海の都の物語〈2〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2009年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181332

海の都の物語〈2〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 塩野七生によるヴェネツィア史の第2巻。本巻では、ヴェネツィアの一般的な商人の生き様と、年月が経つたびに洗練されていった共和政治について書かれている。衆議に基づく共和政治は、現代の民主主義と同じく、良くも悪くも意思決定に時間がかかるという特徴がある。ヴェネツィアでは、国家の存亡にかかわる重大事が発生したら、時限的な独裁官を立てて、国家としての意思決定をスピーディに行う仕組みが整っていた。これこそが、ヴェネツィアが1000年間存続できた理由だと著者は述べている。マキャヴェリの「政略論」では、共和国は有事に弱いとされているが、ヴェネツィアは海洋貿易国家ならではの「実利主義」が浸透していたため、ベターな政体を発達させることに成功したのであろう。

  • 20170726

  • 「ベネチア株式会社」の表現が面白い。現代のビジネスや組織論にも通じるところがある。この巻の気になったポイントは 1.海上交易で安定的に収益を得るために13世紀に初めて「定期航路(ムーダ)」を開設 2.宗教の政治への介入を防ぐために司教の権利・居住地域を制限する 3.議員層を世襲化して政治家のプロの階級を作り上げる 3.世襲化は現代からすれば疑問符がつきそうだが、政治家養成機関や公正なフィルタは当時どこにもなかったことを考えるに 親から子への教育で頼るほかなかったと著者は述べる。

  • ヴェネツィア独特の政体成立の背景について記載。

  • ベネチアの商人像が良く分かる。

  • この中小企業に手厚い政策はなかなかいいのではないだろうか。

  • ヴェネツィア史第二弾。この巻ではヴェネツィアがどのような交易手段を発展させ、どのような政治体系を維持してきたのかが書かれてます。1巻目に劣らず、ヴェネツィアのヴェネツィアたる理由がよく分かる。
    君主制ではなく合議制による元首の選出。古代ローマのような、優秀な人材を常にプールしておく官僚制度。あと政教分離。このあとのヨーロッパ諸国とは一線を画し続けた理由の大きな理由はこれ、というのが良く解説されてます。

  • 【本の内容】
    <1>
    ローマ帝国滅亡後、他国の侵略も絶えないイタリア半島にあって、一千年もの長きにわたり、自由と独立を守り続けたヴェネツィア共和国。

    外交と貿易、そして軍事力を巧みに駆使し、徹底して共同体の利益を追求した稀有なるリアリスト集団はいかにして誕生したのか。

    ヴェネツィア共和国の壮大な興亡史が今、幕を開ける。

    「ルネサンス著作集」中の大作、待望の文庫化、全六冊。

    <2>
    ヴェネツィア共和国は十字軍の熱狂に乗じて東地中海に定期航路を確立し、貿易国としての地歩固めに成功。

    異教徒との通商を禁じるローマ法王を出し抜き、独自の経済技術や情報網を駆使して、東方との交易市場に強烈な存在感を示した。

    宗教の排除と政治のプロの育成に重点をおき、強力な統治能力を発揮した内政にも裏打ちされた「ヴェネツィア株式会社」の真髄を描き出す。

    <3>
    東方との通商に乗り出し、地中海の制海権を握ろうとしたのは、ヴェネツィアだけではなかった。

    アマルフィやピサといった海洋都市国家が次々と現れ、なかでも最強のライヴァル、ジェノヴァとの争いは苛烈を極めた。

    ヴェネツィア共和国は、個人主義的で天才型のジェノヴァの船乗りたちといかにして戦ったのか。

    群雄割拠の時代を生き抜くヴェネツィア人の苦闘の物語。

    <4>
    1453年、トルコ帝国がコンスタンティノープルを攻め落とし、ビザンチン帝国が滅亡。

    東地中海の勢力図は一変した。

    東方での貿易を最大の糧とするヴェネツィアはこの状況にどう対応したのか。

    強大な軍事力を誇り、さらに西へと勢力を広げようとするトルコ帝国との息を呑む攻防、そしてある官吏の記録をもとに、ヴェネツィアの新興ビジネスである観光事業、聖地巡礼旅行を活写する。

    <5>
    十五世紀末、ポルトガルがインドへの新航路を発見という、中世の一大ニュースがヨーロッパ中を駆け巡る。

    トルコ帝国との攻防も続く中、スペインに代表される君主制国家も台頭。

    ヴェネツィアは統治能力の向上による対抗を図るも、「持たぬ者の悲哀」を味わうことになる。
    地中海から大西洋へ。

    海洋都市国家から領土型封建国家へ。

    新時代の幕開けはすぐそこまで迫っていた。

    <6>
    ヴェネツィア共和国はトルコ帝国との争いで、交易拠点を次々に失い始める。

    海外交易市場の主導権もイギリス、オランダに譲り、衰退の兆しは誰の目にも明らかだった。

    そしてフランス革命に端を発したヨーロッパ世界の動乱。

    ナポレオン率いるフランス軍の圧力を前にして、かつて「地中海の女王」とさえ呼ばれたヴェネツィア共和国の命運は尽きつつあった…。

    歴史大作の完結編。

    [ 目次 ]
    <1>
    第1話 ヴェネツィア誕生(蛮族から逃れて;迎え撃つ;聖マルコ;海の上の都;運河;地盤づくり;広場;井戸;国づくり)
    第2話 海へ!(海賊退治;海の高速道路;海との結婚式;交易商品;ヴェネツィアの船;帆船;ガレー船;東方への進出)
    第3話 第四次十字軍(エンリコ・ダンドロ;契約;ヴェネツィアへ;コンスタンティノープル;コンスタンティノープル攻城戦;落城;ラテン帝国;ヴェネツィアが得た“リターン”)

    <2>
    第4話 ヴェニスの商人(交易商人(その一)
    資金の集め方
    交易市場
    マルコ・ポーロだけではない
    定期航路の確立
    海上法
    羅針盤と航海図
    船の変化
    中世の“シティ”
    交易商人(そのニ))
    第5話 政治の技術(共和政維持の苦労;政教分離;政治改革;クィリーニ・ティエポロの乱;「十人委員会」;元首ファリエルの乱;政治と行政)

    <3>
    第6話 ライヴァル、ジェノヴァ(海の共和国;アマルフィ;ピサ;ジェノヴァ;ジェノヴァの商人;ジェノヴァ対ヴェネツィア;ヴェネツィアの二人の男;キオッジアの戦い)
    第7話 ヴェネツィアの女

    <4>
    第8話 宿敵トルコ(トルコ帝国;「本土」;マホメッド二世;コンスタンティノープルへ;ビザンチン滅亡 ほか)
    第9話 聖地巡礼パック旅行(まず、ヴェネツィアへ;ヴェネツィア滞在;旅立ち;イェルサレム;聖地巡礼 ほか)

    <5>
    第10話 大航海時代の挑戦(胡椒ショック;航海者たち;危機;巻き返し;通商と産業と ほか)
    第11話 二大帝国の谷間で(都市国家から領土国家へ;統治能力の向上を期して;ヴェネツィアの光と影;元首グリッティ;その息子 ほか)

    <6>
    第12話 地中海最後の砦(法王庁に抗して;クレタ攻防戦)
    第13話 ヴィヴァルディの世紀
    第14話 ヴェネツィアの死

    [ POP ]
    帯に〈『ローマ人の物語』に並ぶ代表作〉とある。

    著者が30年近く前に発表した、「地中海の女王」ヴェネツィア共和国の興亡史が、新潮文庫から全6巻で刊行された。

    1981年度のサントリー学芸賞受賞作だ。

    ローマ帝国滅亡後、他国の侵略も絶えないイタリア半島にあって、ヴェネツィア共和国は1000年もの長きにわたり、自由と独立を守り続けた。

    それはいかに可能だったのか。

    彼らの信条は、「はじめに、商売ありき」。

    経済的に成り立つことを第一目的に、外交と軍事力を巧みに駆使して、強力な共同体を作り上げた。

    「ヴェネツィア株式会社」ともいわれる経済大国の栄枯盛衰を、著者は膨大な資料を読み込み、時にはモーターボートを借り切って沼沢地帯の潟を体感した上で、生き生きと描き出した。

    3巻には、渡辺靖氏、6巻には、池内恵氏が解説を寄せた。

    気鋭の研究者による塩野史観評も、読み応えがある。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 第2巻。ヴェネツィアの権力を分散し共和制を堅持する政治体制。複式簿記、アラビア数字の使用、銀行・為替に、資本を持たない者でも参入しやすく、資本を持つ者はリスク分散しやすい制度。資源はなくとも、1000年以上栄えた都市国家の知恵満載です。

  • この巻はヴェネツィアの経済と政治の考察。章構成がこうした順序になっているのは、ヴェネツィアにあっては、経済こそが政治のあり方を決定していたからだ。12世紀後半のヴェネツィアに生きた商人ロマーノ・マイラーノの生涯が紹介されているが、彼にあっては(おそらくは他の誰にとっても)国家の浮沈が、そのまま自己の浮沈に直結していた。20数年も故国に帰らず、東地中海で商売に邁進していた彼のような存在は珍しくなかったらしい。マルコ・ポーロでさえ、北京まで行ったことをのぞいては、これまた特別な存在でもなかったようなのだ。

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海の都の物語〈2〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)の作品紹介

ヴェネツィア共和国は十字軍の熱狂に乗じて東地中海に定期航路を確立し、貿易国としての地歩固めに成功。異教徒との通商を禁じるローマ法王を出し抜き、独自の経済技術や情報網を駆使して、東方との交易市場に強烈な存在感を示した。宗教の排除と政治のプロの育成に重点をおき、強力な統治能力を発揮した内政にも裏打ちされた「ヴェネツィア株式会社」の真髄を描き出す。

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