愛のひだりがわ (新潮文庫)

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著者 : 筒井康隆
  • 新潮社 (2006年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171494

愛のひだりがわ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの筒井康隆!
    主人公愛ちゃんは父親を探しにひとり旅に出て、息子の嫁に居場所を追われているご老人・詩の才能豊かな主婦・ずっと愛を見守ってくれるサトルや犬のダンとデン・両親を殺した暴走族のリーダーになった歌子・出版社の人々etc.、バラエティ豊かで心根の温かい人々に守られながら影響を受け月日を重ねていく。
    ジュブナイル系と思って侮るなかれ、作者からの説明や心理描写の押し付けが(多分意図的に)少なく、さらさらのスープのごとく進む展開の中で、読み手の想像欲求は否が応にも駆り立てられる。そうしている内にすっかり小説に丸め込まれた様に愛ちゃんやその他愛ちゃんをサポートする登場人物に感情移入していって、自分なりの解釈が楽しくなってくる。
    最後、愛ちゃんのストーリーを通しての成長が喜ばしくもある反面切なくて、胸がつまるのです。

  • まずジュヴナイルってなんぞや、YAみたいなものなのね。それなら許してもいいかしら、ずいぶんと大衆的な読み物だなぁという感じはする、でも筒井康隆の顔、こわいので、このひとすごい経験してきたんだろうな、とは思ったり。
    人がこんなにパタパタとRPGみたいに死んでゆく小説はあまり読まないので新鮮だった。
    父の最後の絶望的な様子ばかり現実的で、そこが好き。

  • 主人公の小学生の少女の一人称で語られるため、難しい漢字を使わず、使ってもルビをふって児童小説のような体裁なのだが、主人公の置かれた世界はハードでバイオレンスな、児童小説にはまったく似つかわしくない世界だ。
    主人公の少女は左手に障害があり、家庭環境に問題を抱えているが健気に生きている。そんな少女が母の死をきっかけに家を出て、いなくなった父を探しに旅をするロードストーリーなのだが、少女の左側には常に誰かが(それはまず犬からだった)寄り添って物語は淡々と進んでいくのである。
    各章のタイトルに登場人物の名前が冠してあり、章毎にその人物が少女の左側を受け持つことになる(一部違うが)。その人物たちの物語の悲惨さはしかし後半で昇華される。暴力や殺人が生々しく続いていき、そうやって物語は児童小説とは似ても似つかない様相となるのだ。
    結論から言うと、想像とはまったく違っていたが楽しめた。大人向けの児童文学という感じで好意的に受け止められた。そこは非常に筒井康隆らしいと思った。

  • 事故により左腕が動かなくなってしまった愛。
    自分を取り囲む環境に嫌気がさし、いなくなった父を探す旅に出る。
    私利私欲が最優先の暴力が蔓延る世界で
    それでもそんな世界でも思いやりの心は絶えることはないと
    動かない愛のひだりがわで見守る人達が教えてくれた。

  • 筒井康隆先生はグロギャグや不条理だけでなく、ストーリーラインのハッキリした、こんな傑作だって書けるのだ( ´ ▽ ` )ノ。
    それはもう、馬の首風雲録(ジブリアニメ化希望)や我が良き狼(スピルバーグ映画化希望)の頃から、ずっとだ( ´ ▽ ` )ノ。
    健気な少女の成長談ながら、必ずしも純な性格でもなく、スッキリした結末にも至らない( ´ ▽ ` )ノ。ブクログ評を読むと、この結末が不満な人が多くて、あれ?と思ったけど......

  • ゆっくりと進む映画を観ているように、おだやかな心で一気に読めた。
    簡単な設定と分かりやすいストーリー、近未来の話ということで、想像に足るぐらいの荒んだ町。銃や殺人といったような話も当たり前にでてくるが、違和感なく話は進み、人の優しさや美しさだけが余韻のように残る。読後感が良い。

  • 筒井康隆さん、二冊目の本。前回とは全く違う世界感でびっくりした。最後の終わり方は不完全燃焼だが、ご隠居さんやサトルなど魅力的な登場人物もいた。旅を進めて行く過程はワクワクしながら読めたし、お金を奪った犯人の会社を乗っ取る所など、かなりスッキリ気持ちよかった。その後の父の再会シーンに少しがっかりした。旅の目的が父を探すことであり、その目的も含めて愛ちゃんのひたむきな姿が好きだったのに、堕落した父に1ページに及ぶ罵声をあびせて父の反応の記載もなく終了、、、必要だっただろうか?サトルの彼女の盲目の設定も不要では、、などつっこみドコロもたくさん。

  • ジュブナイルとされているが、大人が読んでも十分面白い。
    タイトルで勘違いされそうだが、甘酸っぱい恋愛ものではなく、片腕が不自由な少女が父親を探す近未来日本を舞台にした冒険活劇だ。徐々に大人びていく愛の成長には少し寂しさが漂う。

  • ジュブナイル、なのかなこういうの。
    タイトルに惑わされw
    とても良かった。

  • 父親が蒸発したのち、母まで病死。住み込みで働いていた先の家族にいじめられ、番犬を連れて父親を探す旅に出る愛。
    波乱万丈過ぎる愛の旅。でもいつも左腕が麻痺している愛の「ひだりがわ」には愛を守ってくれる存在が出てくる。
    愛は優しさに甘えるだけの女のコじゃなく、自分で学び成長する。

    理不尽な環境に置かれたとき、それをどう考え、どのように行動すべきか、とても真っ当な理屈が貫かれていてさっぱりした。

    随所で出てくる「わたしはとても幸せだ」という感覚が大事。

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