サロメの乳母の話 (新潮文庫)

  • 399人登録
  • 3.46評価
    • (29)
    • (47)
    • (105)
    • (13)
    • (1)
  • 49レビュー
著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2003年3月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181110

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
遠藤 周作
有効な右矢印 無効な右矢印

サロメの乳母の話 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • オデュッセウスの妻、サロメの乳母、聖フランチェスコの母…歴史上の英雄・偉人たちの周辺人物が語る舞台の裏側。

    ワイルドの『サロメ』を最近読んだのをきっかけに表題作に惹かれて。どの章も20ページ程で、原作を読んだ後に本作を読むとイメージが付きやすいです。
    オデュッセウス編では、妻のぼやきにも似た語り口調は軽快で、あくの強すぎる原作の主役を思い起こせばこんな想いも抱えるだろうと想像できます。狂気が注目されがちなサロメも、乳母の目から見ると賢い女性像が浮かびます。また、舞の描写は見事でした。最後の「饗宴・地獄篇」は、まぁ著者の悪ノリみたいなものでしょうか(笑)

    イメージが固まりがちな名主役たちも、塩野七生さんの想像力にかかれば知られざる新鮮な一面が見えてきます。原作のスピンオフ的に、気軽に楽しめる1冊。

  • 「饗宴・地獄篇」は第一夜、第二夜共おもしろかった 
    が、いくら読んでも他の作品が全く印象に残らない 
    もう少し大人になればおもしろさがわかるのか、、??

  • 蠱惑的な踊りの対価に預言者の首を求めた王女サロメ、覇者として大いなる国を統べたアレクサンドロス大王、暴君として悪名高いネロ皇帝・・・。
    聖書や神話や伝説に登場する有名人たちの生涯について、彼ら・彼女らの傍らにいた人物(一遍は語り手が馬)が「実は・・・」と語る「伝説上の人物の本当の素顔」を描いたパロディ的な短編集だ。
    自分でも元ネタを知っているような著名なキャラクターたちが勢ぞろいし、よくまあこんなひねくれたこと考えたなぁと呆れて笑いたくなるようなうまい「裏話」が軽妙に語られていて面白い。
    最後の歴代の悪女が地獄で会合をもつ2編のオチはご愛敬だろうか。

  • 目次より
    ・貞女の言い分
    ・サロメの乳母の話
    ・ダンテの妻の嘆き
    ・聖フランチェスコの母
    ・ユダの母親
    ・カリグラ帝の馬
    ・大王の奴隷の話
    ・師から見たブルータス
    ・キリストの弟
    ・ネロ皇帝の双子の兄
    ・饗宴・地獄篇 第一夜
    ・饗宴・地獄篇 第二夜

    歴史上の有名人を、違った視点から掘り下げる。
    なんとなく功績を知ってはいるけれど、詳しくは知らない。そんな人物の選定がすばらしい。

    なかでも「サロメの乳母の話」が白眉。
    素晴らしい踊りを披露したご褒美に、若く有名な預言者ヨハネの首を所望したサロメ。
    それは、恋い慕う彼女の気持ちをヨハネが受けとめようとしなかったから…というのは、オスカー・ワイルドの戯曲の話。

    多くの画家がサロメを題材にした絵を描いているけれど、衝撃的なそのシーンは実に冷静な政治的判断のものに行われたものであるというのが、塩野七生の解釈。
    「善意に満ちていて、しかも行いの清らかな人が、過激な世改めを考え説くほど危険なことはないと思うけれど、乳母はどう思う?」
    サロメの行動がいちいちクールでロックなの。格好いいわ。

    「饗宴・地獄篇」は、地獄に落ちた女ども(クレオパトラ、ビザンチン帝国の皇后テオドラ、トロイのヘレン、ソクラテス夫人のクサンチッペ、マリー・アントワネット)が、繰り広げる女子会トーク。
    第一夜は毛沢東婦人・江青をゲストに招いての夜会。
    第二夜はゲストを日本から呼ぼうと思ったけれど、意外と悪女がいないのね…と結論付けようとした時、地上の方から推薦人の声が…!

    地獄がまた楽しそうなのです。実際楽しいらしいです。
    地獄の恐ろしげな描写は、天国サイドの陰謀らしいですよ。

    “また、地獄に送られてきた顔ぶれが面白かった。だから、女たちにしてみれば、交き合う男たちにも恵まれていて、天国の住人のように、立派かもしれないが面白くもおかしくもない、まじめ人間の集団ではない。それに、天国は、住む人間だけが退屈なのではなく、一年中気候温暖でも四季の区別がないから、その点でも、一週間もいれば、頭がボケてしまいそうな思いになるのだった。”
    天国、すごい言われようです。

    地獄にはいい人たちもたくさんいます。
    “女王に仕える奴隷たちの中には、天国に送られる資格充分な者が多かったが、天国と地獄を分けたのはキリスト教だから、それが普及する以前に現世で生を送った者は皆地獄行きなので、これら古代世界の善男善女たちも、地獄まで女王に従いてきたというわけである。だが、想像した以上に過ごしやすいので、誰一人、煉獄での試練を経た後に許される、天国行きを希望した者はいない。”

    塩野さん、こんなに書いちゃっていいのでしょうか?
    地獄に落とされちゃうんじゃないかしら?
    あ、望むところなのか。

  • 歴史の人物をちょっと違った目線から読めて面白い短編集
    特にユダの母親とキリストの弟が面白かったなあ
    ユダの話は太宰の駆け込み訴えをちょっと連想させる

    永井路子も書いてたけど、悪妻悪妻のレベルが日本は小さくまとまっちゃってる!
    クレオパトラとかアグリッピナとかカテリーナスフォルツァレベルの女性陣は、日本の歴史上いないかも

  • 表題作はワイルドの『サロメ』と比較して読むとサロメが毒々しくなく純粋に恋をする少女に感じます。

  • おもしろかった!英雄や偉人、になるわけではなく、その妻や召使はたは馬にもなり、その裏側の顔を描き出す。。。秀逸だったのは、題名にもなっているサロメの乳母の話。サロメと聞くと無邪気で残忍という勝手なイメージがあったんですが、この物語を読むとフィクションだとしても、あぁなるほどね!と思ってしまう。妄想が膨らむのはほんとに楽しい。。。
    そして最後の饗宴・地獄篇。こと西洋の物語が大半の中で珍しく日本歴史が出てきて新鮮。そしてオチがね・・・。いや、最後まで楽しく読める1冊です。

  • 歴史の「実はこうだった」的な話を脇役視点の話し言葉で綴ったもの。
    非常に読みやすいし、本当に真相はこうだったのかもしれない。

  • ラストの話はいただけない

  • 世界史は苦手だけど・・・

    歴史上の英雄を身近な人の立場から描くとこんなふうに見えるかも・・・というのがとても楽しい。

    特に、女性の目線の作品は、いきいきとしていて、中でも表題作になってるサロメは、半分ぐらい塩野さんご自身なのかも・・・。

  • 久々の再読。視点を変えれば歴史はまるで異なる様相をみせるという、この手の話が好きな人にはたまらない短編集。歴史ものの「実は」話は私も大好き。とりわけ女性の視点がうまく活かされているのは、嬉しくも面白いところ。

    一番面白いのはやっぱり表題作。ワイルドのサロメが有名すぎて、ビアズリーの挿絵もまた有名すぎて、サロメといえば恋に狂った恐ろしい女のイメージだけれども(それはそれで面白いのだけれども)、実は非常に賢い、思慮深い娘でした、というお話。正直、すかっとします。

    最初のペネロペの話も好き。オデュッセイアを読んだ時「これって苦労話というより自慢話じゃないか」と思った人は、結構いるのではないでしょうか。主人公、どこに行っても、モテ過ぎ。もちろん、英雄譚ってそういうものです。でも、それを聞かされる奥さんにとっては、たまったもんじゃないと思うのです。
    なるほど、嘘なのね…という前提でオデュッセイアを読み直したら、かなり、笑える気がします。

    最後の話は、苦笑するしか;

  • 物語や歴史の主人公を少し違った視点から描いた短編小説。
    例えばギリシャの英雄オデュッセウスを妻の視点から、サロメは乳母から、ダンテは妻、聖フランチェスコは母から…等。しかしこれ、完全にオリジナルの話を知っているという前提で描かれてます。そうでないと全然面白くないでしょうね。そういう意味で読み手を選ぶ小説ではあります。

  • 有名な歴史的人物の周辺人物から見た歴史的な出来事についてのフィクションです。表題の作品が一番印象的で、サロメの王女としての矜持を感じました。

    九州大学
    ニックネーム:川島太一郎

  • 古代史上、著名な10人を取り上げ、それらの身近にいた人が1人称の回想形式で語るという趣向。特に表題作「サロメの乳母の話」は、芥川の『地獄変』の語りの手法を思わせる。篇中では暖かい情愛にあふれた「聖フランチェスコの母」が一番好きだ。塩野七生さんといえば大長編というイメージだが、こんな風な短篇も実に鮮やか。モロー画の表紙もいい。

  • 駈込み訴えを思い起こさせる短編集。
    面白かった。

  • 西洋史とキリスト教に関する基礎レベルの知識は前提として必要になる短編集。一つの短編が20ページ足らずのものばかりなので、さくさく読めます。

    いわゆる歴史上・宗教上の有名人たちの「周辺にいる人」の視点から、「実はこの人はこんなことを考えていた」「実はこの史実・宗教的逸話の陰には、こんな話があった」という切り口で、刺激的なエピソードが語られていきます。小説ではあるけど、ウソ臭さをあまり感じさせないので、もしかしたら本当にそうだったんじゃないの?と思わせるような作品もあったりします。

    個人的には、イスカリオテのユダの母親が息子の死をテーマに本を出版、引く手あまたの人気者になってテレビ出演まで果たした、なんてぶっ飛んだ話になってしまっているのが、かなりツボでした。
    塩野七生さんの作品はこれが初めてだったんですが、他の作品も読んでみたくなりました。続きものが多いみたいだけど、ハンニバル戦記あたりに手を出してみるかなー。

  • 歴史上の有名人について、その人をごく身近で見ていた人の視線、という設定でお話が進められる。
    今まで持っていた歴史観や、歴史上の人物へのイメージがこんなにも簡単に塗り替えられるとは、自分の想像力のなさに驚きます。
    楽しく読める一冊です。

  • へー、こんなライトな小説も書くのか。息抜き感の漂う。イエスの弟の話は、私の前々から感じてたことを見事にお話にしてくれてました。

  • 知人からすすめられて塩野さん初読(のはず)。おもしろいです!ジェンダー思想、ウーマンリブ世代バリバリ!!コレを読むと、歴史なんて男が都合よく語ってきたものから作られてるんじゃ?と思わずにはいられなかった。

  •  200頁と少しの薄い文庫本に十二編収録。
     おもしろかったのは表題作「サロメの乳母の話」(賢く冷徹な姫君としてのサロメ)、好きだったのは「聖フランチェスコの母」(鳥に説法したことで有名な聖人の愛すべき息子としての顔)、考えさせられたのは「キリストの弟」(家族からしてみたらイエスさまって確かに冷たい)。
     他は全体的によくも悪くも軽すぎて、余韻が少ないものばかりだったという印象です。決してつまらなくはないのだけれど、塩野七生は歴史書と歴史小説のあいだにあるようないつもの作風の方が好き。

     最後に十二編(うち二編は続きもの)の収録作品をメモしておきます。
    「貞女の言い分」(オデュッセウスの妻ペネロペ)
    「サロメの乳母の話」
    「ダンテの妻の嘆き」
    「聖フランチェスコの母」
    「ユダの母親」(語り手はイスカリオテのユダの学校の先生)
    「カリグラ帝の馬」
    「大王の奴隷の話」(アレクサンドロス大王)
    「師から見たブルータス」
    「キリストの弟」
    「ネロ皇帝の双子の兄」
    「饗宴・地獄篇 第一夜」(クレオパトラ、ビザンツ帝国皇后テオドラ、スパルタ王妃ヘレナ、ソクラテスの妻クサンチッペ、マリー・アントワネット、江青)
    「饗宴・地獄篇 第二夜」(江青以外上に同じ)

  • イタリアといえば、の塩野七生さん。
    夏にイタリア旅行を計画していたため、ここはイタリアについて勉強せねば!と手にとりました。

    英雄カエサルを殺したブルータス、イエスをユダヤ人に売った裏切り者ユダ、預言者ヨハネの首を所望した王女サロメ、など
    世界史にはめっぽう弱い私でも知っている超有名人について、その周辺の人間が語る、という形の小説集。

    さくっと読めて、初級編という感じ?他の塩野さんのどっしりとしたイタリア歴史本に入る前にちょうどよかったかも。

    ちょっとゴシップっぽい視点も面白いし、世界史を勉強してる中高生にすすめたい。

  • 歴史上の人物を身近にいた第三者(馬もいますが…)視点で見た人物像語り。

    ペネロペがトロイ陥落後に10年流離ったオデュッセウスを愚痴るのは、確かに神の呪いだの何だの言っても流れ着く先では美女が待っていることが多かったよなぁ、と頷きながら読んだ。

    サロメもワイルドの戯曲のイメージが強かったので乳母視点のこの話はとても新鮮に読めた。

  • GEOの閉店セールで購入(11.04.19)

全49件中 1 - 25件を表示

塩野七生の作品一覧

塩野七生の作品ランキング・新刊情報

サロメの乳母の話 (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

サロメの乳母の話 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

サロメの乳母の話 (新潮文庫)のKindle版

サロメの乳母の話 (新潮文庫)の単行本

サロメの乳母の話 (新潮文庫)の-

ツイートする