ロードス島攻防記 (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (1991年5月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181042

ロードス島攻防記 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  •  3大騎士団のひとつ、聖ヨハネ騎士団の興亡を、ロードス島をめぐるオスマン帝国との戦いをメインに描く。
    歴史とはこうも今日への示唆に富むものなのかと驚かされるのは、著者の書く腕の良さゆえだろう。
     ロードス島の戦いの主役となるのは騎士団側、オスマン帝国側もそれぞれ20代の若者、いわばカデット(士官候補生)だった。そういった若者たちの活躍や心情といったミクロな視点から、勢力の興亡といった歴史のマクロの視点まで盛り込んでどちらも書ききっているのには驚かされる。

  • 「ロードス島攻防記」
    塩野七生の「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」三部作の一つ。
    強大なオスマントルコに対してロードス島で防衛する聖ヨハネ騎士団の奮戦を描いた作品である。超大国のイスラム勢力に対抗するキリスト教徒の聖ヨハネ騎士団は、イスラム側から見れば低開発国の海賊にしかすぎないように見える。
    物語はイタリア、フランスの二人の騎士とベネチアの築城技師を中心に描かれるが、書き方は「ローマ人の物語」に近く歴史奇譚調である。
    10万の大軍を率いて攻めてくるオスマントルコに対し騎士団側は600名ばかり。もちろん島の住民の協力はあるものの圧倒的な多勢に無勢。
    オスマントルコ側は大砲による大量の砲撃と地下を掘り進んで城壁下を発破する方法で攻撃してくる。対する騎士団側は砲撃対応の築城技術、火炎放射や手榴弾、地下を掘り進む振動を感知する方法を編み出すなど、果敢に応戦するが圧倒的な兵力の前に最後には名誉ある撤退することになる。
    オスマントルコ側も兵力の半分を消耗し、それでも勝利したのは大帝スレイマン一世の強い意志によると評価している。騎士団側も奮闘したが最後は住民の戦意が失われ協力が得られなくなり、最後は降伏に応じざるを得なかった。
    エピローグでロードス島を去った騎士団はマルタ島に本拠地を移し、40年後にオスマントルコのマルタ攻防でトルコ側を撃退して一矢報いたことを書いている。
    読んでいて思い至るのは第2次大戦時の硫黄島での攻防である。玉砕するしか道が残っていなかったのだろうか。考えさせられる。

  • 歴史に興味があるわけではなく、聞いたこともない島での戦いを綴ったこの小説は、家に読むものがなくて渋々読み始めた。
    やっぱり読み始めは、外国の慣れない単語、宗教、歴史、地理などと興味が湧かず頭に入っていかないのだが、途中からだんだんとパズルが繋がっていき、面白くなってどんどん読み進めた。
    1500〜1530年のどこの国というわけではない、ロードス島という特殊な背景にある島で起こったひとコマの物語。あらすじを読んだだけでは絶対に読みたいと思えない小説が、ドラマチックに描かれ、エンターテイメントであるのと同時に観光、地理、歴史書の類いでもあると言っていい。
    何より、著者の状況説明や背景の描写が素晴らしく、読者だけ置いてけぼりにならない。歴史をよく理解していないとできない所業だろう。

    とにかくお勧めしたい本。ロードス島へ行ってみたくなるだけではなく、ヨーロッパの歴史や宗教を面白く理解するのに適した一冊。

  • 聖ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)を知りたくて。

    約250ページあっという間!史実を中心に読み進めていたので、アントニオとオルシーニのまさかの展開にはびっくり。笑

    面白かったです。塩野さんはやはりすごいんだなあ…

  • キリスト教側が聖ヨハネ騎士団に特化されてたので、コンスタンティンノーブル〜より読みやすかった

  • オルシーニとアントニオの友情微笑ましいねえと読んでたら椅子から転げ落ちたわ 戦場の病院で密やかに交わされる‥‥美しい
    他の著作より物語チックでとても読みやすかったです。聖ヨハネ騎士団についてよく理解できました。家族もなく妻帯もせず身体に流れるは「青い血」。かっこいいですね。

  • 一応、一人の若いヨハネ騎士団員が主人公の小説仕立てなのだが、いつもの説明口調の歴史書とあまり変わらない・・・

  • 地中海におけるキリスト教世界とイスラム世界の覇権争いを描く第二作。聖ヨハネ騎士団の孤軍奮闘と、ヴェネチアの二重外交(当時、生き残りに必死) の様子が淡々と。スレイマンが大国の余裕を見せるところが、コンスタンティノープル戦時とは違う。マルタ島に移ってから今日に至るまで、創設当時の精神を失わないのは見事。イスラム世界の知識が乏しいせいか、(著者がイタリア贔屓なせいか) キリスト教世界に寄って読んでしまう。トルコ側から見た顛末も読んでみたい。地中海という狭い中での覇権争い。かなり激烈だったろう。

  • いゃーー 
    おもしろかった 
    「歴史は、まず何よりも物語でなければならない」と言っているけど、これって物語だよね、こんな細かい具体的な表現

  • 意外とエルフとか出てこないんですね
    小説らしい小説で塩野七生のイメージちょっと変わった
    恋ということを表現するに人生の美しい一面、ていうのはこのストーリーの中だとひときわぐっとくる

  • 「16世紀地中海世界をたゆたう船―歴史的記述と小説の幸福な融合体 」

     コンスタンティノープルの陥落から一世紀を経た1552年夏。東地中海のトルコ領内でキリスト教徒の最後の砦、ロードス島を守るべく聖ヨハネ騎士団は、若きスルタン、スレイマン率いるトルコの大軍と激しい戦闘の刃を交える。砲弾の響く城壁内には、青春の日々をここに騎士として送った高貴な血を持つ若者たちがいた。

     「キリストの蛇たちの巣」と呼ばれオスマントルコにとって喉元にひっかかった骨のような存在であったロードス島の「聖ヨハネ騎士団」は、9世紀中頃の十字軍時代アマルフィの商人によって設立された宗教団体がその始まりでした。その目的は、イスラム教徒をはじめとする異教徒排除と異教徒に繋がれたキリスト教徒の解放と救援が主なものであったそうです。今でいうなら、キリスト教徒のための警察隊と救急隊の合体組織のようなものですね。

     メンバーにはイタリアやフランス、イギリスといった西欧のいわゆる「青い血」を持つとされた貴族の子弟が選ばれ、その運営には彼らの出身である家の豊富な財力からの寄付や不動産の寄進などが当てられていました。彼らには「キリストへの帰依」という大義のもとに「清貧・服従・貞潔」であることが強いられ、騎士団長を頂点とする一大組織としてロードス島に存在していたのです。

     古代から様々な歴史の波に洗われながらも、温暖で緑豊かな島には色とりどりの花が地中海の微風に揺らめく…。バカンスで出かけたならさぞや素晴らしい時間が約束されるかに思えるこの小さなロードス島を舞台に、苛酷で熾烈なオスマントルコを擁するイスラム教世界VS聖ヨハネ騎士団の背景たるキリスト教世界の激突が、著者独特の凛々しい文体で繰り広げられていきます。

     塩野さんの作品は例えば、男性作家で言うなら司馬遼太郎の描くような、歴史的記述と小説の幸福な融合体とでも言ったらよいでしょうか。両軍の陣容や城塞、城壁のつくりなど、あたかもこの攻防戦に参加してきたかと思わせるリアルに再現される世界と、そこに宝石のようにはめ込まれた聖ヨハネ騎士団の若き騎士たちの淡くも甘い物語が光を放っています。

     「ロードス島攻防記」はいうなれば16世紀地中海世界をたゆたう船です。読者をのせて歴史の一大スペクタクルに立ち合わせ、現実のバカンスに劣らぬ、その世界に浸る幸せを間違いなく約束してくれます。

  • コンスタンティノープルが陥落し、トルコ帝国がその手を地中海に伸ばす中で、要となるロードス島を攻略するために始まる篭城戦。トルコ軍に対するは聖ヨハネ騎士団。5ヶ月に渡る攻防の上に迎える結末とは?
    前作に続き、多くの人物から1つの時期を見つめる物語形式は秀逸。歴史は物語形式、というのも納得。
    前作に続き、国の興亡・戦う人の想い・人の一生というものを考えさせられる物語でした。

  • 塩野氏の本はこれまでもいくつか読んでますが、ごく簡単に言ってしまうと「詳しい割に読みやすくて面白い」という評に尽きると思います。
    史実やディテールを詳しく描写することで、ともすると難しい話になって拒否反応を起こす可能性もある中、塩野氏はちょうどいいバランスで「説明のための」記述を終え、次の舞台へと進めてくれます。各所に散りばめられた知識を拾い集めて読み進めていくうちに、いつの間にか全体的な知識と世界観が読み手の頭の中に作られている文章の運び方はまさに職人芸、といったところ。

    作品の舞台は16世紀初頭、地中海に浮かぶロードス島。イスラム教勢力がキリスト教勢力を脅かし、西欧世界に侵略の手を伸ばそうとしていた時代、イスラム勢力にとっては「キリストの蛇」、キリスト勢力にとっては「最前線の砦」としてロードス島に立ちはだかっていた「聖ヨハネ病院騎士団」を主軸に置いた物語です。とは言っても、対立軸であるイスラム側のオスマン・トルコ帝国を単純に「悪」とすることはなく、冷静かつ中立的な視点から、むしろ帝国の専制君主であるスルタン・スレイマン一世を威風堂々とした尊敬すべき人物として描いていることに好感が持てます。

    具体的なストーリーについて語れるほどの筆力がないので粗筋については触れませんが、恐らく世界史の教科書にさえ黙殺されかねない「騎士団」とはどんな構成員から成る集団であり、どのように生計を立て、どのような存在意義のもとで生きていったのかについて、小説を楽しみながらも知ることができます。
    娯楽と教養を無理なく両立できる良書です。

  • 聖ヨハネ騎士団がトルコのスルタン、スレイマン1世によって本拠地としていたロードス島を追い出される話。
    聖ヨハネ騎士団はエルサレムで聖地巡礼者のための診療所であったが、
    やがて他の騎士団のように武器を持ち、対トルコの最前先であった現ギリシャのロードス島に要塞を構えていた。騎士団員は貴族の次男坊が多く、この話のもととなった手記を残したアントニオ・デル・カレットもまだ20歳の若者であった。25歳のジャンバッティッスタ・オルシーニは名門オルシーニ家の出身。享楽的で奔放であったが、戦いっぷりは勇猛果敢で、一目置かれる存在。新参者のアントニオと意気投合し、以後愛情とも友情ともとれない親密な感情を育てていく。厳格で盲目的な騎士団長秘書官のジャン・ド・ラ・ヴァレッテとトルコのスレイマン1世は28歳。この若者たちが、5ヶ月にわったっての攻防戦を繰り広げるが、戦記というよりは政治的な駆け引きを感じさせる。双方すぐれた指導者、技術者を持ち、気合も十二分。
    だけど現実的な講和も成せる聡さを持ち合わせているので、なかなか面白い。自国の建築技師マルティネンゴを見逃し、ロードス島の防衛に参加させることは、西欧諸国とトルコ双方との関係を維持している通商立国ヴェネチアの慎重な外交政策の結果であるのだがこれを表わすヴェネチア人の手紙、つまり作者がその著書で多く引用するヴェネチアの諜報部員、外交官からの本国への通信がいかに貴重な資料であるかを感じせずにはいられない。デル・カレットの手記もそうであるが、それが個人の主観で表わされたものであってもまた、政治外交とは一見無関係であるような日常の些事であっても
    記録に残すことが、後世にとって大切な教訓となりうるのだと思う。身内の密通者があらわになったり、マルティネンゴが負傷したりで、いよいよ劣勢に陥った騎士団は講和の申し入れを受け入れ、条約締結のために訪れたスレイマン1世に面会する。彼はリラダンらが思い描いていた粗野で野暮な異教徒ではなかった。洗練された聡明さと意志の強さをもつ若きスルタンに、リラダンは誇り高い騎士の姿を見出す。
    ロードス島を追われた騎士団は流浪の旅を続け、やがてマルタ島という絶海の孤島におわれることになるが、常に対トルコの最前線という位置に本拠地をおいていた騎士団にとっては、その存在意義そのものを変化させざるを得なくなっていくのである。それにしても幾多の危機を乗り越えながらも現代にまで存続する聖ヨハネ騎士団という
    団体は、変化していく国際情勢や宗教的価値をある意味柔軟な姿勢で乗り越えてきたのだろう。

  • なるほどー。イスラム圏で赤十字の旗を掲げないほうがいい理由が分かった。質も大事だけどやっぱ量も大事ってことも。七生ちゃんやっぱいいよ七生ちゃん。よーし、次はレパントの海戦だー。

  • 塩野先生らしい登場人物描写とストーリー展開だった。歴史物であるにもかかわらず、物語・小説として読めてしまう。このマジックはすごいと思った。

    中身は、コンスタンティノープル陥落後の地中海世界、ロードス島でのトルコとの攻防戦。ロードス島側だけでなく、トルコ側からもしっかり描かれており当時の状況をよく学べた。ロードス騎士団長の長としての決断がとっても格好良かった。部下のことを考えるのならば、いっときの名誉よりも、命を優先させるというのが、賢明な判断なのであろう。また、後日談として、ロードス島戦の両者が再戦するというのにも運命的なものを感じた。

  • 4101181047 248+地図p 1991・6・30 3刷

  • 再読。ロードスの要塞を守る聖ヨハネ騎士団と、10万の大軍で攻撃するスレイマン1世のトルコ軍との攻防を描く一連のシリーズ。ただ、今回は史実に立脚しつつも、時として大胆な作家的想像力を駆使してみせる塩野七生さんらしい場面があまり見られないのは残念だ。抑制して書いたのか、あるいは残された資料が乏しいために、史実を離れてしまうことを怖れたせいなのかはわからないが。それにしても、あの中世そのもののような聖ヨハネ騎士団が今もあるのは驚きだ。赤字に変形十字の病院や研究所がそれであるらしい。

  • 読了。

    【購入本】
    ロードス島攻防記 / 塩野七生

    三部作『コンスタンティノーブルの陥落』『ロードス島攻防記』『レパントの海戦』の第二作になります。
    コンスタンティノーブルの陥落はイスタンブールに行く前に予備知識として読みました。三部作だと知ったのは比較的最近だったりします...。

    キリスト十字軍の名残 聖ヨハネ騎士団 VS イスラム大帝スレイマン率いるオスマントルコ帝国。
    ロードスの砦籠城に対し圧倒的な物量で押し寄せるイスラム軍。
    はたして結果は!
    って歴史ですのでもう分かってますね。

    ジャン・ド・ラ・ヴァレッテ・パリゾン
    ジャンバッティスタ・オルシーニ
    アントニオ・デル・カレット
    の三人の騎士がキーとなり物語は構成されてます。
    それとスレイマン。

    騎士団とラ・ヴァレッテでマルタ島をイメージした人は正解!
    マルタ島の首都はヴァレッタですわね。

    歴史物語ですのでたいへん楽しめました。
    塩野七生女史の本は賛否ありますけど十分面白いと思いますけどね。
    どうなんでしょ。

    ローマ人の物語が完結したのちに別枠続編みたいな感じで発売された『ローマ亡き後の地中海世界』の文庫化が待ち遠しい感じです。

    あとこの三部作の前には『海の都の物語』を読んどくと背景がわかりやすいかと思います。

    三部作最後のレパントの海戦はまた後ほど。

  • マルタ島にはそんな歴史があったのねと最後に驚かされます。

  • オスマン帝国が狙う聖ヨハネ騎士団の本拠地ロードス島は、トルコにとって喉元のトゲのような存在であった。エジプトとの海の往来の安全を確保するためには、いずれ攻略しなければならない要衝の島であり、「キリストの蛇の巣」と呼ばれていた。聖ヨハネ騎士団はキリスト教が支配した中世ヨーロッパに輩出した騎士団の一つであり、英・仏・伊・西など民族を越えて信仰によって結ばれた貴族団体であった。主に海賊行為を含めた戦争と医療事業を業としており、1480年には騎士団600人という少数でありながら、5か月の攻防戦で城を守りいた。

    東のトルコに対応して、西ヨーロッパでも中央集権化された大国が出現することによって、「滅びゆく階級」であることを運命づけられた騎士たちが、何十倍というトルコ軍に対して、ロードス島を守り抜こうとした絶望的な戦いを描いた3部作の第2弾である。

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