- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181554
感想・レビュー・書評
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「ザマの会戦」で決着。戦後のスキピオの運命も興味深い。
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カルタゴのハンニバルがアルプスを超えてローマ領に進軍する。一時はローマ周辺まで攻め進めるのだが、周辺都市の協力を得られないがために断念する。このチャンスを逃し、ハンニバルはイタリア南端で孤立することになる。ハンニバルは結局ローマ陥落をはたせず、進軍から15年後にカルタゴに帰還することになる。その切っ掛けとなったのがローマの若き英雄スキピオなのである。彼はハンニバルのいないカルタゴを攻め込むことで、ローマからカルタゴ軍を帰還させようと企む。思惑は達成されれ、スキピオをハンニバルの決戦の火蓋はきられた。この戦いはスキピオの勝利で幕が閉じられる。
カルタゴは敗れはしたが国が滅ぶことはない。その政策は当時のローマが周辺国の覇者になれた理由なのである。二人の英雄の晩年はさびしいがこの物語が史実にもとずくものであるならばとても感動的な話である。 -
“アルプス越え”で名高いハンニバルと言えば、強大なローマ帝国(実はまだ共和制)に敢然と立ち向かった英雄とうイメージだったが、印象が大きく変わった。英雄と言うよりは孤高の人。十六年に及ぶ歳月を戦地イタリア半島で送ったが、天才であるが故、畏怖はされど、参謀・後継者には恵まれなかった。唯一の後継者と呼び得る存在が、若き敵将スキピオだったとは歴史の何たる皮肉か。彼は自分を戒める為、戦地に於いては部下と共に木の根を枕に夜を過ごしたと言う。♪さあさ火を焚け ごろりとままよ 木の根枕に 嶺の月…♪(北原白秋 守れ権現)
『その年、彼は四十四歳になっている。イタリアに進攻してから、十六年が過ぎようとしていた。』、『十六年の間にハンニバルが補給を受けることができたのは、わかっているだけにしてもただの二回でである。その間、彼は、三万はいた軍勢をどうやって維持したのであろうか。』φ(.. ) 2012年10月16日 -
ローマは人材に恵まれている。適時適材でちゃんとそうした人物が現れるところがすごい。しかも、ローマという国が、その現れた人物をうまく使いこなしているところもすごい。一方、カルタゴは人材に恵まれながらも全く使いこなせなかったということだろうな。ローマが最大の危機を乗り越えて、意図せず(?)地中海を制覇していくのはストーリーとしてとても面白かった。
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ハンニバルという作用があって、ローマの興隆と言う反作用が生まれたと思わされる第5巻。ハンニバルとスピキオという英雄の活躍も幕を閉じ、カルタゴは滅亡する。諸行無常を感じさせる。
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2012.8.5
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カルタゴの滅亡が余りにも哀しい。この巻が有名なザマの会戦を描き、スキピオとハンニバルのその後を著しているにも関わらず、滅亡を眼前にしたスキピオ・エミリアヌスの言葉が最も胸を突いた。
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前巻からスペインで活躍していたスキピオが敵の本拠地カルタゴでハンニバルと戦う。
実際の会戦になる前に、騎兵の数からして勝負がついていたのかもしれない。とはいえ、その状態にまで持っていったスキピオがすばらしいんですがね。
第2次ポエニ戦役が終わってからは、戦上手になったローマに向かうとろこ敵なし状態。ギリシャや更に東で戦闘があっても、数的不利をものともしないほどの戦上手になっている。これは、地中海に2箇所しかない主要な騎馬生産地を押さえているというのもかなり効いているんだろうけど、ほんの50年やそこいら前にハンニバルに攻められてすわ崩壊か!、というところまで行っていた国とは思えないほどの変貌ぶり。 -
第三次ポエニ戦役とその後までの巻。スピキオとハンニバルが舞台から降り、徐々に帝国主義に傾き始めるローマと滅亡するカルタゴ。英雄の活躍も歴史の1ページ、だということが、このいわゆるハンニバル戦役を通して感じられました。
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読書日:2012年6月8日-10日
Title in Italiana:BELLUM HANNIBALICUM.-RES GESTAE POPULI ROMANI-
ScipioとHannibalの最期は余りにも……。
同じ年に亡くなったのも天命でしょうか。
Scipioは国を想い、国の為に戦ったのに死ぬ直前は国を憎んで。
失脚は本当に必要だったのか、読了後の今も悶々としています。
豊穣の国Carthāgōのまさかの滅亡。
其処迄する必要があったのかと、Scipio失脚同様悶々としています。
Hannibalと16年間辛苦を共にした兵達の心遣いと、
Scipio Aemilianusが壊滅するCarthāgōを眺めて呟いた一言が今巻の癒し所です。