夜あけのさよなら (新潮文庫 た 14-3)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101175034

感想・レビュー・書評

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  • 私の持ってる文庫本は昭和58年発行の19刷で、ページがすっかり茶色くなってしまった。単行本の刊行は昭和49年とある。うひゃー、すぐには何年前か計算しにくいくらい古い。でも読み返すたびにひきこまれて、前読んだときよりもっと良かった!と、その都度思っている気がする。田辺聖子先生の小説では一番好きかもしれない。

    全然古臭くなくて、四十年以上前の作品だという気がしない。そりゃあさすがに、時代を感じさせるところは多々あるわけだけど、描かれている青春の切なさは永遠だと思うのだ。OL(っていう言い方も今はしないのかな)のレイ子が、ほんとどこにでもいそうな、いや、どこにでもいた感じの女の子として生き生きと描かれている。今やこんなフワフワした娘さんはあまりいないかも。懐かしいような気がする。

    そして、私の大のお気に入りが、レイ子の恋人である優。彼は京都に住む大学生なのだが、屈託を抱えていて、レイ子にはつれない。レイ子が優を訪ねて京都を訪れる場面がとても好きだ。当然だが携帯電話なんかない時代、二人のつきあい方はいたってもどかしく、そこになんとも言えないノスタルジーを感じてしまう。

    田辺先生らしく明るい場面も多く、全体のタッチは決して深刻ではないけれど、ほろ苦い憂愁の気配も漂う。そこが「青春小説」だなあと思う。

  • 5.6年ぶりくらいだな~、田辺さんの本。
    この人の本ってこんなに「のほほん」とした感じだったっけ?

    主人公の女の子が、年下の彼氏や、同僚、ふとしたことから知り合った独身の社長さんと、いろんな人に心を傾けていく様子をえがいた本。
    でも、結局HappyEndにはならず。
    最後の終わり方はちょっと衝撃的で悲しかった。

    本全般としては、ほんのりとした柔らかさが漂い、単調に話が進んでたんだけどね~。
    最後にやられたね。

  • ところどころ、言葉が古いなとは感じるけど、手に取りたくなる田辺聖子。
    この作品は、篠崎氏の人柄が飾らなくて素敵だけど、全体的にはまぁまぁな印象・・。
    篠崎氏の別荘でお好み焼きを焼く場面では、私も無性に食べたくなった!下品な食べ物ほど美味しそう、という言葉に納得。

  • 誰かに恋しつつも、常に他にも目を向けている女の狡猾、イコール青春。恋した人とのやりとりや一人よがりの思いを経て、成長していく物語。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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