ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上) (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2002年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181561

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ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • ハンニバルとスキピオの時代が終わり、その子供・孫の時代になって来たが、ローマの軍事力の低下、特に、軍人不足からくる戦力の低下を食い止めるためにも低所得者からも軍の参加を求めだした。

  • グラックス兄弟は先見の明があったがやりかたがまずかったと。あまりにも先を見通しすぎていて周りがついてこれない状況では慎重にことを進めないといけませんね。

  • 護民官グラックス兄弟の改革とスッラ体制。カエサル登場前のローマ内政の混乱を描く2巻。

  • グラックス兄弟という貴族出身で改革を起こそうとして凄惨な仕打ちを喰らう兄弟の話と、その後のマリウス・スッラという2代将軍の話。しかも皮肉にもグラックス兄弟が行おうとした改革はマリウスの時代に、目的は元老院体制の維持なのに結果として実現するという話

    人間とは、食べていけなくなるや必ず、食べていけそうに思える地に移動するものである。これは、古今東西変わらない現象である。この種の民族移動を、古代では蛮族の侵入と呼び、現代ならば移民の発生という。古代ローマも、この種の民族移動を、ローマが存続しているかぎり忘れることは許されなかった。食べていけなくなった人々の移動が、平和的になされるか暴力的になされるかは、たいした違いではない。いかに平和的に移ってこられても、既成の社会をゆるがさないではおかないがゆえに、民族の移動とは、多少なりとも暴力的にならざるをえないのである。P147

    護民官ドゥルーススの最後の言葉は、次の一句だった。「ローマ人はいつ、自分のような人物をもてるのか」恵まれた階級以上に頑迷な守旧派と化す「プアー・ホワイト」は、いつの世にも存在するのである。P179

  • グラックス兄弟のエピソードがせつない。

  • 前巻でハンニバルを下し、各国を滅ぼして地中海世界を制覇したローマ。
    そしてこの不吉なサブタイトル「勝者の混迷」。

    手を広げまくって収拾つかなくなったり、既得権にしがみつく連中のせいで停滞したりでローマもボロボロになったのかなと思って読み進めたが、ちょっと違った。
    あながち間違ってはいなかったけど、大人物はいつの世にもいるのか、それともローマは傑物を輩出するシステムがよくできているのか。
    前巻「ハンニバル戦記」が人気だし、次巻からはユリウス・カエサルが出て来るという谷間の巻でもあるのであまり期待していなかったが、中々読み応えありだった。

  • 建国から600年を経て地中海の覇者となったローマですが、その少数指導制という共和政体システムに機能不全が起こりつつありました。経済の格差は現代の世の中で問題になっていますが、この頃のローマでも富裕層と一般市民の間で生じてきました。それを改革しようとして、若くして非業の死を遂げたグラックス兄弟。その経緯は二人ともとなると胸が痛みました。この改革は70年後ユリウス・カエサルによってようやく日の目を見ることになるようです。この物語は2000年以上前の人の世の話ですが、繰り広げられる顛末は現代の政治経済、社会で共通する中身ですから、とても考えさせられます。

  • 「勝者の混迷」いつの時代にも繰り返す。日本の日露戦争後が頭に浮かんだ。

  • 読書録「ローマ人の物語6文庫版」3

    著者 塩野七生
    出版 新潮社

    p48より引用
    “多くの普通人は、自らの尊厳を仕事をする
    ことで維持していく。ゆえに、人間が人間ら
    しく生きていくために必要な自分自身に対し
    ての誇りは、福祉では絶対に回復できな
    い。”

    目次から抜粋引用
    “グラックス兄弟兄弟の時代
     マリウスとスッラの時代”

     歴史作家である著者による、歴史に大きな
    足跡を残した古代ローマについて記した一冊。
     スキピオの孫の活躍から大きな内輪もめに
    ついてまで、史実と著者の主観をまじえて書
    かれています。

     上記の引用は、ローマに生まれた富の格差
    について書かれた項での一節。
    食べ物やお金が満たされているだけでは、人
    は人ではいられないということでしょうか。
    人はパンのみにて生きるにあらずとは、こう
    いう事も含んでいるのでしょう。
     大きな戦いを終えて、周辺を支配下に置い
    たら置いたで、内側からまた違った悩みが湧
    き出してくる。
    現在のニュースを見ていると、今も昔も人や
    その集まりが持つ悩みは、全然変わらないの
    かもしれないなと思います。
     前巻までの展開と違って、なんともグダグ
    ダとした揉め事が書かれていて、より好みの
    別れるないようなのではないかと思います。
    ドロドロとしたドラマが好きなならば、より
    面白く読める巻ではないでしょうか。

    ーーーーー

  •  ローマ人というゲス野郎どもは、2000年後の我々にとって最も優秀な反面教師である。
     祖国の父と讃えられ増長し、裏から国家を操り私腹を肥やす元老院。例え国家が衰退しようとも自分たちの利益になる政策であれば、それを打ち出した為政者には喝采を。しかし全体の利益となるような法でも自分たちに傷みを強いる賢人には罵声を持って応じるローマ市民。これらの癌はローマを瞬く間に最低の蛆虫国家から底なしの愚劣国家へと変貌させた。
     耳を疑うことに、このドブ川でドブを洗い流し、にも関わらず最後まで残ったしつこいドブのようなローマ人は、天候の不安定により援助を求めて移動してきたガリアの難民たちを蛮族と呼び捨て30万人近くの大虐殺をやってのけたというのだ。このような野蛮極まる民族が、我々が暮らす愛の惑星・地球に存在してもよいのか? 現代の我々が考えるように、古代人も同じように考えたに違いない。
     高慢、傲慢、尊大、不遜。ローマ人を表す言葉としてはどれも適切ではあるものの、あまりに温すぎる。
     武力によって屈してから200年。イタリア半島の都市国家群は一度たりともローマを裏切ったことはなかった。ハンニバルが侵入したときも、ローマが帝国主義に進み対外戦争に明け暮れたときも、イタリアの都市国家群は黙ってそれを支援した。それが約束だったから。ローマ人と同等の権利と義務を有すローマ連合の諸国は固い絆で結ばれた仲間であったのだ。
     それなのに……。今やローマ市民権は特権階級の証となり、同じだけの軍隊を、出血を、義務を求めるにも関わらず権利は同等ではなくなっていた。
     ガリア人の虐殺、他国への内政干渉、自国民の暗殺、そしてローマ人による既得権益の死守。この蛮行に最も心を痛めたのは、他でもない。200年間もの間ローマと肩を並べ共に戦ってきたイタリアの都市国家群であった。彼らはついにローマ連合解体へ向けて梶を切った。いい加減にしろよローマ人、どこまで堕ちれば満足なんだ。我々のいないローマ連合など、味の薄いワイン程度の価値しかない! 思い知るがいい、傲慢なる者どもよ!
     後に同盟市戦争と呼ばれる、イタリア半島で繰り広げられた実質上の内乱はこうして始まった。
     この戦争が長引けば長引くほどローマの覇権は不安定となり、近隣諸国は独立国へと返り咲くことができるだろう。この機に乗じて暴君ローマの鎖から解き放たれるのだ! 自由と正義と平等は何よりも貴い! 俺たちにつづけ地中海諸国! 勝って乾杯ワインといこうじゃないか! 
     次回『ユリウス法、成立』――私もあなたもローマ人

  • 【資料ID】163014
    【分類】232.4/Sh75 /6
    地理・歴史のコーナーに並んでいます。

  • カルタゴ滅亡後、元老院の腐敗、グラックス兄弟の改革と挫折、マリウスとスラの登場。

  • 社会制度に行き詰まりを感じているローマ。その行き詰まりをどうやって解消していくかの話となります。ただ決して堅苦しい内容にならないのは見事でした。

  • 紀元前2世紀半ば、強大国であったカルタゴを滅亡させ、ローマは地中海世界の覇者と呼ばれるようになっていた。しかしそのローマも次第に内部から病み始める。名称スキピオ・アフリカヌスの孫であり、若き護民官となったティベリウス・グラックスは、改革を断行すべく、強大な権力を握る元老院に挑戦するが、あえなく惨殺される。遺志を継ぎ護民官となった弟ガイウスの前にも「内する敵」は立ちはだかる。

  • グラックス兄弟は兄ティベリウスも弟ガイウスも失業者と化した元自作農民の救済(農地改革)を図るが、共和制を護持したい元老院や富裕階層に疎んじられ、相次いで惨殺される。

    その後に登場したマリウスは、ヌミディアやスペインでの外患を鎮める傍らで志願兵システムを導入し、意図せず失業者問題を解決してしまう。

    だが、ポエニ戦役後には、ローマ覇権を拡大するためだけの軍役が同盟諸都市にとって不公平な負担となり、いわゆる市民権問題が深刻化した。

    この同盟者戦役は泥沼の内戦となりかけたが、結局はローマが同盟者たちに市民権を与えることで政治的に解決されることになる。

    内外の困難を試行錯誤で乗り切るローマは、まさにこの時期に世界覇権国家へと成長していったようである。

  • ハンニバルとスキピオっていう、期待の名優が歴史の舞台から去って、残された者たちの試行錯誤の物語。カルタゴが灰燼に帰したあたりから、ローマの脆弱性が見え隠れするようになってきた感じだけど、圧倒的指導者を失って、いよいよ内部の収拾がつかなくなってきた。さて。

  • 「しかし、余裕がある時代-先々のことを考えて対策を立てる余裕のもてた時代-は、侵入を待ち受けるのではなく、自分から蛮族の住む地に出向き、彼らを征服するやり方をとった。」

    不満の矛先が外にないと、それは内側で爆発する。

  • ハンニバル戦役を終えて、次なる時代のローマまでの過渡期であると同時に、ローマの体制そのものが大きく変化しようとする時期の物語。この巻は「勝者の混迷」と題されているが、戦役が外に向かうものであるのに対して、ローマ人は自らの内にあった内政の危機を様々な苦難を経て乗り越えてゆく。しかし、政治とはつくづく難しいものだと思う。ローマの将来にとって正しい政策と理想を掲げ、すべてを投げ打ったグラックス兄弟は、共に非業の死を迎えなければならなかったのだから。おそらくは、それもまたローマにとっては必要な犠牲だったのだろう。

  •  カルタゴを下し,地中海を内海にし,勝者になったローマですが,その急速すぎる勢力拡大は,ローマに数多くの歪みを,それも勝者であるが故の歪みをかかえてしまうことになります。この歪みに起因するローマを襲った社会問題とその解決が,III巻「勝者の混迷」の物語です。上巻は問題を認識しその解決策をはじめに提示したものの殺されて頓挫してしまうグラックス兄弟の話から,その後にローマ政界に登場し,軍制改革をおこなうことで失業者対策をしたマリウスの話が中心になっています。
     タイトル通りの「勝者」となったが故の「混迷」も,まだ問題が具体的になりはじめ,解決策がいくつか提示されるもののその解決には到らない状態です。この問題が解決されるのは,もう少し先に登場する「歴史はときに,突如一人の人物の中に自らを凝縮し,世界はその後,この人の指し示した方向に向かうといったことを好むものである。」とヤコブ・ブルクハルトが言う人物の登場を待つことになります。それはまだ先の話です。

  • グラックス兄弟の無残な最期は印象的。
    スッラがローマに軍を向けたときの所業といい、正義は常に正しいとは限らないということか。

  • 久しぶりに読みましたが、やはり塩野さんの文章は好きです。
    それにしても出てくる人々が魅力的。
    今の政治家にも是非読んで欲しいです。

  • ここで登場するグラックス兄弟は、スキピオとはまた違う形で印象的である
    紀元前のこの時代に、果敢に改革を試みる若者たち。

    いつの時代にも、勇敢で正義感あふれる者はいるであろうが、この時代に、というのが驚かされる。

    すでに元老院を中心とする共和制が成り立っているローマであるが、市民の格差問題があらわになり農地改革を実行しようとするわけであるが、大きな権力を相手にするとき、なかなかうまくいかなものであることは、いつの時代も同じ。

    ここにきてローマ人同士の争いが始まる。
    いままでにないこの出来事も衝撃的ある。
    これまで元老院を中心に、貴族と平民の差があるにしろ、ローマ自体はうまく回っているように見えたが、ハンニバル戦記が終わり、平和が訪れるとこのような出来事も起こりやすくなるのか?

    結果的に二人とも志半ばでの死を迎えるわけであるが、これが呼び水になり、ローマが大きく動き出すことになるということは、歴史上大きな意味のあることであったのであろう。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    書斎の本棚から百冊(佐藤優選)99
    歴史についての知識で、未来への指針を探る
    キリスト教文化中心主義にとらわれない日本が世界に誇る物語。
    ※10巻までを登録。実際はハードカバーで全15巻、文庫本で全43巻ある

  •  敵国カルタゴは滅亡し、地中海諸国でローマは最強になる。平和な時代はそう長くはつづかない。敵は外ではなく内にあり。国民の貧富の差がはげしくなり改革を推し進めるグループと現状維持派が激突する。結局、数年を経てローマは民主的に改革を受け入れることになるのだ。世界初の民主国家たる所以である。現代に置き換えてもなんら不思議ではない状況に愕然とする。人間はほとほと進歩がない生き物のようだ。

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