海の都の物語〈5〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2009年6月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181363

海の都の物語〈5〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 15世紀末からベネチアに時代の変化が訪れる。1.東からイスラム国トルコの台頭 2.西欧諸国が喜望峰経由でのインド航路発見 3.強力なリーダーの君主制国家が優勢に ベネチア流の海洋都市国家から領土型封建国家へ主流が変わっていく。変化に対抗しようとするが苦戦を強いられるベネチア。ここに書かれてあることを読むと優劣を決したのが二つあるように思う。a.ベネチアの人口や財政の限界を超えた広範囲の統治 b.単純な数の論理。他国の人口・支配領域が勝っていた。こういっては何だが小粒だがピリリと辛い・・・だけでは結局は食いつぶされるのであろうか。

  • 経済が発展しても善政を布いても、人口が少ないと国は滅びるのか。
    今の時代だとこうはならなかったかもしれない?
    スペインとトルコがとても憎々しい感じに書かれている(笑)

  • 大航海時代の中のヴェネチア共和国。

  • ヴェネツィアシリーズ第5巻。今までは都市国家間の独自の方法ですり抜けてきたヴェネツィアだったが、大航海時代になり、都市国家から領土国家の争いに変わっていく中で、それでも独自路線を変えず、ために衰退の一途をたどっていく、その陰りはじめを書いた巻。
    衰退することが分かっていたわけでもなく、情報や技術が劣っていたわけでもないのに、時代の波に翻弄され衰退していく様は、哀愁を感じざるを得ない。。。
    でも、最後の最後までその生き様は変わらないような気がするので、最後の巻が気になります。

  • 【本の内容】
    <1>
    ローマ帝国滅亡後、他国の侵略も絶えないイタリア半島にあって、一千年もの長きにわたり、自由と独立を守り続けたヴェネツィア共和国。

    外交と貿易、そして軍事力を巧みに駆使し、徹底して共同体の利益を追求した稀有なるリアリスト集団はいかにして誕生したのか。

    ヴェネツィア共和国の壮大な興亡史が今、幕を開ける。

    「ルネサンス著作集」中の大作、待望の文庫化、全六冊。

    <2>
    ヴェネツィア共和国は十字軍の熱狂に乗じて東地中海に定期航路を確立し、貿易国としての地歩固めに成功。

    異教徒との通商を禁じるローマ法王を出し抜き、独自の経済技術や情報網を駆使して、東方との交易市場に強烈な存在感を示した。

    宗教の排除と政治のプロの育成に重点をおき、強力な統治能力を発揮した内政にも裏打ちされた「ヴェネツィア株式会社」の真髄を描き出す。

    <3>
    東方との通商に乗り出し、地中海の制海権を握ろうとしたのは、ヴェネツィアだけではなかった。

    アマルフィやピサといった海洋都市国家が次々と現れ、なかでも最強のライヴァル、ジェノヴァとの争いは苛烈を極めた。

    ヴェネツィア共和国は、個人主義的で天才型のジェノヴァの船乗りたちといかにして戦ったのか。

    群雄割拠の時代を生き抜くヴェネツィア人の苦闘の物語。

    <4>
    1453年、トルコ帝国がコンスタンティノープルを攻め落とし、ビザンチン帝国が滅亡。

    東地中海の勢力図は一変した。

    東方での貿易を最大の糧とするヴェネツィアはこの状況にどう対応したのか。

    強大な軍事力を誇り、さらに西へと勢力を広げようとするトルコ帝国との息を呑む攻防、そしてある官吏の記録をもとに、ヴェネツィアの新興ビジネスである観光事業、聖地巡礼旅行を活写する。

    <5>
    十五世紀末、ポルトガルがインドへの新航路を発見という、中世の一大ニュースがヨーロッパ中を駆け巡る。

    トルコ帝国との攻防も続く中、スペインに代表される君主制国家も台頭。

    ヴェネツィアは統治能力の向上による対抗を図るも、「持たぬ者の悲哀」を味わうことになる。
    地中海から大西洋へ。

    海洋都市国家から領土型封建国家へ。

    新時代の幕開けはすぐそこまで迫っていた。

    <6>
    ヴェネツィア共和国はトルコ帝国との争いで、交易拠点を次々に失い始める。

    海外交易市場の主導権もイギリス、オランダに譲り、衰退の兆しは誰の目にも明らかだった。

    そしてフランス革命に端を発したヨーロッパ世界の動乱。

    ナポレオン率いるフランス軍の圧力を前にして、かつて「地中海の女王」とさえ呼ばれたヴェネツィア共和国の命運は尽きつつあった…。

    歴史大作の完結編。

    [ 目次 ]
    <1>
    第1話 ヴェネツィア誕生(蛮族から逃れて;迎え撃つ;聖マルコ;海の上の都;運河;地盤づくり;広場;井戸;国づくり)
    第2話 海へ!(海賊退治;海の高速道路;海との結婚式;交易商品;ヴェネツィアの船;帆船;ガレー船;東方への進出)
    第3話 第四次十字軍(エンリコ・ダンドロ;契約;ヴェネツィアへ;コンスタンティノープル;コンスタンティノープル攻城戦;落城;ラテン帝国;ヴェネツィアが得た“リターン”)

    <2>
    第4話 ヴェニスの商人(交易商人(その一)
    資金の集め方
    交易市場
    マルコ・ポーロだけではない
    定期航路の確立
    海上法
    羅針盤と航海図
    船の変化
    中世の“シティ”
    交易商人(そのニ))
    第5話 政治の技術(共和政維持の苦労;政教分離;政治改革;クィリーニ・ティエポロの乱;「十人委員会」;元首ファリエルの乱;政治と行政)

    <3>
    第6話 ライヴァル、ジェノヴァ(海の共和... 続きを読む

  • 大航海時代のポルトガルの挑戦をうけたヴェネチアが工業や農業にも産業を多角化し、敵であるトルコの拡大も手伝って、香辛料貿易でも再生をしていく話が書いてある。また、スペイン帝国とオスマン・トルコの間に挟まれて、いろいろと苦汁を飲むが、なんとか外交と海戦で存在を維持していく話がはいっている。レバントに至る戦いも紆余曲折で大変興味深い。

  • 第5巻。大航海時代の始まりによる香辛料交易の変化とヴェネツィアの対応。トルコとスペインという領土型2大国に挟まれての攻防・レパントの海戦まで。

  • 塩野七生によるヴェネツィア史(全6巻)の第5巻。この巻は、都市通商国家として繁栄してきたヴェネツィアが、大航海時代と帝国主義の到来により優位性を失っていく中、外交と戦争によって何とか踏みとどまる様を描いた守勢の巻。2大強国であるトルコとスペインに加えて、キリスト教世界の権威である法王庁も加えた駆け引きの結果、レパントの海戦で勝利し、東地中海からトルコの脅威を退けたところで本巻は終了。次の最終巻では、近世から近代に移り変わる歴史の大きな変換点に抗いきれず、滅亡するまでが記述されるのだと思うと、ちょっと切ない。

  • 隆盛を誇ったヴェネツィアも冬の時代にさしかかる。16世紀のヴェネツィアに生きた外交官、ソランツォは言う「強国とは、戦争も平和も、思いのままになる国家のことであります。わがヴェネツィア共和国は、もはや、そのような立場にないことを認めるしかありません」。コロンブスの新大陸発見以来、世は大航海時代の幕を開け(とすれば、地中海は辺境になりかねない)、またその海域でさえも、東には強大なトルコ、西にはスペインという二大帝国の狭間にあって、孤軍奮闘するヴェネツィア。頼みとする人的資源も、何といっても数が少なすぎるのだ。

  •  「はじめに、商売ありき」の合理的な考え方をもっている、ヴェネツィア共和国の1000年に及ぶ歴史について描かれた本。初めに描かれていた第4次十字軍の話はとっても面白かった。自分たちの利益を最大限になるように考えつつ、大国の力をうまく利用していくところがとても面白かった。

     海洋都市であった4国家の比較も面白かった。これにより、ヴェネツィアの異質性がよくわかった。また、ジェノヴァとの戦いは熱いものをかんじた。ヴェネツィアの政治制度であるドージェや十人委員会および国会による権力分立制度はとっても素晴らしいものであり、日本も見習うべきだとは思ったが、この制度が維持できたのはヴェネツィア人の性格があってこそだろう。なぜならば、今の日本の政治家では、このヴェネツィアの方々のように国を想う気持ちはほとんどないだろうから。

     さらに、ヴェネツィアの商魂には驚かされた。トルコとの戦いでの大損を取り返そうと和平条約を締結した際にすぐ大使をコンスタンティノープルに派遣し、そのつなぎに捕虜となっていたヴェネツィア人を使うところもさすがだと感じた。このようにチャンスを逃さない姿勢が1000年繁栄できた要因なんだろう。

     この後、経済的発展に伴って、政治的・文化的に成熟していき、衰退していく。という人の一生だったら充実してやまないような一生だろう。奢れるものというより、平和でありすぎた故の外交感覚のマヒ。今の日本を見ているような気もした。

  • 「人口」という問題で劣勢に立たされるようになってしまったヴェネツィアの苦闘がひしひしと伝わってきて引き込まれました。

  • 交易により栄えたヴェネツィアが最強に見えたけど、気が付けば世界情勢が変わってトルコに押しまくられる年月が続く。トルコに他の国と組んで対抗しようにも様々な思惑がありそう上手く一枚岩にはなれない。歴史って面白いな。

  • 「地中海の女王」と呼ばれたヴェネツィアが常に気にしていたのは東地中海の制海権だった。
    ライバル・ジェノヴァや宿敵・トルコとの戦いに臨んでいたのも、それを確保し、交易権を守るためだった。
    しかし時代は大航海時代へと突入し、世界は地中海から外海へと広がっていく・・・。

    大航海時代到来からヴェネツィア共和国が衰退していく、と勝手に想像しながら読み進めていったら、いい意味で見事に裏切られました。
    ポルトガルやスペインが地中海と介さない外海経由でのインド貿易航路を発見したことから地中海貿易は時代に取り残される、ということな無く、ヴェネツィアは見事にその主権を取り戻したところは読み応えがありました。
    さらに、そこから国を挙げての産業振興に注力し、13~15世紀は交易で、16世紀以降は交易+各種産業で時代の主権を取り続けた、というところも面白かったですね。
    それでも中世の君主制国家の台頭に対して抗いきれなくなってゆき、栄枯盛衰の理に流されてゆく様は寂しいものがあります。
    経済面では失地回復に成功したヴェネツィアも、政治・軍事面においては大国の後塵を拝するしかなかったところは一抹の寂しさを覚えました。

  • 大航海時代とヨーロッパの君主国台頭の始まりに対するヴェネチィア共和国の生き方が描かれている。
    質の高い統治と外交、そして交易を武器に、地中海の強国として君臨してきたヴェネチアが、質より量で圧倒してくる他国の前に、徐々にその支配力を失いつつも、したたかにいくつもの新たな武器を用いて地中海世界での位置を確保する姿が描かれている。

    国土が狭く、資源が無く、周りを強国に囲まれ、自分達の武器を失いつつあっても、自分達に有利な形で物事をすすめていく姿はとても刺激になる。

  • 国家の伝記。感想は6で。

  • ヴェネチアの街が大好きだったので、読みましたが、あまり面白くなかったです。『ローマ人の物語』の最初を読んでいる時は、塩野さんは楽しげな文章を書くのがお上手だと思っていたのですが、同シリーズの後半、および他の数冊に関してはおもしろくなく、題材がいいのだという感想を残念ながら持ちました。ベネチア人も海の男なので、もう少し、冒険活劇の様に盛り上がりをもって書ける作品だと個人的には思うんですが。。。1つ感動する台詞がありました。ナポレオンに迫られて、立場の弱いベネチアの大使がそれでもはなった一言。「ヴェネチア市民である私は、ヴェネチア共和国元老院の命令にしか従いません」何よりも自由を尊ぶローマの最後の燃え残りの様だと思いました。

  • ヴェネツィアの歴史、性質がよくわかる本。陸軍国家と海軍国家の戦略上の違いが見事に解説されている。

  • ・常に新しい物産を開拓して、通商を行う
    ○現実主義者が誤りを犯すのは、往々にして相手も自分たちと同じように考えると思いこみ、それゆえに馬鹿なまねはしないにちがいない、と判断したときである(マキャヴェッリ)
    ○ギブ・アンド・テイクの関係が好い効果を生むのは、相手が絶対に必要としたものをギブする場合
    ○優秀な大量の職人がヴェネチアに移住した理由
     ・戦場になる危険はほとんど無いこと
     ・政情が安定していて内乱の心配がないこと
     ・原料確保と完成品を売るのに有利であること
     ・政府が熱心であること
    ・持たざるものの悲哀

  • 強力な君主制国家の台頭の中を、懸命に泳ぎ回るヴェネツィア。その政策の欠点を認めつつも冷静な視点で論じる筆者は、新たなヴェネツィア史を描いているように思える。

  • 五巻目は大航海時代の到来と、二大帝国の谷間に揺れるヴェネツィアの話。「強国とは、戦争も平和も思いのままになる国家のことであります。わが、ヴェネツィア共和国は、もはや、そのような立場にないことを認めるしかありません。」
    最大の海軍を持っていたヴェネツィアもトルコに一国だけでは太刀打ちできいことが白日の下に晒される。一千年の栄華に崩壊の予兆が現れ始める。

  • 15世紀になると、ポルトガルやスペインが台頭してくる。ポルトガルのインド航路の発見や、コロンブスの新大陸によって徐々に力は、新興の君主制国家に移って行った。地中海から大西洋へと、大きく時代は変わりつつあった。都市国家として頂点に立っていたヴェネツィアの時代の終焉が近付いてくる。

  • 建国以来、ヴェネツィア型共和制を維持発展させてきたのだが、大航海時代、二大帝国の谷間で悪戦苦闘するありさまを綴ったのが、第五巻の内容だ。

    如何せん人口が少ないヴェネツィアが領土が広く、人口が多い大国と闘うには、その限界性が現われてきた時代について描かれている。

    キリスト教圏内であるにもかかわらず、交易の便宜上、イスラム諸国との友好関係を維持しなくてはならない共和国。

    ローマ法王、スペイン、フランスなどから遺憾の意を受けながらも、生きる道を模索し続ける共和国のトップ層。

    内政・外交などなど政治を操る苦悩が克明に描かれている第5巻でした。

  • 強敵であった新興国トルコとの講和がなった。しかし、新たな試練が
    ヴェネツィアを襲う。

    ポルトガルがインドへの新航路を発見したことから、大航海時代の
    幕開となる。

    そして、バスコ・ダ・ガマがインドから胡椒を持ち帰る。貨幣と同等の
    価値のある香味料は、ヴェネツィアの交易品の大部分を占める。

    新たな航路の開拓で、香味料の価格が暴落するかも知れぬ。

    「胡椒ショック」。中世にもこんな経済危機があったのだ。

    干潟に作られた国には、これといった産業もない。交易で生きるしか
    ないヴェネツィアにとっては国の基盤である経済が崩壊しかねない
    状況だ。

    さぁ、どうするヴェネツィア。

    したたかに危機を乗り越えて来たこの国は、新たな手を考えた。

    時代の波は地中海から大西洋へ向かっている。これまでのように交易
    だけに重点を置いていては生き残れない。

    そこで経済基盤の転換を目論む。

    勿論、交易も続ける。しかし、力を入れたのは国内での手工業と
    領有地での農作物の生産だった。

    織物をはじめとする手工業は量よりも質を重視し、安定した高い品質を
    保つ。経済危機を乗り越えるみごとなスライドだ。

    だが、崩壊の足音はひたひたと迫っていたんだよね。

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海の都の物語〈5〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)の作品紹介

十五世紀末、ポルトガルがインドへの新航路を発見という、中世の一大ニュースがヨーロッパ中を駆け巡る。トルコ帝国との攻防も続く中、スペインに代表される君主制国家も台頭。ヴェネツィアは統治能力の向上による対抗を図るも、「持たぬ者の悲哀」を味わうことになる。地中海から大西洋へ。海洋都市国家から領土型封建国家へ。新時代の幕開けはすぐそこまで迫っていた。

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