海の都の物語〈4〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2009年6月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181356

海の都の物語〈4〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 対トルコに苦戦しながらも、持ち前の賢さとスピードで巧みに生き延びていくヴェネツィア。聖地巡礼ツアーの抜け目なさには、呆然とするばかり。しかも悪どさは一切ない。現代人もある意味で見習うべきかもしれない。

  • 四巻目は宿敵トルコの台頭と、ヴェネツィア航路を使った聖地巡礼パックツアーについて。
    合理主義者は根本的な間違いを犯すことがある。合理的に考えて相手がそんなことをするはずがないと思ったことでも相手はすることがあるのである。その事は当時のヴェネツィア外交官が「良識とは受け身に立たされた側の云々することなのだ。行動の主導権をにぎった側は、常に非良識的に行動するものである」と嘆いている。このことはいつの世になっても、外交問題の普遍性を示している。日本の近くのかの国をみればそれがわかる。
    また、ヴェネツィアはその航路と後悔技術で聖地イェルサレムまでの巡礼ツアーを組んでいた。儲けられるところは儲けるのがヴェネツィアのやりかたである。

  • <宿敵、トルコ>
    海洋国家でもなく、キリスト教でもない、規模の違うトルコとの対立。自分たちとはまったく違う相手との問題に、立ち向かうヴェネチアが書かれている。
    P41マキアヴェッリ
    現実主義者が誤りを犯すのは、自分達が合理主義者でリアリストなものだから、非合理的に行動する相手を理解できないからなのだ。

    <聖地巡礼パック旅行>
    読んでいてとても楽しかった。
    旅行の安全性や移動の大変さは現代と違うけど、旅行のワクワク感や観光の感想とかは今も昔もそれ程変わらないんだなと思えた。

    「コンスタンティのープルの陥落」「レパントの海戦」

    2010/11/11読了

  • ヴェネチアの敵が変わった。
    陸軍中心のオスマン・トルコに変わるのだから。
    でも、ヴェネチアは巧みに乗り越えてしまい、通商圏を半世紀かけて元に戻したのだから。
    少しずつ都市国家を中心に発展してきた世の中から植民地主義へと向かってゆく。
    ヴェネチアはどう立ち向かうか。
    高校の授業の知識だけでは正確な説明ができないことに気がつく。

  • オスマントルコの登場と、ヴェネチア共和国。

  • トルコが進行してきて、外交やら何やらで対抗する巻。
    でもヨーロッパ内は仲が悪くて複雑。宗教問題も複雑。
    あとは聖地巡礼の話。意外と気配りが行き届いている。

  • カバーの写真が村上春樹に似てるような気がするよ

    1480年といえば、
    花の都と呼ばれるフィレンツェを中心に、ルネサンスの華麗な花をいっぱいに咲かせていた時代。
    一方でヴェネツィアはトルコと戦争中。
    こんな中で聖地巡礼に東地中海を船旅するとは・・・・・・
    同じイタリア半島でも、こう照らし合わせるとまた面白い。
    やっぱり人の歴史は面白いと再認識

  • ヴェネツィアの物語、第4巻。地中海を取り巻く環境は、トルコ帝国が進出してきたことにより一変。今まで安全に航海できた海が利用できなくなる中、いかにもヴェネツィアらしい方策で切り抜けていく。
    聖地巡礼を観光業にまで昇華させる商売根性、脱帽です。ほかの国々とは違う、国のあり方・政治のあり方・商売のあり方。時代時代に合わせた巧みな舵捌きは、どんな事例でも感じることが出来ますね。

  • 【本の内容】
    <1>
    ローマ帝国滅亡後、他国の侵略も絶えないイタリア半島にあって、一千年もの長きにわたり、自由と独立を守り続けたヴェネツィア共和国。

    外交と貿易、そして軍事力を巧みに駆使し、徹底して共同体の利益を追求した稀有なるリアリスト集団はいかにして誕生したのか。

    ヴェネツィア共和国の壮大な興亡史が今、幕を開ける。

    「ルネサンス著作集」中の大作、待望の文庫化、全六冊。

    <2>
    ヴェネツィア共和国は十字軍の熱狂に乗じて東地中海に定期航路を確立し、貿易国としての地歩固めに成功。

    異教徒との通商を禁じるローマ法王を出し抜き、独自の経済技術や情報網を駆使して、東方との交易市場に強烈な存在感を示した。

    宗教の排除と政治のプロの育成に重点をおき、強力な統治能力を発揮した内政にも裏打ちされた「ヴェネツィア株式会社」の真髄を描き出す。

    <3>
    東方との通商に乗り出し、地中海の制海権を握ろうとしたのは、ヴェネツィアだけではなかった。

    アマルフィやピサといった海洋都市国家が次々と現れ、なかでも最強のライヴァル、ジェノヴァとの争いは苛烈を極めた。

    ヴェネツィア共和国は、個人主義的で天才型のジェノヴァの船乗りたちといかにして戦ったのか。

    群雄割拠の時代を生き抜くヴェネツィア人の苦闘の物語。

    <4>
    1453年、トルコ帝国がコンスタンティノープルを攻め落とし、ビザンチン帝国が滅亡。

    東地中海の勢力図は一変した。

    東方での貿易を最大の糧とするヴェネツィアはこの状況にどう対応したのか。

    強大な軍事力を誇り、さらに西へと勢力を広げようとするトルコ帝国との息を呑む攻防、そしてある官吏の記録をもとに、ヴェネツィアの新興ビジネスである観光事業、聖地巡礼旅行を活写する。

    <5>
    十五世紀末、ポルトガルがインドへの新航路を発見という、中世の一大ニュースがヨーロッパ中を駆け巡る。

    トルコ帝国との攻防も続く中、スペインに代表される君主制国家も台頭。

    ヴェネツィアは統治能力の向上による対抗を図るも、「持たぬ者の悲哀」を味わうことになる。
    地中海から大西洋へ。

    海洋都市国家から領土型封建国家へ。

    新時代の幕開けはすぐそこまで迫っていた。

    <6>
    ヴェネツィア共和国はトルコ帝国との争いで、交易拠点を次々に失い始める。

    海外交易市場の主導権もイギリス、オランダに譲り、衰退の兆しは誰の目にも明らかだった。

    そしてフランス革命に端を発したヨーロッパ世界の動乱。

    ナポレオン率いるフランス軍の圧力を前にして、かつて「地中海の女王」とさえ呼ばれたヴェネツィア共和国の命運は尽きつつあった…。

    歴史大作の完結編。

    [ 目次 ]
    <1>
    第1話 ヴェネツィア誕生(蛮族から逃れて;迎え撃つ;聖マルコ;海の上の都;運河;地盤づくり;広場;井戸;国づくり)
    第2話 海へ!(海賊退治;海の高速道路;海との結婚式;交易商品;ヴェネツィアの船;帆船;ガレー船;東方への進出)
    第3話 第四次十字軍(エンリコ・ダンドロ;契約;ヴェネツィアへ;コンスタンティノープル;コンスタンティノープル攻城戦;落城;ラテン帝国;ヴェネツィアが得た“リターン”)

    <2>
    第4話 ヴェニスの商人(交易商人(その一)
    資金の集め方
    交易市場
    マルコ・ポーロだけではない
    定期航路の確立
    海上法
    羅針盤と航海図
    船の変化
    中世の“シティ”
    交易商人(そのニ))
    第5話 政治の技術(共和政維持の苦労;政教分離;政治改革;クィリーニ・ティエポロの乱;「十人委員会」;元首ファリエルの乱;政治と行政)

    <3>
    第6話 ライヴァル、ジェノヴァ(海の共和... 続きを読む

  • 前半は大陸型国家オスマン・トルコとヴェネチアのいきづまる攻防で、後半はヴェネチアがビジネスとした「聖地巡礼旅行」を旅行記風に再現している。とても面白い。

  • トルコ、特にコンスタンティノープルを陥落させたスルタン・マホメッド2世との争いと、聖地巡礼がこの巻のテーマ。中世の聖地巡礼と言えば相当の労苦を伴う事が予想され、実際に危険も多かったわけですが、ヴェネツィア人は今で言うパックツアーを作り出し、適正な価格と安全、自国での観光でしっかりお金を落としてもらう仕組みを考えるなど、この面でも先駆的な存在であったと。読めば読むほど新発見多し。

  • 塩野七生によるヴェネツィア史の第4巻。主にビザンチン帝国を滅ぼしたオスマン・トルコとの攻防を扱っている。スルタンの号令1つで数十万人の軍勢を集めてしまう巨大国家に対して、外交力で何とか食い止めようとする様子が生々しく描かれている。

  • 前半は新興国オスマン・トルコとの攻防を描く。合理的でない国家を相手にするというのは、ヴェネツィアにとっては、もっとも苦手であったかも知れない。しかも、世の中の趨勢はしだいにより強大な軍隊を組織できる大国の時代へと変わりつつあった。後半は「聖地巡礼パック旅行」。1480年にこれを利用して聖地巡礼に出かけたミラノ人、サント・ブラスカの紀行が紹介される。ヴェネツィアの実になんとも見事なまでのシステム化。とりわけ、法王庁と現地のアラブ人からの通行許可証を代行手配するなど、もう至れり尽くせり。さすがはヴェネツィア。

  • どの話も面白いけど、この巻収録の第九話、「聖地巡礼パック旅行」が一番面白い。ある聖地巡礼者のヴェネツィアからイェルサレムまでの船旅が書かれていて、それを追体験できる。地中海の地図を片手に読むとさらに面白いと思う。

  •  「はじめに、商売ありき」の合理的な考え方をもっている、ヴェネツィア共和国の1000年に及ぶ歴史について描かれた本。初めに描かれていた第4次十字軍の話はとっても面白かった。自分たちの利益を最大限になるように考えつつ、大国の力をうまく利用していくところがとても面白かった。

     海洋都市であった4国家の比較も面白かった。これにより、ヴェネツィアの異質性がよくわかった。また、ジェノヴァとの戦いは熱いものをかんじた。ヴェネツィアの政治制度であるドージェや十人委員会および国会による権力分立制度はとっても素晴らしいものであり、日本も見習うべきだとは思ったが、この制度が維持できたのはヴェネツィア人の性格があってこそだろう。なぜならば、今の日本の政治家では、このヴェネツィアの方々のように国を想う気持ちはほとんどないだろうから。

     さらに、ヴェネツィアの商魂には驚かされた。トルコとの戦いでの大損を取り返そうと和平条約を締結した際にすぐ大使をコンスタンティノープルに派遣し、そのつなぎに捕虜となっていたヴェネツィア人を使うところもさすがだと感じた。このようにチャンスを逃さない姿勢が1000年繁栄できた要因なんだろう。

     この後、経済的発展に伴って、政治的・文化的に成熟していき、衰退していく。という人の一生だったら充実してやまないような一生だろう。奢れるものというより、平和でありすぎた故の外交感覚のマヒ。今の日本を見ているような気もした。

  • 前半のオスマントルコとの戦いは壮絶できつかったですが、後半の巡礼はガラッと雰囲気が変わって気持ちよく読めました。

  • 宿敵トルコ!は、ヴェネツィアの衰退の面影を見る事ができる点で、少しヴェネツィア好きとしては辛い…。
    今まで好調期のヴェネツィアの姿ばかりだったから、少し寂しい気持ちになる。
    聖地巡礼は、とっても面白。商人ベネツィアが、経済利益のためにとことんやった感じがわかる。

  • 聖地巡礼を観光産業として迎え入れたヴェネツィア共和国のしたたかさに感心しました。

  • 前半は海軍力での勝負に乗らずひたすら物量の陸軍で攻め来るトルコとの分の悪い戦いについてのお話。戦いの舞台が変わると強みも発揮できないのだな。
    後半は15世紀聖地巡礼の時代にもヴェネツィアはパック旅行的なものを準備して立派に商売していました、というお話。

  • 小アジアの内奥から発したオスマン朝は、古代の英雄に憧れる若きスルタン・マホメッド2世の世になってから西進を始める。
    東ローマ帝国滅亡となるコンスタンティノープル陥落から、ヴェネツィアは宿敵トルコとの戦いに否応無く突入していく。

    トルコ・マホメッド2世の領土的野心。
    イタリア半島での商業的利権を巡って繰り広げられるフィレンツェ・メディチ家の策謀。
    地中海に息づく国の様々な思惑があって、歴史的な行動は起こっていたのだな、と実感させられた巻でした。
    3分の2ほどは宿敵・トルコとの戦いの歴史を描き、残りの3分の1は打って変わって当時の聖地巡礼旅行の旅行記を紹介してありました。
    当時は船による航海とラクダに揺られての砂漠越えの長い旅路。そのほとんどが初めての長旅となる巡礼者に対して、ヴェネツィアがパック旅行のように見事に商売化していた、というところは苦笑しました。商魂逞しい、というのは何百年前も変わらないのだな、と。
    著者の連作「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」を読み直したくなりました。

  • 国家の伝記。感想は6で。

  • ヴェネツィアの歴史、性質がよくわかる本。陸軍国家と海軍国家の戦略上の違いが見事に解説されている。

  • ○トルコ=異文化(異教徒)の不可解性
    ○質から量の戦いへの変化
    ○中世の観光業
    ○生活、文化、価値観への宗教の占める割合
    ○免罪の買い込み

  • 1453年にトルコ帝国のがビザンチン帝国にとってかわり、西に覇権を広げようとする。陸のトルコ帝国と海のヴェネツィアの戦いの火ぶたが切って落とされた。ヴェネツィアは、地中海の覇権を守るために外交、戦争あらゆる駆け引きや裏工作をしながら、強大なトルコ帝国との戦いを進めて行く。

    また、ヴェネツィアはヨーロッパにの聖地巡礼パック旅行の起点になり、観光客を集めては富を蓄えていく。

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海の都の物語〈4〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)の作品紹介

1453年、トルコ帝国がコンスタンティノープルを攻め落とし、ビザンチン帝国が滅亡。東地中海の勢力図は一変した。東方での貿易を最大の糧とするヴェネツィアはこの状況にどう対応したのか。強大な軍事力を誇り、さらに西へと勢力を広げようとするトルコ帝国との息を呑む攻防、そしてある官吏の記録をもとに、ヴェネツィアの新興ビジネスである観光事業、聖地巡礼旅行を活写する。

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