- Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101171388
作品紹介・あらすじ
顔のあるものがいない…。それが大富豪・入谷精一の葬儀だった。喪主は美貌の後妻・春子。先妻の子供である英作・信子・雅司の三人兄妹弟は、精一の莫大な遺産の出所に疑問を感じ、あるレコードが謎を解く鍵であることを知る。その「夏の初恋」なるSP盤には、奇妙な歌詞が…。富豪の遺族が踏み込んだ時空の迷宮。本格ミステリを凌駕する圧倒的パワー。「RPG試案-夫婦遍歴」併録。
感想・レビュー・書評
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断筆宣言後の復帰作。息の長い超絶な文体を追いかけていくと、とつぜん何の前振りもなく時空間が飛び、物語の因果関係も(亡父と子どもたちの関係も)よじれていく。このスリル!
ファミリーロマンス/SFの形を借りた、実験小説の傑作。東浩紀による「邪眼鳥」解説も秀逸です。
「RPG試案―夫婦遍歴」の方は正直よくわからなかった……。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主体が欲望の対象とであうことがないと亡霊になるという発想が面白い。
タイムスリップなどのスリップが、ずれること、接地点をなくすことという解釈も言いえて妙だな -
★2.5かな。可もなく不可もなく。
実験作ということのようですが、文字通りあまり読ませることを考えていない気がする。そういう意味で素描を鑑賞しているようなものかと。 -
父精一の死を受けて四人の子が父の面影、父への欲望を追い求めて時空をも超えて彷徨うお話。語り手が非常に分かりにくく変化し、そのうえ登場人物たちの時間にズレが生じたりもするのだから、兄弟たちが翻弄されついには亡霊になってしまうことに、読み手である私も妙に共感できた気がした。最終的に亡霊にならずじまいの春子が不気味で、その美貌すらもどこか恐ろしく感じる。私には難解でしっかりと理解できた気はしないけど、面白い作品だった。
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横溝風のミステリをオカルトSF仕立てにして、文体も構成も実験しまくった表題作( ´ ▽ ` )ノ。
「分からない」って人が多いのも当然だね( ´ ▽ ` )ノ。
でもむしろ、筋がクッキリしすぎてることに戸惑っちゃったよ(>_<)。
その点、(架空の)夢を写実的に文章化した「夫婦遍歴」の方が筒井康隆っぽい( ´ ▽ ` )ノ。
まあ、脳みそのマッサージ的な二作( ´ ▽ ` )ノ。
普通の娯楽小説を読み続ける合間、たま〜にこういうのもいいね( ´ ▽ ` )ノ。
星3個だけど、3.95個くらいの3個だよ( ´ ▽ ` )ノ。
2015.8.29 -
筒井康隆氏本人が『ビアンカ・オーバースタディ』のあとがきで述べているように、筒井康隆の小説は二通りの読み方ができる。
一つは、小説の表層的な実験要素(例えば、一文字ずつ文字が消えていく、だとか、原稿用紙1枚が1時間に相当する、だとか、執拗にコピー&ペーストを繰り返して物語が進んでいく、だとか)を楽しむとか、いつものドタバタ劇を素直に楽しむという読み方。
もう一つは、その裏に仕掛けられた巧妙なフロイトだかユングだか精神分析的な要素をあれやこれやと考える読み方。
この小説は珍しく筒井作品の割に前者の楽しみみたいな部分が少なくて(文体が溶けて、シームレスに時空が乱れるのは、個人的に楽しめましたが)、東浩紀の解説が無いと、なにがなにやらよくわからない、感じ。
自分は極端に小説の裏側を読み解く能力に欠けているので、ううむ、よくわからなかったなあ。今回のは。 -
難しい。
どこかであらすじを読んでようやく見つけた本。
だが、思っていたのとまるで違う作品だった。
併録されている作品も全く分からない?? -
2011.11.24(木)¥x。
2011.12.7(水)。 -
断筆中、待っていた新刊なのに、いまとなっては記憶の彼方に。
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邪気眼鳥じゃない。