新源氏物語(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.82
  • (109)
  • (115)
  • (163)
  • (4)
  • (3)
本棚登録 : 1339
感想 : 118
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101175140

作品紹介・あらすじ

現代のヒーローとして甦った"光る君"。平安の宮廷で華麗に繰り広げられた光源氏の愛と葛藤の物語を、新鮮な感覚で"現代"のよみものとして描いた大ロマン長編-比類ない美貌と知性、そして高貴な身分を持つ源氏は、至福の愛を求めて、許されぬ恋、苦しい恋を重ねる…。上巻には、「眠られぬ夏の夜の空蝉の巻」より「佗びぬればはかなき恋に澪標の巻」までを収める。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • とても読みやすく、無駄のない美しい文章。
    貴族の生活が面白くて、平安時代が身近に感じられる。
    光源氏の桐壺に対する執着は、多感な青年の人格形成に大きく影響し、矛盾だらけなのに魅力的な人物を作り上げてしまう。それに翻弄される数多くの女性たちは切ないけれど幸せそうでもある。

    歌にこめる恋心がとても綺麗で、心を伝える手段として知性や感性を映す文はロマンがあるなぁと思った。
    スマホやテレビなどがない中で、季節の移り変わりや人の心の変化を鋭く捉えて言葉で思いを伝えていく、平安時代の豊かさが少し羨ましい。

    微妙な心の動きを絶妙に表現していく紫式部は天才だったのだろう。平安の貴族たちが、源氏物語に夢中になっていた様を想像するのも楽しい。

  • 母の本棚に眠っていた本。いきなり六条御息所とか出てきて桐壺の宮がいじめられるシーンないのかなって思った。まあけどやっぱりよかった。そりゃ星5ですよ、

  • 実家の本棚より。
    確か20年くらい前に夢中で読んだ本。
    再読。

    なんと涼しげで静かな本。
    それでいて人間臭い。

    昔感じたこととの違いを楽しみながらゆっくり読む。

    最近ミステリーや青春ものを読んでたから、なんだか久しぶりに帰ってきた感じ。
    先が気になってガンガン読むのもいいけど、一文一文を味わって夢見心地で読むのもいい。

    若い頃の頭の中将と源氏の君のコンビが楽しすぎる!マンガみたい!

    時々ブラックな考え方をする源氏の君にニヤリ。
    紫の上の初めての日の場面で泣けてしまったのはなぜ?
    昔は全然だったのに…。
    娘が出来たから?

    あとやっぱり源氏は脂の乗ったおっさんになってからが面白い。

    昔読んだ時は空気のような存在だった花散里。
    かなりいいポジションにいるのに気づく。

  • 高校生の頃「あさきゆめみし」にどハマりしたお陰で古典の成績はまずまずでした。あの漫画とこの田辺源氏はとても近い気がします。
    アタシは源氏の君には魅力を感じませんけどね。お嬢さん方も、こういう男に騙されたらあきませんよ。
    「男の愛はいくつもの容器があって、そのどれもが真実を湛えているのだ、ということを、どうやって女人に理解させられようか」などと、しゃあしゃあとおぬかしあそばしてます、小憎らしいですわね~。
    ただし、
    女はそのことを理解はできませんが知ってはいます、だからこそ恨んだり妬いたり化けて出たりするわけで。源氏物語はそういう男女のドロドロを雅に描きだしていて面白いです。他人事ですしね。

  • 源氏物語の名前はもちろん知っていますが読んだことがなく、いつか手に取ってみたいと思っていました。
    ネットで調べてみると、こちらの新源氏物語は比較的読みやすいとの評判だったので、図書館で借りてチャレンジしました。
    まず、読書初心者のわたしにとって、言い回しが慣れず難しい。そして登場人物の名前が難しい(しかも昇進するたびに名前が変わる!)。
    でもそこを乗り越えたら、展開が早くてハラハラしながら楽しく読めました。
    源氏は女癖が悪いと思っていましたが(いや悪いんですが)、なぜか憎めない人柄で、源氏も恋人たちも、みんな幸せになってほしい…と思ってしまいます。
    もしかしたら、漫画やもっと易しい本などであらすじを頭に入れてから読んだ方が、さらに楽しめたかも…とも思いました。(私は、中田敦彦さんのYouTube大学を見て、復習しながら読み進めました)
    とても中途半端なところで話が終わっているので、中巻も是非チャレンジしたいと思います。

  • 読んでよかった。単なる浮気男の話ではない。それぞれの登場人物に、それぞれの性格と背景があり、よく練られた物語になってる。

  • 上中下で源氏の一生部分を描いた現代語訳。
    原文と離れた部分もあるけども読みやすくて柔らかい。
    「あさきゆめみし」が好きならかなり読みやすい。
    「あさきゆめみし」は大分この源氏物語を参考にしたんだろうなと思われる。源典侍のエピソードとか。
    あ、末摘花はもうちょっと良い感じで描かれてます。


    田辺版源氏では紫の上と源氏を中心に物語が展開されてた。
    死生観とかもさらりと訳してる。

    最初は娘、そして北の方、最後は母親のように源氏への愛情が変化する紫の上。
    結局彼女の死後にその愛情の深さに気付く源氏。
    下巻の最後の源氏の無常観に切なくなった。

  • 高校時代に一読し、京都来訪前に再読

  • 円地文子さん、瀬戸内寂聴さん、大和和紀さんの漫画まで、読み漁り、それでも、時折、源氏物語読みたくなるのは何故だろう。同じ物語でも、作家さんによって、見える色も、感じる香りも、肌触りも、違ってくる。
    今回の田辺聖子さんは、登場人物が身近に感じられる。
    ただ、美しくない登場人物や年を経た女性への描写がきつく感じられてしまった。

  • 自分に都合のいい言葉をつらつら並べて言い訳を重ねる浮気男。

全118件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

田辺聖子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×