- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181011
感想・レビュー・書評
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かくも激しく美しく恋に身をこがし、生きて愛して死んだ女たち――歴史資料の片隅に、わずかに残されたその華麗な生の証しをもとに、欲望・権謀の渦巻くイタリアの中世末期からルネサンスにかけて、《恋の歓び、哀しみ、憤り》など、さまざまな愛のかたちを抽出する。『大公妃ビアンカ・カペッロの回想録』『ドン・ジュリオの悲劇』など、胸ときめく恋の物語9編を収録。
「ルネサンスの女たち」よりも少し前の時期が舞台かな。
当時、女性が愛に生きることはほぼ不可能であり、愛を貫くことによる代償がとてつもなく大きかった時代の、愛の短編集。
この作品の中で、「大公妃ビアンカ・カペッロの回想録」と「女法王ジョヴァンナ」が特に印象深い。
対極のような生き方でありながら、ともに死後はほぼ歴史から葬り去られているような感じである。
いつの世も"愛"は難しいものなのかもしれない。 -
いつまでたってもヨーロッパの歴史が覚えられない。なんとか帝国や王国、なんとか二世三世というだけで拒絶反応を起こしてしまいがちだが、塩野さんの小説だけは、どんなに馴染みのない国名でも人名でも、スラスラ読めてしまう。
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新潮文庫 し−12−1
NO1になっていますが、ずっと後に買って読みました。 -
ルネサンスを中心とするイタリア史のなかで、歴史の現実に翻弄されながらもそれぞれのしかたで愛をつらぬいた9人の女性たちのすがたをえがいている作品です。
女法王ジョヴァンナと呼ばれる人物の生涯をたどった章のなかで、「アーロン収容所あたりで日本人捕虜を動物以下にあつかったイギリス人のことを知ったら、中世の人々とて、さて歴史の進歩とはなにかと、頭をかしげるにちがいない」ということばが見られますが、いうまでもなくここで言及されているのはイタリア・ルネサンスの研究者であり『アーロン収容所』(中公文庫)の著者である会田雄次のことです。本書は女性たちに焦点をあてた作品ですが、歴史の冷徹な事実のなかでこそ彼女たちの生涯の輝きを語る著者のスタンスには、会田の歴史観および人間観に通じるものがあるように感じられます。 -
中世末期からルネサンス期のイタリアを中心に、愛に生きた女性たちの物語。
現代のように自由恋愛が当たり前でない社会にとって、愛することは簡単に命がけの行為になり得た。
若い愛人を行李に閉じ込めて道連れにしようとしたり、男装して逃避行したり、高貴な貴婦人が羞恥プレイにはまったり。
そんな愛憎を見て、感情的に嫌悪し、憐れみを持って理解するけれど、明日には私もそんな一員になり得るかもしれない。なんてね。 -
背景はイタリア 愛憎物語
暗い 重い 深い しかし、面白い
”フィリッポ伯の復讐” が一番心象に残る
最後の一文を読んだとき思わず悲鳴をあげてしまった
この話は読み手の胆と場所を選ぶ