マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.73
  • (121)
  • (153)
  • (214)
  • (16)
  • (4)
本棚登録 : 1805
感想 : 149
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181066

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 当時のヨーロッパの情勢を鑑みれば、マキャベリの思想も強ち厳しくはないだろう。
    競争の激しい現代のビジネス界に生存する上でも、マキャベリの考え方は参考になるはず。

    • トミーさん
      塩野七生は敷居が高くてまだ未踏です。面白かったですか?
      世界史に弱くて。
      塩野七生は敷居が高くてまだ未踏です。面白かったですか?
      世界史に弱くて。
      2020/06/04
  • マキアヴェッリと言えば権謀術数の代名詞のイメージがあり退屈するかと思っていたが、とても面白く、「言えてる!」とクスりとしてしまうところもあり。人の良い上司より、こういう人の下で働く方が楽だったりするんだよなと思うところもあり。戦力を持たないことについて「自国民に、自衛のために立ち上がるという気持ちを起こさせることができなかったということを示す以外のなにものでもないからである。指導者たちの責任こそ問われてしかるべきことであろう」という言葉は考えさせられた。「君主たらんとする者は、種々の良き性質をすべてもち合わせる必要はない。しかし、もち合わせていると、人々に思わせることは必要である。いや、はっきり言うと、実際にもち合わせていては有害なので、もち合わせていると思わせるほうが有益なのである。思いやりに満ちており、信義を重んじ、人間性に溢れ、公明正大で信心も厚いと、思わせることのほうが重要なのだ。それでいて、もしもこのような徳を捨て去らねばならないような場合には、まったく反対のこともできるような能力をそなえていなければならない。」

  • 社会や人間の本質が客観的に淡々と述べられているので、心に響くこともなく読み終わってしまった。

    授業みたい。
    大切なことが凝縮されているのに、後で何も頭に残ってない。

    それでも考えてしまった一文
    「どこの国が今までに防衛を他人に任せたままで自国の安全が保たれると思ったであろうか。」

    自分自身にも言えるのでは?と思った。



  • 【注:本レビューは,旭川高専図書館Webサイトの「私の推薦する本」に掲載した文章を,執筆者の許可を得て転載しています】

     最近,中国の上海や深圳を見た旅行者が,日本は完全に遅れ,抜かれたと嘆いている記事を読みました。私は電気情報工学科の教員ですが,確かにサンヨー,シャープ,東芝,NEC などの弱電メーカーの栄光と,現在の変貌ぶりには驚かされています。中国人の日本通が指摘する日本社会の意思決定プロセスの遅さや,小さくまとまろうとする国民性はよくない点という指摘にも共感します。日本にもイケイケドンドンの時代は確かにありました。人間も国も,そういう走り出して止まらない状態では何を言っても反省できません。しかし日本の国力低下が実感できる今なら,今後の日本人や国家としての日本はどうすべきかについて考え,学び,提言を受け入れる準備ができているかもしれません。
     ことわざに「愚者は経験から学び,賢者は歴史から学ぶ」というものがあります。我々日本人がどこで間違ったのか,なぜ今の日本人の暮らしはよくならないか。実はその答えが「マキアヴェッリ語録」に記述されています。これは,16 世紀に生きた賢者の一人,マキアヴェッリさんの思想や言葉をまとめたものですが,彼は「君主論」でこう言っています。「隣国を援助する国は滅びる。」「次の二つのことは,絶対に軽視してはならない。第一は,忍耐と寛容をもってすれば,人間の敵意といえども溶解できるなどと,思ってはならない。第二は,報酬や援助を与えれば,敵対関係すらも好転させうると,思ってはいけない。」新幹線の技術や高度な造船,自動車産業,半導体製造技術,家電の製造。すべて高専を卒業した叩き上げの技術者たちも交じって血の汗を流して試行錯誤し,作りあげた日本の技術です。これが日本に近い国々に積極的な援助として提供されてしまいました。日本は「隣国を援助する国」になったのです。もしマキアヴェッリさんの言葉が日本人全体の共通意識になっていれば,世界の有様は今と違ったものになっていたでしょうし,我々の労働時間や賃金の条件も,よい状態だったでしょう。今は日本製のモノが売れずに国が貧しくなり,現実に餓死者が出ている状況です。
     本ではローマ皇帝であったシーザーさんの言葉も紹介されています。「どんなに悪い事例とされていることでも,それがはじめられたそもそものきっかけは立派なものであった。」という言葉も紹介されています。教育現場でも「学生のために」と始まった事例も多いですが,学生たちに,必ずしも全てがよい結果になったわけではないのではないかと思います。このように国と国の関係,政治家が行うべきことと,行ってはならない事。いずれリーダーになる高専の卒業生が,まず考えなければならない事。何のことはない,役に立つ助言が「マキアヴェッリ語録」に記述されています。よい本ですから,教養として読んでみて下さい。
    (電気情報工学科 有馬 達也 先生)


    ▽配架場所・貸出状況はこちら(旭川工業高等専門学校蔵書検索)
    https://libopac3-c.nagaokaut.ac.jp/opac/opac_details/?kscode=004&amode=11&bibid=1011255382

  • マキャベリとは、15-16世紀にかけてフィレンツェ共和国(現・イタリア)の衰退期に生きた政治思想家で、
    その思想はマキャベリズムなんて言葉で表現されることもあります。

    そのマキャベリが傾倒した同時代人が「カンタレラ」で有名なチェーザレ・ボルジアであったりしますが、
    そのボルジアが「毒を盛る男」なんて評されていることから、そのイメージ釣られてかネガティブに捉えられたりも。

    本書は、そのマキャベリの著作・手紙などから、著者・塩野さんの琴線に触れた文を抜粋した語録という形式。
    面白いのは冒頭で「あなたの関心が刺激された箇所について、御意見を聴かせていただきたい」とある点でしょうか。

    SNSが盛んな今でこそ、BBS や blog 等に代表されるようにさして珍しくない双方向でのコミュニケーション様式ですが、
    こちらが上梓されたのは1988年、今から20年以上昔の話です、、この時代でのこの発想はさすが、ですね。

    なお「マキアヴェッリと日本人」とでも銘打って著したいとのことですが、今でも募集しているのだろうか。
    受付窓口は新潮社文庫編集部とのことですが、今更ながらに送ってみようかなぁ。

  • ■結果さえ良ければ手段は常に正当化される。
    ■必要に迫られて止むを得ずやったことでも、自ら進んで
     選択した結果であるかのように思わせることが重要。

    学ぶところ大である。特に上記2点は自分には無い考え方なので興味深い。いつも自分にとって共感できる文面を探して賞賛する、という手法でこれまでやってきたので、これからはこういう手法を取り入れよう。ただし取り繕って出したものは「良い結果」とは言えないし、それゆえそんな結果を作る手段は正当化されない。



  • 新潮文庫 塩野七生 マキアヴェッリ 語録

    「君主論」「政略論」などマキアヴェッリ箴言集


    〈君主篇〉
    君主は、悪しき者であることを学ぶべきであり、それを必要に応じて使ったり使わなかったりする技術も会得すべきなのである

    君主には、運命の風向きと事態の変化に応じて、それに適した対応の仕方が求められるである

    征服国と被征服国の言語や風習が共通している場合、次の二点さえ守れば、征服者は被征服者と融合できる
    一.昔からの君主の血統を根絶やしにする
    二.そこの法律や税制に手をつけない

    征服国と被征服国の言語や風習が異なる場合
    一.征服者自身がその地域に移り住む
    ニ.被征服国の重要拠点に移民の共同体を創設する

    君主にとっての敵は、内と外の双方にある。敵から身を守るのは〜防衛力と友好関係である

    人の上に立つ者が尊敬を得るには
    一.大事業を行い、前任者とは違う器であることを示す
    二.敵に対する態度と味方に対する態度を、はっきりと分けて示す

    中立を保つことは、あまり有効な選択肢ではない〜中立でいると、勝者にとっては敵になり、敗者にとっては助けてくれなかったことで敵視される

    優秀な指揮官は、必要に迫られるか、好機に恵まれるかしなければ、決して勝ちを急がない

    指揮官は一人であるべき〜指揮権が複数の人間に分散されているほど、有害なことはない

    人の運の良し悪しは、時代に合わせて行動できるか否かにかかっている

    君主は、民衆がなにか誤りを犯したとしても苦情を言うことはできない〜大衆は統治者を模倣する

    歴史は、われわれの行為の導き手である。とくに指導者にとっては師匠である

    〈国家篇〉
    改革の必要性は、初心に戻ることにある

    国家が秩序を保ち、国民が自由を享受するには、清貧が最も有効

    〈人間篇〉
    運命は変化するものである〜自分流のやり方を続けても時勢に合っている間はうまくいけば、時代の流れにそわなければ失敗するしかない〜慎重であるより果敢である方がよい

    人間は、運命に乗ることはできても逆らうことはできない

    好機というものは、すぐ捕まえないと、逃げ去ってしまう

    忍耐と寛容により人間の敵意を溶解できるなど思ってはならない
    報酬や援助を与えれば、敵対関係を好転しうると思ってはならない

    他者を強力にする原因をつくる者は、自滅する

    人物を評価する最も簡単で確実な方法は、その人物がどのような人々と付き合っているかを見ることである

    中くらいの勝利で満足する者は、常に勝者であり続ける

    天国に行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである














  • 丸山真男氏が政治は人の数だけあるという趣旨のことをどこかに書いていたような記憶があります。特に日本人の場合はきっとその通りなのでしょうが、それでもマキアヴェッリの言葉にはどこか普遍性がある気がします。全面同意するのはためらいますが。

    家にあるのに旅行のお供に駅で同じ本を買ったので今本棚に2冊あります。
    旅行中に書いておきたい原稿の資料だったのでどうしても必要で…

  • 個人の間では、法律や契約書や協定が、信義を守るのに役立つ。
    しかし権力者の間で信義が守られるのは、力によってのみである。

    2023/3/30読了
    500年前の人の言葉なのに、まぁ現在の世界情勢に思い当たることの有ることあること。「力による一方的な現状変更」とか、まさに上記のことではないか。

  • 面白かったです。いつの世も人間の性質には変わらないところがあるのだなと思いました。現代においても通用する内容が多い。

    「語録」という形態がとても読みやすかったです。

全149件中 1 - 10件を表示

塩野七生の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島由紀夫
フランツ・カフカ
ドストエフスキー
ドストエフスキー
ロバート キヨサ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×