- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101175232
感想・レビュー・書評
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源氏物語を4年前に初めて読んだときは、舞台や登場人物が限定的で宮廷イベントもない「宇治十帖」はおまけくらいに思えました。その後、林望版、ウェイリー版、本書と読み進めると紫式部が「宇治十帖」へと書き進む衝動がわかるようになりました。生き方を迫られるフラグの数々。狭い空間に濃密な心理。進化する浮舟と残念な薫。本編とは全く違う文学空間を書き分けた式部の天才ぶりが際立ちます。田辺聖子の訳は読みやすくおすすめです。
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浮舟ちゃんが苦しみながら、自分の道を見つけるまで。
匂宮も薫も浮舟ちゃんの幸せは少しも考えないので胸糞悪いことこの上ない。が、当時のお姫様の社会との繋がりは通ってくる男だけなので、「匂宮と薫が胸糞」=「現世に価値なし」は筋道が通っているのだった。浮舟ちゃんなりの反骨が達成されたので、読後感は悪くない。
匂宮は頭空っぽ系なのでどうでもいいのだけれど、なぜ薫が胸糞なのか。彼は社会が要請することには対応できるけれど、自分と他者の望みを計る物差しがない残念な優等生だった気がする。女子とうまくいかないだけでなくて、そもそもこの人は自分の人生を生きてるんだろうか?と苛立たされることこのうえなかった。子どものうちはそれでいいんだけど、頼むから自分の頭使って。 -
「宇治十帖」後編、「浮舟編」と呼んでもいいでしょうね。親の後見を持たず、男の愛にすがるしかない女君の心もとなさ、口惜しさ。さらに浮舟には、地方育ちゆえ都の姫君の教養を身につけそびれた引け目もありました。薫も匂宮もな〜んも分かっちゃいない! 出家によってドロドロ現世を投げ捨てた浮舟、「これでいいのだ」と言ってあげたいですね。
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「平安王朝の宮廷ドラマの華麗な覇者、光源氏の、因果応報ともいうべき秘められた業を背負って生れた、もの静かな貴公子・薫。彼を敬愛するがゆえに、その切実な求愛に応えることを拒みとおして逝った大君。運命の恋人たちの愛は、さらに変転しながら、川をくだる…。流麗な文章と巧みな構成を以て、世界の古典を現代に蘇らせた田辺版・新源氏物語、待望の完結編「宇治十帖」上巻。」
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上巻より下巻のほうが面白かった。
結局ハッピーエンドではなく、かと言ってバッドエンドでもないと思う。源氏物語みたいに次々と大きな展開がある訳じゃなくて割と淡々と展開していくのだけど、すっと入ってくるし楽しめる。
作者のあとがきもなるほど〜と面白かった。物語から色んな事を推察したり感じ取れるのは凄いな、、
出てくる女の人は皆可憐で奥ゆかしい人達で素敵だけど、可愛くてだけど強くてしっかり者の紫の君が好きだなあ。
2022/02/05 -
4-5は宇治編。宇治に行く車内で読み終えて、幸せな気持ちで宇治観光をした。
やっぱり田辺先生の源氏物語の世界はとても素敵 -
最後は浮舟の意志を貫いた形。
薫が哀れで物悲しい。 -
2015.10.29
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登場人物全員にイライラ…。
でも浮舟は、最終的に自分で自分の生き方を決断して、さっぱりすることが出来たので、良かった。
仏道への思いが深い割に、浮舟を男が囲っているのではないかと、邪推する薫…