ロートレック荘事件 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171333

感想・レビュー・書評

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  • ん?
    何か変?
    何か登場人物の話す内容。
    え?誰なん?
    って、違和感アリアリで、読んでいくと見事に騙される^^;
    古典的なミステリーのパターンやねんけど…
    良くある感じなんやけど…
    やっぱり、やられてしまった(^^;;

    叙述トリックで、結構有名な作品って分かってんのに、何かなぁ〜
    もう少し、じっくり読めば何とかならんかぁ〜って、いつも思うんやけど、あかんな…

    これは、もう一回読んで、楽しむもんなんかもしれん。

    筒井さんらしく、タブー破りもありで、楽しめました。
    いつ読めるか分からんけど、今度は、じっくり読む!

  • 館ミステリー。叙述トリック小説。
    事件自体はミステリー小説ではよくある感じ。

    第一章から第十九章まであり、各章短めなので読み進められるが、スムーズに読めたのは第一章だけ。
    以降、“ん?”と読みにくさを感じた。「 」の会話が多くて、誰が話してるの?って。
    舞台であるロートレック荘の平面図も載っているが、これもちょっとずるくないか?と思ってしまった^^;
    読者を楽しませよう的な凝った推理小説だと思う。もう一度読み直すと、騙されていることがよーーく分かる。うまい。
    解説の「作者のトリックの方が、犯人のトリックより好きである」に、なるほど、面白い考え方だなと頷けた。

  • 夏の終わり、ロートレックの作品に彩られた郊外の瀟洒な洋館に集った将来を約束された青年たちと美しい女性たち。
    優雅なバカンスが始まるかに思えたが、2発の銃声が惨劇の始まりだった……。


    どんでん返し・叙述トリックミステリと言えばこれ、と言われることもある有名ミステリー。
    話だけは聞いていましたが、ようやく手に取りました。

    途中何となく違和感を覚えつつも(今誰が喋っているんだろう? とか、見取り図の名前の書き方バラバラで気持ち悪いなとか)、騙される快感を存分に味わえます。
    えー、ちょっとずるくないかなと思う部分もなくはないですが、読み返すと伏線はたくさん散りばめられていますし、この手の構成の本で、部屋割りや見取り図を入れるのは、大胆で本当に感心しました。
    一人称視点だった情景がぱっと切り替わる瞬間はやっぱり気持ちがいい。そのうちもう一度伏線を確認しながら読みたいです。

    途中にカラーでロートレックのポスターが挿入されているんですが、これ何の意味があったのかな、と考えてい思ったのが、殺された住人の部屋のポスターと被害者の死にざまの様子を少し似せているのかも。腹部を2発撃たれた被害者の部屋のポスターは、血痕にも見える飾りのついたファーストールのようなものを巻いた女性の絵「ラ・ルヴュ・ブランシュ」。頭部を打ち抜かれた被害者の部屋には、赤い羽根飾りが広がる血にも見える帽子を被った「ジャヌ・アヴリル」の絵、みたいな。
    3人目だけ少し微妙な感じですが。

    ***

    この本が気に入ったら、やはり王道の『十角館の殺人』(綾辻行人/講談社文庫)も読んでほしいです。今なら漫画版も出ていて、そちらも美麗イラストでおすすめ!

  • ロートレック荘の惨劇。
    叙述トリック。16章「嘘だ」の後,隠された人物名が判明。犯行動機も意外。犯人は道化を演じてきたが,失いたくない存在がいた。本命1人抹殺で目的達成できたはず。無慈悲な結末。

  • 178ページ、混乱してしまいました。
    何度も何度もめくり直して、読み返してようやく、理解が追いついてきました。
    普段ミステリー慣れしていないのもあると思いますが、圧倒されてしまいました。
    もう一度、最初のページに戻って、理解したうえでじっくりと味わおうと思います。
    ミステリーの魅力に気付くことのできた一冊でした。

  • 何か気になるなぁと思いながら読み進め、最終章でその何かがなるほどそういうことだったのか!と分かってスッキリ。
    すぐにもう一度読み直したくなった。
    お話の内容としては悲しくなった。

  • あちゃー。
    単純な推理小説だと思い、途中もう完璧に推理できた!と思ったが、そうきたか!!
    と驚かされた。
    思わず最初から読み返したくなるような心境(^_^;)

    この手の「小説ならではのトリック」は読後ちょっと狡いじゃん!と思ってしまう(^_^;)

  • 「だ、騙されたーーー!!!」と読み終わって心の中で絶叫してしまいました。いえ、いい意味で、です。そして、誰かに「いいからとにかく読んでみて!」て、言いたくなりました。

    もうちょっと説明するなら、うまく言えませんが、何というか、綿密に選び抜いた言葉でしか成り立たない、一歩選び間違ったら破綻して三流に陥ってしまうある意味難しい物を、うまくきっちり作りきったなあ、と脱帽する、これぞ、小説でしかできない醍醐味、という作品でした。

    ラストの細かすぎる作者註てんこ盛りによるタネあかしと、ロートレックの作品群もすごく好きです。
    …この散りばめられた作品群は、暗喩的な意味は勿論あるだろうけど、読み手の注意を無意識に核心からそらすための作用も担ってるよなあ…多分。
    読み終わってから気がつくことが多すぎて、また一から読み直して確かめなきゃ、という気になります。

  • 斬新な設定の叙述トリック。
    1人の存在を消す、ミスリードさせる文章力は改めて凄いと感じた。
    フェアじゃないと感じる部分がないではないですが、
    叙述トリックでは当たり前。
    伏線は結構な数散りばめられており、
    例えば5月夫人が『重樹さん』『浜口画伯』とそれぞれの名前を呼んでいたり、
    しっかりと語り手が変わることを認識できるような作りになっていたり。

    私自身が読んだ後に軽く読み返して、考察を見てまた楽しむというのが好きなので、
    最後の独白が諄く感じたのも事実。

    素晴らしい小説でした。

  • 是非は二分するやろうけど好き。
    ロートレックの絵画が屋敷にムーランルージュのような享楽味を与えてて素敵。

  • 違和感を感じながら、結局ラストのタネ明かしまで見抜けなかった。

    まさか...

    でも、確かに...

    【以下、完全にネタバレです】

    物語はロートレック荘と言う別荘を舞台にした「おれ」の一人称的に進んで行く。

    そう「一人称的」にである。

    きっと多くの読者が私と同じように主人公の「濱口重樹」と「工藤忠明」の2人が招かれたと思い読み進めたはず。

    だが、本作の中で「濱口重樹」とフルネームでの紹介は一度もなかったのだ。

    「濱口重樹」だと思っていた人物は実は「濱口」と「重樹」という2人の別人である事が、本作の最大のトリック。

    しかも、一人称で「濱口重樹」が語っていたと思わされていた語りは、絶妙に「濱口」と「重樹」が入れ替わって語られていた事実。

    何処となく不自然な違和感を感じながら、ラストで明かされた真実。

    読み終えてすぐに読み返したくなったのは我孫子武丸氏の「殺戮にいたる病」以来。

    但し、どうしても「濱口」と「重樹」が入れ替わりながら語るところで拭きれない違和感を感じた事が☆3というある意味で辛い評価となってしまったが、二度読み必至のミステリでした。


    説明
    内容紹介
    郊外の瀟洒な洋館で次々に美女が殺される! 史上初のトリックで読者を迷宮へ誘う。二度読んで納得、前人未到のメタ・ミステリー。
    内容(「BOOK」データベースより)
    夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か?アリバイを持たぬ者は?動機は?推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    筒井/康隆
    1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。’60年、弟3人とSF同人誌“NULL”を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が“宝石”に転載される。’68年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。’81年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、’87年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、’89(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、’92年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。’96年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 一人称『おれ』の語りの部分がどうも不自然で読みにくかったのですが結末まで読んで納得しました。
    何となくこの人かな?と思っていた人物が犯人でしたが文章に振り回された感じです。

    自分は愛される価値が無いと信じてしまうのは悲しいこと。

  • 筒井康隆作品2冊目。
    1冊目はパプリカを読了しています。
    だまされないぞと慎重に読み進めていたのに、まんまとやられました。

    序盤の不自然さ、細かな違和感や「これって誰の発言?」と思う部分、部屋の図面に書かれた名前の表記ゆれ、画家かつエッセイスト??とハテナが浮かびつつも『おれ』=重樹と思い込み...
    まさか章によって『おれ』が違っていたとは。
    やっぱり序章の人物を工藤忠明だと思っちゃうよね!
    気持ちよくだまされて清々しい気分です。これだから読書はやめられない◎

    典子さんは男性を見た目や財力で判断しない、素敵な女性だった。
    しかし、その想いは蔑視を受けてきた重樹には届かなかった。
    常日頃他人から好奇の目にさらされていたら、どうしても穿った受け取り方をしてしまうよね。
    お互いに心をひらいて本音を話せていたら、結末は違ったものになったのかも...
    短いながらも謎解きだけでなく、余韻の残る1冊でした。

  • 読了後にすぐ読み返しました。それで納得!ボーッと読んだら二度読み必須です。

  • いわゆる叙述トリックと言われるもの。自分にはまったく合いそうに無い。

    会話の構成に違和感は感じたものの、江戸川乱歩からの流れで、昔の文章なので仕方ないと思いながら読んでたのも失敗だった。

    基本的に、小説の中だけで成立する(映像化できない)トリックは、現実味がないこともそうなんだけど、わざとわからないことにして読者に不公平な状況を作り出している時点で、ミステリーとしては本流でないと思ってしまう。同じ叙述トリックでも、アクロイド殺しはその点フェアだったと思う。

    あと、最後に実は被害者の美女が犯人のこと好きで、被害者が後悔するというくだりがあるけど。

    外見で大きなハンディ抱えてる上に、あきらかな自己中で人殺すような中身もダメ男を、社長令嬢で頭が良い美人が好きになることは現実ではないので、そこも興醒めですね。

  • 鮮やかなアートのような作品でした。頭の中で思い描いていた光景がガラガラと崩れていくような快感があります。
    え?あれ?という感じで二度読みすることになるかと。

  • 叙述トリック感がある構成だったので、何となくそうかなぁ、って思いました。

    が、やっぱり急に「おれ」の目線から、全体俯瞰にカメラが切り替わる瞬間が気持ち良くて、叙述トリックもの最高!となりますね。

  • 巻末背表紙に推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘うと書かれている(文庫版)
    ある意味、トリックについて、確かに面白いものだったが、特殊性が多すぎて(1つや二つじゃないんだ。)疲れてしまう印象だ。
     実は、出会いは中学生の頃、古本屋で単行本が安く売られており、とにかく読書が好きで(当時はさほどミステリーに傾倒はしていないが、もう少しすると江戸川乱歩、横溝正史に出会う)適当に買ったのがきっかけだ。
     当時、全く読みきれず(美術的な部分から苦手意識があった)離れていたが、少し大人になった頃、評判のミステリーだと知り、たまたま立ち寄った本屋で文庫版があり購入。読了。当然、衝撃的だったし、こういう事か。と腹落ちするミステリーだ。
     少なからず好みの部分があるのは事実であり。
     あと語りについては「そして誰もいなくなった」の種明かし方法、解決方法といずれも大好きで、どうしてもこの部分を超える作品は見つからないなあ。

  • どんでん返しの前評判で名前だけは聞いており、やっと手に取った本書。全てがミスリード。そして読み返した時に違う捉え方ができる点で良質な叙述トリックだと思った。作中でなんとなく感じていた違和感が、最後に線になって回収される。
    以下、ネタバレ。
    感じていた違和感は、あれ?これ今誰が話してる?とか、なんか2人称や3人称がやたらと色々出てくるな。下半身の成長が止まった主人公が性行為?映画も絵のエッセイも多彩だなぁ。いまここで話してる人数って合ってる?など。
    あとから読んで部屋割りとか絵画のミスリードとか章ごとに視点が変わっているのに気づいた。そういう意味ではラストは読み返しながらでないと理解が追いつかなかった(丁寧すぎる解説付きがついているのも頷ける)。障害者や身体的なマイノリティへの偏見や不当な扱いを扱っている叙述トリックだと感じたので、5点にしました

  • いやー!
    すっかり騙されました。

    何がすごいって、部屋割りですよねー。

    そこで見抜けなかったのが悔しい。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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