人びとのかたち (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (1997年10月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181103

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人びとのかたち (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 小説家の塩野七生さんによる、主に映画を通じた人間考察エッセイ。
    歴史ではなく映画を題材にしていても、そして、一つ一つが僅か数ページと短くとも、彼女らしい冷徹な考察力、そして骨太な文体が健在であることに、彼女の小説のファンとしては嬉しくなってしまいます。

    取り上げられる映画や俳優、そして、テーマも、非常に多岐にわたっていて面白いです。

    イタリアの巨匠であること疑いなしの、フェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティ作品を通じた美学論は当然のこと、アメリカ娯楽映画の代表とも言える、スティーブン・キング原作映画に登場する作家からみる作家論、エディ・マーフィーを通じて考える人種差別問題、黒澤明作品から考える戦争体験の伝承について等々…。

    映画に全く関係のない作品が折々挟まれているのも、また面白いです。
    塩野さんの過去の恋愛の一幕、最愛の息子さんの思春期時代のこと、はたまた、NBA(アメリカのプロバスケットボール)の有名選手たちそれぞれの個性や技量の美しさなど、本当に様々な話題が詰まっており、小説からでは分からない塩野さんのプライベートの一面が垣間見られます。

    最愛の息子さんの影響も大きかったようですが、まさか、塩野さんがバスケットボール好きだとは予想外。
    しかし、選手たちに対する観察眼と描写は、ハンニバルやカエサルなど、歴史中の幾多の名将たちを描いてきた塩野さんの視点と筆そのもので、なんとも魅力的なのです。

    バスケットボールが美しいものだとは考えたことなかったですが、今度テレビ中継を観てみようかな、と、すっかり乗せられている自分がいました(かなり前に書かれたエッセイなので、文中に登場する往年の名選手はとっくの昔に皆さん引退してますが…)。

    何より、やはり映画中心ということもあり、何度も名前が挙がった、塩野さんが最も愛したという名優ゲイリー・クーパーの作品を何が何でも観なければ…という切実な気持ちにさせられました。

    塩野さんはとても好みがはっきりした方なので、嫌いな映画や俳優たちについては、歯に絹着せる余地なく「嫌い」と言い切っておられますので、万人ウケするエッセイではないかもしれませんが、塩野ファンなら、様々な塩野的美学に触れられるので、オススメです。

  • イタリアものでおなじみ、塩野七生さんの映画エッセイ集です。「人びとのかたち」というだけあって、映画の中でも登場人物の生きざまがはっきり描かれている作品が挙げられます。イタリア映画の名作、「山猫」など名画満載です。映画評だけではなく、内容はストロング。「おとなの純愛」や「男女の友情」、「不倫」「差別について」「言葉について」・・・といった切り口で、映画だけでなくご自身の価値観を語っておられます。このあたりの練れた感じが素敵というか、欧州の美意識を心ゆくまで吸ったかたの厚みを感じさせられます。楽しんだのは、マレーネ・ディートリッヒを扱った章です。音楽家のバート・バカラックが晩年の彼女の恋人だったことにびっくり!それに、塩野さんのお父様のご結婚されたときのお荷物が、本と、マレーネ・ディートリッヒが煙草を吸っている大型のポスターだけだったとか!基本的に登場する人物は塩野作品の例にもれず、いい男といい女ばかりです(笑)。個人的に大ファンのエヴァ・ガードナーを扱った章もあり、あまり映画を見ない私も思わず映画を見たくなってしまう1冊です。

  • 塩野女史がおそらく50代の頃に書かれたと思われる。映画についてのエッセイで興味深かった。昔の映画の紹介が多かったが、スタローンのランボーやダイ・ハード、プラトーンの紹介もあった。

  • 塩野さんの映画評論をまとめた本。映画自体はほとんど見たことの無いものばかりでしたが、塩野さんの映画・俳優・演技に対する観察眼・姿勢・ポリシーが良く伝わってくる本でした。
    そうか、そういう見方もあるのか!とか、そうは考えたこと無いな、とか、新しい考え方に触れることができる一冊だと思います。

  • 昔の映画がむしょ〜に観たくなった。舞踏会の手帖、子熊物語、トロイのヘレン、真夏の夜のジャズ、Same TIme、甘い生活などなど。フォーサイト連載エッセイの文庫化というのも驚き。

  • 今まで本読まず人ともしゃべらず生きてきて独断と偏見、非論理的な感覚に頼りきりだけの概念の頭の中になっちゃったのが、塩野さんの本を最近に読んでることで、人の手に扱えるものになろうとしてる感じする。
    できるだけもっと読もうと思う

  • (「BOOK」データベースより)
    虚実皮膜の間について。正義なるものの落し穴について。愛されたいと望むことの度胸について。官能という名の死について。品格とは何かについて。永遠に解決できない問題について。そして、地中海世界の圧倒的な魅力について。…数多の現実、事実と真実を、映画が教えてくれた。銀幕は人間万華鏡、人生の奥深さを多様に映し出す。だから私は語ろう、私の愛する映画のことを―。

  • ローマ人の物語を読み終わり、さみしい、次何を読めばいいんだろうと思って、適当にこのエッセー集を手に取って読んでみたら、もう塩野ナナミさんの本は全部読もうと思いました。
    文庫本で43冊にも及ぶ超長編も面白ければ、この一話数ページ、8ページくらい?の短編集だって、胸を打つほど面白くて、何を読んでも間違いないに違いない。
    海の都の物語を読み始めることにしました。

  • 書いている内容から映画に対する思い入れは、相当なものに感じられる。「映画鑑賞を読書と同列において私を育ててくれた今は亡き父と母に捧げる」と冒頭にある。映画の魅力に迫る。

  • 映画評を中心にした、エッセイ。少し前の映画や俳優さんについて七生さん節で書かれて面白い*
    特にイタリア映画!!
    観たことあるものばかりだけど観点が違ってもう一度観返してみたくなった*

  • 映画のガイドブック。歴史の面白さを教えてくれた大好きな塩野七生さん。あまりに大きな遠い存在ですが、貴重な意見を教えてくださる先輩のようでエッセイを読むと少し身近に感じられます(そういう書き方ができるところがまた素晴らしい)。その中でも何度も読み返した一冊です。

  • これは単なる映画の解説ではない。節々に現れる塩野節に、微苦笑・爆笑を禁じ得ない。
    それでいて、その作品への興味がむくむく沸いてくる。

  •  塩野七生の映画についてのエッセイ。
     改訂版で、字が大きくなってます。

     平成7年に元々出版されたものだから、ビデオが普及して家庭でたくさん映画を見るということが日常になってきた様子が、すごく伝わってくる。
     10年かそこらで、すごく変わったもんだ。
     で、とりあげてる映画は、古いものから新しいもの、ジャンルも様々で、へんに偏ってないところがいい。見方も、偏りではなく、広い視点で捉えてるところが、塩野七生らしい。
     ともあれ「映画って人生なんだよね」っていうのを、さりげなくでもしっかりと伝えてくる良質のエッセイ。
     とりあげてる映画、どれもが見たいと思わせるのだから、これ以上いいものはないだろうww
     そして、クールというか、とにかくかっこいい塩野七生。
     この人の書く小説は、とにかく出てくる男がかっこいい。多分、どんな男でも歴史に名を残す男は「惚れる」ものを持っているんだろう。でもって、それをしっかり見抜く目をもってるから、塩野七生そのものがかっこよいのだと思う。うん。

  • 3月21日読了。塩野七生による、映画エッセイ集。映画には男と女の恋愛の機微、駆け引き、かっこよさやかっこ悪さ、恋愛が枯れた後も続く人生などいろいろなものが込められているものだ。男はその美しさ、あるいは不恰好さを鑑賞すべきもの。女はその哲学、生きるために彼女がとった行動を評価すべきもの。なのかな?塩野女史のように、歳をとっても銀幕の男優に恋し、息子と映画について語り合えたら素敵だろうなとも思う。

  • 塩野七生の映画に関するエッセイ集。映画評以上に内容的には膨らみがある。イタリア映画中心なのかなと思って読み始めたが、一昔前のハリウッド作品を取り上げているのが多い。ほとんど見たことのある作品なので楽しめた。 306頁

  • 読み直しました。

  • Humm..... tengo que decir que fue más o menos ese libro.....

    Te deseo algo más, Shiono!!!

  • 残念ながら、塩野七生の著名な壮大で膨大なルネサンス物イタリア物を私は一切読んでいません。

  • 全体にピシャリと言い切るタイプのおばさまだけれど強引じゃないし、やはりとくにイタリア人監督の作品についての感想が面白い。「夏の嵐」は「二人とも、オーストリアとイタリアと生国はちがっても、いずれも衰退しつつある国の人間だった。官能(センソ)とは、つまりすべてのことに敏感に反応することは、衰えつつある民族にしか神が恵まない、優雅な死に方の一つかと思ったりもする」。ゼフィレッリの「ハムレット」には「『ピエタ』を思い出していただきたい。ヴァティカンにある、ミケランジェロが24歳の歳に制作した傑作だ。若い聖母マリアがキリストの遺体を抱き上げている構図なのだが、母親のマリアの年齢がキリストに対して、非現実的に若い。しかし、あれがイタリア男の夢なのである。自分の気持ちの中ではいつまでも若く美しい母の腕の中で、死にたいという夢なのだ」。また「山猫」の公爵の内面を代弁し、「シチリアは変わらない。シチリアの民衆自身が変わろうと願っていない。2500年もの長い間、他民族の植民地でありつづけてきたシチリアでは、誰が支配者になろうと状態は変わらないことを民衆の端々にいたるまで知っているのだ」。でもいちばん成程と思ったのは息子さんが言った「フェリーには、イタリア人の真実を完璧に描いていながら、われわれイタリア人がイタリア人であることを恥じないですむ作品を創れる人だった」。著者の見方はひとつの見解に過ぎないけれど、映画を観てこれぐらいの感想を自分で思いついたら、観るのがもっと楽しいだろうなあと思った本だった。
    http://www.nytimes.com/2008/07/13/books/review/Donadio-t.html?_r=1&ref=books&oref=slogin

  • 映画論+エッセイ。豊富な知識を持つ人物の書物は、ただその知識を並べ立てているものではない限り、抜群におもしろい。1つの映画に対して、関連映画を紹介しつつ関連書物を紹介しつつ著者自身の生活を暴露しつつ持論を主張展開する。著者のズバリ切り込む物の言い方も心地良い。しっかりと輪郭を整えた言葉をたくさんもらった。私には到底受け売りできない著者自身の感覚が溢れている。あそこまで堂々と美学を語れるなんてかっこいい。ローマ人の物語にも是非挑戦したい。

  • 映画の感想から塩野七生の恋や仕事、生き方に対する美学が描かれていた。マリーネ・ディートリッヒ、ゲーリー・クーパー、オードリー・ヘップバーンなど、彼らが演じた役や、演じる彼ら自身についてのコメントが渋い。古い映画を見たくなった。そして、渋い人間になりたい!

  • 有名な映画俳優をピックアップし、「人として、こうあるべき」と語っている。塩野七海さんの視点が非常に奥行きがあり面白い。

  • 思い出深い映画、有名な映画、有名人が出ている映画、話題になったが好きにはなれない映画。いろいろありますが、著者の辛口?の批評でさっくりと斬っていく もう1つの映画評をあなたも気持ちよく楽しめるはず。痛快。

  • 映画好きなので、塩野さんの映画話が讀めるこのエッセイはとても楽しく嬉しい。映画評ではないです。映画から、人間や社会、世界、くらしのことに話が広がって、なんというか、カフェで、教養のあるすてきな大人の女性と楽しくお話をしているような。エスプリに富んだすてきエッセイで、愛讀しています。

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