ルネサンスの女たち (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2012年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181417

ルネサンスの女たち (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 『ローマ人の物語』で古代ローマを描き切った塩野七生さんのデビュー作、
    後書に1969年とありますからもう40年以上も昔の一冊ですが、決して古臭さはありません。

    "デビュー作にはすべてがつまっている"とはよく言ったもので、
    史料に溺れることなく、人の営みとそこから出てくる"歴史"を魅力的に描き出しています。

    - 女を書くことは、結果として歴史の真実に迫ることになる。

     イザベッラ・デステ:夢もなく、怖れもなく
     ルクレツィア・ボルジア:皇帝か、無か
     カテリーナ・スフォルツァ:イタリアの女傑
     カテリーナ・コルネール:まずはヴェネツィア人、その次にキリスト信者

    本作は15世紀から16世紀にかけてのルネサンスを生きた、4人の女性を題材としています。
    彼女たちを描くことで、周辺で歴史の"主役"となった男たちも、自然と描き出されています。

    面白いのは、垣間見える性格も成したことも全く違うにも関わらず、どこか共通点を感じる点でしょうか。
    この辺りは『ハーバード白熱日本史教室』でも見出せて、非常に興味深い視点です。

    - 女は男の被害者とはかぎっていない、と思っている

    男性だから、女性だから、との区別(言い訳)に依存することなく、
    あくまで一個の人としての在り様をみつめている、そこは塩野さんらしいといえばらしい。

    人は愚かでもあり強かでもあり、そして運命の前には無力でもある。
    それでも営みは続いていて、それがまた愛おしくてしょうがない、なんて。

    ご本人は冒頭で「若書き」なんて諧謔を込めていますが、
    こうも仰っています、"若さゆえの未熟にも、良いところはある"と。

    ん、ローマ人を再読したくなりました、特に10巻を。

  • ルネサンス期の女性4人の人生が描かれている。イタリアの中世、小国公国が群雄割拠する中、政略結婚のコマとして使われながらも、一国の当主や女王となり、男性相手に渡り合ってきた女性の話。ある意味、女は強いなぁと思ったり。男はズルイなぁと思ったり。

  • 空港で買ったけど、飛行機乗ってるときに小説を読んでると、搭乗券やらもろもろの紙をなくさないことを知った。

    4人の女性―マントヴァ侯爵夫人イザベッラ・デステ、教皇アレクサンデル6世の娘ルクレツィア・ボルジア、イーモラ及びフォルリの女領主カテリーナ・スフォルツァ、キプロス女王カテリーナ・コルネール―を通してイタリア・ルネサンスの政治の芸術(アルテ)を描く。
    その中で抗った女・流された女・戦った女・利用された女。

    塩野七生の書き方は、歴史書とも小説ともエッセイともつかないものだけれど、今回読んでみて思ったのは、研究者が自分のおもしろいと思ってることを親しい人に楽しさのあまりしゃべってるのに近いかもしれない、ということ。
    だから、本人が一番おもしろいネタだと思ってることに関して書かれていることが一番おもしろい。
    こういう書き方って、『空海の風景』とか「余談だが…」とかいうときの司馬遼太郎に似ている。

    正直、ルクレツィア・ボルジアとカテリーナ・コルネールについては、その周り(ボルジア家/ヴェネッツィア共和国)のほうが氏が好きなので、彼女らについてはほとんど蔑ろといっていいくらいな書き方だった。
    やっぱり圧巻はカテリーナ・スフォルツァで、美しく残忍、そして賢く大胆、という彼女を余すところなく読まされ、そこだけはページを繰る手が止まらなかった。

    最初に出版されたのが1969年というなんとも近現代の画期の中であって、学習院大を出た後イタリアで遊学(!)していた29歳の彼女にとって、女は小さくおろかな存在らしい。ルネサンスという男の政治が芸術的に花開いていた時期の女たち、というのは基本的に賞賛したり自分を重ね合わせたり肩入れするようなものではないらしく、ここまで詳細に書く割に案外冷めた目で見ているのがうかがえるのがなんともまた塩野流で、肩透かしをくらいながらも、やっぱりおもしろいのです。

    地図や系図が豊富なのも、非常にうれしい。

  • 当時のマントヴァ公国王妃・イザベッラ・デステ。
    マントヴァ周辺の国とその国交を綴っていますが、情感は殆ど排除された、淡々と史実を載せている感じの文章。
    読み易いかといわれれば、歴史小説に慣れていない私にとってはそうでもなく、地図を辿っていかないと全貌を把握するのは難しいくらい当時の情勢は入り組んでいて複雑です。
    作者はこの作品に取り掛かったのは20代、これだけの背景を調べ上げる力量って物凄いものだなと感じましたが、小説として機能してる読み物かどうかというと?

    超現実主義であり徹底した合理主義、当時の教会主義の理想主義の思想とは相容れないような生き方、ただ現実に淡々と対処していくより他のない生き方を強いられ、放りだすこともなく最後まで人生を全うした賢明で強かな女性のお話です。
    イザベッラが憧れ愛したローマの国が荒廃していく時ですら、冷静で、淡々とした王妃のたたずまいを感じます。

    息子フェデリーコを守りあげるための母としての、一国の王妃としての粘り強く賢明な行動が書かれていましたが、
    そこから、この女性の相当な強かさ、熱心な宗教者にも負けず劣らずの愛情深さが垣間見れました。

  • 面白かった。ルネサンスの時代は、女も、非常に生き生き、生きていたんだなと。

  • 各章の扉にある肖像画、モットー、家系図が参考になる。

  • 読書日:2016年10月20日-25日
    15世紀後半から16世紀前半に"Renaissance"と評されるItaliaに生きた四女性の生涯が描かれている。

    芸術を愛した快濶な侯爵夫人Isabella d'Este、
    ローマ教皇Alexander VIの娘、兄にCesare Borgiaを持つLucrezia Borgia、
    女性であり乍ら性格は雄々しいCaterina Sforza、
    故郷Venezia共和国の駒とされたKıbrıs女王Caterina Cornaro

    兄Cesareが居てこそのLucrezia Borgia、
    Sforzaの方のCaterinaは、男性陣にスカートの裾をめくり大凡貴族令嬢らしからぬ言葉を言い放った姿が非常に印象的でした。
    Kıbrıs女王のCaterinaは、挙式4年後に嫁ぎ先のKıbrısへ行けた時の容姿と、退位後の容姿が真逆である事が衝撃的でした。

  • 男にも種類があるように、女にも種類があるのだなと思う。
    権力を持たせると強さを発揮したり、そうでなかったり。
    いつの時代も女には種類があるのだな。

    今の世の中に照らし合わせると面白いかも。
    塩野七生さんの小説はまさに歴史をどう今に反映させるかを考えさせられる。

  • いつかイタリアに行く準備。
    美しくて無力なお姫様が好きなので、ルクレツィアがいーなー。

  • ルネサンス期のイタリアに生きた4人の貴婦人を描く。
    小説といえば小説なんだろうけど、史実をなぞり塩野解釈でそれぞれの女性を魅力的に、そして現代人にも身近に理解できるよう描いた解説書とも言える。

    そう、よくも悪くも解説書に読めてしまうんだよなぁ。
    ローマ人の物語が「やっぱり史実って小説よりも奥深くて面白くて勉強になる」と思えたのに比べて、本書は小説的な面白みに欠けるように思った。俺自身の基礎素養の貧弱さと「ローマ人の物語」に比べて圧倒的にボリュームが足りないのが原因だとは思うが、初期作品でもあるし、筆がこなれていないこともあるのかも知れない。これから塩野作品を読み勧めていくことで、俺の基礎素養は多分あがるだろうし、塩野さんの筆もこっちは間違いなくこなれていくのだから、これからが楽しみだということ。

    最後に登場するカテリーナ・コルネールが印象に残った。ただ情勢に流されていくだけの言ってしまえば毒にも薬にもならない女王が。気がつけばキプロスという国を滅ぼしているのだから・・・。楊貴妃を傾国の美女と言うがカテリーナは贅沢もなければ男をもアド和すこともないのに、ヴェネチアという国が黒幕であったとしても、ある意味すげえ女性である。

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ルネサンスの女たち (新潮文庫)の作品紹介

若々しく大胆な魂と冷徹な現実主義に支えられた時、政治もまた芸術的に美しい。ルネサンスとはそういう時代であった。女たちはその時、政争と戦乱の世を生き延びることが求められた。夫を敵国の人質にとられれば解放を求めて交渉し、生家の男たちの権力闘争に巻き込まれ、また時には篭城戦の指揮もとる-。時代を代表する四人の女の人生を鮮やかに描き出した、塩野文学の出発点。

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