

      お〜!赤川次郎さん!めっちゃメジャーどころですね!
      でも、読んでない…食わず嫌いやったんかな?
      この機会に読んでみますね!
      今読んでるの終わってから、買いに行きますのでしばしお待ちを!
      これ、ジャケットもええ感じですね。あらすじも好みかも?
      ありがとうございます〜!
      2021/08/10
    • ultraman719さん
      魔法の小瓶さん

      「眠りを殺した少女」読み終わりました〜ありがとうございます。
      棚に登録しました。

      私が面白かったミステリーは、棚で★5つ...
      魔法の小瓶さん

      「眠りを殺した少女」読み終わりました〜ありがとうございます。
      棚に登録しました。

      私が面白かったミステリーは、棚で★5つのがそうですが、いっぱい付いてるので、この辺が好きです。
      「13階段」高野和明
      「悪党」薬丸岳
      「痣」伊岡瞬
      とかですかね。
      あくまで個人的にですので、良ければ読んで下さい。
      みんなそれなりに重いかもしれません。
      2021/08/14
    • ultraman719さん
      小瓶さん、こんばんは!
      お久しぶりです!

      「変な家」ですね!
      軽くネットでも探しましたけど、不動産ミステリーとかに言うんですね。
      何か面白...
      小瓶さん、こんばんは!
      お久しぶりです!

      「変な家」ですね!
      軽くネットでも探しましたけど、不動産ミステリーとかに言うんですね。
      何か面白そうですね。
      まずは、YouTubeで観てみます。
      お勧めありがとうございます!
      2021/08/28
  • 読み終えた今、ラゴスとともに長い長い旅を終えたような感慨がある。
    間違いなく読者はラゴスの旅の途中から彼に同行し、いつしか心を深く同化させてしまうのだろう。

    今までSFが苦手だった。苦手というよりも、今となっては自分の想像力の問題だと思う。しかし、うまく想像できない置いて行かれる現実味を感じられないなどの理由で、勿体ないながら嫌煙していたのは確かだ。(解説の村上陽一郎氏の述べるように、SF作品は読者の常識的な感性、価値観、道徳、理性などに挑んでくるものであるならば、私はそれにうまく対処できない読者かもしれない…)

    SFと括ってはいけないのかもしれないが、この物語の世界観もファンタジーである。ラゴスという旅人を主人公にその旅を追っていく。前述したように物語は旅の途中から始まるのだが、私にとっては不思議なことに全く抵抗なく物語の設定に順応した!これは今までにない感覚だ!簡潔で読みやすく、落ち着いていてしかし手に汗握る!

    ああ、長い長い旅を終えて飲むコーヒーの感慨深さ!
    上質の読書体験を経て、自分の読書技術不足によ偏見でジャンルを狭めることの愚かしさを実感した。この本との出会いもブクログからだったように思う、出会い感謝している。ありがとうございます!

  • 学生時代以来の再読。こんな感じだったっけ...。内容をほとんど覚えていなかったのである意味新鮮。設定や登場人物は突飛なのだが、淡々とした語り口からは劇的なシーンは生まれない。心理描写もほとんどなく、風景がぱっと前に開ける、まさに一緒に旅をしている感覚。休日にはちょうど良い時間でした。

  • SF仕立てだけど、ひとつひとつのエピソードが機知に富んでいて、さほど長い話ではないのにスケールが大きい。
    真面目でたくましく女にモテるラゴスが魅力的で、自分もこうありたいと思ってしまう。

    ラストは泣けますね。旅人ラゴスがたどり着いた境地は、童心に帰ったかのような純真さ。

    これは大人のおとぎ話。初の筒井康隆でしたが、とてもおもしろかった。

  • 「旅をすることが人生に与えられた役目」
    現代文明が滅びた後、人類は古い時代に逆戻りしたような不便さを超能力でカバーする世界に生きる。小説は遊牧民の生活と集団転移から始まる。「王国への道」ラゴスは廃宇宙船の本を収めたポロ盆地で何年もかけて本を読破。故郷に帰り学んだ叡智を人々に授けた後も旅は続く。ずっと取っておきたいと思える本。

  • 積読を買い漁ったばかりなのに長距離移動の日に本を忘れて、慌てて購入した1冊。
    夏の新潮100冊などでよく目にするものの今まで興味は惹かれず、単純に短めであることと、ここ10年ほど筒井康隆作品を読んでなかったのでチョイスしました。

    大当たりでした(笑)
    予備知識なしで読み始めると、出だしは完全なる旅の途中で、世界観を掴むまでは取り残されてる感があったものの、旅する途中に出逢う人や街でのエピソード、旅の途中の生死をかけたハプニング、年単位で遠回りしながらも旅の目的を果たす姿やその帰路。地元に足を踏み入れる際の展開はほんとに気持ちいい!(笑)そしてラゴスらしい締めくくり。穏やかで賢く行動力のあるラゴス、その人生をかけた旅にすっかり惹かれて読み進めることができた。
    筒井康隆作品は久々だったけど、映像ではなく文章だからこそ楽しめるような流れというか。必要な部分はしっかり語られ、でも各々の想像に任される部分はしっかり残されているような。理論的なとこは理論的で、空想的なとこは空想的でほんとに飽きないストーリーでした。

    最近は湊かなえさんや村田沙耶香さんなど作者のテクニックに甘えた読書ばかりだった気もするから、なんだか久々に心が悠大で豊かな気持ちになれた気がするw


    作品中に説明も出てくるが、世界観としては、電気はないが商業都市などがあるくらいの文明レベル。そして大きく違うのはちょっとした超能力が存在すること。SFになるわけだけど、なんというか超能力の存在が不思議と現実的というか、めちゃめちゃ修行して希少価値の高い陶芸品作れる人みたいなかんじで努力で身につけたり、小さい頃から暗記が得意とか絵が得意みたいなかんじで予知夢が見れますって人がいたり。超能力の存在がちゃんと合理的に馴染んだ世界。

    構成としては「ブランコの向こうで/星新一」を思い出した。長編の中で、次々と場面が変わりながらそれぞれの不思議な世界観と登場人物が紹介されながらドラマが繰り広げられる。

    【おまけ】
    この作品を読んだ人なら分かってくれそうな所で言うと、「おみやげ/星新一」も思い出した。新潮文庫「ボッコちゃん」の中の1作で光村図書の小5の国語の教科書にも掲載されていた作品。文庫でいうと3ページほどのほんとに短いショートショート。あらすじは、人類がまだ生まれていない地球に高文明の宇宙人が来て、医療や政治経済などあらゆる高度な資料を「おみやげ」として置いていく。その資料を理解できるレベルの人類なら開けられるであろう特殊金属の容器に入れて。だが、年月が経ちその容器が開けられた瞬間は、おみやげの存在に気づかず原爆実験で中身もろとも消えた瞬間だった。という話。

    ◆内容(BOOKデータベースより)
    北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

  • 「人生は旅だ」とはよく聞くたとえだが、この本はラゴスという一生を旅に費やした男の物語だ。

    220ページにも満たない物語だが、娯楽小説にありがちな野暮で無駄な表現の一切を省き、凝縮された男の人生が詰められている。

    理知的な男の一人称で進むこの物語は、文章が少し硬く読み進め難いと感じる人もいるかもしれないが、未開拓の架空の星で知識を得て行くラゴスとともに旅を続けると、今暮らすこの社会がどのような過程で出来上がっていったのかが朧げに分かる。

    変わった設定のSFでもあり、一生を賭したボーイミーツガールものでもある。ラストの終わり方には胸を締め付けられるだろう。

  • 筒井作品の中ではかなり異色の存在ではあると思うが、NAVERまとめや2ちゃんの本のスレでは必ずと言っていいほど上位にランクされる名著の評判高い作品。

    ラゴスという一風変わった男が、一生をかけて旅をし続ける、という物語なのだけれど、彼が経験を積んで成長し、学び、時には奴隷として何年も拘束されたり、結婚して王になったりと波乱万丈の生き方をしながらも、実に淡々とした叙述で非常に静かに話は進む。

    ラゴスの一人称がおれからわたしへと変化し、先祖が残した莫大な量の本を読んで知識を蓄えていく描写はとてもわくわくする。感情移入しにくいという向きもあるし、そもそもSF的な世界観が全くだめ、という感想もあるけれど、わたしはこの物語がとても好きだな。そして筒井康隆氏のとてつもない底の深さ、作家としての才能を感じるのだ。

    個人的には深く同化した動物、ここではなんちゃらウシだが、そのたびの伴侶、道中の相棒がまさに死に直面する時、断末魔の叫びを夢の中でも聞き取ってしまう、という描写がなんとも心に残った。これこそが同化するという事なのだろうと思う。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

筒井康隆の作品

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