花埋み (新潮文庫)

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著者 : 渡辺淳一
  • 新潮社 (1975年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (563ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101176017

花埋み (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 女性に社会的地位のなかった明治初頭に日本初の女医となった荻野吟子の生涯を描いた一冊。
    女が勉学を積み医者になるなど何事かと一掃した当時の閉鎖的な空気が恐ろしい。
    晩年にキリスト教に傾倒し、夫と共に信者の理想郷を建設すべく北海道開拓に乗り出したときに味わった艱難辛苦、この描写が寂寥感溢れるものでまた素晴らしい。
    傑作『阿寒に果つ』でも見せつけられた淡々としていて且つ鋭く重い文体がここでも存分に活かされている。
    やっぱり渡辺淳一の文章は知的で無駄がなくて大好きだわ。

  • 初婚相手にうつされた膿淋がはじまりだった。
    男医者に恥部を見せる屈辱が忘れられず、女は医者を志す。

    荻野ぎん、のちの荻野吟子という日本人女性初の医者が誕生するまでと、それからを描いた長編。
    家族の反対を押しきり
    師匠のプロポーズを断り
    男性だけの学校で執拗な嫌がらせを受けたり
    彼女が挫折する要因はその人生の中で幾度も幾度もあった。
    しかし、彼女は医者になる。

    「男から受ける側の女である性」と立ち向かいながら、彼女は女である私たちに励ましをくれる。

  • 日本初の公式女医の生涯。苦労して医者になって開業が人生のピークだったのかな。本人にとっての幸せとは何かわからないけれど晩年が寂しい印象。

  • ホリエモンイチオシ

  • 彼女のことを知ったのは、出張中の空き時間にふとお散歩した雑司ヶ谷霊園で彼女のお墓に遭遇してから。

    『日本で初めて女医になった人』手を合わせながら。まだまだ女性への理解も少ない中で、どんなキッカケでその道を切り拓いた方なのかずっと興味がありました。

    この本を知ったのは、ラジオでの紹介から。失楽園で有名な渡辺先生が彼女の小説を書いていたという意外さ。同じ医師としてどう彼女を描くのかがとても気になっていました。
    決して明るい理由からではない、医師を目指すきっかけから始まる前半。女性として愛を貫いた後半に少しホッとした感情を覚えました。

  • 二つの意味での驚きであった。一つは、失楽園の印象強い作者の人物像、印象が変わった事。一つは、日本で初めて女医師となった、荻野ぎんという人物、壮絶な人生。

    努力をしなければ、人は進めない。しかし、決断がなければ、人は立ち上がらない。立ち上がらなければ、当然、歩めない。また、歩みを邪魔する他人の価値観がある。ぎんは、立ち上がり、他人の価値観と戦い、歩んだのだ。

    男に運命を翻弄され、故に、一人で生きていく事を決断したぎん。だが、最後には、しかし今度は能動的に、自ら男の人生に連れ添うのだった。

    人の生き方は多様。また、何が良かったかも、人それぞれである。そんな教唆も得られる、読むべき一冊ではないだろうか。

  • 久しぶりに本を置く手をためらったくらい面白かった。北海道の物語を探しているうちに出会った一冊。日本初の女医としての様々な苦労と、それに立ち向かう勇気に背筋が伸びる思いがした。
     いろいろな分野でこうした女性たちが活躍してきて今日の自分たちがあるが、未だに女性の活躍をと言われる現状にはなんだかうんざりするものもある。
     後半、北海道開拓に臨む部分からはそれまでのキャリアを惜しむ声も多くあるだろうが、様々な人々が今の北海道を作ってきてくれたことに感謝。良い本に巡り合った。なんとなく敬遠していた渡辺淳一だが、興味深かった。

  • わたしにとって(ん、わたしだけじゃなく、
    老若男女問わず誰もが憧れる)、
    かっこいい男性代表のオススメの一冊とあって、
    先日の男性限定の手作りお味噌ワークショップでも、
    ご紹介させていただきました。

    日本で最初の女医と言われる、
    荻野吟子の生涯をつづった力作。
    男尊女卑がはなはだしかった明治初期、
    努力につぐ努力を重ねて、世間の冷たい視線を一掃した
    むっちゃかっこいい女性。

    元夫に淋病を移され、その治療が恥多きものであったと、
    それが医師を志す動機だったというが、
    そのメンタルの屈強さ、わたしが同じ苦しみを味わう女性を救うのだという使命感がすごい。

    淡々と筆を進めていく書き方が、
    北の大地の寒々しい気候と合っていて良いです。
    (物語の半分は、北海道が舞台。)
    「失楽園」と同じ筆者??とすら思います。

    医者としても思想家としても、確かな地位を築きながら、
    恋愛(愛?)に走った、後半の人生。
    キャリアか愛か。
    本人が満たされていれば、それで良いのですが、
    東京に残ってキャリアを積んでいたら、
    現代における女性のポジションもちょっと違ったかな、
    どうかな。

    そんなわけで、男性も社会の荒波に揉まれまくって
    大変かとは思いますが、もし機会があれば
    これをお読みいただき、働く女性や奥さまに優しくして
    あげてくださいね。職場や家庭の空気が変わりますよ。


    (株)北未来技研 
    代表取締役社長 安江哲さんよりご紹介いただきました。


    安江さん!
    頑張りたいわたしに、素晴らしい小説のご紹介を
    ありがとうございました^^
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    《THE DAYの実穂ちゃんとの打ち合わせトーク》
    ※実穂ちゃんは、北星女子高校の後輩。

    実穂:「あの高校は
    『オンナだからやめておきなさい』がそこになくって、
    ジャンジャンバリバリやらせてくれるんですよね。
    だから、社会に出て企画が通らなかったりすると
    『ああ、男に生まれてたら違ってたんだろうな』って
    悔しい思いをすることもありました。


    亜美:「わかる!自分が男に生まれていたら、
    人生違っていたよなと、仕事関係で悔しい思いをするたびに20代の頃は考えてたよ。今もだけど(笑)
    あの学校は、自分で考えさせて、行動させてくれて、
    でも責任も持ちなさいよっていう校風だもんね。」


    実穂:「頑張りたいと思ったら、先生たちも
    とことん付き添ってくれますもんね。」


    読書&打ち合わせトークが、
    時代こそまたがってますが
    ジェンダーの壁にぶつかる女性についてで、
    でも、時代が変わったら、
    ちょっとはマシになってるのが光ですね。


    実穂ちゃんと、理代さんと佐藤の頑張りたい女性3人の
    打ち合わせトーク、けっこうおもしろいですよ。ふふ。

  • 日本初の女医のおはなし。努力に努力を重ねる姿は尊敬にも値したが・・・若い男に振り回される人生後半が非常に残念で勿体ないと感じてしまった。最後まで崇高に生き抜いて欲しかったがそう思いとおりにはいかないなぁ~。と感じた一冊。

  • 日本で初めての女医である荻野吟子の伝記的なお話だった。明治のまだ女性蔑視の時代、医者になるということがどれほど大変だったかがわかる。なんでも最初にやるというのは大変だ。それをやり遂げた意志の強さに感心した。やがて彼女は医者だけの力ではどうしようもないことがあることを知る。病気を治すには周りの人の協力も必要なのだ。そこにたどり着いて彼女はキリスト教を信仰するようになり、夫となる志方と出会う。彼に出会うことが彼女の人生をがらりと変えてしまう。東京での医師としての名声も仕事も捨て、北海道に行くがそこでの10年の間に医学は進歩しもはや自分の知識と技術は古いものであると知りショックを受ける。志方と結婚したことは彼女にとって良かったのか。愛する人を得たことは良かったのだと思いたい。彼女の残した功績は忘れられることはない。人生は人との出会いで変わるものだと感じざるをえない。

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