わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈3〉 (新潮文庫)

  • 356人登録
  • 3.98評価
    • (20)
    • (54)
    • (20)
    • (1)
    • (0)
  • 26レビュー
著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2010年4月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181400

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈3〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 歴史的
    喜劇的
    悲劇的

    これをもって塩野さんはこの「友」を描いたのだろうと最後の一文に思った。

    仕事一筋な、でも自分が望む場所では必要とされなくなってしまったマキアヴェッリ、彼をとりまく人たち、そして祖国フィレンツェの崩壊。
    とても興味深く、全3冊を読んだ。

    塩野さんの他のルネサンス物を読んだ後だったので、あの本やこの本に登場した人達の名前が出るだけで懐かしい気持ちにも。

  • 全3巻の3冊目

    本書の対象時期はマキャヴェリが公職追放をされた1513年から亡くなる1527年まで。

    それまでが、フィレンツェ政府の官僚として政治の表舞台で活躍する姿が描かれていたのに対し、本巻でのマキャヴェリは、著述生活をしながら何とか政治の世界に復帰することを目指す。
    この時期にマキャヴェリの名を後世に残した『君主論』はじめとする著作が書かれ、その意味でマキャヴェリの思索の時代と言える。

    結局復職は叶わないのだが、その間フィレンツェだけでなくイタリアは大国の食い物にされてしまった。
    未だ統一ならないイタリアのある意味中心人物と言えるクレメンス7世は何も決められず、いくつもの好機を逃し、フランスやイタリアのなすがされるままなのがもどかしい。

    塩野さんが1527年のローマ略奪をもってルネッサンスの終焉であるとしたのは、何も文化財の破壊や芸術家の離散のゆえだけではなく、近代化しつつある大国を前に輝きを失ったイタリアを見たからなのかもしれない。というのは、ルネッサンスを産んだイタリアは都市国家や小国に分裂したままで、フランス、スペインのように中央集権化を成し遂げつつのようにはならず、政治の中心も芸術の中心も、こののち北へ移動してしまうからだ。

    その同じ年にマキャヴェリが亡くなったのは、偶然にしても何だか出来過ぎのようで面白かった。

  • マキアヴェッリ3巻目。マキアヴェッリが君主論・政策論を書くにあたり、何を考えたのか?その人生とフィレンツェの興亡を交え、その思考と境遇を深堀していく。
    政界から追放されてもなおそこに戻ろうとするも、最後までその努力は実らず、結果その情熱を物書きとして昇華していったのは皮肉でもある。
    ヴェネツィアの興亡をすでに読んでいたので、ルネサンス期の情勢がよくわかりました。

  • いよいよフィレンツェが滅亡する。
    ルネサンスが終わる。
    マキアヴェッリが亡くなる。
    悲しい。

    あらゆる者の終焉は悲しい。
    すべてのものに終わりは来るものなのだけれど。
    マキアヴェッリの人生を辿る旅は
    そのまま都市国家フィレンツェの存亡に重なり
    ルネサンスの栄枯盛衰に連なり
    イタリアの没落を告げる。

    都市国家を中心に栄えたイタリア。
    そこではルネサンスが花開き
    人々は陽気に生き
    有能な政府事務官であったマキアヴェッリは
    フィレンツェの発展に尽力した。
    しかし、周辺で勃興する中央集権体制の国家
    フランス、スペイン、トルコ、イギリスが
    次第に都市国家の集合体であった
    イタリアを蹂躙しだす。
    難しい舵取りのこの時期に
    フィレンツェの命運を握る
    メディチ家から出た法王クレメンテ七世は
    悪い方へ悪い方へ決断をする。
    そして、最後にはフィレンツェのメディチ家は追放される。
    その直後、マキアヴェッリは亡くなる。
    五十八歳だった。
    すべてが呼応したようなこの終焉。
    ルネサンスの幕切れは新たな時代に席を譲るのだった。

    人間的な、あまりに人間的なマキアヴェッリ。
    それを描きだした冷静で緻密な塩野氏の筆に
    読む者は心を打たれずにはいられない。

  • 求めても得られない活躍の場。
    純粋に政治の世界で実践の機会をうかがっていたマキャベリの最期に切ない気持にさせられる。

    いかに能力を持っていたとしても、風向きが悪く、立ち行かなくなってしまうことがある。そのときどうするかで真価が問われる。

    別の道を探すか、風向きが変わるのを待つのか。

    マキャベリ=君主論しか、頭になかったが、それ以外の人間らしい面が存分に楽しめた。本書に感謝。

    次は、イタリア史か趣向を変えて東方見聞録にチャレンジ。

  • 最終巻フィレンツェ書記官を罷免され、君主論、政略論の著述や喜劇作家としての期間。友人との往復書簡等を通じて、非常にマキャベリを魅力的に書いています。解説が佐藤優氏というのが、マキャベリと佐藤氏の境遇があまりに似ているため笑えます。

  • 「君主論」とか「マキャヴェリズム」とか、かたくて難しくて全然読む気になれないと思ってたけれど、マキャベリは親しみのもてるオッサンだったし、チェーザレを読んだ後だと君主論もすごく読みたくなった。

  • やっぱり面白かった

  • 学生時代から読み続けてるので、塩野七生さんだから読み始めました。塩野七生さんのマキアヴェッリへの愛情が溢れる分、ちょっと読みにくい感じでした。
    でも私は塩野七生さんもマキアヴェッリもかっこいいです。

  • マキャヴェッリの名前すら知らなかったのに、祖父の書斎に並んであった「君主論」をなんとなしに手をとったのは中学か高校の頃だったと思う。

    そのとき読んだのは背表紙にあるあらすじだけだった。「権謀術数」、「目的達成のためには手段を選ばないマキャベリズム」、そういった言葉だけが残り、それがそのまま私のマキャヴェッリという歴史上の人物のイメージとなっていた。

    彼の思想を一言に要約すると確かに「権謀術数」という言葉が最も近いのだろう。けれども、「権謀術数」という言葉があまりにも冷酷な響きを持つ強烈な言葉であるために、浅薄な知識しか持たない私は、マキャヴェッリを誤解してきたのだと思う。マキャヴェッリの著作を一冊も読んだことのない私に彼の思想を論じる資格はない。けれども、彼の思想が「権謀術数」という言葉に要約される過程でそぎ落とされたもの、つまり彼の思想の理論的裏付け、彼の生きた時代背景や書記官としての政治的体験などを知ることなしにマキャベリズムという思想は理解できないのではないか、とこの本を読んで感じた。また、彼の政治思想は毒性が強く、わずかな調合ミスでも身を滅ぼしかねない種のものであり、高度な政治の技術(アルテ)なしには使いこなすことのできないものであるとも思う。現に、マキャヴェッリの若き弟子たちは、ジュリオ・デ・メディチ枢機卿暗殺を計画するも失敗、2人は斬首刑、命の助かった陰謀参加者もフランスに逃亡、財産没収刑に処せられている(3巻、p93~102)。

    彼の思想は宿命的に誤解されやすく、それゆえに人間としても後世の人々に誤解されやすい。「権謀術数」という言葉に引きずられ、「冷酷」というイメージの付きまとう、そんな歴史上の人物を、“学者とちがって自分の眼前に情景が浮かんでこないと承知しない” (3巻、p64)という塩野氏らしく、血の通った、生きているマキャヴェッリの描写に成功し、彼の人間的な魅力を余すところなく読者に伝えている。あとがきが政争に敗れた元外務官で作家の佐藤優氏であるのも面白い。あとがきを書く人を誰が決めるのか知らないが、マキャヴェッリを連想させるような経験を今の時代にした佐藤氏が書くことによって、時間軸を超えた親近感をマキャヴェッリに感じることができる。

    まったく、マキャヴェッリは21世紀に塩野七生氏という、大変良き「友」を得たものだと感心する。

  • 三巻の読後感は、ちょっとした山を登り終えた感じだった。マキャベリの君主論には随分前から興味を持っていたが、当時のヨーロッパ史について疎い私にとってはそれなりしんどい作業であった。それでも読み終えて爽やかな気持ちになれたのは、冷たいイメージのあったマキャベリが、至極人間臭く感じられたからだった。またしばらくして読み返したいシリーズでした。

  • 11/9/4
    メディチ家が再びフィレンツェで権力を握り、マキアヴェッリは官僚を辞めさせられる。君主論執筆。ドイツ・スペイン対フランス。コニャック同盟でイタリア同盟軍はフランス側に。外交上の不手際でイタリアがスペイン軍の戦場に。イタリア同盟軍は法王クレメンテ7世の無能さもあり、戦わずしてローマは占領される。ローマ略奪。法王とスペイン王カルロスとの講話によりイタリア半島はスペインのものに。
    上層部の無能さが本当に国を滅ぼす事を実感。恐ろしい。

  • なるほど。波瀾万丈な訳ですな。
    マキアヴェッエリ。。

  • 色々と祖国のために動いても、最終的にはマキャベリの思惑通りには進まない状況になっていく姿が悲しかった。
    「この墓の下に、彼の骨はない。」という一文がより深い感慨を抱いてしまいました。

  • 電車待ちの間に読んでしまった。面白くて、涙が出ました。

  • 題名から、最初は歴史小説だと思った。

    しかしこの書は、評伝だった。

    しかも著者が「友」として、 マキアヴェッリの生涯を愛溢れる筆致で綴った、素晴らしい作品だった。

    ルネサンス花盛りのフィレンツェに生を受けたマキアヴェッリが、日に日に傾いていく都市国家フィレンツェの官僚として東奔西走するも、時代の流れと政争に巻き込まれて失脚し、ついには代表作とも言える「君主論」を書く他なくなってく過程を、丹念に、時には大胆に、しかし常に愛ある言葉で描写している。

    都市型国家の時代から領土型国家への移行期に当たる15世紀末から16世紀初頭にかけて、すでに領土型に移行してたフランスやスペインと、都市型からの脱却ができなかったイタリア半島諸国の、明確に「勝者」と「敗者」にわかれていく中で、その「敗者」になりつつある立場にたったマキアヴェッリが、何を見、何を考えたか。
    そして、それがいかに彼の著作に影を落としてくのか。
    それこそが本作の最もキモで、著者が最も表現したかったところだろう。

    本書を読んだら、すでに読んだことがある人もない人も「君主論」を紐解きたくなるだろう。

    ああ、同じ塩野氏の「チェーザレ・ボルジア あるいは華麗なる冷酷」、「海の都の物語」も読み返したくなってきた。

    こうして物語は続いていく。

  • マキアヴェッリ(世界史の教科書で肖像画がキモいという定評)が生きた時代の
     マキアヴェッリの個人史
     フィレンツェの変遷
     イタリア半島の国際状況
    がかなりよくまとめられている。

    個人の考え、それを醸成したフィレンツェの環境、及びイタリア内の都市国家の関係、さらにイタリアを取り巻くドイツ、フランス、スペインの国際関係のかなり違う階層の話をうまく繋げている。

    マキアヴェッリのかの有名な「君主論」ができるまでの話という感じだけど、そこに歴史を織り込むのがやはりうまいなー。

    ルネッサンス時代のイタリア史の勉強にも役に立つ。

  • 君主論しか知らなかったが、ノンキャリ官僚で失業後、君主論、政略論、戦略論を書いた人間マキャヴェッリには現代と変わらない人生があった。当時の社会・制度、暮らし、彼の人柄、都市国家フィレンツェの終焉など、いつもながら、塩野氏の本は興味深い。

  • この本を読んでマキアヴェッリの印象ってぜんぜん変わった。

  • 役人から著述業に変わったマキアヴェッリが時代の流れと共に書かれている。
    都市型国家から領土型国家への移行期。
    フランスとスペインの野心の標的になるイタリア諸都市が直面する危機に対する施政者の無能ぶりが読んでいて哀しくなる。
    マキアヴェッリのように冷静に情勢判断が出来る人間には権力が与えられず、その能力の些か足りない人々が権力を握る、と言うのはフィレンツェにとって最大の不幸だと思う。

  •  公職を追放され、文筆家として歩み出したマキアヴェッリの後半生。帯の惹句を引用すれば、「一人の官僚が去り、政治思想家が生まれた」というわけです。
     ほとんど自主的に山荘に隠居して、あとは田舎で著作に励んでいたのかと思いきや、第二部よりも活発に思えるくらいちゃんと友人と交流している様子に少し驚きます。相手は、有名な往復書簡の相手でローマ駐在大使のヴェットーリ、「オリチェラーリの園」の若者たち(主要メンバーはのちにメディチ家に対するクーデターを起こす)、新興成金ドナート・デル・コルノ、『イタリア史』を残したエリート官僚グイッチャルディーニ(この人との往復書簡も楽しい)など。
     マキアヴェッリの友人として名高いのがグイッチャルディーニであってヴェットーリでないのはなぜかということを説明する箇所がおもしろい(p.144)。ヴェットーリは、第一巻の序章でも紹介されていた、「イタリア文学史上、もっとも有名で美しい手紙のひとつとされている」マキアヴェッリの手紙(「わたしは、田舎の家(ヴィラ)にいる……ここでは、日の出とともに起き、森へ行く」というやつ)の受取人だった人なのだけれど、自分との往復書簡の所産である『君主論』に熱心な反応を示さなかったことで後生の研究者からは冷遇されているようです。
     歴史書を読んでいると、ある時代を体現する人物というのが必ずいて、その人の死とともに時代も終焉を迎える、ということがよくあります。マキアヴェッリとルネサンスの関係もそうだったのだと、読み終えて思いました。

  • 栄枯盛衰で言うなら間違いなく下り坂に向かう頃のお話。
    読んでいて少し辛くなるけれど、思索を深めていくマキアヴェッリの姿を眺めるのは楽しい。

    若者たちとの交流や、再び政治の世界に係わりだしたマキアヴェッリは活き活きとしている。
    しかしいかんせん、時代を定める者(マキアヴェッリではない)が無能だった様だ。

    この作品では徹底的に無能な印象だったあの彼は、
    他の作品ではどんな扱いだったのか気になる。

    神の代理人や海の都の物語なども読んでおくと楽しいかもしれない。

全26件中 1 - 25件を表示

塩野七生の作品一覧

塩野七生の作品ランキング・新刊情報

わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈3〉 (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈3〉 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈3〉 (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈3〉 (新潮文庫)はこんな本です

ツイートする