ロートレック荘事件 (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171333

感想・レビュー・書評

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  • 違和感を感じながら、結局ラストのタネ明かしまで見抜けなかった。

    まさか...

    でも、確かに...

    【以下、完全にネタバレです】

    物語はロートレック荘と言う別荘を舞台にした「おれ」の一人称的に進んで行く。

    そう「一人称的」にである。

    きっと多くの読者が私と同じように主人公の「濱口重樹」と「工藤忠明」の2人が招かれたと思い読み進めたはず。

    だが、本作の中で「濱口重樹」とフルネームでの紹介は一度もなかったのだ。

    「濱口重樹」だと思っていた人物は実は「濱口」と「重樹」という2人の別人である事が、本作の最大のトリック。

    しかも、一人称で「濱口重樹」が語っていたと思わされていた語りは、絶妙に「濱口」と「重樹」が入れ替わって語られていた事実。

    何処となく不自然な違和感を感じながら、ラストで明かされた真実。

    読み終えてすぐに読み返したくなったのは我孫子武丸氏の「殺戮にいたる病」以来。

    但し、どうしても「濱口」と「重樹」が入れ替わりながら語るところで拭きれない違和感を感じた事が☆3というある意味で辛い評価となってしまったが、二度読み必至のミステリでした。


    説明
    内容紹介
    郊外の瀟洒な洋館で次々に美女が殺される! 史上初のトリックで読者を迷宮へ誘う。二度読んで納得、前人未到のメタ・ミステリー。
    内容(「BOOK」データベースより)
    夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か?アリバイを持たぬ者は?動機は?推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    筒井/康隆
    1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。’60年、弟3人とSF同人誌“NULL”を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が“宝石”に転載される。’68年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。’81年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、’87年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、’89(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、’92年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。’96年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 一人称『おれ』の語りの部分がどうも不自然で読みにくかったのですが結末まで読んで納得しました。
    何となくこの人かな?と思っていた人物が犯人でしたが文章に振り回された感じです。

    自分は愛される価値が無いと信じてしまうのは悲しいこと。

  • 読了後にすぐ読み返しました。それで納得!ボーッと読んだら二度読み必須です。

  • いわゆる叙述トリックと言われるもの。自分にはまったく合いそうに無い。

    会話の構成に違和感は感じたものの、江戸川乱歩からの流れで、昔の文章なので仕方ないと思いながら読んでたのも失敗だった。

    基本的に、小説の中だけで成立する(映像化できない)トリックは、現実味がないこともそうなんだけど、わざとわからないことにして読者に不公平な状況を作り出している時点で、ミステリーとしては本流でないと思ってしまう。同じ叙述トリックでも、アクロイド殺しはその点フェアだったと思う。

    あと、最後に実は被害者の美女が犯人のこと好きで、被害者が後悔するというくだりがあるけど。

    外見で大きなハンディ抱えてる上に、あきらかな自己中で人殺すような中身もダメ男を、社長令嬢で頭が良い美人が好きになることは現実ではないので、そこも興醒めですね。

  • 鮮やかなアートのような作品でした。頭の中で思い描いていた光景がガラガラと崩れていくような快感があります。
    え?あれ?という感じで二度読みすることになるかと。

  • 叙述トリック感がある構成だったので、何となくそうかなぁ、って思いました。

    が、やっぱり急に「おれ」の目線から、全体俯瞰にカメラが切り替わる瞬間が気持ち良くて、叙述トリックもの最高!となりますね。

  • 巻末背表紙に推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘うと書かれている(文庫版)
    ある意味、トリックについて、確かに面白いものだったが、特殊性が多すぎて(1つや二つじゃないんだ。)疲れてしまう印象だ。
     実は、出会いは中学生の頃、古本屋で単行本が安く売られており、とにかく読書が好きで(当時はさほどミステリーに傾倒はしていないが、もう少しすると江戸川乱歩、横溝正史に出会う)適当に買ったのがきっかけだ。
     当時、全く読みきれず(美術的な部分から苦手意識があった)離れていたが、少し大人になった頃、評判のミステリーだと知り、たまたま立ち寄った本屋で文庫版があり購入。読了。当然、衝撃的だったし、こういう事か。と腹落ちするミステリーだ。
     少なからず好みの部分があるのは事実であり。
     あと語りについては「そして誰もいなくなった」の種明かし方法、解決方法といずれも大好きで、どうしてもこの部分を超える作品は見つからないなあ。

  • どんでん返しの前評判で名前だけは聞いており、やっと手に取った本書。全てがミスリード。そして読み返した時に違う捉え方ができる点で良質な叙述トリックだと思った。作中でなんとなく感じていた違和感が、最後に線になって回収される。
    以下、ネタバレ。
    感じていた違和感は、あれ?これ今誰が話してる?とか、なんか2人称や3人称がやたらと色々出てくるな。下半身の成長が止まった主人公が性行為?映画も絵のエッセイも多彩だなぁ。いまここで話してる人数って合ってる?など。
    あとから読んで部屋割りとか絵画のミスリードとか章ごとに視点が変わっているのに気づいた。そういう意味ではラストは読み返しながらでないと理解が追いつかなかった(丁寧すぎる解説付きがついているのも頷ける)。障害者や身体的なマイノリティへの偏見や不当な扱いを扱っている叙述トリックだと感じたので、5点にしました

  • いやー!
    すっかり騙されました。

    何がすごいって、部屋割りですよねー。

    そこで見抜けなかったのが悔しい。

  • 叙述トリックなのでしょうか。まんまとしてやられました。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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